今回で一期は終了となります。
いつも読む側だった私がここまで書き終えられた事を少し嬉しく思います。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
フィーネは目の前の光景が忌々しかった。また私の想いは届かないのかと折れかけていたが無理矢理奮い立たせる。ここであのお方への想いを諦めてなるものか!
「これは高レベルのフォニックゲイン………二年前の意趣返しだと?たかが聖遺物の欠片ごときでこのフィーネを止められると思うてか!」
フィーネはソロモンの杖を掲げて上空へ緑の光線を打ち上げて広範囲にばら撒く。すると見渡す限りの地上はノイズによって埋め尽くされた。絶望的な光景にも彼女達は何も怖く無かった。
『今更ノイズがどんなに出たところで怖くねぇんだよ!』
確かに聞こえたがこれば神様と同じで頭に響く声だ。
「念話までも使うか!」
一人でフィーネへと向かう奏は私達に背を向けながら念話をする。
『なぁ大和、あたしは了子さんを殴らねぇと気が済まないんだよ………あっちのノイズは大和と翼達に任せる。だから、ここはあたしに任せてくれねぇか?』
立花達は大和と呼ばれている私に訝しげだ。そういえば今は白衣だった。ギアも纏っていない者がノイズと戦えるとは思わないよな。モード鳥之石楠船神になると立花と風鳴は思い出したようだ。
『お前はあの時の!』
『翼さんを攫ったあの時の!?』
『あたしはこんな奴しらねぇぞ!』
取り敢えず今はノイズを殲滅しないとな。
「その辺りは後で説明する。今はノイズを何とかしないとだろう?」
三人は頷いてそれぞれノイズを殲滅しに向かう。私は奏に念の為にとガングニールを預けたまま街の方へと向かった。
溢れかえるノイズを空は赤い少女、地上は立花で両方を風鳴と次々と撃破していく。私は街への被害を抑える為にモード鳥之石楠船神になる。先程の歌と自身の迷いを断ち切れた事による精神力の回復と上昇で余裕が出た。消費は多いが未だ試した事のない能力を行使した。視界に映るノイズ同士を限界まで繋ぐ。そしてその内の数匹のノイズを上空へ跳躍させると他の繋いでいたノイズも上空へと引っ張りあげられる。そこへ天叢雲剣の水を操る力で街を流れる河川の水を球状にしてノイズを閉じ込める。そこへヴァジュラで電気の玉をぶつけるとノイズ達は水の中で崩れた。
着実に数を減らしていくノイズ達が突然カ・ディンギルの方へと集まっていく。奏のコンディションを探るが別段何も無い。ならば何だ。カ・ディンギルへと跳躍するとそこから紅き竜が姿を現した。
『すまない大和、殴っても貫いてもしぶとくて。それで突然了子さんが杖を自分の腹にぶっ刺したらノイズが集まってきてあんな姿になっちまいやがった!』
紅き竜からエネルギーの高まりを感じ取った私は咄嗟にモードアイギスとなり竜の前に立ちはだかる。紅き竜の先端部にエネルギーが集まっている。その先には街がある。
「街を壊させはしない!」
紅き竜へ鎖を巻き付けエネルギーを奪うが多過ぎる。紅き竜の先端部にはエネルギーが集まっていていつ発射されてもおかしく無い。全力でアイギスの障壁を幾重にも重ねる。その障壁の角度と厚みを変えて徐々に上に逸れるように重ねる。光線が放たれて目の前が紅い光に包まれる。障壁が壊されるがエネルギーなら奴自身から奪っている。奴と同じ紅い障壁を壊されては張り直し何とか上空へ逸らす事に成功するがそう同じ事をしたいとは思えない。
「こちらのエネルギーを利用したか。だが、完全聖遺物にはその程度では到底叶わぬ。」
ガードし終えた私に向かって幾つものレーザーが放たれる。回避しようと跳躍するがこちらへまた向かってくる。向かってくるならと鎖をレーザーの進行方向へ伸ばしてエネルギーを吸収して減衰させる。
『その鎖は厄介だな。だが守ってばかりでは何も出来ぬぞ!』
その時、立花達もこちらに追いついた。
『くらいやがれ!』
彼女から幾つものレーザーが紅き竜へと殺到する。
『はあッ!!』
蒼い斬撃が紅き竜を襲う。
『せいやッ!』
立花の拳が紅き竜を貫通する。
『所詮は聖遺物の欠片から作られた玩具。完全聖遺物を超えることなどあり得ない!』
だが、直ぐに再生し倒すには至らない。
『どうするよ翼。何か手はあるか?』
奏と私も合流する。
「あるにはある。だが、それには立花の協力が必要だ。」
