陸上自衛官が横須賀鎮守府に着任しました   作:みたらし饅頭

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少ないですがご勘弁。


第十話「吹村雪樹一等陸尉という男」

舞鶴鎮守府での騒動から4日後。

6時間かけて再び吹村以下、艦娘全員が横須賀に帰還した。

トラックはゆっくりと正面扉の前で停車し荷台から艦娘達がぞろぞろ降りてくる。

 

「そいじゃ吹雪、彼女たちに寮を案内してくれ。ほかの手の空いてる奴らもな。特に望月。」

「名指しは酷い。」

「うっせ。俺はトラック戻してくるからな。」

「了解です司令官!」

 

吹雪は敬礼して走り去るトラックを見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さーて、書類制作かぁ・・・・。」

 

吹村はバリバリと頭を掻いてから作業帽を被り直す。

そこに声を掛けてくるものがいた。

 

「お疲れさまです提督!」

「明石か、一体どうした?車両には触らせられないぞ?」

 

すると明石は不敵な笑みを顔に浮かべ吹村に尋ねた。

 

「なんで蹴ったんです?」

「日本語を話そうよ。主語は?」

「特殊作戦群ですよ。」

 

その単語を聞いた吹村は飲もうと手に持ったペットボトルのお茶を飲まずキャップを締めた。

 

「どこで知った?」

「元帥閣下からです。すごく詳しく話してくれましたよ。」

「あいつかよ・・・・・。」

 

吹村は頭を抱える。

だが明石は容赦なく問い詰めた。

 

「和歌山大学卒業後、幹部候補生学校を22歳の時に中の下で卒業。

任官後は普通科隊員として第34普通科連隊に配属。

しかし1年後、富士学校で特科と機甲科に必要な技能を習得したうえで幹部レンジャー過程とレンジャー助教訓練を優秀な成績で終了。

その後、第3戦車大隊に配属。

そして横領をしていた上官を突き出し翌年、東部方面警務隊に配属。

後に空挺教育隊で教育訓練を修了。

第一空挺団へ配属後、働きぶりから一等陸尉へ昇進するも、何故か転属願を出し第37普通科連隊へ・・・。

特殊作戦群への切符も転属願を出す前に手に入れていたのになぜ蹴ったんです?それにこの世界での特殊作戦群成立のための人育成担当教員の願いも一蹴したとか・・・・。」

「ご丁寧に喋ってくれちゃってまぁ・・・・。」

 

明石に経歴を暴露された吹村は言った。

 

「簡単に言うと俺には務まらないんだよ。特戦群なんてな。」

「ですがこれだけの経歴があれば自衛隊内では優秀です!陸将も夢では・・・・・・。」

「あぁ、沖麻陸将にも言われたよ。『俺の後席にぴったりな経歴だ。』ってな。」

「なら何故・・・・・・。」

 

明石の問いに吹村は静かに答えた。

 

「特戦群はな、素性をばらせない。人に嘘ついて逃げるんだ。俺の柄に合わねえ仕事だ。詳細は知らねえが何人かヤッてるかもな。それに・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は実験台だった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じ、実験台!?」

「声がデカい!」

 

キャンと声を出しながら明石は吹村に殴られる。

 

「実験体っていうか優勢兵士錬成だな。」

「優勢兵士錬成?」

「あぁ、簡単に言えば条件が整ったやつにどれだけの訓練を施せば優秀になるかっていう検証に近いもんだ。んで、俺はそれに抜擢された。」

 

吹村は説明してからお茶を一口含んだ。

 

「ですが提督、それを知っていたなら・・・・。」

「反抗しなかったかって?俺だって空挺団に入ったときに聞いた。そん時は表ざたになってなくてな。研究員とGOサイン出した上司は懲戒免職。俺は結局被害者ってことで現状階級からの降格なんかは無し。」

「そうだったんですか・・・・。」

 

明石はことの経緯を聞いて吹村に同情するような表情をした。

 

「同情なんて必要ない。これは俺の人生だ。少なくとも俺は悔いなく生きているしこの検証があったから装備とこの世界に飛ばされてたった一人の自衛官でも扱い方が分かるんだ。」

 

吹村は明石の頭をくしゃくしゃにする。

 

「あぁ!セットに時間かかるんですよ!!」

「ははっ!早くセットできるようにすれば・・・痛ったぁ!!!」

 

吹村は明石に左足の小指を思いっきり踵で踏まれ地面で足を押さえてゴロゴロと転がる。

 

「ふん!セクハラ提督なんてそこで転がっていてください!!」

「明石ぃぃぃぃぃぃぃ・・・・・・・・・!!!!!」

 

明石はスタスタとその場を去った。

吹村は明石を睨みながら悶え苦しんだ。

 

「(ごめんなさい提督。ですが何かあったらお力を貸しますから。)」

 

明石の思いなど知らずに。




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