蘇る彼と聖遺物   作:はるひよる

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完全に夏バテのはるひよるです。

今回はクリスの過去を想像で書いています。あと、一人称あたしが私と混ざって大変でした。

響&翼サイドの部分はカットしたりしていますのでわかりにくいとは思います。
少しずつ改善点を見つけて直します。

最後まで読んでいただけると頑張れます。


夢と想いと

———クリスサイド———

 

二年前に帰国して直ぐに攫われたあたしはフィーネの下に連れてこられた。敵意むき出しのあたしに近づいてきて酷いことをされると反射的に身構えた私に痛みはこなかった。その代わり優しく抱き寄せられて耳元で囁く。

 

「私はあなたが欲しいの。だから私の家族になりなさいクリス。」

 

地獄から抜け出した直後に感じた人の温もりに私は心奪われたんだ。その後、一緒に食事をする。上手く食べられず散らかるテーブルを見ているフィーネに怒られると思い身構える。でもあたしに怒ることは無かった。

 

「好きなだけ食べなさいクリス。落ちた物は後で片付けなさい。」

 

そう言って何かの作業を始める。何でこんなにも優しくしてくれるんだ?

 

 

しばらくフィーネとの生活をしていたあたしに手伝って欲しいことがあるらしい。フィーネに頼られるのは嬉しい。

 

「クリスにはこのイチイバルを歌によって起動させて欲しいの。起動させるにはあなたの強い願いを想い浮かべなさい。」

 

あたしの願い。イチイバルを首に提げて願いを想い浮かべる。

 

あたしから全てを奪った戦争が憎い!

そして、その戦争を起こした大人達が憎い!

あたしを虐げた大人達が憎い!

そんな戦争を無くしたいんだ!

 

———だから力を寄越しやがれ!イチイバル!!

 

胸に歌が浮かぶ。そして、歌い終えるとギアを纏っていた。これがイチイバル………。

 

「素晴らしいわクリス!あなたのおかげで計画も次の段階へ進めるわ。ギアの力を引き出す為に限界まで維持しておきなさい。」

 

褒められた………。褒められたのかあたしは? フィーネの役に立つってすごく嬉しいんだな。

 

「わかった。また何か手伝う事があったら言ってくれよな?」

 

 

それからはギアの最大出力が上がらなくなったらお仕置きされたりもした。その後はいつも通りのフィーネだった。アームドギアを展開出来るようになってしばらくするとその力で何を成したいのかと聞かれたあたしは戦争根絶と言う。

 

「具体的なプランはあるのかしら?」

 

そうだ………。どうすればいいんだろう。教えてくれよフィーネ。

 

「それはね………とっても簡単よクリス。その唯一の方法は戦争をする力を持っている愚かな者を根絶やしにすれば永劫に戦争は無くなるわ。そして、私の目的も………。」

 

そうか、その為のあたしの歌なんだな!でも、本当はあたし———。

 

「それとあなたには新しい聖遺物を起動して欲しいのよ。《ソロモンの杖》をあなたの歌で任せたわ。そろそろ夕食にしましょうかクリス?」

 

 

 

それから半年かけてソロモンの杖の起動に成功する。時々お仕置きされたけどその時フィーネは言っていた。

 

「人間は言葉では理解し合うことができないの。何故なら呪われているからよ。でも、痛みによって人間は唯一絆を結ぶことができるの。私とあなたは痛みで繋がっているのよクリス。」

 

あたしがフィーネと………。

 

 

 

フィーネに命じられて様々な事をやってきた。その度に私は、壊して、壊して、そしてまた———壊す事しかできなかった。これで本当にいいのかあたしは………フィーネ?

 

 

 

最近はネフシュタンの鎧を着ている。何でもリディアンってトコにあるデュランダルを強奪したいらしい。で、その実行役があたしってわけだ。ネフシュタンの鎧の再生能力の実験ではあたしが攻撃を受けて生体に与える影響を調べているらしい。再生している部分は何かに喰われているかのようで、痛みに堪らず悲鳴を上げる。その様子をフィーネはじっくり観察している。

 

 

 

今日はいよいよフィーネにある人物を攫って来なさいと命じられた。何でも最近ガングニールを纏ったペーペーらしい。そして、戦闘になるであろう天羽々斬の正規適合者のあのトップアーティストの風鳴 翼が一番の障害らしいが、そんなもんあたしには何の問題も無い。ちゃちゃっと終わらせてやるよ!

