やっと足並み揃ったフィーネです。このまま進むと戦力は4対5で二課不利ですが弦十郎や緒川さんが出ればきっとなんとかなる筈。
最後まで読んでいただけると有難いです。
ウェル博士と計画を朝まで外で練っていた。そのため、博士は一気に疲れと眠気が押し寄せたようで今にも眠り始めそうだ。
「そろそろ………眠らせていただきますよ。全く貴方は研究者として羨ましい身体ですよ。それではまた………。」
覚束ない足取りでヘリに向かい中に消えた。私は何となく朝日を浴びながら身体をストレッチでリフレッシュしていた。
「朝早いんですね大和。中々便利ですよね、この身体は大和との繋がりを辿って一瞬にして戻れるんですから。そういえば戻った時に大和視点で景色が視えたのは、もしかして大和も私の視点で景色が視れたりするんですか?」
彼女との繋がりに制限をかけ忘れていた。確かに視れるが緊急事態でもない限りプライバシーの問題がある。
「済まないセレナ、制限をかけ忘れていた。もう制限したから心配しなくて大丈夫だ。」
謝る私にセレナは別に大丈夫ですからと許してくれた。そしてセレナは自分の身体について色々質問してくる。
「それじゃあマリア姉さんと同じガングニールを纏ったりも出来るんですか?」
奏は相性が良くなかったから纏えなかったがセレナはどうなのだろうか?試しに彼女とガングニールの繋がりを強くするとセレナは流れ込むガングニールの力を感じている。そしてセレナは歌を歌う。すると形はマリアの黒いガングニールに近く純白のマントを羽織り、色は立花のガングニールに近いが、月の欠片を砕いた時よりも白く輝いて全体的に金銀白の神々しいギアを纏っていた。
「姉さんと同じガングニール………。」
そしてセレナは祈るように組んだ手を掲げると両腕のパーツが合わさり黄金の杖が現れる。
「槍じゃなく杖だとするとルーン方面に比重を置いてあるのか?少し試したい事があるからついて来てくれ。」
ギアを纏ったままヘリに入り寝ている博士の前まで来た。冷たい床に倒れていたので椅子をベッドのように並べて寝かせた。
「博士に治癒の力を使ってみてくれ。」
セレナは杖を両手で胸の前で抱えながら力を発動する。ウェル博士は私の黄金の光よりも銀が混じった黄金の光に包まれて先程よりも顔色が良くなり目の下のクマも薄まった。奏より治癒の力を強く行使出来るのは間違いなさそうだ。教授の側にセレナを常に置けば病もある程度は抑えられそうだ。
「他にも纏えるのでしょうか?私はやっぱり戦いたく無いんです。でも、みんなを守れる力を持っておきたいんです。」
結果は纏え無かったが力は問題なく使えた。ウェル博士を照らした盾を出せたのは守りたいという想いが強いからだろうか。
ギアを解除し皆が集まれるテーブルと椅子のある部屋で皆が起きるまでセレナと今までの事を話したりしていた。すると扉が開きパジャマのマリアが誰かを探していたようだ。
「セレナ!よかった………昨日の出来事が夢のように思えて一緒に寝た筈のセレナが起きて居なかったから私不安で………!」
不安に押し潰されそうな姉にセレナは歩み寄り震える手を両手で優しく包み込む。
「大丈夫だよマリア姉さん。私はここに居るよ。だから安心して。」
さりげなくセレナは泣き腫らした目を治癒の力で治しているがマリアはまたセレナと呟きながら泣いていた。私もマリアに力を使って癒した。持ち直したマリアは私に見られていた事を思い出し私の向かいにセレナと座りながら俯いていた。しばらくして、残りを呼ぶついでに私も着替えてくると席を立つマリア。
「ウェル博士は寝かせておいてくれ。」
その言葉にわかったと部屋を出るマリア。少しすると足音が聞こえて扉が開く。
「セレナに大和もおはようデス!あれ、マムはまだ寝てるデスか?」
「おはようセレナ、大和。二人は朝早くから起きていたのね。」
朝からブレない二人である。
「おはよう切歌ちゃんに調ちゃん。マムは姉さんが今起こしに行っているよ。もうそろそろ来るんじゃないかな?」
「おはよう二人とも。昨日はウェル博士とお話しして寝ていないが大丈夫だ。眠らなくても問題ない身体だからな。」
驚く切歌と調。それとウェル博士という言葉に嫌そうな顔をしている。
「しっかり寝ないと大きくなれないデスよ大和?」
おそらく私や奏とセレナに老いは無いと思う。試しに今の私は三十路になった姿を目を閉じてイメージする。身体が光に包まれていく。目を開けると先程よりも目線が高くなっていた。おそらくはマリアより高いな。
「寝てなくて大きくなったデス!?」
私が出来たという事はセレナも出来るのではないか。セレナに提案してみる。
「セレナもマリアくらいの年齢の自分をイメージしてみるか?」
セレナは大人になった私を見て少し考えてから目を閉じる。
「私だって切歌ちゃんや調ちゃんのお姉さんです。お姉さんらしくなりたいですよ?」
するとセレナは光の粒子となり子供のシルエットからマリアより少し小さいシルエットになった。光が収まると凛として勝気な雰囲気のマリアによく似た全てを包み込むような優しさに溢れたセレナがいた。
「これがお姉さんな私?少し大人な感じがしますね。」
次々に大人になる私達を見ていた二人は驚きっぱなしだ。
