蘇る彼と聖遺物   作:はるひよる

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どのくらい省くか悩んだはるひよるです。

二回目となるクリス回。一期で書かなかった部分です。

最後まで読んでいただけると嬉しいです。


温かさとあたしと

———クリスサイド———

 

あたしはかつて敵対していた二課の世話になっている。

 

 

 

フィーネに捨てられたあたしに司令は通信機を渡してきた。カ・ディンギルというワードしか教えられなかったあたしはフィーネと決着をつける為に街を目指して歩いていた。必ず大きな動きがある筈。そんな時に通信機が鳴る。スカイタワー周辺にノイズが集まってるらしい。遂に動いたんだなフィーネ! 首を洗って待ってろよ!

イチイバルを纏い向かう中ずっとあいつらが飛行型ノイズに苦戦してると通信機から聞こえてくる。

 

「あたしが全部撃墜してやる!だからいい加減、静かになりやがれ!」

 

現場に到着すると同時に空中の雑魚を撃ち落とす。あいつらがいて馬鹿が名前を繰り返しながら嬉しそうに抱き着いてきやがる。やめろ、小っ恥ずかしいじゃねぇかよ。

 

「名前を何度も繰り返してんじゃねぇ!それとさっさと離しやがれ!」

 

馬鹿の顔を手で押しのけていると通信機から司令の声が聞こえきた。

 

「お前ら強力な助っ人だ。イチイバルのシンフォギア奏者の雪音 クリス君だ。」

 

違うし!たまたま偶然奇遇にも目的が同じだけだし!馴れ合うつもりなんてないし!

 

「誰が助っ人だ!あたしはあたしでやるから邪魔だけはするんじゃねぇぞ!」

 

あいつらから離れて空中の雑魚を撃ち落とす。あいつらは地上の担当だ。あたしが一切合切ノイズの土手っ腹に風穴を開けてやんよ!

 

「ちっとも減らねぇ!あのデカイのを撃ち落とさないとキリがねぇぞ!」

 

だけど、空母の役割のノイズを落とさなきゃな。空のノイズに集中していたあたしの背に剣の奴がぶつかってきた。色々と苛立っていたあたしは敵意をぶつけて険悪な雰囲気になった。

 

「この前までいがみ合っていた者同士が今更仲良くなんて出来るわけ———

 

でも、馬鹿が仲裁に入ってあたしとあいつの手をそれぞれ繋いだ。こいつ本気で———。

 

「出来るよ。私はずっと疑問だったんだ。私には何でアームドギアが無いんだろうって。でも気付いたんだ、この私の何も無い手には私の日常を守りたいって想いが握られている。翼さんは想いがアームドギアだと言っていた。ノイズを日常を守るために砕き、もし人間ならこうやって手を取り合って想いを伝えられる。そんな何も手に持たないのが私のアームドギアです!」

 

剣の奴が剣を地に立ててこちらに手を伸ばす。私もつられて………誰かと繋がりたくて手を伸ばすが今までの後悔からあと少しのところで引っ込めてしまった。汚れちまった手で触れるなんて、あたしにはできないんだ。

 

「確かに立花のアームドギアだ。戦場でこんなにも温かい繋がりが心強い。私達の想いは一つ、そうだろう?」

 

そう言って引っ込む手を取ってくれた。あったけぇんだな。少し以前の私ならきっとこう言っていただろう。

 

「戦場で何を莫迦な事を………でも、悪くねぇな。」

 

繋いじまった。受け入れちまった。だったら、応えなくちゃだな! こいつらもあのデカイのに困ってるみたいだしここはいっちょ派手にいきますか!

 

「あたしがギアの出力を臨界まで高め溜まったエネルギーを一気にぶっ放してやる!」

 

その時のあたしは無防備になる。一人では絶対に出来ない作戦だ。

 

「じゃあ、その間私達がクリスちゃんを守ればいいだけですね翼さん。」

 

「そうだ。私達が彼女に指一本たりとも触れさせはしない。」

 

そんな事言われちゃ絶対に成功させるしか無いじゃねぇかこのやろう!でも何でだろうこんなにも力が湧いてくる。これが仲間ってやつのお陰なのか?

