東方滅身録   作:低蓮

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 お久しぶりです。8月にお会いしましょうとか言っておきながら、8月ももう中旬に差し掛かっている今日此の頃でございます。いや、ホントお久しぶりですね。前回投稿が7月の下旬あたりでしたね。えーと、そうするとひぃ、ふぅ、みぃと……うん。


……ホントすみませんでしたぁぁ!!!(土下座


 リアルが忙しいのもあったのですが、話の構成が激甘だったのでなかなか思うように話を作れませんでした。圧倒的難産……ッ! な今話です。あまりに悩みこんだ末に、なんだかもうよくわからない文章がごちゃごちゃと書かれているだけのような感じになってしまいました。嗚呼、どなたか私に「伏線を張る程度の能力」を授けて下さい……


 そういうわけで、出来上がった今話。一応(大人)ルーミアと出会う話になっておりますが、若干主人公のキャラが崩壊しかけています。原作キャラより先に設定崩壊起こすとか、どうしてこうなった……
 とても見苦しい感じに仕上がってしまいましたが、今後の展開につながるところもありますので目を通すくらいはしていただけると嬉しいです。え、お前の作品なんて誰もまじめに見ない? デスヨネー……


闇を往くもの

 

 幻想郷---妖怪と人間が共存し、楽園とまで呼ばれる場所。八雲紫(本当は主に藍)が管理しており、妖怪・人間双方にとって有益な結界によって外界と切り離されている。この結界が張られた当初は一悶着あったようだが、数年後には騒動も収まり平和なときがながれだ。しかし、時が流れるにつれてある問題が浮き彫りになってくる。

 ---妖怪の力の衰え。妖怪は人の畏れによって力を得る、いわば人に認識されていないと存在できないもの、なのだという。この幻想郷において、人間と妖怪のバランスをとるためには妖怪は積極的に人間を襲えず、襲わないでいると力の弱い妖怪から消滅していってしまう、というジレンマに陥りかけているのだ。さらに、外来の妖怪に対する備えも危ぶまれる。

 

 

「だから、どうにかしよう。という認識でいいのか?」

 

 

「ええ、概ねそのとおりだわ。今もって一番の危険は外来の妖怪の襲撃ね。西方で怪しい動きをしている妖怪どもが居るのが悩みの種なの」

 

 

「熟お前の能力は便利だな…それで、俺にどうしろってんだ?」

 

 

「外来の妖怪たちが攻めてきた時に、この幻想郷を守ってほしい、というのがひとつ。もう一つは、この状況を打開する案を考えて欲しい、というものよ」

 

 

 なんで俺がそこまで、と思わずため息を吐いてしまう。ここ数日、紫は俺につきまとってばかりいる。最初は新参者の世話をする云々等と言っていたが、俺が断っても付きまとってくる辺り、別の目的でもあるんだろうか。生憎俺はそこまで頭が良くないので、早々に考えを切り上げると紫に向けてジトッとした目を向ける。

 

 

「面倒くさい、怠い、考えたくない。理由としてはどれを挙げればいい?」

 

 

「釣れないわね…少しくらい幻想郷を守ろうという気持ちにはならないのかしら?」

 

 

「お生憎様。俺は新参者なんでね、まだ愛着のあの字も芽生えてないのさ」

 

 

 若干の嫌味を込めて笑顔を向けると、紫は苦笑してそれ以上は言ってこなくなった。その後もなんだかんだと話題を振ってきて、結局俺が開放されたのは若干怒った藍が紫を連れ戻しに来てからだった。蛇足だが、藍は始終俺と目を合わせようとはしなかった。やはりあった時のあれが原因だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 紫から開放された俺は、取り敢えず森(魔法の森というらしい)のなかを彷徨っていた。幻想郷に来てから暫く経ったが、俺は一歩もこの森から出たことはない。必要性がないから、といえば聞こえはいいだろうが、俺は心の底で恐れているのだ。

 

 

ーーー化け物……ッ!

