響サイドでの部分をカットしているのでこっちは短めです。あまりの暑さに頭が鈍って大変です。
最後まで読んでいただけるとこの暑さに打ち勝てる気がします!
———翼サイド———
意識を回復した私だがまだ絶唱のダメージと長く眠っていた事もあり思うように身体が動かなかった。私が目を覚ました事を聞きつけた司令………叔父様が無茶しやがってと心配してくれていた事に少し嬉しくなった。剣で無いなら一体私は………。だが先ずは早急にこの身体を元に戻さねば。あの時、覚悟を決めたとしてもあの子………立花一人で戦わせるのは心配だ。それに奏の言っていた戦いの向こう側を私も見てみたい。
入院中も二課からの報告を読んでいた。デュランダル移送中にノイズとネフシュタンを纏った人物の襲撃に遭うが立花がデュランダルを起動し更には使用。そして化学工場は爆発し瓦礫の山となった。つまり立花は一人で完全聖遺物を起動させたという事だ。ネフシュタンの鎧は私と奏の二人掛かりでやっと起動させられたというのに。これは立花の身に欠片が埋まっている事が関係してそうである。それと、あの立花がデュランダルを自らの意思で使用するとは考え難い。何があったのだ………?
ある程度動けるようになり病室を出て運動をしていた。そして、部屋の前で立花が立ち尽くしていたので声をかける。
「一体何をしているの?」
どうやら私が誘拐されたと思っていたらしい。どうしてそう思い至ったのか尋ねるとこの部屋の惨状のせいだと言う。部屋の惨状…………?そうだった、いつもは緒川さんが来て片付けてくれていたのに、不覚。緒川さんに頼まれて来たらしい立花に恥ずかしいところを見られてしまった。そして、追い討ちをかけるように緒川さんに見られていたと気付き今更恥ずかしさが込み上げる。少しくらい片付けられるようになろうと思う。
その後立花に再度覚悟を聞かせてもらう。奏の想いがこうして立花に残っていると思うと嬉しくなる。だが一人で抱えるには大き過ぎる。立花は心配で放って置けない。迷いのある立花を屋上へと誘う。入院中幾度も訪れた私のお気に入りの場所だ。立花はデュランダルに飲まれて自ら人に対して振るってしまった自身の弱さを知ったようだ。そして、強くなりたいと強く願い、力の使い方を知ろうとしている。日常を強く望む少女が日常から離れる。その覚悟を立花に問う。
「誰かがノイズに襲われていたら少しでも早く助けたい!もし、ノイズでなく同じ人間なら私はこの胸の想いをぶつけて相手に届けたいです!」
そのどこまでも立花らしい覚悟はとても眩しかった。
しばらく立花と話していた。気付けば夕暮れ時だった。すると立花はお腹が空いていたらいい考えは浮かんでこないと言ってふらわーのお好み焼きを持ち帰って来ると走り去る。入院中なのだが………。
しばらくすると司令からネフシュタンの鎧を纏った人物がリディアンの方に向かっていると連絡があった。
「私も出撃します!」
「ダメだ。まだ絶唱のダメージの残ったままで出撃させる事は出来ない。」
「ですが司令!」
その時、立花が交戦に入ったと端末から聞こえた私は胸騒ぎがして気付けばギアを纏い翔けていた。司令が制止してくるが無理を通す。やはりまだ十全でない身では調子が出ないものだな。
「………絶対に無理はするなよ。」
「ありがとうございます司令。それに私は一人で戦っている訳ではありません。だから、大丈夫です。」
通信にイチイバルという言葉が聞こえた。どうやらイチイバルの反応があったようだ。再び舞い飛ぶ力を、天羽々斬!