 

ノイズで誘き出した場所では何故か一触即発の空気だった。さっさと終わらせてフィーネに褒めてもらうんだ。その為に二人まとめて相手してやるよ!

 

 

不甲斐ない結果に苛立つ。私は目的を達成出来なかったばかりか手酷くやられた。くそッ! 油断していた。あいつがまさかあんな甘い奴を助ける為に絶唱するなんて予想外だった。このまま帰ったらフィーネに………。

 

 

 

今度はデュランダルを移送するから奪いなさいと命じられた。そして、この前のポンコツも連れ去れと命じられる。この前のお仕置きの時のフィーネはあたしを見てくれていなかった。どうしてだよフィーネ!次は成功させるから私を———。

 

 

当初予定にない化学工場へと入っていくフィーネ。まあ、デュランダルとあいつを奪えればいいんだ。それに今はあの平和ボケしかいないらしく正直楽勝だ。ノイズを使い襲わせるがフィーネはあいつに興味があるらしくバリアで時間を稼ぐ。あいつはギアを纏い、何だ? ヒールを壊して構えてノイズを………ちゃんと捌いてやがる!? この短期間であそこまで戦えるように………。心に焦りが出る。このままじゃあいつを攫うのが面倒になる。だったら!

 

「今日こそものにしてやる!」

 

顎を狙って奇襲する。だが、少しずらされてこちらを見るあいつはそのまま地面へと落ちていく。すると、デュランダル覚醒して宙に浮いているだと!? 先にあっちを確保だ! もう直ぐ手が届く………何!? こいつ、邪魔しやがって。あいつに押されてデュランダルを掴み損ねる。

 

そして、あいつがデュランダルを掴んだ瞬間にものすごいエネルギーを感じる。デュランダルが起動しやがった!?フィーネはその光景に釘付けになって喜んでいる。あいつじゃなくてあたしを!

 

「そんな力を見せつけるなッ!!!」

 

クソッ!あんなのに近づきたくねぇと本能がそう言いやがる!ノイズに襲わせて———

 

あいつが振り向く。

 

———死。

 

あれを振り下ろされればあたしは死ぬ。逃げないと!? 光が迫る。何とか避けたが爆発で吹き飛ばされる。あいつを連れ帰ったらあたしはきっとフィーネに捨てられて、また独りに………嫌だ。

 

 

 

ある日の朝、フィーネの家の隣にある湖を何となく見ていた。するとフィーネがこちらに向かって来る。この前から失敗続きでもう失敗できねぇ。ノイズに頼ってるのがいけないんだ。フィーネにソロモンの杖を返す。

 

「ネフシュタンの鎧とあたしだけで命じられた事ぐらいこなしてみせる!」

 

だから、見捨てないでくれよ………フィーネ。

 

夕暮れの空をリディアンへ向けて飛んでいるとあいつを見つけた。お前が私からフィーネを奪うのか! 怒りに任せて鞭を振るうとあいつのじゃない悲鳴が聞こえた。関係のない奴を巻き込んじまった!? また、あたしは関係のない人間を………。あいつがギアを纏い助けたみたいだ。そして、この場から離れて誘っているらしい。あたしはそれに乗ってついて行く。あいつが止まったので挨拶代わりに鞭を叩きつける。

 

「どんくせぇのがやってくれる!」

 

そう言うとあいつは両手を広げて自己紹介を始めた。こいつ戦場で何を考えてやがる。

 

「やめようよ!私達人間はノイズと違って話し合える!」

 

お前が———ふざけた事抜かすな! 鞭を振るい耳障りなあいつを黙らせようとする。

 

「だから話し合おうよ!私達は戦っちゃいけないんだよ!ちゃんと言葉で話し合えば人間は———

 

———嘘だ! 本当にそうならあたしはッ!!

 

「さっきからごちゃごちゃとキレイ事ばかりぬかしやがって!人間がわかり合えるものかよ!何も知らないお前が………一番気にいらねぇ!!!」

 

あいつを壊してもうそんな事言えねぇくらいの痛みを刻んでやる!