 

 

 人間から向けられる、恐怖と嫌悪の混じった眼差し。それは、俺がまだ人として過ごしていた時間を否定しているようで。そして何よりも怖いのは、そんな眼差しに慣れてしまった俺自身。妖怪として過ごす時間が増えれば増えるほど、自分の中から「ナニカ」が欠け落ちていくのをいやがうえにも感じてしまう。

 

 

「ーーーはぁ、止めだ止め。考えたって始まらないし、成っちまったものは仕様がない。この体にだって、不満がある分けじゃないしな……」

 

 

 思わず、自分に言い聞かせるように独り言を呟いてしまう。周囲に誰も居ないとはいえ、紫がこちらを覗いていないとも限らない。慌てて周囲に気を張ってみるとーーー

 

 

「ーーーこんな妖力まき散らされておいて、ここまで接近されるまで気がつかないとか、俺ってそんなに注意散漫だったか?」

 

 

「どうだろうね。少なくとも、外敵に大してすぐに行動を取れるような状態ではなさそうだったけれども。まずは、はじめましてかな。あえて嬉しいよ」

 

 

「俺は別に会いたかったとは思わないんだがな。で、なんのようだ?」

 

 

「いやね、紫から新参の妖怪がどうのこうのって話を聞いたものだから、一目会っておきたくてね」

 

 

「あいつ、そんな話をして回ってやがるのか…」

 

 

 これは次にあったときにみっちりと嫌みをいってやろう、と内心紫に対して怒りにもにた何かを沸々とたぎらせていると、突然目の前の妖怪が笑い出した。

 

 

「……どうしたんだ、突然笑い出して」

 

 

「ふふふ、いやごめんね? 紫に聞いたとおり、確かに面白そうな娘だなと思って…」

 

 

 それを聞いた瞬間、疲労に似た感覚がどっと押し寄せてきて思わずため息を吐いてしまった。何故この幻想郷の妖怪どもはこう、少しずれているのだろうか。紫といいこの妖怪といい、力のある妖怪が簡単に他者に興味を持つなど、外の世界ではありえないことだった。外の妖怪どもは他者を己の糧としか見ておらず、また己より強い相手からは脱兎のごとく逃げ出す、そういう奴らだった。ところが、ここはどうだろうか。力の弱い妖怪は言わずもがな、強い妖怪たちも更なる力を追い求めるでもなく、大人しく暮らしている。目の前で笑っている妖怪にしてもそうだろう。妖力の種類からして、恐らく人喰い妖怪。だというのに、全くといっていいほど、そういった「邪気」が感じられない。

 

 

「お前、人喰い妖怪だろう? それにしちゃ邪気が少ないけど、どういった伽羅倶梨なんだ?」

 

 

「……へぇ、気配だけでそういうの分かるんだね。そういえばまだ名乗ってなかったよね、私の名前はルーミア。君の言うとおり、人喰い妖怪だよ。と言っても、食べる人間は選んでるけどね」

 

 

 俺はそれを聞いて、少なからず驚いた。俺の知っている妖怪は、基本的に己の欲に忠実だ。人喰いならば会う人間すべてを喰らっていてもおかしくない。それを、この人喰い妖怪---ルーミアは、選んでいるといった。一体、どういうつもりでそういう考え方をしているのかは分からないが、これで邪気が少ないのも納得がいく。恐らく根っからの悪人か、進んで食べられに来た人間しか食べていないのだろう。

 

 

「---私が人を選んで食べているのが、意外?」

 

 

「…………」

 

 

「あはは、そんな怖い顔しないでよ。君って顔に出やすいんだね、不審そうな色がありありと顔に現れてたよ」

 

 

「……そうか、今後は注意しないとな」

 

 

「別にそのままでもいいんじゃないかな? 表情の豊富な女の子は可愛いし---だからそんなに睨まないでって」

 

 

 正直言って、俺は目の前でからからと笑っているルーミアに対して困惑が隠せないでいる。先程から、やけに馴れ馴れしく此方側に踏み込んでくる。それに、妖怪に似つかわしくない性格と、行動。本当にどういう魂胆で近づいてきているのかわからない。

 

 

「---打算なんてないよ。私が人間を選んでいるのは人間のことが好きだからだし、君に近づくのは君の持っている「闇」が面白い色をしているから」

 

