蘇る彼と聖遺物   作:はるひよる

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最近暇があれば書き進めているはるひよるです。

今回はまた御都合主義です。
今回は響、翼、オリ主の三人の視点に分けるという初挑戦です。

それでは最後まで読んでいただけると嬉しいです。


力と決意と

———響サイド———

 

私はあの時、翼さんに日常を守ることが私の覚悟って言った。だけど今の私には守れるだけのチカラはあるのに私自身が弱いから結局何も守れやしない。失ってからではもう遅いんだ。私が強くなるにはどうすればいいんだろう?

今翼さんは怪我の治療中で私がみんなをノイズやこの前の襲撃者から守るんだ。そういえば謎の人物が翼さんを治療して命を助けられたって司令が言っていた。だから私にはあの謎の人物が敵って思えない。強くなるには強い人に鍛えてもらうのが一番いいよね。身近にいる強い人って………?

そういえばあの時の司令と謎の人物の一瞬の攻防は凄かった。人間業じゃないよ!? という事は司令に頼むのがいいのかな? きっとそうに違いない!

 

「私のままで守れるだけ強くなりたいんです。お願いします司令!」

 

司令は突然の事に面食らい少し考えているみたい。自宅で自由に寛いでいただろう司令が玄関を開けた。その瞬間に私は先制口撃をしたのだ。

 

「俺のやり方は厳しいぞ。それでもかね?」

 

「はい!!ところで師匠、どんな事をするんですか?」

 

「………ときに響君、君はアクション映画とかを嗜む方かね?」

 

間の抜けた声が出てしまう。

 

「映画とかを積極的に観る事はありませんが強きを挫き、弱きを助けるお話は好きです。」

 

師匠はそれに満足気に頷く。

 

「それでは響君。早速この映画を観て強くなるぞ。」

 

「はい、師匠!!………え?」

 

 

それから連日の猛特訓を続けた。今日も特訓をしている。

 

「いいか、響君。稲妻を喰らい、雷を握り潰すようにだ。わかったか?」

 

サンドバックを殴り続ける私はイメージしながら拳を放つ。

 

「全然わかりません!!でも、やってみます!!」

 

稲妻とは………速くて、鋭くて、長くて………まるで槍だ。そして、雷を握り潰すには………素早く突き貫くってこと。この拳はガングニールで、それをただ最短距離で真っ直ぐに貫き通す。打たれたサンドバックは吊るしていた木の太い枝がへし折れてしまい飛んで行った。

 

「これは………ここからは俺も本気を出さんとな。」

 

 

———翼サイド———

 

その頃風鳴の意識は深いところに在った。

 

海の中のような空間に私は漂っている。私は終に何も出来ずに死んでしまったのだろうか。しばらく漂っていると視界に朱が現れる。それは少し離れたところで止まり顔を少しだけ覗かせる。私はその朱をよく知っている。私は片翼の鳥。そしてもう片翼が天羽 奏だった。

 

「私は片翼でも落ちはしない。どんなに無様でも飛んでみせる!」

 

また私の意識は途切れた。

 

———ほんと翼は………。

 

 

それからまた漂っている。再びという事は私は死に損なったのか。よもやここまで無様だとは。

 

「相変わらず翼は真面目だな。張り詰め過ぎていてずっと心配だったんだ。」

 

死んだはずの奏を感じる。このまま離れたく無いと、一緒に居たいと想いが溢れる。

 

「私ずっと一人でこの身を一振りの剣として日々研鑽してきたんだ。そこに意味を求めずただひたすらに。そして気づいたんだ、私は無価値だと。」

 

いつの間にかあの最後のライブ会場へと二人で背中合わせに座っていた。

 

「………戦いの裏側やその向こうにはまた違ったものがあって、あたしはそれを見つけて戦ってきた。」

 

「一体それは何?」

 

私はその言葉に縋らずにはいられない。

 

「それは自分で見つけるものなんじゃないかな。」

 

そうだった。奏は私に意地悪だった。少しの怒りと悔しさで眉根を寄せる。奏といる私は知らずのうちに素直な心でいた。

 

