ソードアート・オンライン 幻影の暗殺者   作:双盾

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まとめました。


樹海にて邂逅

このSAOを脱出するにあたって方法は1つ、浮遊城アインクラッドの最上階、第100階層まで登り詰めボスを倒すことだ。

だが今の俺は武器防具すら身に着けておらずこれでは雑魚モンスターにすら負けてしまう。

俺は周囲に細心の注意を払いながら始まりの町へと向かった。

 

 

始まりの町に到着してから1時間ほど経っただろうか。

町を観察して、分かったことがいくつかある。

この世界には大体4種類の人間が居る。4種類の人間とは『攻略に積極的』と『攻略組のサポート』『出遅れ組』『ゲームクリアまで待機』であり、始まりの町にいるのは『攻略に積極的』以外の3種類だ。

とりあえず機動力重視の防具一式と短剣を購入した。

この世界はゲームであるが故にステータスがある。

大きく分けて5つ、『STR(攻撃力)』『VIT(体力・防御力)』『TEC(技術)』『AGI(機動力・俊敏性)』『DEX(スキル硬直・発動速度)』がある。それぞれストレングス、バイタリティー、テクニック、アジビリティー、デクスタリィーと読む。

攻撃や防御を重視すれば装備は重くなり、機動性が落ちる。逆に機動力を重視すれば攻撃力や防御力が落ちるので、人それぞれ丁度いい装備を購入していくのだ。

そして武器や防具にも付属ステータスに傾向がある。

重い武器や大きな武器には攻撃、防御に補助がよく付いていて、軽い武器や小さな武器には技術や機動力補助が付いていることが多い。情報源(ソース)は情報屋こと鼠のアルゴ。

俺の戦闘姿勢(バトルスタイル)は回避し、弱点に攻撃、回避という形なので防御は低いが機動力の高いステータスになるような装備にしたのだ。

しかしかなりの出費だったのでしばらくは野宿しなければならなそうだ。

 

 

 

「フッ!!」

 

ザシュッ!!

 

短剣の基本ソードスキル『アーマー・ピアース』で猪型モンスターを排除する。

かれこれ5時間くらいは立っているんじゃなかろうか?そのくらいこの樹海エリアで猪狩りをしていた。…………マッピングついでに。

既にレベルは20を超している。こんな短時間でどうしてそんなにレベルが上がったのか。理由は2つ。

1つは猪や蜂の巣を見つけると真っ先に突っ込んでいったからだ。もちろん無傷とはいかないが俺に対する攻撃命中率が低い為、ドロップされる回復アイテムだけでなんとかなるのだ。

そしてもう1つの理由は今俺が使っている武器は、購入した短剣ではなく、そこらへんに落ちていた木の棒だというところだ。

意外なことにこの木の棒は武器として使えるのだ。

 

パリン!!

 

「ッチ!!」

 

しかし攻撃力も耐久力も低く、木の棒1本で狩れる敵の数は猪3体、蜂5体と言ったところだが、幸いなことにここは樹海エリア、そこらじゅうに落ちているので武器には困らないのだ。

そうこうしているうちに、その場にいた猪は全て狩り終えてしまった。

 

「でもドロップ素材がな…………」

 

入手アイテム欄を見ると、

 

『猪肉×99

 猪の皮×58

 猪の骨×72

 蜂の尾針×6

 蜂の羽×2

 蜂蜜×1』

 

猪ばかり狩っていたので猪のアイテムが多くなってしまった。

猪肉は食べられるが、料理スキルを取得していない俺が料理したらその殆どが焦げ炭に変わるだろう。

 

「…………売るか」

 

そう考えて始まりの町へと歩き出した。

 

 

 

樹海エリアを抜けて草原エリアに出ると、微かに音が聞こえた。

耳を澄ませて音源を探る。

そして音源の方を、目を凝らしてみると、猪の群れと戦っている6人ほどのパーティーを見つけた。

 

「おおー元気にやっとるなー…………あ?」

 

最初のうちは頑張るなーと思っていたが少し様子がおかしいことに気付いた。

パーティーメンバーの腕と猪の数に大きすぎる差があったのだ。殆ど初心者の動きにも関わらず、囲む猪の数は15体。初心者がいきなり猪3体を相手にするのは正に自殺行為だ。

 

「まずい!!!」

 

あの疲弊具合からしてHPも武器の耐久値も限界だ。

AGI極振りのステータスをフル活用し、接近し、

 

「食らいやがれ!!」

 

猪の背後からアーマー・ピアースを食らわせる。HPが全てなくなり猪は光となって砕け散った。

そして急いでアイテムストレージからポーションを取り出し、パーティーに投げ渡す。

 

「急いで回復しろ!!」

 

仲間を倒されたことで意識が全て俺に向かっている猪をあのパーティーから遠ざける。

14体の猪が絶え間なく突進してくる。それを回避し、受け流し、隙を見ては攻撃して時間を稼いだ。

 

「とりゃぁ!!」

 

HPを回復したのか先ほどのパーティーが加勢する。不意を突かれた猪達は体勢を崩した。攻撃が止んだのを見逃さずに一斉に攻撃を与え猪達を倒し切ることができた。

俺達は疲れきった表情でその場に座り込んだ。

 

「先ほどはありがとうございました」

 

