彼女が家を出てから10分。
彼女の家は立地がよく駅まで徒歩10分でついてしまう。
さらにそこから15分電車に揺られる。
そう。ここまでは完璧。
「地図が読めません。」
電車内のイメージトレーニングでは今ごろ、アイスコーヒーを飲みつつ絵理たちとおしゃべりしていたはずです…!
「仕方ありませんね、駅員さんに道を聞きましょうか」
「すみませーん、ここのカフェに行きたいのですが…」
「このカフェ最近できたとこですよね、えーとここからすぐの交差点を右に…………」ウンヌンカンヌン
「なるほど、ありがとうございます。では!」
(ふふ、この園田海未のコミュ力を持ってすれば造作もないこと…)
駅周辺なだけ混雑している大通りを右に。
石畳が敷き詰められ、いかにもな裏路地。
夜入ったら怖いだろうけど今は昼だ。良かった。
裏路地に入ると人々の熱気はほとんど無くなり、とても過ごしやすくなった。
「あと少しですね…」
「絵理にメールしておきましょう」
from 園田 海色
件名 これからカフェに行きます
[本文] 開店おめれとうございます、これからカフェに向かわせてもらうのでよろしくお願いしますね(^-^)/
彼女は慣れない手つきでスマートフォンとにらめっこ。
「送信…と」
「では行きましょうか」
彼女はまた歩き出す。
向こう側から、見慣れていた綺麗な金髪が揺れる。
絵理だ。
「おーい!海未ー?!」
「絵理!久しぶりですね!」
「メールくれるならもっと早くよこしなさいよ~」
「はは、すみません」ハハハ
「まったく、迎えに来ちゃったわよ(笑)」
彼女の見せる笑顔はとても素敵だ。
高校時代から見てきた、この純真無垢な笑顔には何度も救われた気がする。
第一印象は私の中ではとても良いとは言えないものだったが、μ'sと出会い、共に変わってきた彼女を今は心から尊敬している。
「じゃあ、そろそろ行きましょうか」
「ええ、楽しみです♪」
絵理とは3年振りに会う彼女だったが、つい昨日まで会っていたかのように話せる。親友のようなものなのだろう。
「ついたわ」
「すみません、お迎えありがとうございました」アハハ
「とりあえず中にどうぞ?♪」
ガチャッ
「希ー!お客さんよ!」
「エリチー?いきなり飛び出してどしたん?」
高校時代より髪は少し短くなって、ポニーテールで黒いエプロンをつけた希が、奥のキッチンからすっと出てきた。
お洒落な電球に照らされて、とてもカッコ良く美しく見える。
「あら海未ちゃん!よう来てくれたなぁ」
「いえいえ、暇だったもので」アハハ
「改めて紹介するわ、私と希の店、"garden"へようこそ。μ'sのメンバーではあなたが一番最初よ海未。」フフッ
店内はモノトーンな内装に、綺麗な花がいくつも並べられていた。まさしく[花園]という感じだった。
とても落ち着いていて、希と絵理らしいです。
「とりあえずアイスコーヒーもらえますか?」
「はいよー♪」
アイスコーヒーが来たらどんな話をしよう。
仕事の愚痴でも聞いてもらうかな。
ふふっ、楽しみです♪
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