「でも、奏はもういないんだ。」

 

奏が立ち上がり私の方を向き目を合わせる。

 

「あたしがどこにいるかは翼が決める事だ。」

 

「私が、決める事………。」

 

だったら私は———意識が浮上していく。そうして私は意識を取り戻した。遠くから微かに校歌が聞こえる。私は学校をサボってこんなところで休んでいる。こんなにもゆっくりするのは………初めてだ。

 

私は奏が思っているほど真面目じゃない。

だから、私は大丈夫だよ奏。

 

 

———大和サイド———

 

風鳴を助けた後、自宅にて眠った筈なのだが何故かあの時のライブ会場にいた。格好は寝巻きの水色パジャマだった。様々なところが壊れて廃虚になっているが能力で浮けたので助かった。おそらくはノイズによって壊された後という事だろう。

 

しばらく歩くと遠くに人影が見えた。私はその人影へ跳躍する。問題なく跳躍も出来た。能力の使用は出来るみたいだ。私はその人影へ声をかける。どこかで見た事がある。そうだ彼女は………。

 

「ここは一体どこだか知らないか、天羽さん?」

 

天羽は振り返る。

 

「おっと?こんなところで他の存在に出くわすなんて今日はツイてる。ここの事はあたしもよく知らないんだ。他の奴も見た事ないがさっき死にかけた翼が来ていたよ。だから寝坊助を少し意地悪して帰してやった。これでもうここに来ないといいんだけどな。」

 

彼女は慈しむような笑みを浮かべていた。そういえば翼と言っていたが天羽の口にする翼とはツヴァイウィングの風鳴 翼の事だろう。

 

「そうか、風鳴は助かったようだな。アレだけ治癒の力を注いで死なれたなんて事になったらどうしようかと思ったよ。」

 

「パジャマのあんたが………なんか面倒くせぇから名前教えてくれよ。あと、天羽さんなんて堅苦しい呼び方やめてくれ。奏でいい。」

 

死んでいるようだし名前を教えても問題ないだろう。

 

「失礼した奏、私は葛城 大和だ。私の事も好きに呼んでくれて構わない。それと風鳴を助けたのは私がそうしたかったからだ。」

 

「そうかい大和、翼を助けてくれてありがとうな。翼は見ていて危なっかしくって、どうしてもほっとけないんだ。大和も何か凄い力を持ってるみたいだしあたしのわがままだって分かってんだけど翼を見守っていてくれないか?」

 

奏のお願いにもとより二課と立花と風鳴見守っていた私は了承する。

 

それからしばらく私の過去や奏の過去を話した私達は仲良くなった。転生の話もしたが奏はこんな不思議があるんだからおかしくねぇなとどこか納得していた。少し寂しそうに奏はこう続けた。

 

「そんな神様がいるんならあたしも蘇らせてもらってもっと色んな奴に歌を聴かせたい。ま、あたしにゃそんな幸運は来ねぇだろうけどな。」

 

そんな話をしていると奏は私の顔を不思議そうに見る。

 

「そういや大和はどうやってここに来れたんだ?」

 

どういうことだろうか。こうなる原因と考えられるのはやはり風鳴に治癒の力を注いだ事だろう。あのエネルギーは元々私の肉体と魂に融合した物を使っている。エネルギーは使用すれば減少するが、自然に回復する物である。あの時の私の精神力を使ってガングニールのエネルギーは大きくなっていた。そのエネルギーは一度鎖に溜められる。それをアイギスに送って風鳴を治療の力で覆った。そのエネルギーに私の精神力が融け込んでいた場合、その時の姿で現れる筈である。奏は、さっき来た翼はボロボロのギアを纏っていたと言っていた。なら私は、その元々は自身のエネルギーへと無意識に跳躍したのだろうか。

 

「いや、それがよくわからないんだ………。」

 

それから奏も一緒に考えてくれた。その時、奏が能力について聞いてきた。

 

「大和にはさっき神様に貰った能力と聖遺物が幾つかあんだろ?その中に何かきっとあるって!例えば何かと何かを繋げたり出来る力が。」

 