「私ですか?一体私は何をすればいいんですか?」
「私と雪音、奏と大和で奴のデュランダルを奪う。そして、それを立花が使いネフシュタンの鎧と完全聖遺物同士の対消滅で完全に消し去る。やれるか、立花?」
立花は迷いなど無い力強い声で答える。
「やってみます!」
『さて、無駄な足掻きをするようだが何をしたところで私には勝てないと知るがいい!』
レーザーが放たれるが私が紅い鎖をレーザーへ伸ばし先程のエネルギーを一気に流し込むとその場で膨張し弾けて消えた。その隙に奏と風鳴は攻撃の準備を終える。
「両翼揃ったツヴァイウィングなら!」
風鳴は巨大な剣を振るい蒼い斬撃を放つ。
「何処へだって飛んで行けるさ!」
黒い大剣から黒い斬撃を放つ。それらは紅き竜の腹へと大きな穴を抉じ開けるが直ぐに再生が始まる。
「いくぞ大和とやら!遅れんじゃねぇぞ!」
「わかっている雪音!」
大穴まで先に跳躍して傷口に鎖をこれでもかと張り巡らせてエネルギーを吸収して再生を遅らせる。雪音が通れるだけの空間を作りそこを通過する。そして内部で雪音がレーザーを乱射して爆発を起こさせる。煙に包まれて堪らずに換気するがそこには奏と風鳴が構えていた。
「本命は!」
「あたし達だ!」
迫る蒼と黒の斬撃を受けてフィーネはバリアを張るもデュランダルを手離してしまう。
「いただきだ!」
雪音がデュランダルを器用に撃って弾き私へと近付ける。それを私は鎖で絡めて立花へと跳躍する。デュランダルを強奪し終えて紅き竜から離脱する奏達も合流する。そして立花へとデュランダルを託す。立花が手にした瞬間、エネルギーが爆発し黒く染まっていく立花。必死に飲まれまいと抗っているが———シャッターが壊れて人が出てくる。
「ここが正念場だ!持ち堪えろ!」
司令が大声で叫び励ます。
———強く自分を意識して!
———昨日までの自分を!
———これからなりたい自分を!
「立花の胸の覚悟を今こそ見せてくれ!」
「みんなお前を信じてんだ!だったらお前も自分を信じろ!」
———あなたのお節介を!
———あなたの人助けを!
———今日はあたし達が!
「貴様ら!まだ足掻くかッ!!」
紅き竜も再生がある程度終え邪魔をさせまいと鞭を伸ばして立花を妨害する。
「無粋なマネはさせやしねぇ。あたしらがついてんだ!だから自分を信じろ!」
「邪魔はさせはしない!みんな立花を信じてる。だから自分を信じるんだ!」
立花が黒く染まる。咆哮を上げデュランダルを振り上げ———
———響ぃッ!!!
地上のみんなが立花の名前を呼ぶ。すると立花から黒い影は胸に消え背中には光輝く翼が現れる。再びデュランダルを振り上げる立花達。
「みんなの歌声がくれたこのシンフォギアでッ!!!」
私と奏は地上の人達の前で障壁を張る。デュランダルが振り下ろされ紅き竜は崩壊しデュランダルは消滅した。
荒れ果てたリディアンで私達は紅き竜跡へ行った立花を待っていた。帰ってきた立花はフィーネに肩を貸していた。
「本当の馬鹿野郎だ………。」
雪音は呆れながらもどこか嬉しそうだ。石の上に座るフィーネと立花は話し合う。
「もう終わりにしましょう、了子さん。」
「私は了子ではない。フィーネだ。」
「了子さんは了子さんですから。きっと私たちはわかり合えます。」
フィーネはおもむろに立ち上がり語る。
「統一言語を失った我々は手を取り合うことを拒み殺す手段を求めノイズを作り出した。そんな人間がわかり合えるはずなど無い!」
鞭を手に握るフィーネ。動こうとした雪音と奏を私と風鳴は止める。ここは立花のやりたいようにやらせよう。
「人が言葉よりも強く繋がれることをわからない私達じゃありません。」
振り返り鞭を放つフィーネの攻撃を避けて胸に拳を突きつける立花。
「私の勝ちだッ!!!」
空へと伸びた鞭が月へと刺さる。絶叫しつつ鞭を力の限り引っ張るフィーネは鎧が砕けて今にも消えそうだ。だがフィーネは声高らかに宣言する。
「今から月の欠片を落とす!私の悲願を邪魔する禍根はここで消える!聖遺物の発するアウフヴァッヘン波形により何度でも世界に蘇る!私は永遠の刹那に存在し続ける巫女、フィーネなのだから!!」
あまりの衝撃に動けない私達。ただ一人、立花だけはフィーネに対して胸の前で止めたままだった拳を軽く当てる。
