空白期最後のお話は響サイドです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
———響サイド———
未来と再会できて日常に戻れるようになった私はリディアンの移転に伴い学生寮もお引越ししました。前の寮より広いけどやっぱり未来の温もりは私に力をくれるから二段ベッドの下の段は収納スペースとして埋めてしまう。今日もいい夢見られるといいな。
今日から二課の訓練施設でコンビネーション訓練が始まった。月の欠片を砕いたのは私がみんなの絶唱を束ねたから起こせた奇跡らしい。その奇跡を奇跡で無くす為の訓練でバリエーションは私と誰かとなっている。翼さんとのコンビネーションはバッチリであとは絶唱を束ねる事が課題だ。クリスちゃんとは最初は上手く行かなかったけれどペンダント状態の奏さんが間を取り持ってくれて段々と上手く行った。一応奏さんとのコンビネーションもあるにはあるのだけれどもあの時と違い私達のエネルギーを使用するので奏さんが参加するのは翼さんとクリスちゃんでも届かない時の本当の最終手段。私への負担で間違い無く暴走状態になるだろうって言われてるからまだ試した事もないんだ。クリスちゃんと奏さんのデュアルシンフォギア状態でも同様に危険だから試せないままだった。
もうそろそろ翼さんと米国の歌姫マリアとのライブがあるのだけれどその日にソロモンの杖を日米共同研究の為に岩国の米軍基地まで護送する事になった。本当についてないよ。でも今日は未来達とショッピングモールに遊びに来てる。お昼になったからフードコートでラーメンに焼き飯にたこ焼きにメロンソーダにクレープを注文した。何だか最近すごくお腹が空くのは訓練のせいなのかな? 私の食べっぷりに初めは驚いていたみんなは今ではすっかり驚かなくなった。テーブルの上を結構私の食べ物が占領しちゃってるから先にラーメンを食べ終えて器を返しに向かう。ふと視界に娘と二人で仲良く歩く親子を見て少しだけ見とれてしまう。そうだ、器を返してたこ焼きを食べるんだった!私が返しに向おうとした時に目の前に金髪の女の子が突っ込んできていた。
「あわわ!?」「デェス!?」
トレーごと宙を舞うトレーとどんぶりと熱々のラーメン。黒いスープって事は醤油だね。そんなくだらない事を考えてしまう私は女の子を助けなきゃと思った、そんな時に突如男性が空中に現れてラーメンをどんぶりに戻して私の打ち上げてしまったトレーとどんぶりを回収しながらラーメンをこぼさないように腕を回してゆっくりと女の子のトレーに置いた。男性が女の子に話しかけると女の子はどこかへ向かった。あの只者じゃない身のこなしの男性を見る。黒い髪の黒縁眼鏡の凛々しい大人の男性だった。私のトレーを持ったままラーメン屋へ向かう男性に声をかける。
「あの、ありがとうございます!おかげであの子も無事でした。私が余所見していたのがいけないんです。」
本当に無事で良かったよ。男性はあの子の保護者みたいでラーメン屋へ向かった。良い人だ!しかもさらっと人を助けられる精神と肉体の持ち主。あの時のすごい身のこなしはきっと何かの流派の達人に違いないよ!正義の体現者の男性を追いかけてつい背後に張り付いてしまった。
「………何か?」
今しかチャンスは無い!だから伝えるんだ私の想いを!
「あの!私を鍛えて下さい!」
守る為にはもっと強くならなくちゃ。後悔してからじゃ遅いんだ!