私が交戦に場所に到着すると立花へ迫るミサイル。そこへ巨大化させた剣を落として立花を護る。あの時は護られてばかりだった私が誰かを護る立場になるとは。こちらに襲い来る銃弾を躱しながらイチイバルの少女へと迫る。背後へ下りたがミサイルの爆発によって距離をとられる。牽制のボウガンを避けながらどう攻めようかと考えていると、突如上空からノイズが急襲してイチイバルのガトリングを破壊する。そして立花がイチイバルの少女へと駆け出し、少女を庇い気を失う。
「本当にあなたって子は私をどれだけ失望させるのかしら?」
何者かの声が響く。
「フィーネ!?」
フィーネ………終わりの名を持つ者。そのフィーネに少女は戦争を無くす為に協力していたようだ。そして、立花をこちらに放ってきて私は立花を受け止める。だがフィーネはその少女を用済みとばかりに手に光を集めてその場から去る。それを少女は追った。
一度病室へ戻り制服へ着替えて二課へと向かう。
誰かの為に戦うというのは………立花はいつも誰かの為に必死だ。ならば私は何の為に剣を振るうのだろう。それが立花のおかげで少し見えた気がする。そして、奏の見た景色とは一体………。
数日経って学校へ復帰している私は放課後に屋上へと足を運ぶ。風が心地いいスポットだ。屋上で何かを悩んでいる立花へ声をかける。どうやら自分のしている事で心を乱す程の小さくても大切なものを守れていなかったようだ。私の大切なものとはなんだろうか。昔には確かにあったのだが………。立花は今それを持っていて、なんとか守ろうと頑張っている。ならば立花はその想いのまま変わるべきだろう。
「………立花にとってそのちいさな事が本当に大切なものならば、きっと今のままの立花でいいんじゃないかな?そのまま強くなれると私は思う。」
上手く励ませないものだ。奏は私をいつも励ましてくれていたというのに。その後、私の絶唱のダメージについて心配してくる。あの時の私は心のどこかで死にたがっていたのかもしれない。ずっと自責の念にかられて自分を殺して死んだように生きてきた。そして死にかけて奏に会った。戦いには裏側があってそれを奏は見ていたという。そう言われて私はその景色を見たいと思った。もう少しで見える気がするんだ、奏………。
「でも、奏さんの歌と言葉に私は助けられています。それに、辛いことがあっても翼さんの歌に何度も救われたんです!だから、滅びの歌だけじゃ無くて誰かを元気にできるって私は知ってます!」
歌はノイズを滅ぼす為だけじゃないという事か。それに私の歌や奏の歌で立花が救われたのならそれは嬉しいことだ。
その時通信が入る。今朝のノイズと関連があるであろうノイズの出現に出撃許可を———取れなかった。そんな私に立花はお願いをしてきた。
「大丈夫です。翼さんがみんなを守ってくれれば私は前だけを向いていられます。」
私がみんなを守る事によって立花は前を向けるというのか。ならば私が立花の大切なものを守ろう。立花を見送った私は立花の大切なものを守る為に動くのだった。
数日経ったある日、私のメディカルチェックでようやくOKが出た。その事を司令に伝えようと緒川さんと今後の仕事の予定を聞きながら歩いていた。すると、立花とあの子は………立花の助けた子か。司令が小日向を二課へ外部協力者として委嘱登録したそうだ。彼女が立花を支えてくれるなら大丈夫だろう。お互いに自己紹介を終える。どうやら立花達も司令を探しているらしい。そこへ現れた櫻井女史が自らの恋の経験談を話し始めるが立花達のあまりの食いつきに話を切り上げて去って行った。どれだけ恋の話が好きなのだ立花は。
そろそろ仕事の時間だと教えてくれた緒川さん。そこへ立花が私とデートをしましょうと提案すると緒川さんがスケジュールの空いた日を探して私に勧めてくる。デートとは遊びに行くことだったらしい。もう少しで奏の見ていた景色を掴めそうな私はその誘いを受けた。仕事に向かう中、胸が高鳴る。こんな楽しみなのはいつ以来だろうか………。
立花達とお出かけの日。約束の時間を過ぎて到着した立花達。凄く楽しみにしていた私は早く行かないと時間が勿体無いと急かしてしまうのは仕方ないだろう?
ショッピングモールに到着して立花に連れられて入ったのはヌイグルミのショップだった。なんてつぶらな瞳でこっちを包囲して見つめるのだ!こんなところに私を誘い込んでどうするつもりなんだ立花!?