 

「お前を連れ帰るなんてもうどうでもいい!今度こそお前の全てをめちゃくちゃにしてやる!!」

 

エネルギーを一度、さらにもう一度。これであいつはもう———何故立っている!?エネルギーを溜めて………この短期間でアームドギアまで手に入れようとしてやがるのか。やめろ!!お前がいたら本当に………あたしの居場所を奪うな!!

 

「させるかよッ!」

 

潰れろよ! 鞭を叩きつける。何!? 掴まれて、クソッ! あいつに引き寄せられる。あいつが真っ直ぐ一直線に迫って来る。そして、とんでもない衝撃が腹部を通り抜けた。

 

ネフシュタンの鎧に侵食された痛みで起きる。あたしはどうなったんだ。あいつは………何故攻撃してこない。目を瞑って………ふざけてんのか!

 

「お前馬鹿にしてんのか………雪音クリスを!!」

 

「もうやめようよクリスちゃん!私達同じ人間だよ?ちゃんと話し合おうよ!そうすればきっと人間同士きっとわかり合えるよ!」

 

あいつはまだ………。ネフシュタンの鎧の侵食がこのままじゃ………。あいつを壊すにはもうアレしかない。

 

「お前に………。本当の人間ってものを知らないお前が!!!」

 

ひたすらあいつに攻撃をして吹き飛ばす。周りに関係ない奴がいないか確認する。見せてやるよイチイバルの力を!

 

「ぶっ飛べよ!!」

 

この胸の歌を歌う。壊す事しかできない歌を歌う。

 

「よくも………大嫌いな歌を歌わせたな!!絶対にぶっ潰してやる!!」

 

まずはクロスボウであいつを誘導する。そうだそのままこっちだ………ビンゴだ。蹴り飛ばしクロスボウをガトリングに変えて蜂の巣にしてやる!! あいつはそれを走って遠ざかるが逃がさねぇ。これでトドメだ。ミサイルを射出して前方は煙で見えなくなった。これであたしは………なんだこれは?

 

「盾………?」

 

———剣だ!

 

「なんだ、てっきりもうポッキリと折れちまったと思ってたんだがなぁ?そいつが頼りねぇから出て来たってわけか?」

 

あいつもう動けるのか。だがまあ本調子でないようだしもう一度へし折ってやる。ガトリングで狙うが躱され背後に立たれた。こいつ、以前とはまるで違う!?

これはまずい。だったら吹き飛べ! 地面にミサイルを放ち爆発を利用して飛びながらあいつにクロスボウで攻撃して距離を取る。この距離ならばガトリングで———何、ノイズだと!? ガトリングを突然壊される。何であたしを………。さらにあたしへと槍のようなノイズが襲い来る。

 

「危ない!クリスちゃん!」

 

あいつに庇われる。こちらに倒れるあいつを受け止める。何で敵同士なのにこいつは。

 

「本当にあなたって子は私をどれだけ失望させるのかしら?」

 

「フィーネ!?」

 

こいつをあの女に突き飛ばす。

 

「あなたはもういらないわ。私はこれを回収して去るわ。さようならクリス。」

 

「待てよ!あんたの言う通りにしていれば戦争を無くせるって!人類は呪いから解放されて世界は元通りだって!待てよフィーネ!」

 

捨てないでくれよ。独りにしないで! フィーネを追って駆け出した。

 

フィーネを見失ったあたしは何となく夜の公園を歩いていた。すると、女の子の鳴き声が聞こえる。そこへ向かうと同じくらいのガキが二人いて、男の子の方がきっといじめてんだ。

 

「おい!弱いものをいじめるな!」

 

男の子は否定しながら妹に泣くなと強めに言う。

 

「だからいじめるなって———

 

男の子を叩こうとすると少女は私の前に両手を広げて兄を庇う。ああ、もう何なんだよ!

 

どうやら親とはぐれたらしい。だったら最初からそう言いやがれ。泣いてうるさくて面倒くせぇから一緒に探してやった。少女と手を繋いで歩く。はぐれられると面倒だからな。何故か少女は私を見つめている。どうやら無意識に鼻歌を歌っていたらしい。歌が好きなのかと聞かれる。………あたしは、壊す事しかできない私の歌が大嫌いだ。

 

交番近くを通った時にこいつらの両親を見つけた。もうはぐれるんじゃねぇぞ?