あたしはギアの出力を臨界まで上げる事だけに集中する。攻撃されればタダじゃ済まないだろう。でも不安なんかこれっぽっちもないんだ。臨界まで溜まったエネルギーを一気に放出する。

 

「これで終いだノイズども!」

 

放たれたロケットをガトリングやミサイルで援護し雑魚を掃除する。ロケットが次々に大型飛行ノイズに命中し全て撃墜した。地上に降りたあたしは二人と合流してフィーネについてどこにいるか聞こうと思っていた。

 

「ありがとうクリスちゃん!嬉しいよクリスちゃん!私達仲間だよクリスちゃん!」

 

「うるせぇ!抱きつくんじゃねぇ離しやがれ!あたしはフィーネと決着をつけてやっと見つけた夢を果たしたいだけだからな!勘違いしてるんじゃねぇぞ!」

 

夢と聞いて食いついてくる馬鹿を剥がそうと両肩を押して抗うが中々離れない。そんな時に通信機から連絡が入る。この声はあの子の声!?

 

「響!リディアンがノイズに襲われて大変なの!」

 

それっきり繋がらなくなった通信機。フィーネは私達を陽動してそれにまんまと嵌められた。カ・ディンギルはリディアンにあったのか。

 

「ギアを纏わせて足止めなんてセコいやつだ!」

 

「この状況では走って向かうしか無さそうだ。」

 

「無事でいて未来、今直ぐに助けるから!」

 

 

三人でリディアンまで駆けるが到着した頃には紅い月が私達を照らし校舎の屋上からフィーネが私達を見下ろしていた。

 

「フィーネ、お前とここであたしは決着をつける!」

 

あたしにまるで興味の無いフィーネはあれだけ執着していた立花 響にも興味が無いようで見えない何かを見ていた。

 

「もうお前達に用など無い。そこから月が穿たれバラルの呪詛が壊される様を見ているがいい。さあ姿を現わすのだ天を突く魔塔 カ・ディンギル!」

 

地面が揺れてフィーネの後ろに馬鹿デカイ塔が伸びていく。だが月には到底届かない。

 

「カ・ディンギルとは荷電粒子砲。エネルギー炉心にはデュランダルを使用している。尽きる事ない無限の心臓によって月まで穿つなど造作も無い!さあカ・ディンギルよ、人類の不和の元凶を穿ち砕け!そして私は世界をひとつに束ねるのだッ!!」

 

ネフシュタンを纏い黄金に輝くフィーネとその背後で光を集め輝き出す魔塔。お前に世界を牛耳らせるなんてさせねぇぞ!

三人同時にギアを纏いフィーネと対峙する。ここに来るまでにあいつらと練った作戦を決行する。あいつらはカ・ディンギルは塔だと言っていた。塔ならポッキリとへし折ってしまえば終いだ。弱そうな所を突く三人のコンビネーションを決めていた。三人がかりでフィーネへと攻撃する。クロスボウで牽制しその間に二人が接近して戦う。二人をフィーネが振り払う。そこへあたしがフィーネへと牽制のミサイルを撃ち込む。二人と目を合わせて頷く。ミサイルを払われるが爆煙で視界が閉ざされるフィーネへと二人が突っ込む。その間あたしは後方で大型飛行ノイズを落としたロケットを二発分準備する為に臨界までエネルギーを高める。よし、これでいける!

二人がフィーネに隙を作りそこへロケットを一発放つ。フィーネは避ける事に精一杯で空中に逃げるがロケットを追尾させる。ある程度体勢を立て直したフィーネが纏わりつくロケットを壊そうとした時にカ・ディンギルへとロケットを放つ。フィーネは忌々しそうに顔を歪ませてカ・ディンギルへと向かうロケットを壊す為に鞭を振るう。壊され届かなかったロケット。その時にフィーネは気付いたようだ。

 

「もう一発は!?」

 

あたしは操作したロケットに乗って月を目指す。作戦に無いことしてすまねぇな、これしか間に合いそうにないんだ。月とカ・ディンギルの間にあたしはロケットで向かいながら夢を歌う。地球と月の間にロケットから降りてイチイバルの絶唱を構える。あたしの周りにはリフレクターが撒かれ蝶のような羽根のシルエットが浮かぶ。そして際限無くエネルギーを一点に集めて溜める。地上にそびえるカ・ディンギルから圧倒的な破壊の奔流である荷電粒子砲が放たれる。あたしは決死の覚悟でエネルギーを解き放った。

 

パパとママから引き継いだあたしの歌は世界を守る為に———。

 

しばらく拮抗したが徐々に押し負ける。負ける? あたしがやらなきゃ誰が止められるってんだ!!

 

———あたしはついに光に飲まれて地上へと落ちる。ひとりの空は寒くて意識が朦朧としやがる。そうしてあたしは意識を失った。

 

 

身体が何だか温かい。誰かの声が聞こえる。

 

———生きるのを諦めるなッ!

