いよいよ主人公が暴れません。でもガングニールを酷使しています。地味にヴァジュラも初登場です。
最後まで読んでいただけると有り難いです。
二課へ協力しようと決めた翌朝。昨日に少し仮眠した私は早めに目が覚めてしまったので庭でストレッチ等をして気分をスッキリさせる。
「奏の朝食も作らないとな。」
昨晩の夕食を一緒に食べた私は奏に不味くないかと聞いたがあたし好みだと言っていた。少しばかり嬉しくなった私は食事担当をすると言った。
「せっかく生き返ったんだ。だったら色んな事をしてみたいじゃねぇか。だから、あたしも料理がしたい。しばらく料理を手伝ってもいいか?」
「構わない。しかし私も上手とは言えない程度の腕前だ。二人で料理を学んでいこうか。」
私は蘇って何か新しい事を始めただろうか。聖遺物関連以外では無いのではなかろうか。それは、する必要が無かったからしてこなかった。だがそれでは蘇った人生を楽しめてないのでは。奏との料理をきっかけに色々体験してみよう。二人分の朝食を作ろうと冷蔵庫を開けるが食材が少ない。私達は生きる為に食事は必要でない。だが、精神は人間なのでストレスを解消する事ができ、感情の変化によって聖遺物へのエネルギーが生み出される。もちろん味覚等も感じる。簡単な朝食を作り二課へ行く前に買い物に行こう。朝食を作り終えてニュースを見ているとやっと奏は起きたようだ。
「おはよう………大和………。ひさしぶりに寝たらあまりに心地良くて布団から出られなかったよ。」
薄いピンクのパジャマ姿の奏。寝癖で自由な髪のまま欠伸をしてまだ寝ぼけ眼だ。
「奏………さっさと顔を洗って目を覚ましてこい。そうしたら朝食にするぞ。」
「あたしは気にしないが大和がそういうならさっさと顔を洗ってくる。別に先に食べててもいいんだぜ?」
確かにそうかもしれないが昨日奏と食事を共にした事にとても幸せを感じたのだ。
「奏と一緒に食べると料理がより美味しく感じるんだ。だから待っている。」
「そうか。あたしも一人で食べるよりはそっちの方がいい。少し待っててくれ大和。」
奏は洗面所へと向かった。今の内にレンジで温めておくとしよう。
朝食を食べ終えた私達はテレビのニュースを観ていた。そのニュース番組で奏は風鳴が海外進出を決めたと知った。嬉しそうな彼女は小さく呟くが私には聞こえた。
「そっか………やっと自分に素直になったのか。私も応援してるよ翼。でも、たまにはあたしと一緒に歌ってくれよな………。」
奏が思いっきり歌えてその存在がバレることのない場所。この地下のシェルターなら大丈夫だろう。だが音響設備を取り付ける事は私には………。そういえば二課も地下深くだったな。ならシンフォギア関連の設備もあるだろう。そこで、風鳴と奏は歌えばいいんじゃないだろうか。条件に奏が思いっきり風鳴と歌えるように取り計らう事を追加だな。
「ところで大和、いつ二課に行くんだ?」
「そうだな、いつまでも隠れてばかりではいけないよな。なら用意が出来次第行こうか。」
二人とも用意を終えて私はモード鳥之石楠船神となり奏もステルスになる。奏と私は繋がりを持っているのでどちらかが何者かと接触すれば解けてしまうだろう。奏はあのギアを纏う。死んだ筈の人間を見られるのは極力避けた方がいいだろうが奏は隠し事が苦手だろう。上空からリディアンへ跳ぼうとすると既にノイズに襲撃されているだと!?
「奏、リディアンが襲われて生徒達が危ない。到着次第ノイズを殲滅しながら救助を頼む!」
「わかった大和!生き返って初めてのあたしのライブだ!誰もノイズに殺させはしねぇぞ!」
そうして私達はリディアンへ跳躍した。
リディアンは無事な建物がない程にノイズたちによって破壊されていた。特に大型ノイズによる被害が大きい。奏は相当に憤っている。今は一人でも多く助けなければ!
