蘇る彼と聖遺物   作:はるひよる

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しないフォギアに明らかに引っ張られているはるひよるです。

キャラ崩壊になるのかはイマイチ基準がわからないのでタグには追加せず。こういうのも気分転換に書きたかったのです。

最後まで読んでいただけると嬉しいです。


繋いだ手と手、戸惑う彼女と

———奏サイド———

 

月の欠片をぶっ壊したあたし達四人は二課へと合流した。お互いに絶唱のバックファイアで疲弊しきっていたのだが、響が何かしたみたいだ。欠片を砕くその瞬間から急速に大和を感じなくなっていた。そのかわりに翼の蒼や響の黄色にクリスの赤を感じたのは翼達と繋がったからだろう。

 

「勝手に居なくなりやがって………帰ってきたら一発ぶん殴ってやる!………だから帰って来いよ、大和。」

 

だが大和は帰って来なかった。

 

 

 

あれから三週間の間、色々あった。翼達はどデカい花火で日本のシンフォギアシステムが世界にバレて行方不明扱い。落ち着くまで静かに二課仮設本部で過ごす日々。翼はルナアタックの後、しばらくあたしに人目もはばからずベッタリだった。一緒に食事して入浴して寝るのはまあいいんだが何でトイレまで連れて行こうとするんだよ翼………。寂しかった反動なのか一週間程そんな状態だった。見兼ねた緒川さんが翼の耳元である言葉を囁くと凛々しい翼に戻って普通に話せるようになった。常在戦場って今度翼に言ってみるか。

 

響は親友の小日向 未来に会えなくて嘆きながらのたうち回っていた。そんな奇行をする響とあたしはあの時以来初めて面と向かって話した。醜態を晒した響は赤面していたけどな。

 

「立花は面白いな!誰かが誰かを想うっていい事だと思うぞ?」

 

響は頭をかきながら照れ臭そうにしている。

 

「面白いってよく言われますけど………そんな事より私の事は響でいいですよ?翼さんは立花と呼んで、クリスちゃんは名前を呼んでくれないし………。」

 

水を与えられず萎れた生け花のように落ち込む響。見兼ねた私はいい事を思いついた。

 

「それじゃあ響、翼とクリスに言わせてみようぜ?善は急げだ!」

 

響の手をひいて翼とクリスを探す。すると通路を歩いている翼と緒川さんを発見した。早速作戦開始だ。

 

「おーい翼!少し話があるんだがいいか?」

 

私と響の組み合わせに少し首を傾げる。緒川さんはいつもの笑顔をしていた。

 

「翼、これからこいつの事は響って呼ぶ事。分かったか?」

 

翼はフリーズするが緒川さんがあの言葉を囁くと再び動き出す。

 

「………どういう事なの奏。立花は立花だろ?」

 

何故か戦闘時のような鋭い剣のような気配を纏っている。

 

「いいじゃないか、一度呼んでみろよな?」

 

緒川さんにも後押しされて翼は口に出す。

 

「………ひ………ひび…き………。やっぱり駄目だ!立花は立花だ!私は予定があるのでさらばだ!」

 

物凄い速さで去って行く翼。残されたあたしと響はただ立ち尽くす。そんな光景を目の当たりにした緒川さんは苦笑いしている。

 

「すみません。でも決して嫌っているわけじゃないので許してあげて下さい。私も翼さんを追いますね、それでは。」

 

さっきの翼よりも速く走り去る緒川さん。

 

「照れ屋だな翼は。まあ、そのうち呼ばれるだろうよ。」

 

「翼さんは翼さんなりに呼んでくれてるみたいですし、もう立花で良い気もしてきました!次は名前すら読んでくれないクリスちゃんです!絶対に呼ばせてみせます!」

 

すると曲がり角からクリスが何か文句を言いながら歩いて来た。

 

「ったく何なんだよさっきのは。ゆでダコみたいな顔して突進してきやがった。ぶっ飛ばしておいて心頭滅却とかずっと呟きながら行きやがった!何なんだよもう!その後あいつのマネージャーが謝らなかったら追っかけて一発かまそうと思ってたぞ全く………。」

 

どうやら翼は猪突猛進モードのようだ。そんな事は置いといてクリスに名前を呼ばせるには………さてどうするか?

