「よし、吹雪!始めるぞ!」
「はい!」
一呼吸おいてから。
「始め!」
俺の号令と共に吹雪が障害物をよけながら海を駆け抜ける。
訓練初日とは大違いだ。
ドォォォン ドォォォン ドォォォン
連装砲が火を噴く度に的が粉々になる。
「そこまで!」
号令とともに吹雪も停止する。
「よし、一先ず実戦に出れる程度にはなったな。よく頑張ったぞ吹雪。」
「司令官のおかげです!」
そう言う吹雪本人は絆創膏や包帯で所々治療した跡がある。
本来なら訓練は1900で終了なのだが吹雪は続けると言って聞かず結局2300まで毎日訓練を続けた。
隈が出始めた時は流石に休ませたがそれでも吹雪は皆の背中を追っていた。
その努力のおかげでひと月でここまで上達した。
「よし、今は1200、正午だな。間宮さんの所で昼食を食ってこい。」
「分かりました!司令官はどうするんですか?」
「執務をしなくちゃならないんだ。そうだ吹雪、これをやろう。」
俺が取り出したのは艦娘達が大好きな・・・・。
「そ、それは!間宮さんのアイス券!」
「そうだ、今まで訓練を頑張った分だ、あんまり食いすぎるなよ?」
「ありがとうございます!行ってきますね!」
「気を付けろよ~。」
吹雪を見送った俺は足早に執務室に向かう。
~執務室~
「おいこら起きないか望月。」
「え~・・・だるい。」
執務室に入るとソファに望月が寝転んでいた。
ここ一月で建造やドロップ艦が数人程入って来て人数が増えてきた。
やってきたのは「漣」「望月」「敷波」「睦月」「村雨」「如月」だ。
なんでか駆逐艦に偏るがしかたあるまい。
「執務するから出て行ってくれ。」
「え~・・・。」
「ハイポート走・・・。」
「お邪魔しました~!」
俺がボソッと一言いうと望月は逃げ出した。
以前体験でハイポート走をさせた時にそのつらさをもろに受け体が拒絶反応を起こすようになったそうだ。
まだ10㎞もやってなかったのにな。
「さーて、お仕事お仕事。」
独特なシルエットの軽空母のセリフをいいながら俺は机にある電話の受話器を持った。
『・・・・・・はい?どちら様?』
コール音が少しなると声が聞こえてきた。
「陸奥、俺だ・・・あのアホはまーた脱柵か・・・。」
『えぇ・・・もう慣れたけどね。』
俺は眉間を抑えてため息をつく。
元帥ならしっかりしてくれよ・・・・。
「要件だが吹雪の訓練が終了した、艦娘の数もそっちに送った書類に書かれている。」
『分かったわ、そろそろ援助も要らないわね?』
「あぁ、明日から本格的な錬度向上を行う予定だ。」
『そう、今回の作戦は?』
「出れるか!俺の所の錬度は最高でも綾波と神通の15だ。」
今回の作戦は「第十一号作戦」
攻略すれば「葛城」「リットリオ」「秋津洲」が配属されドロップでは「ローマ」が配属される。
俺は2015年9月から来たからこの後の夏イべについても知っている。
だが今日から開始されるこの作戦は彼女たちには荷が重すぎるのだ。
『それもそうね、じゃああなたは今回の作戦に参加しないのね。』
「あぁ・・・上の奴らがうるさくてな、そういっておいてくれ。」
『了解、今度また来てね?』
「時間があったらな。」
『それじゃあね。』
その言葉の後、電話は切れ、俺は受話器を置いた。
丁度そのときドアがノックされた。
「大淀です。」
「いいぞ。」
俺が返答すると大淀がドアを開けて入ってきた。
「失礼します。提督宛に電文が。」
「分かった、見せてくれ。」
大淀が渡してきた電文はどれもこれも「さっさと出撃しろ」「錬度なんか関係ない」「この腰抜けが!」などといった批判の声だった。
しかも俺は一応大尉ということになっているため将校達はこぞって横須賀に配備された俺を誹謗中傷している。
「全く・・・人の事を言う前に指揮をしろよ。」
「提督?大丈夫なのですか?」
「あぁ・・・こういうのには慣れている。それよりみんなはどうだ?」
「はい、皆さんは仲良くしています。私も馴染めてきてますし。」
「それはよかった。近々給料についても考えないと・・・。」
「給料ですか?」
「あぁ、君たちは軍人だからな。給料が支払われるのは当然だ。少々遅くなるかもしれないが・・・。」
「でも・・・申請などは・・・。」
「コネがあるから大丈夫だ。」
このコネはかなり使えるからな。
但し貞操が危うくなる。
「まぁ、これからゆっくり錬度を上げていくのがベストだな。」
「そうですね。」
大淀と話していると電話が鳴った。
「誰だ?もしもし。」
『あっ吹村君?鏡呼だけど?』
「お前か・・・陸奥は?」
『隣にいるわよ、ガミガミうるさいけど。』
「そりゃそうだ、それで?要件はなんだ?」
『舞鶴の提督が摘発されて憲兵にドナドナされたんだよねぇ・・・。』
「それで?」
『そこの艦娘を君のとこに配属させたから。』
「事前確認はないんかい!」
『HAHAHA!まぁ君のことだから拒むことはないでしょ?』
「せやけどな?せめて確認ぐらいはとりぃや。」
『まぁそういうことだから大至急舞鶴に向かってね♪』
「はぁ~、了解した。」
『バイバーイ♪』
全く、どうしてこうなった。
「大淀、君と明石、間宮さんを除く全員に1300までに玄関前に集合するように言ってくれ。」
「どうかなさったのですか?」
「舞鶴の艦娘がこっちの配属になった。舞鶴の奴が摘発されたそうだ。」
「そうですか、その艦娘をこちらに?」
「あぁ乗せてくることになった。」
「分かりました。」
大淀は全員に連絡するため執務室を出ていった。
「さーて、整備しないと。」
昼飯抜きだな。
俺は車両整備区画と備品保管室に向かった。
~玄関前~
「全員集合って何でしょう・・・・・。」
「誰かがやらかしたんじゃないかなぁ?」
「何こっち見てんのよ!」
「元気ですねぇ・・・。」
集合時間になってきてみたが綾波、深雪、叢雲、漣が会話していた。
だが残りは静かにしているな。
そんなに俺怖いか(´・ω・`)?
「お前たち、少しは静かにしろ。」
一応釘を刺しておいて・・・。
「全員いるな。これから俺たちはこれから舞鶴に向かう。」
「ご主人様、何故に舞鶴ですか?」
「向こうの提督が摘発されてな、そこの艦娘がここに配属する事になったから俺たちがお迎えに行くんだ。」
「そこで私たちが誘導をするということですか?」
「そういうことだ綾波。全員、これからトラックに乗って移動するぞ!」
『『了解!』』
ここから6時間掛かるのか・・・。
・・・・・みんなの中から運転免許を取る人を聞いておこう・・・。
神通「6時間の移動を終えて舞鶴に来た私たち。
だけど舞鶴の状況は・・・・・。
次回「舞鶴の現状」
次回に向かって、前進ー前へ!」