へたり込んだ俺に小柄な少年が礼を言う。

 

「いいさ。こんなスリルを味わったのは何年ぶりかな。ハハッ」

 

「俺はケイタって言います」

 

小柄な棍使いことケイタは名乗る。

 

「俺はテツオ、コイツがササマルでアイツがダッカー、それと…………」

 

「ボクはユウキ、あの子はサチって言うんだ」

 

前衛のメイス使いことテツオ、槍使いササマルに両手剣使いダッカー、細身の片手剣を使うユウキに槍使いのサチ。

彼らが名乗ったのだから俺が名乗らないのもおかしい。俺も自己紹介をする。

 

「俺はジンだ。まあ見てわかるようにAGI重視、バトルスタイルはアサシンってところだ」

 

「ジンさん、ありがとうございました」

 

「タメ口でいいさ」

 

「そうですか。じゃあジン、頼みがあるんだけど、俺達のパーティーに入ってくれないか?」

 

「特に拒む理由はないが、何故だい?」

 

ここの返答次第でこのパーティーへの見方が変わる。

 

「ウチって初心者ばっかりでユウキ以外はもうダメダメで、戦い方とかをレクチャーしてもらえればと思って」

 

「ああ、そういうことね。了解だ。ぜひともよろしく頼む」

 

「いえいえこちらこそお願いします」

 

ケイタからのパーティー勧誘メッセージを俺は承諾した。

こうして俺は月夜の黒猫団のメンバーとなった。

 

 

 

「ようこそ!!我が黒猫団ギルドホームへ!!」

 

ケイタ達が歓迎してくれた。

黒猫団のギルドホームは初心者の集まりにしては良さげな建物だった。

木製のテーブルや椅子に少し古めかしい電球、2階へと続く階段があることから2階建てだということが分かる。

 

「ここは意外に高いんじゃないか?」

 

「少し高いですけど皆で手に入れたアイテムとかを売ったり外食したりしなければ十分やっていけるんだぜ?」

 

「へぇ~外食なんてあったのか」

 

「ってソッチかい!!」

 

SAO世界に来てからというものずっと樹海エリアに籠りっ放しだったからまだあまりこの町のことを知らないのだ。

 

「とりあえずサチこの猪肉でテキトーに作ってくれ~。余った肉は干し肉にしといてくれ」

 

「はいはい。ちょっと待っててー」

 

「ボクも手伝う!!」

 

サチとユウキがテーブルの上に山盛りとなった肉をキッチンへと移動させていく。

 

「あ、ジンもなんかあったらサチに料理してもらえよ」

 

「そうか、じゃあ出しておくか」

 

アイテムストレージの猪肉を全て出す。

 

 

ドドドドドドドドド…………

 

 

テーブルの上に再び多量の猪肉が現れる。

ふと、静まり返ったことに気付き、ケイタ達を見ると唖然としている。

 

「ど、どうしたんだこんな大量に!!どんだけ猪狩ってんだよ!!」

 

「い、いやその何だ。5時間ほど樹海エリアに籠っていたらこうなっててな」

 

「「「「「「ご、5時間!?」」」」」」

 

「あ、あの樹海エリアにか!?」

 

現状を全く理解できていない俺はケイタに説明を求めた。

 

「あの樹海エリアはかなり強いモンスターが揃ってて攻略組でも長時間はいられないって噂があるほどなんだ」

 

「ジンってもしかして攻略組だったのか!?」

 

「いや、装備を見ればわかるように俺は初心者だが?」

 

「…………ケイタ、お前結構な大物拾ったな」

 

「…………ジン、これからはちゃんと教えてやるからな」

 

ケイタと俺はメンバーから様々な視線を受けた。

 

 

 

「ふぅ~食った食った。しっかしすんごい量だな。干し肉だけで3、4日ぐらい持ちそうじゃないか」

 

確かにこれだけあれば3日ぐらいは持つかもしれないがその前に飽きるだろうな。

そんなことを考えているとユウキがケイタに何か聞いていた。

 

「ねえ、ジンの寝る部屋って決まってるの?」

 

「あ~そういやまだだっけな」

 

するとユウキは目をキラキラ輝かせた。

 

「だったらさジンと一緒に寝てもいい?」

 

 

ガタゴト!!

 

ブフォ!!

 

 

「椅子から転げ落ちるのはいいが飲み物を吹き出すのは下品だぞダッカー」

 

折角の素材がもったいないだろうがと言ってお茶を飲む。

椅子に座り直してケイタが言った。

 

「いやいやいやダメだろ普通!!というかお前、同室のサチに許可は取ったのか?」

 

「あ、そうだった。ね~サチ、ダメかな?」

 

「ううっ」

 

ユウキの無邪気な視線に怯むサチ。

 

「俺の寝床なら気にするな。野宿には慣れてるからな」

 

「だ、ダメだよ野宿なんて!!一緒に寝てもいいからそんな危ないことしないで!!」

 

「そ、そうか」

 

「やったー!!サチもOKっていうし、いいでしょ?」

 

「ならしかたない。ジンちょっといいか?」

 

ケイタに耳打ちされる。

 

「あの2人に変なことするなよ?」

 

「?ただ寝るだけだろう?何を言っているんだ」

 

ガクッという効果音と共にケイタは諦めの表情を見せた。

解せぬ…………

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