 

「そうだ、なあ教えてくれよ。どうやったらそんな風に仲良くなれるんだ?」

 

喧嘩するけどその後仲直りするから仲良しらしい。喧嘩するけど仲直りか………。壊す事しかできないあたしが何かを直せるのか?

 

 

そこから適当に一日中ぶらぶらしてからフィーネの屋敷に帰る。そこにはフィーネが居た。様々な感情が溢れて抑えられない。

 

「あたしが用済みでさよならってなんだよ!あんたもあたしをモノみたいに扱うのか!戦争を無くせるってのは嘘だったのかよフィーネ!」

 

フィーネはあの大人達と同じ目であたしを見る。そしてソロモンの杖でノイズを召喚してあたしを囲む。

 

「そうね、潰せたとしてもせいぜい新たな火種を増やしてしまうだけでしょうね。」

 

じゃああたしのしてきた事は。

 

「どうしてだよ………畜生!」

 

フィーネはネフシュタンの鎧を纏う。

 

「そろそろ幕引きかしら。カ・ディンギルは完成したも同然。なら、あなたは最早邪魔なだけよ。さようならクリス。」

 

フィーネもあいつらと同じだった。一生利用されて死ぬなんて嫌だ! とりあえず逃げて生き延びるんだ。イチイバルを纏いひたすらに逃げた。最後の奴を仕留めたところであたしは雨の中倒れた。あたしは何の為に生きているんだ。誰か教えてくれよ………。

 

 

 

あの地獄の日々を見せられる。目覚めると知らない部屋だった。アレは夢か。嫌なものを見たせいか汗で気持ち悪い。

 

「大丈夫?あなた道端で倒れていたから………。」

 

こいつはあの時の!? 思わず立ち上がるが、やけに下がスースーするのは………。

 

「なんでだよ!?」

 

彼女は申し訳なさそうにする。

 

「ごめんなさい。流石に下着の替えは無かったの。」

 

慌てて布団に包まる。名前を教え合う。小日向 未来だそうだ。自分で拭きにくい背中を拭いてもらう。背中にはきっと痣がたくさんあるんだろうな。今も痛む。

 

「………ありがとう。助けてくれたんだろ?」

 

「………。」

 

「………聞かないんだな、あたしの事。」

 

「私そういうの苦手みたい。今までの関係が壊れるのが怖くて、でもその一番大切なものを壊してしまった。」

 

あたしには大切なものなんて………。あれからずっと独りで生きてきたんだ。フィーネにも結局捨てられて本当にあたしには何も無い。でもこいつはまだ間に合う気がする。だってこんなにも優しいんだから。

 

「その大切な誰かと喧嘩したってことなのか?」

 

「………うん。」

 

そこへ知らない女性が現れてあたしは身構えてしまう。

 

「あら、お友達の目が覚めたの?ちょうど服が乾いたから持ってきたよ。あとは任せたわね未来ちゃん。」

 

「ありがとうおばちゃん。」

 

「さっきのは?」

 

「お好み焼き屋ふらわーのおばちゃん。それでここはフラワーの奥のおばちゃんのお家。」

 

そうか、助けてくれたのか。だったらお礼くらいは言わないとな。

 

「………クリスはお友達いないの?」

 

さっきの続きか。服を着替える。

 

「あたしはパパとママが殺されてからずっと独りで生きてきたんだ。だから友達どころじゃ無かった。唯一あたしを受け入れてくれると思ってた人も結局あたしを利用しただけだった。」

 

こんな事話しても何も言えないよな。。友達との仲直りか。あの兄妹みたいに喧嘩しても仲直り………そうか!

 

「お前のその想いを相手に伝えるためにぶっ飛ばしちまえ。それで強い方を決めたら仲直りで簡単だろ?」

 

小日向は微笑む。

 

「優しいんだね。もし、クリスがいいのなら私はクリスの友達になりたい。」

 

友達に、か………。あたしみたいな壊す事しかできない奴と、どうして友達になりたいんだろう。それに小日向にあたしは酷い事をしたんだ。だから、あたしは友達には………。警報が鳴り響き外が騒がしくなる。

 

「クリス、早く逃げなきゃ!ノイズが出たみたい。」

 

あたしのせいで関係ない奴らが危険な目に遭う。そんなの許せねぇ。こいつらに手は出させねぇぞ!