私には何かを繋げる能力があっただろうか。まずは神様に授かったあれ………何だろう、能力が変わっているようだ。

 

《繋ぎ・繋げ・繋ぐ力》

 

これは《渡る力》が鳥之石楠船神の力に更に近付いたという事なのだろうか。修業によっていつの間にか強化というより進化したのだろう。彼女は私の肉体と聖遺物と魂は繋がっていると言っていた。それはつまり彼女は繋げる事が可能な能力を持っているという事になる。そして、私には彼女の“渡る神”の力の一端が宿っている。その力が私を蘇らせたのだろう。ならばその力が治癒の力へ融け込み風鳴へと繋がりこの空間に来たと考えられる。

 

「おい!何一人で納得顏をしてんだ。私にも説明しやがれ!」

 

そんな彼女を見て先程の言葉を思い出す。そして、この繋ぐ力を行使すればおそらく完全では無いが彼女の願いは叶う筈だ。彼女を真剣な目で見つめる。

 

「な、何だ急に真剣な顔でこっち見やがって!?」

 

たじろく彼女に私は提案する。

 

「実は今、自分の力を確認していたんだ。すると《渡る力》だったものが《繋ぎ・繋げ・繋ぐ力》というものに進化していた。おそらくこの力で奏を私と繋げれば現世に戻れる筈なんだ。だから風鳴を見守るのはお前がすればいい。それで奏はどうしたい?」

 

奏は余りに衝撃的でしばらく間抜けな顔をしたままだった。そして無意識に呟き目に涙を浮かべる。

 

「あたしはもう一度………歌を歌えるのか?」

 

私は頷く。溢れ出た涙は頬を伝う。

 

「嘘とか冗談じゃないんだな?」

 

また頷く。溢れ出る涙を拭うこともせずに彼女は声の限りを尽くし叫ぶ。

 

「あたしはもっと歌いたかったんだ!!もっと思い切り歌った喜びを感じたかった。そしてそれを翼に伝えたかった。そして共有したかった。あんなところで私の人生終わりだなんて冗談じゃねぇ!!!」

 

彼女の瞳には強い意志が宿っている。私はもう一度問う。

 

「私は私の持てる全てで奏に協力する。さあ、奏はどうしたい?」

 

奏は拳を握りしめ宣言する。

 

「いいぜ大和………あたしはまだまだ歌い足りねぇんだ!ならこの話、乗らねぇわけにはいかねぇだろ?それじゃあこれからよろしく頼むぜ大和!」

 

「わかった。こちらこそよろしく奏。」

 

「そんでどうやってこっから連れ出してくれるんだ?」

 

「それはこれを使ってだ。」

 

私の背後から白銀の鎖が出現する。やはりここは精神世界と似たような場所だったか。

 

「これで奏を一度鎖に封じ込めて私が現世の私の肉体との繋がりを辿って帰る。そして、鎖の中の奏に合う依代を私の中にある聖遺物から選ぶ。選んだ聖遺物と奏の繋がりを強めて融合状態にする。聖遺物の出力を奏に合わせて調整する。そしてエネルギーを使い自身の姿をイメージすればおそらく今の姿になれる筈だ。」

 

奏は目を瞑る。

 

「あたしは大和をもう信頼してんだ。だからさっさとしちまおう。」

 

頷き鎖を巻きつけ奏を吸収していく。段々と薄れていく奏は安らかな顔をしており私に全てを委ねてくれているのがわかる。彼女を鎖へ吸収し終える。私は現世との繋がりを感じるとそこへ向かって跳躍した。

 

 

目覚めると数日経っていた。

自身の内側には朱く暖かい奏の存在を確かに感じた。




最後まで読んでいただきありがとうございます。

うまくキャラを書けているかやはり不安です。
奏さんが出てきましたが翼との会話はほぼ原作通りで力不足を感じました。
オリ主サイドでは奏さんのセリフは(ぇ)などを使うとしっくりきたので多用してます。

次回は奏さんが蘇ります。依代がどれになるかは未だ決まってません。
次回もよろしくお願いします。
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