 

「…ッハ、そうかい。お前も妖怪の例に違わず、欲望に忠実ってわけか。その欲望がおかしな方向に向いているだけで」

 

 

「そんなに人喰いが人間を好きになることが変かなぁ…紫にも言われたんだよね」

 

 

「食料に対して好感をもって、結果食べられなくなっちまっちゃ世話ねぇだろうが」

 

 

 そういえば、どうして俺はルーミアと親しげに話をしているのだろうか。大きくため息を吐いた後、ふとその疑問が浮かんでくる。今まで他者との関わりをなるべく絶っていたため、紫やルーミアのように此方側に踏み込んでくるものに対して免疫がないのは確かだ。だが、ルーミアには紫と違ったある引力のようなものを感じる。話していると引き込まれるというか、親しくなりたいというか、そういった類のもの。どうしてだろうかと考えかけたところで、俺はその思考を打ち切った。

 

 

 そんなものは関係ない(、、、、、、、、、、)。何の事はない、俺が確固たる意志で拒絶し続ければいいだけの話。そうすれば、もう二度と---

 

 

「---悪いが、お喋りはここまでだ。さっさとどっかへ行ってくれ」

 

 

「……唐突だね。まぁ、いいけどさ。それじゃ今日はここまで、また今度ゆっくりお話しようね」

 

 

「あぁ、今日はこれで。もう合わないことを願ってるよ」

 

 

 俺はさっさとルーミアから視線を反らすと、特にあてもなく歩き出した。

 ダメだ、ダメだダメだダメだ。立ち入らせてはいけない、踏み込ませてはいけない。俺は自分から己と他者との間に境界線を引いた。そしてそれを守ってきた。侵させてはいけない、破らせてはいけないんだ。絶対の誓を、生涯の孤独を。

 だから俺は、振り返らずに歩いて行く。恐らく、ルーミアも紫も今後とも接触してくるだろう。だけど、ダメだ。甘えてはいけない、向こうから踏み込んできたからと、そういうふうに甘えてはいけないんだ。強い心を持とう、読まれない心を持とう、決してくじけない心を、持とう。

 創られたものはいずれ壊れる、たとえ神の創造したものでさえ、いずれは寿命が来る。創られ、壊れ、また創られる。全てはそういった輪廻の中に組み込まれている。そして、その中に「無」はない。無は、創られることも、ましてや壊れることもない(、、、、、、、 、、、、、、、、、、、、)。ただ、そこに存在するだけ。それこそが、無。

 嗚呼、だから、邪魔なものはすべて無に還してしまおう。強い心を持つために、あの日の誓を守るために。

 

 

「まずは形から、だよな」

 

 

 俺は、何の感慨もなく能力を行使する。自分の中から、確かにナニカが抜け落ちていく感覚を覚えながら、俺はぴくりとも動かなくなった顔に手を当て、今後の行動に考えを移していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Rumia side

 

 

 

 紫に教えてもらった、名前の無い同族喰らいの奇妙な妖怪。紫から様々なことを自慢気に吹きこまれたわけだが、実際にあってみて紫が入れ込むのもなるほどと思えた。見た目は幼いながらも、その小さな身には恐ろしいほどの妖力を秘めている。妖力の大きさだけで言えば、恐らく幻想郷随一だろう。だけど、それは今は重要じゃない。私が最も気になったのは、彼女のうちに秘められた闇の色。

 私の「闇を操る程度の能力」は、文字通り闇を自由に操ることのできる能力だ。ある意味では、紫の「裂け目」と似たような使い方もできる。私だけならば、影から影へと自在に行き来できるし、闇に喰わせて相手を消すこともできる。そして、相手の抱えている「闇」の色をも見分けることができるのだ。

 心に闇を抱えていないものなど、ほとんどいない。いたとすれば、そいつは余程の聖人か、もしくは生き物の枷から外れたナニカ。あの閻魔でさえ、心のなかには多少の闇を抱えていた。そして、あの妖怪はというと---

 

 