「そうですね。蘇る度にみんなに伝えてください。世界を一つにするのに力なんて必要ないって事。言葉を越えて私達は一つになれるって事。私達は未来にきっと手を繋げるって事。これは私達には伝えられないから………了子さんにしか出来ないから。」
立花はきっと———。
「だから、私が今を守ってみせますね!」
フィーネの雰囲気が少し変わり優しい笑みを浮かべながら立花に近付く。
「もう………本当に放って置けない子なんだから………。」
立花の胸を優しく突く。
「あなたの………胸の歌を信じなさい。」
そう言い残し形が崩れて風に乗り消えていった。その時彼女から無数に存在する繋がりの一つに導かれて去った。
フィーネが居なくなり関係していた者たちは色々思うところがあるようだ。少しすると二課のスタッフにより月の欠片の落下軌道計算が出る。私は月の欠片の破壊へ向かう事を決意する。今まで逃げていた私がここで戦わずでは自分が許せない。奏のところへ向かう。
「私は持てる全てでアレを破壊する。だから、もしかしたら私は力を使い果たし消滅してしまうかもしれない。だから奏とはここで———
奏は私の言葉を遮る。
「それは許さねぇぞ?さっきまでみんなを信じろだのと言ってたのに一人で抱え込もうなんざ水臭いじゃないか。あたしとあんたは一蓮托生だろ?だったらあたしも連れてけよな!」
誰かに支えられているのは私もそうだったな。その時、向こうの方で立花が空に飛び立つ。それを追って風鳴と雪音も行った。
「どうやらあたしらが最後みたいだな。でも、大和なら追い抜けるだろう?あたしらが最初に欠片を壊してやろうじゃねぇか!」
「本当に奏はそういった事が好きだな。元々一人でどうにかしようとは思っていたがどうにもならなかっただろうな。」
モード鳥之石楠船神になり月の欠片近くまで一瞬で跳躍し終えた。そこには途轍もなく大きな月の欠片が着実に地上へ落ちてきていた。これを壊すのは骨が折れるな。そんな絶望的な状況でも奏は怯む事など微塵も感じさせずに力を高めていた。
『全力で壊すぞ大和!もっとエネルギーを寄越せ!こんなもんじゃ足りねぇぞ!』
「分かったが無理だと思ったら直ぐに戻すからな?」
私も全力を尽くすと決めたからにはあのモードになる。モードレーヴァテインへと変える。凄まじい力を感じるがその分より多くの精神力が消費されていく。そこへ立花達が合流する。
『奏さんに大和さん!どうしてここへ!?』
ここでは奏以外と話せないので奏に伝える。
『さっき立花達に託したままっていうのが気に入らないから出来ることをしたいんだとさ。それに水臭いじゃないか?あたしだってみんなを守りたいんだ!だからいいだろう?』
『奏さん!それに大和さん!ありがとうございます!』
『奏と………みんなとこんなところで歌えるなんて………悪くないわね。』
『お前ら本当………最高に馬鹿!だったらド派手な花火をみんなに見せてやる!』
四人で歌を歌いエネルギーを高める。私はレーヴァテインの剣とガングニールを繋げて融合させていく。そして、ガングニールを増やせる限界まで増やす。太陽系にもう一つ太陽が存在するかのようである。光り輝く黄金の太陽の槍を限界まで作り出し精神力は底をついた。数千本といったところか。これできっと守れる………いや、守ってみせる。だがこのままだと奏まで———料理は立花達に頼んでくれ。
地球へ迫る月に欠片はもう直ぐそこだ。皆準備は整った。ならば後はそれを解き放つだけだ!
『全力全開!行っちゃえ!ハートの全部で!』
立花が欠片を砕く。
大きく割れた欠片を風鳴と奏が細かく斬り刻む。
細かく散乱した欠片を雪音と私が爆破し燃やし尽くす。
月の欠片は粉々になり全て地上に届く前に燃え尽きるだろう。全てを出しきりエネルギーが不足する。手足の感覚が喪失していく。身体が思うように動かなくなったか………。
身体が落ちていく。
意識が遠のいていく。
彼女達は無事だろうか。
奏は大丈夫だろうか。
私はどこか冷たく暗い場所へと落ちていくのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
主人公は繋ぐチートです。修業の成果で色々能力が上がっています。空白期開始時点での能力の軽い説明でも入れようかと思ってます。
いろんな方に読んでいただけて良かったです。
次回空白期のお話は来週あたりになると思いますがよろしくお願いします。