 

この陽だまりみたいな温もりをあたしは知っている。それはもうある筈のないあたしの大切な人の温もりであたしはその名前を呼んだ。

 

「………ママ?」

 

段々と視界が戻るとそこには温かい陽だまりみたいな朱い髪の女性が槍を持ちあたしの手を包んでくれていた。女性はあたしの意識が戻った事にすっごく喜んでくれて涙を流していた。

 

「もう大丈夫だからな。そのままじっとしていろよ。」

 

あたしは世界を守れたのか気がかりだった。

 

「あたしは世界を守れたかな………?」

 

女性はあたしに微笑みかけてくれる。手を包んでいた温かい手で優しく頭を撫でてくれた。とっても心地良くて心が温かくなってくる。

 

「ああ、よく頑張ったじゃないか。守ってくれてありがとな。」

 

世界を守れた事に嬉しさが込み上げてくる。その時どこからか温かい歌が聞こえてくる。そしてろくに動かせない筈の身体に力が漲ってくる。女性も同じみたいで驚いた顔をしていた。

 

「さてと了子さんをぶっ飛ばす理由が一つ増えちまったが………こいつは重いぜ?」

 

この気迫には勝てないと思ってしまった。

 

「あたしもフィーネに用があるんだ。」

 

女性はあたしが光に包まれ立ち上がるのを手を引いて立たせてくれた。

 

「そうかい。身体もこの歌のおかげで大丈夫みたいだし一緒に行くか?」

 

引いた時のままの手を強く握り返す。

 

「悪くねぇな。それじゃあ行こうか!」

 

フィーネに向けて二人で飛び立った。

 

 

そのあとノイズを四人でぶっ飛ばし赤き竜を皆で協力して倒したりした。あの馬鹿がフィーネを拾って来た時には呆れ半分嬉しさ半分だった。フィーネが説得に応じずに月の欠片を引き寄せた時には怒りが込み上げたがあの馬鹿はそれすら受け入れてフィーネに未来を託しやがった。そして最期にフィーネは胸の歌を信じろと残して風に消えた。その光景を見てあたしはフィーネと過ごした日々を思い出し、どうしても涙が溢れてきた。あたしを道具のように扱ったフィーネも今思うと妙に優しかった時もあった気がする。扱いやすいようになのかも知れないけれど、あたしにはそう思えなかった。もしかしたらフィーネも不器用だったのかもな。

 

フィーネに未来を託すために一人で飛び立ったあいつは一人で月の欠片を壊すつもりだ。

 

「本当の馬鹿だよあいつは。さてと、あたしらも追いかけましょうかね?」

 

隣の風鳴 翼に問いかける。どうやらこいつもあたしと同じみたいだ。

 

「無論だ。直ぐに向かうぞ雪音。」

 

宇宙へ出たあたし達はあいつに追いつき文句を言う。

 

『ここまできて一人だなんて全くお前本当の馬鹿。』

 

『立花だけなんてずるいじゃないか。私達で月の欠片の落下を阻止する。それに皆で歌いたかったのだ。』

 

あいつは申し訳無さそうにしやがる。

 

『ごめん二人とも………。』

 

『こんな時はそうじゃねぇだろ?』

 

最後までしまらねぇよ全く。

 

『ありがとう二人とも。それじゃあ———あれは奏さんに大和さん!どうしてここへ!?』

 

あいつらもあたしと同じみたいだった。五人で月の欠片を壊す為にあたしは歌う。大和は歌えないみたいだが絶唱と同等以上にエネルギーを使ってるみたいで辛そうだ。時折奏を見ているが何かあるのか? だが何か決意したようでそれ以降は月の欠片を見ていた。

 

『全力全開!行っちゃえ!ハートの全部で!』

 

それぞれの全力をぶつけて月の欠片を砕き燃やし尽くしたあたし達は大和一人を残して帰還した。

 

 

 

ルナアタックから三週間経った。そんな日の朝から司令に作戦司令室へ集まれと呼び出された。

 

「三週間も狭苦しくは無いけどよ海の中ってのもな。いつからあたしは海底人になったんだ?」

 

まあ、あの時に比べりゃここはすごく温かい場所であたしの———。

 

「クリスちゃん一緒に行こうよ!」

 

うるさいのが来た。バカ真っ直ぐで本当の馬鹿で周りを笑顔に出来るすごいヤツで正直うらやましい。

 

「勝手に行きやがれ!別にあたしは一人で行ける。」

 

またキツく当たってしまった。そんなあたしの手をこいつはひっぱり笑顔を向けてくる。本当に温かいヤツ………本当に。

 

「では私も一緒してもいいか?なに心配するな雪音、こちらの手は私が繋ごう。」

 