 

「あんた達はさっさと逃げな!あたしは行くとこがあるんでな!」

 

人の流れに逆らって人気の無い河原沿いの道路に出る。

 

「あたしはここだ!狙うならあたしを狙いやがれ!」

 

ノイズを躱しながら歌おうとするが咳き込んでしまう。こんな時に何やってんだ。殺到するノイズを躱しきれないと思った時、地面が捲れて壁となりノイズは不意を突かれて崩れた。そして、壁を吹き飛ばしノイズを牽制するこいつは一体何者だ。さらに迫るノイズを再び地面を捲って壁にして防ぎあたしを抱えてビルの上まで………跳んだ!?

 

「大丈夫か?」

 

飛行するノイズがこちらへ飛んでくる。あたしは歌を今度こそ歌いイチイバルを纏い応戦する。

 

「見ての通りあたしは大丈夫だ。だから他の奴の救助に向かいな!」

 

「だが———。

 

全て聞かずにあたしは駆ける。視界のノイズどもを一匹残らず撃ち抜いてやる。ガトリングで撃ち抜き、クロスボウで射抜き、ミサイルで吹き飛ばす。河原へと移動しながらノイズを相手する。ここなら被害は少なくて済むはず。

 

それから夕暮れまで戦い続けてやっとノイズを殲滅し終えた。誰にも迷惑のかからない場所を探してあたしはこの場を去った。

 

 

 

取り壊されていないマンションを見つけてそこに隠れていた。雨風が凌げるだけましだ。ほとんど金を持って無かったから数日で空腹と闘う羽目になっちまった。空腹と闘っていると扉が開く音がする。あたしを始末しに来たのか?上等だ。返り討ちにしてやる! どんどん近付いてくる足音。部屋の入り口で待ち構えるあたしの前に白い………袋?

 

「応援は連れてきていない。ほれ、腹減ってんだろ?疑うなら少しそこで見ておけ。」

 

袋からあんパンを取り出し一口かじり飲み込む。それをあたしに差し出す。牛乳も同様にして差し出す。よくわかってんじゃねぇか。どうやらあたしの過去を随分と詳しく調べてやがるみたいだな。

 

あたしの保護を命じられた生き残りだそうだ。その目的は結局このイチイバルの適合者候補って事らしいがな。こいつもあたしを道具にしようとしてんのか。

 

「で、あたしをどうしようってんだおっさん!」

 

「君を救い出す事だ。一度引き受けた仕事をやり遂げるのは大人の務めだからな。」

 

今更大人を信じられるかよ。こんなところでまた誰かの道具に戻るつもりはねぇ。

 

「いつも余計な事ばかりで何もしてくれない大人が!!」

 

窓を破って外に飛び出しイチイバルを纏いあたしはまた逃げ出した。あたしは何をすれば………。新しい潜伏先を探して彷徨うのだった。

 

 

 

いくつか潜伏先を転々とし今は港の倉庫に潜んでいた。しかし、夜にノイズに襲われた。夜の倉庫で人は居ないみたいだ。これなら思い切り暴れられる。だが、今まで見たことのないデカい要塞みたいなノイズがいて厄介だ。ノイズの数も多くて雑魚を掃除すればデカいのに攻撃され、デカいのを攻撃するにも力を溜める暇を与えてくれねぇからジリ貧。このままじゃ間違いなく押し切られる。その時、大量のノイズが崩れ去る。

 

「お前は!?」

 

「クリスちゃんは数の多いのをお願い!私はあの大きなノイズを相手するから!」

 

何勝手な事を抜かして———デカいのがあいつを狙ってやがる。仕方ねぇ。ガトリングで弾丸を撃ち落とす。

 

「ありがとうクリスちゃん!それじゃあお願いね!」

 

「おい!ったくなんて勝手な奴!………仕方ねぇ、雑魚はあたしが相手してやらぁ!!」

 

デカい奴の周りのノイズへ向けてミサイルを放ちクロスボウを構えながらノイズの群れへと駆けて行く。群れへと次々にミサイルを放ち、クロスボウで牽制しガトリングで掃討射撃を行いデカいノイズ以外をほとんど殲滅する。障害の無くなったあいつは真っ直ぐにデカいノイズへ跳ぶ。あいつ………あたしが援護してくれるって信じてんのか!? 思い通りに働くのはシャクだが誰かと一緒に戦うのは初めてだな。………しゃーなしだ。このあたしが援護してやる。弾丸を撃ち落としあいつの拳をくらったノイズは崩れ去った。また誰かに迷惑のかからない場所を求めてどこへ行けばいいんだよ………フィーネ。