---結果的に、闇は「視えなかった」。闇がないというわけではない、ただ単純に闇に色がついていないというだけの話(、、、、、、、、、、、、、、、、、)

 

 

 けれども、それは通常ではありえないこと。己に対して暗い感情を抱いているのなら、鮮血のような赤い色に見えるし、逆に他者に対して抱いているなら、それはどこまでもどす黒く見える。ならば、闇に色がついていない彼女は? いったい、何に対しての闇を抱いているのだろうか。

 興味が、湧いてきた。

 接近し、話しかける。たったそれだけで、新たな興味は次から次へと湧いてきた。言動、表情、思考。そのどれもがチグハグで、しかし不思議と不自然には感じない。

 そして、私と話していた時に最後に見せた、あの表情。

 今までコロコロとその表情を変え、その内心を大いに表現してくれていたのだけれど、私との会話を打ち切る瞬間だけは表情の「色」が抜け落ちていた。どこまでもどこまでも薄い表情。その瞬間だけは、私にも彼女が考えていることはわからなかった。過去に何かあったのか。そういえば、紫も彼女の過去の話を聞いたことがないと言っていた。言いたくないのならば、無理に聞きはしない。

 

 

 最初にあって話して以来、彼女は少しだけ変わった。少しだけ、悪い方向へと。彼女は何らかの手段、おそらくは能力でその表情を消した。その他、痛みや一部の感情も同様に。表情までならまだいい。元々表情の起伏が少ない娘だってたくさんいるし、自ら感情を消した娘だって知っている。けれどもし、私の思い違いでなく本当に痛みや感情を消してしまったのなら、それは不味いことだ。

 

 

 それは生命の理から外れてしまっている(、、、、、、、、、、、、、、、)

 

 

 生命とは、負の感情によって生の感情を生み出す。苦しみがあるから、快感がある。悲しいことがあるから、嬉しいと感じられるのだ。痛みもまた然り。なるほど、痛みがなければ己の肉体を限界まで行使できるだろう。けれどもそれは、あくまで見せかけの話。無理をすれば、いずれ肉体は限界を迎える。その限界を迎える枷となる「痛み」を、彼女は消してしまった。これが何を意味するのか、私にもよくわからない。ただひとつ、はっきりと言えることは---

 

 

 ---このままでは彼女は |輪廻の道から逸れ、転生することができなくなる《、、、、、、、、 、、、、、、、、、、、、、》。

 

 

 それは、死がすべての終わりへと直結すること。さすがに妖精の様にはいかないが、この幻想郷に住むものはいずれ転生し、再びこの地で生きることができる。しかし彼女の場合、死後に魂が三途の川を渡ることはないだろう。輪廻の道から外れるということは、そういうこと。それはあまりに残酷なこと、だからこそ防がなければならない。彼女の過去に何があったかはわからない。私程度が介入していい問題では無いのかもしれない。けれども私は進むのをやめる気はない。たった数回あっただけの、けれどもそれだけで分かるくらい魅力的な彼女を守るために。

 

 

「紫ならわかってくれるかな…あいつの方が考えるの得意そうだし、聞いてみるのも手だよね」

 

 

 

 影から影へ移動しながら、私は考える。如何にして彼女を救うか。どうすれば、彼女が救われてくれるか。その方法を---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 たった一人の名無しの妖怪。同族喰らいの妖喰い妖怪。ずっと孤独だった彼女は、恐らく未来永劫孤独なのだろう。それは、彼女自身が周囲を拒むから。いくら周囲が寄り添っても、本人が拒絶してしまえば関係など築けようもない。けれどもその妖怪は、一人であって独りではない。言葉遊びのようだが、孤独であれど独りではない。彼女のそばには常に誰かしらが付いている。彼女と行動を共にしながら、裏では気取られないように彼女を開放してやろうと奮闘するお人好しの誰かが。今はたった一人だけれど、まもなく二人になるだろう。もう少しで三人になるだろう、四人になるだろう。やがてこの幻想郷すべてが、彼女を救ってやろうと駆けずり回るのだろう。それは、遠い未来であって今ではない。けれども、何時かは起こりえるだろう、そんなお話。

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