最近馬鹿に影響されたのかこいつもやけにあたしに構おうとしてくる。手を繋ぐのは満更でもないと思うあたしも大概だけどな。気を抜くとこいつらには見せたくない顔になりそうだ。

 

『随分嬉しそうじゃないかクリス。もう少し素直になってもいいんだぞ?』

 

首に提げたイチイバルと天叢雲剣のペンダント。

 

「うっさい、奏は黙ってろ!」

 

こいつはペンダント状態の奏だ。普段はあたしら三人がエネルギーを供給してるが大和の時と違い人型を維持し辛いんだと。それでペンダントを解析するとシンフォギアだってんだから驚きだ全く。それで天叢雲剣のシンフォギアを起動する事になった。二課保有の訓練施設で物凄く広い所だった。確かあの時は———

 

 

 

はじめは風鳴 翼だった。

 

「一番槍、風鳴翼………参ります!」

 

変化無し。

 

『………後で一緒に歌わないか翼?』

 

次に立花 響。

 

「よろしくお願いします、奏さん!」

 

光に包まれそうになったが光が収まった。

 

『惜しかったな。もしかしたら纏えるかもな。』

 

最後にあたし、雪音 クリスの番だった。

 

「イチイバルで十分だろうに………ってこれは!?」

 

あたしは胸に浮かぶ歌を歌う。イチイバルとは違う歌だ。光に包まれたあたしはあいつに抱きしめられた時の温もりを感じた気がする。

 

『あたしの相棒はクリスみたいだな。クリスが纏うと全体的に黒いイチイバルみたいになるんだな。それに黒い大剣じゃなくて背後に八つの黒い球体が出るんだな。』

 

この黒い球体は変幻自在で奏の持っていた大剣にもなった。

 

『あと黒いレーザーを放てるけど爆発するから気をつけろよ?』

 

しばらく黒い球体で色々試していたが任意のタイミングで爆発させられるみたいだな。壁が凹んじまったがあたしは知らない。

 

「奏に似てじゃじゃ馬だぜ全く。」

 

その時スピーカー越しに司令から指示が出る。

 

「それではクリス君、初の試みとなるが二つのシンフォギアを纏ってみてくれ。決して無茶はするんじゃないぞ?」

 

二つのシンフォギアを纏うなんて出来んのかよ?

 

『大丈夫だってクリス。あたしも一緒に歌ってやるからさ。思いっきり歌えよな?』

 

あたしは歌で平和にするんだと想いながら歌った。奏と一緒に歌うとXDモードのようになった。違うのはイチイバルの白と赤のギアの背中にある翼が燃えるような朱となっているところだ。

 

「こいつはすげぇ………。あの時みたいに力が湧いてきやがる!」

 

イチイバルと天叢雲剣が響き合い力を高め合っているみたいだ。どんな武器が出せるのか色々と出してみた。赤と青の球体が八個と八個の合計十六個になっていて天羽々斬のでっかい剣並みの黒い剣を作れた。赤と青を混ぜると黒になり爆発属性になるらしい。赤の球体は攻撃的で炎の特性を持ってるみたいだ。青の球体はイチイバルのリフレクターと似ていて防御が得意で水の盾が作れた。奏と歌うのも悪くないと思っていた。でも、素直に今を受け入れることはあたしには出来なかった。

 

 

 

「———であるからして今日から君達は任務遂行時以外は日常へ戻れるようになった。」

 

結構な時間を呆けてた。どうやら行動制限が解除されて表に出られるらしい。隣にいた司令があたしに鍵を差し出してくる。

 

「これがクリス君の家の鍵だ。日常のプライバシーは保障されているから安心したまえ。」

 

鍵を受け取ったあたしは欲しかった物の一つを手に入れた。嬉しさから流れ落ちそうな涙を袖で拭うと誰かに肩を優しく叩かれる。

 

「安心しろ雪音、寂しくないように何時でも会いに行けるように合鍵を持っている。」

 

合鍵? あたしは嬉しさのあまり耳がおかしくなっちまったみたいだ。だからお前と馬鹿は何で鍵を三つもにやけながら見せびらかしやがるんだよ!

 

「………何で三つあるんだ?」

 

馬鹿はさも当然だと右手に持つ鍵を揺らす。

 

「こっちは未来の分のクリスちゃんの家の鍵だよ?師匠が言ってたんだ。未来がふらわーで別れたっきりのクリスちゃんの心配をしていたって。」

 

友達になろうって言ってくれたあの優しい子か。あの子はあたしの命の恩人だ。あの子の友達に今の私はなってもいいのだろうか?

