陸上自衛官が横須賀鎮守府に着任しました   作:みたらし饅頭

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第十二話「横須賀鎮守府の災難だらけの日常」

提督である吹村は書類が早めに終わったこともあり暇だったため鎮守府内を散策していた。

いつもの迷彩服スタイルでいるため海軍施設内では目立つが本人は気にしていない。

散歩しているとある艦娘が目に入った。

 

「おっ、曙と朧じゃないか。」

 

建造で着任した曙と朧だ。

勿論この二人も吹村がやっていた艦これ内の艦娘だ。

更に言うと最近は建造で多くの艦娘が入って来た。

その全員が、吹村のやっていた艦これ内の艦娘であるというのが、唯一他鎮守府と違うところだ。

 

「何よクソ提督!仕事を放棄して遊ぶなんてたいそうなご身分ね!」

「曙・・・・。」

「残念、もう終わらせたんだなぁ~これが。」

 

吹村を罵倒する妹を押さえようとする朧だがニヤニヤして曙に言い返す吹村。

ブチっと切れた曙はすかさず彼の左足の小指を踏んずけた。

 

「おおぉぉぉぉぉぉ!!!!」

「ふんっ!そこで転がってろこのクソ提督!!」

「酷い・・・・・俺何もしてないじゃん・・・・・。」

「だ、大丈夫ですか提督?」

 

足を押さえて転がる吹村に朧は尋ねた。

 

「あぁ、痛いけどもう慣れた・・・・。」

 

吹村は足をさすりつつ立ち上がった。

表情は痛みに未だ耐えている様子だ。

 

「あの・・・・曙も提督に会えてうれしいんだと思います。だけど素直に言えないみたいで・・・・。」

「分かってるよ。でも僕はあの曙らしさがいいからね。あっ変な意味じゃないぞ?それじゃ俺は行くよ、またな朧。」

「ふぇ!?あっはい・・・・。」

 

吹村は優しく朧の頭を撫でた後、再び歩き出した。

朧は撫でられた感触を少し楽しんだ後に赤面しながら部屋へ戻っていった。

その後、吹村は用事があった為、本館内の階段を下りていた。

 

「(えっと・・・・残っている対空機銃は廃棄して・・・・・CIWSも打診しよう・・・・再来月には『あけぼの』が来るし・・・・。)」

 

しかし、考え事をしつつ降りていたためか足元に注意が及んでいなかった。

 

「あとは・・・おわぁぁぁ!!??」

 

そのため足元に張られた紐に気付かず足を引っかけて階段から落ちてしまった。

 

「ふんふふ~ん♪」

「吹雪ぃ~~!!!!」

「へ?きゃっ!」

 

ドガシャァンと大きな音を立て丁度下を歩いていた吹雪と吹村は衝突した。

 

「いってぇ・・・・あれ?何だか柔らかい・・・・・。」

 

吹村は何だか顔が柔らかい物と接触していることが分かり目を開く。

そこにはきれいな白地の布と可愛い小さなリボンがあった。

つまり・・・・・。

 

「司令官の変態!!馬鹿!!」

「ぶげら!!」

 

吹雪の股に突っ込んだのだ。

そのため吹雪の全力のパンチを受けた吹村は吹き飛び、壁に叩きつけられる。

 

「どう・・・・・・して・・・・・。」

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

そのまま吹村の意識は無くなり吹雪は赤面して叫びながら逃げ去った。

つまり吹村は気絶したまま放置されてしまったのだ。

 

 

 

「あひゃひゃひゃひゃ!!!」

「お、お腹痛い・・・・・!!」

「あははははははは!!!!」

「貴様ら・・・・・。」

 

本日の業務を終わらせ吹村は手当てをした痕が残る顔の理由を聞かれ部下である隼鷹、蒼龍、飛龍に教えた結果しこたま笑われていた。

場所は鳳翔の営む居酒屋だ。

吹村が鳳翔に何か欲しいものが無いかどうか聞いたところ店を開きたいという夢を聞き経費で建設したのだ。

 

「くそう・・・・お前らレンジャー訓練に参加させてやろうか・・・。」

「無理無理。私たち海軍だしやる気ないし。」

「取りあえず隼鷹に酒は出さん。」

「とばっちりじゃないか!!」

 

吹村の言葉に笑いながら否定する飛龍のせいで隼鷹に飛び火する。

 

「第一お前ら明日沖ノ島海域だろうがさっさと寝ろ。」

「えー提督は飲んでるじゃん。」

「うっさい飛龍。こちとら吹雪に嫌われてギスギスした空気で仕事してんだよ・・・・。」

 

吹村は飛龍と蒼龍に言う。

だが飛龍は彼が未だ飲み続けていることが気に食わない。

そしてそれを指摘するが吹村はぶちまける様に不満を言いながら酒の入ったグラスを傾ける。

 