 

 

気付いたらフィーネの屋敷に来ていた。ここに答えがあるのか?屋敷に入るが何か雰囲気がおかしい。あの部屋へ走って向かうと人が———これは一体何が………? 足音が聞こえて来る。振り返り入り口へ顔を向けるとあの時のおっさんが立っていた。この惨状はあたしがしたみたいじゃねぇか!?

 

「違う!あたしじゃない!」

 

おっさんの背後から黒服が部屋へ駆け込んでくる。しかし、私を素通りして部屋を調べている。おっさんはあたしに近付いてくるとあたしの頭に手を置く。

 

「誰もお前がやったなどと疑ってはいない。これらは君や我々の近くに居た彼女の仕業だ。」

 

黒服の一人がメッセージの書かれた紙を発見し拾い上げようとした時に何かの機械音がして次の瞬間爆発に巻き込まれた。おっさんに抱えられてあたしは無事だった。他の黒服も皆無事みたいだ。

 

「どうなってんだよ!」

 

「衝撃は発勁でかき消した。」

 

何で大人があたしを助けるんだ。何なんだよ!

 

「ギアを纏えねぇ奴が何であたしを守ってんだ!」

 

「それはお前よりかは少しばかり大人だからな。」

 

大人ってこの前からこいつは!

 

「大人が何だってんだ!あたしのパパとママは大人なのに夢を見て歌で世界を救おうとして殺された!とんだ大馬鹿野郎だ!あたしだったら戦争をしようとする力のある奴等を片っ端からぶっ潰してやる!そうすれば戦争は———

 

「その方法で無くせたのか?それに、大人なのに夢を………か。」

 

あたしの方法では無くせないってそんなの………心のどこかでわかってたんだ。だったらどうすればいいんだよ………。

 

「お前は大人が夢を見るなと言うがそれは違う。大人だからこそ夢を見るんだ。大人になると子供の頃は夢見るだけだった事も大人になったら叶えるチャンスが大きくなる。夢を見る意味が大きくなる。だったらお前の両親は夢を見に行ったんじゃない。夢を叶える為に、歌で世界を救う為に自らこの世の地獄に踏み込んだんじゃないのか?」

 

何でそんな危険な事をしようとしたんだ。死ぬかもしれないってわかってただろ!?

 

「お前に見せたかったんじゃないのか?お前の事を本当に大切に想っていた両親は夢は叶えられるって現実をな。」

 

そうだったのか………。あの地獄でパパとママはみんなを笑顔にしようと一生懸命だった!そして、それはあたしに夢は叶えられるって事を見せたかったから。そんなパパとママに今のあたしは何をしてんだよ!あの頃からずっとあたしはパパとママ、そして歌が大好きだったんだ! あたしはちゃんと愛されていたし愛していた。たとえ命尽きても遺された者の想いの中に生きている。色んな感情が込み上げてきてあたしは泣きじゃくってしまう。そんなあたしをおっさんは泣き止むまで静かに抱きしめてくれていた。

 

あたしが落ち着いた頃にはおっさん達は調べ終えたようで撤収しようとしていた。車に乗り込むおっさんがあたしに通信機を渡してきた。こいつは高性能で買い物も出来るらしい。おっさんはどこかできっと一緒に戦う事になるだろうと言っていた。今まで敵同士だったのにそんな事………あの馬鹿ならもしかしたら………。運転席へ座るおっさんにフィーネの言っていた気になる言葉を伝える。

 

「カ・ディンギル!そう、フィーネが言ってたんだ!もう完成しているみたいな事も言ってた!」

 

何か決めたのかおっさん達は走り去って行った。




最後まで読んでいただきありがとうございます。

クリスサイドは結構な数の!や!?に頼りました。物凄く勢いだけの思考停止で書き上げたのでまた読み返して直すところは修正していきます。

いよいよ次回は三人の奏者と奏とオリ主が出会うかもしれないです。

次回もよろしくお願いします。
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