 

その時、警報が鳴り響く。どうやらノイズが現れたらしい。あたしの歌で誰かを救えるってのなら、あたしは全力で歌ってやる!

 

「クリスちゃん出撃だよ!ほら、一緒に行こうよ!」

 

あの馬鹿に手をひかれる。こいつは本当に何の躊躇いも無くあたしに手を差し伸べてくれる。本当はこいつらと仲良くなりたい。でも、心のどこかでそれを拒むあたしもいる。ああもう、ごちゃごちゃしてイライラする!

 

「離しやがれ!何でそんなに繋ぎたがるんだよ!」

 

風鳴 翼は早くしろと戦闘時の凛とした顔でこちらを見ていた。

 

「そういう事は家でやる。早く出るわよ!」

 

家でならいいのか?そういう問題なのか………いや、絶対違うだろ!?そんな事を考えながらノイズ発生ポイントまで向かいノイズを殲滅する。その最中にあたし達は付近で悲鳴を聞いた。

 

その場所へ向かうとノイズに囲まれる女性とそれを庇うあの子がいた。だが既に立花がノイズへと迫りその間を駆け抜けて一瞬にしてノイズが崩れ去った。司令の居る坂の上に下り立つあたし達三人。奏はあまり見られないようにする為にペンダント状態だ。本人は外を歩くのと変わらないからと気にした様子もなかった。

 

あの子………小日向は立花と再会できてよっぽど嬉しいのか胸に飛び込んで顔を埋めながらあいつの胸を叩く。さらに叩く。執拗に叩く。よっぽど溜まってたんだな。ついでにあたしの鬱憤も頼んだぞ。困り顔のあいつがごめんと謝って抱きしめると途端に大人しくなった。

 

それから二課に連れて帰り、あたし達が日常に戻れると知って嬉しそうだった。それと同時に二課で装者として続ける事には何か思っているようだった。

 

「そして当たり前のように鍵を渡すんじゃねぇ!」

 

あいつは何故か分かっていないようだ。そんな怒鳴っているあたしに小日向がこっちに来てあたしの正面に立ち鍵を渡してきた。

 

「私ね、クリスとあの時さよならも言えずに別れたきりで凄く心配だった。そしてリディアンがノイズに襲われたあの日に映像でクリスを見ている事しか私には出来なかった。空へ飛んでレーザーに抗って落ちてきた時にはもう会えないんじゃないかって悲しくて………。でもその後に響達の力になりたくて皆で協力して歌を届けた。その歌が届いて力になれて嬉しかったの。応援する事しか出来ない私はせめていつも隣に居るんだって伝えたかった。私も一緒に戦いたいの。赤い竜を倒してフィーネっていう人が消えてクリスは泣いていた。きっと大切な人だったんだね。そして響が命を懸けて飛び立った。その後にクリス達も追いかけて、また私は流れ星を一緒に見れなかった。」

 

一呼吸置いてあたしの目を見つめながらあの時と同じ事を言われた。

 

「もし、クリスがいいのなら私はクリスの友達になりたい。その鍵はクリスが私に預けてもいいと思えた時にくれると嬉しいな?」

 

ものすごく心配をさせてたみたいで申し訳なく思う。そんなあたしに友達になってくれと真剣に想いを伝えてくれた小日向とあたしは友達になりたいと思っている。でもあたしが友達なんてそんな資格———。

 

『いつまでそうやってるつもりだクリス?黙っていようと思ってたけど忍びねぇな。お前はこの子と友達になりたく無いのか?YesかNoで答えろ、さあ!』

 

そんなのはもう決まっている。

 

「………Yesだよ。あたしはこの子と友達になりたい!これでいいかよ奏!」

 

照れ臭くてつい乱暴に小日向の手に鍵を握らせてしまった。

 

「勘違いすんじゃねぇぞ!これはあいつらも持ってるから今更一つ増えたところで変わらないからだ!だから別にその———。

 

「ありがとうクリス!私とっても嬉しいよ!」

 

そう言いながら抱き着かれた。少し苦しかったがとても心が温かくなった。

 

「未来ばっかりズルい!私もクリスちゃんに抱き着きたい!」

 

そんな馬鹿を小日向に抱き着かれながらあたしはガンを飛ばして威嚇した。この日初めてあたしに友達ができた。そして、あたしはこんな温かい場所を守りたいと思ったんだ。




最後まで読んでいただきありがとうございます。

クリスがデュアル奏者になりました。セレナに出来るなら二課にもと思いついた結果です。
次回はしないフォギアを観ながら考えている途中で全くの未定です。

次回もよろしくお願いします。
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