次は恋愛物の映画を観た。映画など叔父様と観たアクション映画の記憶しかない。恋愛物というのはとても心に響く物なのだな。涙を禁じ得ないでは無いか。
次は買い食いというものに挑戦した。とっても美味しそうだ。始めは行儀が悪いと渋っていたが立花がこれが作法で普通の事だと言う。ならばそれに倣うべきだろう。一口嘗めると立ちながらという事も相まって美味しかった。
次に洋服を選び各々好きに試着してみた。少々騒ぎ過ぎたようで私とバレて撒いたりして楽しかった。
ゲームセンターではとても愛らしいヌイグルミを立花が奇声を上げながら獲ろうとするも小日向に止められた。叫ぶのに最適な場所へ案内してくれるという小日向が向かったのは行ってみたかった場所でもあるカラオケボックスだった。そこで私は歌ってみたかった演歌を披露する。やっぱり演歌はいいわね。今度緒川さんに相談してみようかしら?
カラオケボックスを出て立花がどうしても最後に行きたい場所があるとついて行くことに。長い階段を登るとこの街を一望できる所に着いた。
「今日は本当に私の知らない世界ばかりで楽しかった。ありがとう二人とも。」
まだまだ世界にはこんなにも知らない事だらけだったのか。
「違いますよ翼さん。今日見た場所も見てない場所だって翼さんが戦って守ってくれた世界なんです。だから知らないだなんて言わないでください。」
私が戦って守った世界。
「そうか………これが、奏の見てきた世界………。」
数日後、あの時のお礼として2人に10日後開催されるアーティストフェスのチケットを渡す。私や立花の始まりのあのライブの会場で催される。立花はどんな辛い過去も乗り越えられると信じてる。ならばその期待に応えるのが先輩の務めだろう。見ていてくれ立花、奏。
私は———。
アーティストフェス当日の本番前の最後のリハーサル後に以前私に海外進出を持ちかけてきたイギリスのレコード会社《メトロミュージック》のプロデューサーのトニー・グレイザー氏がいた。
「中々首を縦に振っていただけないので直々に交渉に来ましたよ。」
緒川さんが断ろうと前に出るがそれを制する。
「このライブで、私は答えが見つかりそうなんです。遠い昔に抱いた大切な思いを。だからもう少し待っていただけないでしょうか?」
「ふふ………そうですか。でしたら私は今日のライブをしっかりと見させていただきますよ。それでは今夜のライブを楽しみにしていますよ。」
去って行く彼を私は見送りながら自分の気持ちを再確認していた。
そして、ライブが幕を開けた。私は出番を待つ。この胸の想いを今日のライブで皆に伝えるんだ!
いよいよ私の出番になる。観客のボルテージは最高潮であった。立花と小日向、それにグレイザー氏が見てくれている。そして、奏もきっと見てくれている。
イントロが流れる。会場からは歓声が上がるが直ぐに静かになる。私は真っ直ぐ歩きステージに立つ。そして歌い始める。
私は歌うのが好きだ。みんなの前で歌うのはこんなにも嬉しい。そして、歌を聞いてもらえてこんなにも嬉しい。私は忘れていたんだ。こんなにも私は歌が好きな事を!
歌が終わり歓声が上がる。
「みんな、私の歌を聞いてくれてありがとう! 私は忘れてたんだ。思いっきり歌う事がこんなにも楽しい事だったのを!そして今決めた事があるんだ。以前から海外進出のオファーがきていたんだ。私は迷っていた。けれど、今日ここで歌って私は沢山の人に私の歌を聞いて欲しいって思っている。私の歌が誰かの助けになるって信じてる。そして、今まではみんなに歌い続けてきた私だけど、その中に私も加えて欲しいんだ!だってこんなにも歌が大好きなのだから!たったひとつのわがままを聞いて欲しい。許して欲しい。」
会場から励ましや祝福の声が聞こえてくる。自然と涙が溢れてくる。私は私の為に歌ってもいいんだ。
私は過去を越えて行くよ、奏。奏との別れは悲しくて辛くて苦しかった。けれど、奏と出会えて私は楽しくて嬉しくてそして、とっても幸せだったんだ。かけがえのない奏との想い出は忘れない。だから、私は前を向いて行けるんだ。夢を追いかけるよ、奏。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
翼さんらしく書けていればいいんですが………。
次のクリスサイドでは矛盾が出ないようにアニメや原作を見返すので次回はいつ投稿かは未定です。
次回もよろしくお願いします。