「私は外の大型ノイズを片付けてから建物内のノイズにあたる。奏は建物内のノイズを見つけ次第排除して生存者を安全な場所へ誘導してくれ。」
「わかった!自衛隊の奴に避難場所を聞いて避難させるよ。」
「ノイズを殲滅し終えたら私と奏で怪我が酷い者の治療にあたる。奏にもガングニールの力が繋がっているがそれ程力を引き出せない。だから奏は止血してくれ。外傷は治せても血液不足までは精神力が足りずに治せないからな。」
校舎へ駆け込む奏。リディアンを見下ろせる高さでモードアイギスになりヴァジュラを装備する。両腕を掲げた私はエネルギーを込める。するとヴァジュラから電気が迸り乾いた音がする。段々とヴァジュラを覆っていく電気はヴァジュラから離れて一条の電気の槍となる。私はそれを天に向けて投げると弾け数多の落雷がノイズを貫き消し炭に変えた。ノイズの反応を探るが残りは全て建物内のようである。奏から離れた位置のノイズへと跳躍しノイズをヴァジュラで切り裂き進む。その途中でノイズから逃げ遅れた人を見つけてはノイズのいない方へと誘導する。避難誘導する自衛隊員を見つけて集めた場所を教えてまたノイズを切り裂き駆ける。ノイズの反応が消失し奏を追うと地下シェルターの中で治療中だった。
「大和!あっちに危険な状態のやつを集めてる場所がある!早く助けてやってくれ!」
その場所へ向かうと数十名もの人が寝かされたいた。ベッドには特に重体の者が寝かされておりシーツは血で赤く染まっていた。奥に進み治療にあたっていた自衛隊員へ協力しに来たと告げて特に重体の者から教えてもらう。その際に二課の協力者と伝えるとどこか納得したようだった。鎧の騎士が現れれば誰だってそうだろう。治療する時には白衣を展開して仮面も外しガングニールに集中する。自衛隊員達は十分に治療する設備が無くて困っていたようだ。私が重体の者をガングニールで治したのを目の当たりにする。彼等は先程までの助けられず悔しそうな顔を希望を見出した顔へと変えてより一層一生懸命に動いてくれた。
どのくらい時間が経ったのかわからない。いくらガングニールの使用する精神力が少なくて済むとはいえ何十名もの重体の者を治療するのには膨大な精神力が必要だった。
「お疲れみたいだな大和?あたしの方のエネルギーも大和持ちだったよな。もうここの怪我人に出来ることは全部尽くしたんだ。少し休んでおけよ?」
「こんな事ならもっと精神力を鍛えておくんだった。今と同じ数の怪我人の治療は難しい。少しだけ横になるとする。」
精神力を回復する為に少しだけ横になろうとした時だった。突如シェルターが揺れて少し離れた場所が動いているのがわかる。何かが地上に向けて上がっているのか?一体何が………。
「どうやらここも危ないかもしれねぇな。ここの人達を移動させるか?」
さて、どうしようか。そう悩んでいると入り口からあの風鳴の隣に立っていた男が入ってくると自衛隊員と話している。ついに二課と初顔合わせという事か。あの男と自衛隊員がしきりにこちらを見ていたからな。二課の協力者と名乗っていたから当然だろうな。自衛隊員が話し終えた後ここにいる人々をどこか別の場所へ誘導していく。ここのシェルターは危ないらしい。あの男が自衛隊員への用事を済ませてこちらへとやって来た。
「怪我人を治療していただきありがとうございます。ですが、何故あなた方は二課の事を?安全な区画へご案内しますのでその道すがら教えていただけないでしょうか?」
「どうしたよ緒川さん?あたしが誰だか忘れたのか?」
先に他の人々は避難してこの場には私達三人だけだ。それなら構わないか。
「奏………顔が隠れてるから外さないとわからないだろうに。」
「そうだったな。案外しっくりきてたから被ってるのを忘れてたよ。」
バイザー外した奏を見た緒川さんは固まったが直ぐに元に戻った。
「どうして奏さんが………!?」
「まあ、その辺の事は大和が説明してくれるが一度に説明した方が楽なんでおっさんのとこに連れてってくれよ。」
聞きたい事はきっとあるであろう緒川さんだが司令の所にまで案内してくれるようだ。
しばらく歩くと、いくつも扉のある区画へと到着した。
「こちらの部屋です。」
そこで気になっている事を質問する。
「緒川さん、今の奏を無闇に知られると面倒だと思うのだがこの中に居る人に知られても問題ないのか?」
それに緒川さんは少し考えてから答えようとした時には奏が扉を開けて部屋に入っていった。
「大丈夫だって。あたしは死んでるんだから平気だって!」
後を追って部屋に入ると中には司令とスタッフ1名にリディアンの生徒が5名程。少女一人と大人が5名そして奏が居た。奏の登場に驚き固まったまま。その空気の中でも奏は関係ないといわんばかりに司令へ近付く。