「そんなのズルいデスよ!今までの私の《寝る子は絶対大きく育つデス計画》に費やした睡眠時間を返して欲しいデスよ!私も大和に大きくしてもらうデス!」
私に詰め寄りシャツの裾を引っ張り催促を繰り返す切歌を調がバッサリと切り捨てる。
「無理だよ切ちゃん。少しずつ大きくなろう。」
切歌は膝を折って床に手をつき叫ぶ。そんな切歌に調が肩に手を置き様子を伺っていた。
「デェスッ!!」
私とセレナはその光景に苦笑いである。そのタイミングで扉が開きマリアとマムはそんな切歌を見て戸惑っていた。大きくなったセレナを見て硬直したマリアを教授は現実へと戻して席に着く。
「それではこれからの事ですが———
扉が開きウェル博士が部屋に入って来る。
「その事ですが昨日の晩から今朝にかけて大和さんと考えたプランがあります。先にこちらを聞いて欲しいのです。よろしいですか?」
そんなウェル博士を睨むマリアと切歌と調。教授が口を開く。
「お二人が考えた計画を聞かせていただきます。」
ウェル博士は御辞儀をしてから計画を話し始めた。
「先ず計画の要であるフロンティアを起動するためのキーである神獣鏡とネフィリムの確保は問題ありません。問題はネフィリムを励起状態にする方法です。これは当初と同じでネフシュタンの前例に則ります。その為にマリアさんには二ヶ月で風鳴 翼とともにステージで歌っていただく必要があります。このくらい出来ずしてフロンティア計画を成功させる事は出来ません。あなたの歌にはそれ以上の力がある!あなただから出来るのです。我々も全面バックアップしますのであなたはこれから二ヶ月は歌手活動に集中してください。」
ウェル博士は一呼吸置く。
「なにか前と雰囲気が違うデスね調?」
私の隣に座る切歌は指を口元において疑問符を浮べる。
「そうだね切ちゃん。」
調は目を凝らしてウェル博士を見定める。
「そして、保険として二人の歌でエネルギーが足りなかった場合として、それと政府の横槍を牽制する為にサクリストSの強奪計画も進めていきます。僕は二課に出頭が決まりサクリストSに触れる機会が出来る筈です。そこで機会を待ち保管場所を知らせて大和さんがステルス状態で強奪する。僕はそうなれば用は無いのでLiNKERでも改良しつつ計画決行の日を待ちその日に合流します。」
教授は頷く。
「確かに私達は世界から狙われる事になるでしょう。その時にノイズを使役出来るのは強力なカードとなるでしょう。あれは人の身に余る代物ですから。」
マリアは絞り出すような震える声である事を口にする。
「………誰かを殺めるのか?」
重苦しい空気の中ウェル博士は口を開く。
「………米国は我々に刺客を送るでしょう。逃げられる場合は逃走しますがもし奴らがなり振り構わず襲い掛かってきた場合には最悪そう言ったと事も否め無いでしょう。ですが、我々が奴らに屈すれば待っているのは奴らのみが生き残り罪の無い人々が死ぬという事です。」
私は席を立ちウェル博士の横に並ぶ。
「大丈夫だ。君達を殺させはしないし殺させもしない。」
そして私は教授に重要な事を聞く。
「今朝にかけて話していて疑問に思ったのだがマリアはフィーネでは無いですね?リインカーネイションにより記憶と人格を受け継ぎフィーネとして再誕するシステム。私はフィーネと会っている。フィーネとするにはあまりにマリアが強すぎる。」
マリアは俯く。切歌と調は動揺している。マリアに変わって教授が答える。
「そうですね………ドクターを引き入れる必要があったのです。LiNKER無くしてマリア達はギアを纏う事が困難です。そして私が計画中は存命出来るようにする為でもありました。ですがドクターがその事実を知ってなお計画に参加するのは彼のおかげですか?」
「そうですね。僕は昨日彼に救われるまでは英雄になる事だけを考えて生きてきました。フロンティアにて僕が王となり管理できる程度に人類を減らすなんて恐ろしい事を考えていました。でも気付かされたんですよ………僕の憧れた英雄はそんなんじゃないって。今は出来る限り多くの人々を世界を敵に回してでも救う為に行動しようと決めたんです。だからこれからもどうかよろしくお願いしますナスターシャ教授にマリアさん達も今までの非礼をお詫びします。」
深々と腰を折るウェル博士にマリア達と教授も衝撃を受けていた。熱意が伝わったのかマリアがウェル博士に言葉をかける。
「フィーネと偽っていた事は謝ります。そしてドクターの野望も既に抱いてないならば問題ない。これからもよろしく頼む。」
マリアの口調は素だったようだ。フィーネを背負わなくて済み表情は少し明るくなった。
「マリアがそう言うなら私もそれでいいデス。」
「私もそれでいい。」
二人はマリアに従う。
「ウェル博士も大和さんに救われたのなら大丈夫ですね。」
セレナも同意する。
「これからよろしくお願いしますよドクター?」
教授も同意しウェル博士は晴れやかだ。その後は順調に計画についての話し合いは進行した。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
一致団結したフィーネならというものを書きたかったのです。これからも勢いと思いつきで書き進めます。
次回はフィーネ組の強化の予定です。
次回もよろしくお願いします。