陸上自衛官が横須賀鎮守府に着任しました   作:みたらし饅頭

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とりあえず書いてみました。
轟沈描写注意です。
皆様もお気を付けください。


第十三話「皆底から」

「提督さん。まだ終わらないの?」

「文句言うくらいならその手を進めてくれ瑞鶴。」

「だって難しいんだもん!!」

「人選ミスったわ。」

 

言い合いをする迷彩服姿の吹村といつも通りの弓道着姿の瑞鶴。

書類を放り出してお茶を飲みつつ菓子をつまんでいる瑞鶴に吹村が怒るのも無理はない。

何故瑞鶴がいるのかというと、単に皆から吹雪だけ秘書艦は卑怯との言葉が寄せ集められた結果、くじで当たった瑞鶴が秘書艦となったのだった。

 

「何よ人選ミスって!」

「文句言ってないで仕事しろ、はい書類。」

 

吹村は辞書ほどの太さの書類を瑞鶴の目の前に置いた。

瑞鶴はあまりの多さに目を白黒させている。

 

「上半分が俺が書いた書類で、下半分がお前の書く書類だ。俺のを確認してから自分の持書くように。」

「こんなの出来るわけないじゃない!」

「やかましい、俺はやったからな。終わるまで執務室からは出ないように。」

 

「提督さんのバカ―」と瑞鶴の罵声を気に留めない吹村は、そそくさと執務室を後にした。

それによって瑞鶴が不機嫌になったのは言うまでもない事実だろう。

執務室を後にした吹村は適当に鎮守府内をめぐることにした。

吹村が飛龍たちにケッコンの条件を突き付けてから、1カ月が立った鎮守府内ではしばしば過剰出撃があった。

それは青葉が発行している鎮守府日報と言われる新聞の見出しで「提督、身を固めることを決意!?鎮守府の体制が整い次第ケッコンを検討!!」というトンデモな見出しを書き立ててくれたおかげで、金剛を筆頭とする提督LOVE勢からは質問の嵐。

秘書艦の吹雪も聞かされていない事実に吃驚するほかなかった。

前述の秘書艦抗議もこの記事がおおもとの原因であった。

更にはこの二か月後には夏の「反撃!第二次SN作戦」その後には、秋の「突入!海上輸送作戦」が控えていることを予期している吹村は、過剰出撃を行う艦娘たちに対して溜息しか出なかった。

無論、過剰出撃や不正出撃を行った艦娘は処罰している上に次に処罰されるようなことがあればケッコンを考える際に外すと警告してある。

その警告があってからは、ぴったりとやめるようにはなったが、戦果争いは続いていた。

特に多いのが加賀と瑞鶴の衝突だ。

元々、加賀は一航戦としてのプライドがあり、瑞鶴は五航戦ということで弄られることに嫌気がさしていた。

磁石のN極とN極のように反発することが多かった二人に、戦果という爆薬を投げ込めば誘爆することは確定的である。

当然騒ぎを聞きつけた吹村によって、暴力沙汰一歩手前まで進行していた両者は拳骨と地獄のハイポート走を受けさせられ、翌日は筋肉痛で倒れることになった。

それを目撃した艦娘は争い事は口頭で行うことになったが争いは絶えなかった。

原因は自分にあることを理解している吹村は今日で何度目になるかわからない溜息を吐き出しつつも、使われない装備が留置されている倉庫区画へとやってきた。

誰もその場にはおらず波の音と潮の香りが鼻をくすぐる気持ちのいい昼頃だった。

吹村は近くの係留施設の縁を座り込むと懐から煙草を取り出して咥えた。

そしていざ火をつけようとすると訪問者が彼のもとを訪れた。

 

「煙草は毒ですよ提督。と言っても、あなたがやめるわけないとは思いますけどね。」

「うるせぇよ朧。」

 

吹村のもとへやってきたのは、最近「改」へと改装した朧だった。

朧は煙草に火をつける吹村を見てヤレヤレと首を振りながら彼の横に座った。

吹村は特に気に止める様子も無く、煙草に火をつけるとそれを一気に吸ってむせてせき込んだ。

 

「ゲホゲホ・・・・煙草愛好家の気持ちは解らんね。」

「・・・提督が煙草を吸うのって誰かを沈めた事を思ってるときですよね?」

「・・・・やっぱ初期メンバーは覚えてるよな。」

 

煙草が徐々に燃えて縮んでいくのを眺める吹村の言葉に、朧は静かに頷く。

暫しの間、二人の間には静寂が流れるが、朧が切り出した。

 

「・・・提督は覚えてる?沈んだ子たちの事。」

「当たり前だ。響、伊勢、球磨、那智・・・・俺の慢心で沈めた奴らを覚えてなかったら殺されてるよ。」

「なら、何で沈めた後にもう一度来た子たちには近づかないんですか?」

 

朧の言葉に吹村は口をつぐんだ。

しかし何時まで経っても言葉を発さない吹村を、朧が見続けていると言葉を絞るように連ね始めた。

 

「・・・・お前は自分の姉や妹を沈めた阿呆が、沈めた当人と同じ人物に自衛官名乗って指揮を執る姿を見続けたいか?そうでなくとも俺は今でも自分を許せてない。事実、第六駆逐隊や日向、球磨型に妙高型の奴らには職務以外では会いたくない。」

 

吹村がそういうと、朧は即座に立ち上がって吹村の顔を引っ叩いた。

朧は目に涙を浮かべたまま吹村を睨んでおり、吹村は少しの間、何が起こったのかわからなかった。

朧は何そうな声で吹村に声をあげた。

 

「バカじゃないですか!?皆、提督のために戦って沈んだのにそんな我儘は無いでしょう!初期からいますから言わせて頂きます。誰も提督を恨んでいません。一番悲しんだのは提督だって知ってるからです!それに沈んだ子は皆、沈んだことに気づいた提督の声を聞いて喜んでいました!自分がそれだけ思われてるって・・・・!なのに・・・あんまりじゃないですか・・・・!」

「すまない・・・・そんなことがあったとは・・・。」

 

自分の失態に吹村はただ謝るしかなかった。

だが、朧は首を横に振った。

 

「謝るなら私じゃなくて皆さんにしてください。皆、寂しがってるんですから。」

「・・・・それもそうだな。ありがとう朧、少し行ってくる。」

 

吹村は立ち上がって朧の頭を軽く撫でると大急ぎでその場を去った。

それを見送った朧は水平線の方に向いて呟いた。

 

「伊勢さん。約束、守りましたよ。」

 

沈みゆく伊勢と交わした約束を果たしたことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余談だが、この後で謝ることに意識を集中していた吹村は、怒り心頭となった瑞鶴と瑞鶴に呼ばれた葛城の連合爆撃によって吹き飛ばされるのであった。




少ないのはご勘弁・・・・。
次回は一気に時間が飛ぶかもしれません。
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