「おっさん大怪我してるじゃねぇか!?大和、早く治してやってくれ!」
「ああ、待ってろ直ぐに治す。」
ガングニールを出して刻まれたルーンが輝く。司令は金色に包まれて何かを感じたのか包帯を外す。すると傷口が閉じて内臓のダメージまで消えていた。
「すまない助かった。だが、お前はあの時の?どうしてここへ来たんだ?」
「二課へ外部協力者になろうと交渉しに来た。その矢先にノイズを目撃したのでノイズを殲滅しながら民間人の救護をしていた。今何が起こっている?」
そこで奏は一番気になっていた事を聞く。
「ところで翼は今どこに居るんだ?」
司令は静かに口を開く。
「翼は世界を救う為に命を燃やしてカ・ディンギルを破壊して守りきった。」
「おい………嘘だろおっさん!翼は海外で歌うって!夢を追いかけるってやっと………夢へ向かってたところじゃねぇかよ!どこのどいつだ!あたしがブッ飛ばしてやる!」
奏は怒りで出力が抑えている以上に達しそうだったので一度強制的に戻す。
「今どこか助けが必要なところは無いのか?」
「響君を………今、地上で戦っている響君を助けてくれ!それとリディアンの生徒達が無事なのも彼女に伝えて欲しい。我々はノイズに無力だ!いい大人が守るべき少年少女達に頼るなど情け無いのは承知の上だがどうか頼む!」
司令の悲痛な想いが伝わってくる。私はこんな出来た大人じゃなかった。そんな私は蘇り世界を救って欲しいと頼まれたがそんな事は出来る気がしない。だが、誰かを助ける事は出来る。ならば今、助けを求めている人が手の届く範囲にいるなら私は助けたい。
「ここから地上に出るにはどこを突っ切ればいいんだ?」
「ありがとう………。先程までエレベーターシャフトだったカ・ディンギルを突っ切るのが最短距離だが……。」
私は走る。あの時の振動はそういう事か。エレベーターシャフトへ到達し見上げると月が見える。そのカ・ディンギルの途中の何かが月明かりで光る。その場所へ跳躍すると風鳴が倒れていた。私は奏を呼ぶと現れる。
「風鳴を頼む、奏!」
奏へガングニールを手渡す。今にも折れそうな風鳴を見た奏は必死に治療する。
「おい!まだ夢の途中だろ翼ッ!だから目を覚ましてくれよ!!」
その時、ほんの僅かに指先が動いた。
私は壊れたカ・ディンギルから下を見下ろすと立花が黄金の鎧の女に地面に叩きつけられていた。奴は何をしている。何故他者を踏みにじれる。私はそんな理不尽が許せない。これ以上奴に誰かを傷付けさせはしない!
立花と奴の間に跳躍して怒りを込めた拳を奴の胴へ打ち込む。突然の乱入者に反応出来ずに吹き飛び、カ・ディンギルに衝突する。立花へとガングニールの治癒の力を施す。
「司令から君を頼まれた。そして、リディアンの生徒達は無事だ。」
虚ろだった目に光が僅かに戻る。
「みんな………無事だった。」
その時何故彼女がこんなになるまで頑張れるのか聞きたくなった。
「どうして君はこんなになるまで頑張れるのか?私も突然力を与えられてその力を持て余した。臆病な私は世界から隠れて活動していた。でも君は力を自らの意志で受け入れた。そして、その力を信じ守る為に全力で戦った。どうしてそんなに真っ直ぐに生きられるのか。教えてくれないか?」
その問いに立花はただ呟く。
「何の為に………私は………戦って?」
その時にどこかのスピーカーから歌が聞こえてくる。そして奴も瓦礫を押し退けてこちらへと向かって来る。
「一体貴様は誰だ!それにこの不快な!………歌?どうして歌が聞こえてくるのだ!?」
歌に込められた想いが立花達へと力を与える。なんて温かくて優しいのだろうか。
「この歌が………みんなが私を支えてくれているんだ。私はひとりで戦ってるんじゃない!だからッ!私はまだ歌える!!」
一人じゃない………か。蘇って誰も私を知らず孤独だった。私は力の所為にして逃げていた。戦うことから逃げていた私は奏と出会ってようやく戦うと思い始めた。私は理不尽に苦しむ誰かを助けたいんだ! 奴は立ち上がれ無い筈の立花を理解出来ず驚愕しながら叫ばずにはいられない。
「何故立ち上がれるのだ!確かに心は折り砕いた筈!なのに何故!何を纏っているのだ!それは一体何なのだ!!」
朝陽が顔を覗かせ天に向けて光の柱が四つ立ち昇る。四人の少女達は光に包まれて立ち上がる。
「みんなの歌と想いを束ねたシンフォギアだッ!!!」
今までよりも強く輝くギアを纏った戦姫が四人舞い下りた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
やっと決意したオリ主。一般人ならきっとビッキーに触発されてもこのくらい必要だろうと予想以上にヘタレました。
次回はいよいよ第1期最終回です。どのように終わるか未定ですが次回もよろしくお願いします。