「じゃあ秘書艦替えたら?私か蒼龍にさ。」

「阿保言え。練度低いお前らに務まるか。」

「ひっどーい!!」

 

ブ―ブ―という二人を気に留めない様子だ。

それでも吹村は気にも止めず酒を口に含む。

 

「でもさ、提督は実際のとこどうなんだよ?向こうで・・・・自衛隊だっけ?そこで歩兵やってる頃から私たちの指揮してたけどさ。古参の私から言わせてもらうとケッコンカッコカリはどうすんだよ?」

 

隼鷹の言葉全員が黙り込み異様な空気が漂い始めた。

 

「隼鷹てめぇ・・・・。」

「おぉっと、逃げるのは無しだぜ?ずっと気になってたんだ。」

 

明らかに悪い笑みを浮かべる隼鷹に吹村は対抗しようとしたが諦めてツマミを食べながら隼鷹の問いに答えた。

 

「実際いうと考えてない。俺はこの世界たった一人の自衛隊だ、上官も部下も指揮官もいない。すべて俺が考え自衛隊法を厳守し日本国の為に闘わなければならない。その上俺は異世界の人間だ、お前らと契りを交わしたとしても永遠とは限らない。」

「例え・・・・。」

 

吹村の言葉に鳳翔が聞き始めた。

今まで静かだった鳳翔はその瞳を吹村に向ける。

 

「それを覚悟した上で、一途に思っている者がいてもですか・・・・提督?」

 

その瞳は何かを期待するような眼差しだ。

吹村はグラスの中にある酒を飲み干してから答える。

 

「鳳翔、嬉しいが俺なんかよりもっといい男はごまんといる。もう一度考え直せ。」

「私は!提督の事をずっと想っていました!ここに建造された時、これまでにないくらいに喜びました・・・・。お願いです。」

「何度言われても今は考えられない。だが・・・・。」

 

吹村は鳳翔の想いから一つの条件を出した。

 

「ここが鎮守府として申し分ない規模まで上がって・・・・尚且つ練度が最大なら考えてやってもいい。」

 

その言葉の後、蒼龍、飛龍、隼鷹が酒を置いて立ち上がった。

突然の事で吹村が少し驚きながら三人の方を向くと三人とも真剣な顔だった。

 

「えっと?如何したんだお前ら・・・・。」

「提督、それは本当ですか?」

「え?」

「練度が99になってその上で鎮守府の規模が上がれば嫁に貰ってくれると・・・・。」

「あ、あぁ考えはするが・・・。」

「いやったぁー!!!」

 

飛龍に詰め寄られ吹村が言葉を続けようとしたがそれは蒼龍の歓喜の声でかき消された。

 

「こうしちゃいられない!早く寝て明日に備えないと!」

「あっ!蒼龍!抜け駆けは許さないわよ!」

「私もさっさと寝るかぁ!」

「・・・・・・勘定していけよ。」

 

結局、三人はさっさと店を後にし、店内には迷彩服姿の三十路手前の自衛官と和服姿の美人が残されているという何とも奇妙でシュールな光景が映し出された。

 

「あー鳳翔、勘定頼む。あいつらの分も俺が払う。」

「・・・・・・・。」

「鳳翔?」

 

鳳翔に声を掛けるが反応が無くおかしく思った吹村はもう一度声を掛ける。

すると鳳翔が顔を上げた。

しかしその目には炎が燃え上がっていた。

 

「提督!」

「お、おう!?」

 

ずいっと身をカウンターから乗り出す鳳翔に吹村はとっさに仰け反った。

 

「私にも・・・・・チャンスはあるんですね?」

「あると言えばあるが・・・・。」

「では私も演習部隊に加えて下さい。」

「だが・・・・・。」

「加えて下さい。」

「・・・・アイ。」

 

鳳翔のごり押しに負けた吹村は鳳翔の要求を承諾した。

すると鳳翔は満面の笑みを浮かべた。

 

「ありがとうございますね♪勘定ですが35820円です。」

「ほい・・・・・・・はぁ!?35820円!?」

 

しかし吹村には呑兵衛たちの残した地雷が命中。

彼の財布に大打撃を与えることとなった。

 

「・・・・・青葉見ちゃいました!」

 

そして財布が爆沈し項垂れる吹村を見る艦娘が1人。

重巡の「青葉」だ。

一部始終を聞いた彼女は早速メモに書き残しその場を足早に去った。

これから起こるであろう惨事を想像した悪い笑みを浮かべて。

 




次回は曙、金剛、朧、皐月、叢雲、摩耶、江風、海風の中から書きます。
あくまで予定ですけどね。
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