 

「とにかくこの想いを真っ直ぐにぶつけようと思います!」

 

ならいい案があると耳打ちする。

 

「よし、ぶつかってこい響!想いの全てで!」

 

クリスを指差す。

 

「はい、行ってきます!ク〜リ〜ス〜ちゃ〜んッ!!」

 

その時クリスは見た。自分に向かって全力で名前を叫びながら迫り来る響を。あの時鞭を掴まれ引き寄せられた時の光景が再生される。このままでは不味いと咄嗟に横へ跳ぼうとするが身体に痛みが走る。先程のダメージがここに来て響く。

 

「畜生!さっきから何だってんだ!」

 

クリスは衝撃に身構え目を瞑る。しかし、両肩に温かい手が触れただけだった。恐る恐る目を開けると響の顔が視界を占めていた。

 

「クリスちゃん、私は立花 響!私は雪音クリス!さあ繰り返して!さあ!」

 

クリスは頭の中がグシャグシャになり響の迫力に言葉を紡がされていく。

 

「私は立花 響………私は雪音 クリス………?」

 

すると響は跳び上がり喜びクリスに抱きつく。混乱状態のクリスと興奮状態の響の異様な光景が繰り広げられる。響はクリスの手をひいてこちらに戻って来る。

 

「よくやったぞ響、これでもう心配ないな。」

 

やっと現実に戻ってきたクリスは震えている。響の手を振り払い叫ぶ。

 

「お前本当の馬鹿!何言わせてんだよ!次同じ事したらタダじゃおかねぇからな、おぼえてろ!」

 

翼程では無いがそこそこの速さで走り去る。

 

「クリスちゃん………怒らせちゃいましたかね、奏さん?」

 

走り去った方を見つめる響の頭に手を置くと少し落ち着いたようだ。私は心配ないと響に笑いかける。

 

「大丈夫だ、照れ屋なだけだよクリスは。あたしが様子を見てくるから安心しな。」

 

クリスの後を歩いて探す。スタッフに聞くと足取りが掴めた。辿って行くと自販機で買った飲み物を立って飲んでいた。私もおっさんから支給された通信機で飲み物を買ってクリスの隣に立つ。

 

「………何だ、あたしに用があんのか?」

 

機嫌は良くないみたいだ………表面上は。

 

「さっきは済まなかったな。翼や響が暴走したのはあたしの所為だ。」

 

むくれたままのクリスは批難の視線をあたしに向けて来る。

 

「……どうしてあたしなんかに優しくすんだよ?だってあたしは———

 

今を素直に受け入れられない不器用で優しいヤツだよ全く。クリスを優しく抱きしめる。クリスは小さく声を上げるがそれ以降静かになる。

 

「直ぐにとは言わない。でも、少しずつでいい。クリスはここに居ていいんだって事受け入れてみろよな。みんな馬鹿だけどすっごく温かいからな。」

 

しばらく震えていたクリスがあたしの腕から抜け出し少し俯く。

 

「………ありがとう。あたしだって分かってる。少しずつやってみる。」

 

その顔に暗い影は見えない。やわらかい表情になったクリス。

 

「寂しくなったらいつでもあたしのところに来な。抱きしめてやるからよ!」

 

少しイタズラっぽく笑ってみせる。クリスは小さく、でも確かに返事をした。

 

「………うん。」

 

これで二課に馴染んでいけるだろうとあたしはこの先を楽しみに思った。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

二課奏者では最年長の奏さんならきっとこうなると作者が荒ぶった結果こうなりました。

次回は奏が大和との関係を二課に話す予定です。

次回もよろしくお願いします。
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