「ラーメンが伸びるから話は後でいいか?」
私は道をあけて男性を通してついて行く。向かった先には金髪の女の子と黒い髪のツインテールの女の子が居てラーメンが伸びていた。女の子が文句と金髪の子を心配していた。金髪の子は素直に二人に謝る。男性は二人を気遣い今度はみんなで来ようと約束していた。約束は守らなきゃいけないよね。
金髪の子が小さいどんぶりで伸びてしまったラーメンを分け合って楽しそうに食べている光景に私は遠い日の楽しかった食卓を思い出し泣いてしまった。そこへ未来達が来てくれてフォローしてくれた。
「大丈夫だ。それにしても私に鍛えて欲しいとはどういう事だ?」
私は師匠に影響されてかすごい人を見つけると血が騒ぐような感じがするようになっていた。
「あの身のこなしは只者じゃ無いですよ!私の師匠も凄いですけどさっきのは師匠に匹敵します!師匠のは流派は無くて、でもあなたならきっと凄い流派の達人じゃ無いかと思ったんです。」
守る為に、誰も傷つかない為に少しでも多くの選択肢が欲しい!気付くと男性の少し灰色がかった瞳が大きく見えた。そこへ男性の連れの女の子二人が立ちはだかる。
「駄目デス!大和は誰にも渡さないんデス!」
「大和は私達の家族。だから渡さない。」
この人は大和って言うんだ………大和?確かに全体の雰囲気が似ている?
「そういえば何処と無く大和さんに似ているような………?」
「姓が大和田でそこからあだ名が大和なんだ。」
他人のそら似にしては似過ぎているような………でも大和さんはもっと低くて若いし………うーん?
「もうこんな時間だ。さて次の予定があるのでこの辺でさようならだ。」
速い、速すぎて二人が少し浮いてるよ!?私達は不思議な人に会ったと思った。その後カラオケを終えて解散し未来と一緒に寮に帰った。
翌日に二課のみんなが集まっていたので昨日の話をすると司令は緒川さんに痕跡を追わせてクリスちゃんのペンダントからは奏さんが実体化して私に詰め寄って肩を揺さぶられる。
「そいつは大和だよ!大和田って滅茶苦茶咄嗟についた嘘じゃねぇかよ!しばらくあたしを提げてくれよな?な?」
クリスちゃんは奏さんと離れるのが寂しそうで翼さんは残念そうにしていた。
「いや、順番があるならば次は私に違いない!」
でも直ぐに立ち直っていた。そこへ扉が開いて白衣に眼鏡で銀髪の研究者オーラの持ち主が登場した。案内はあおいさんがしたみたいだ。奏さんは直ぐにペンダントに戻ってあたしはポケットに入れた。
「案内有り難うございます。ここが日本の対ノイズの最前線ですか………おや、あなた達はもしや?」
司令が博士っぽい人の前に立つ。
「ようこそウェル博士、ここが二課仮説本部だ。仮説だからって劣ってるわけじゃあ無い。船内の施設を見て頂いた通りで何の心配も無いだろう?」
ウェル博士は眼鏡の位置を直しながら顔を上げる。
「その様ですね。そして彼女達が噂の………ですか?ええ勿論この事は我々だけの秘密ですね。」
私達を見るウェル博士はどこか悲しそうに見えた気がした。
「ああそうだ、この内二人をサクリストSの護送に就けた。たとえノイズの襲撃に遭っても大丈夫だ。」
ウェル博士は顎に手を置く。
「二人とはイチイバルと彼女———融合症例の彼女ですか。そうですか………ふむ。」
クリスちゃんは含みのある言い方に苛立っている。
「何だお前?何かこいつに言いたい事があるならはっきり言いやがれ!」
ウェル博士は顎に手を置いたままで答える。
「私は聖遺物と生体を繋げる研究をしてまして、皆さんLiNKERはご存知ですか?」
LiNKERは確か奏さんが使っていた適合係数を上げる薬で肉体を蝕む危険な薬だって翼さんは言っていた。
「勿論知っている。奏の使っていた物だ。」
翼さんは色々思い出しているみたいだ。
「そのLiNKERを改良し使用者へより優しい物に改良しているのです。LiNKER使用後の洗浄方法も確立しています。」
一度みんなを見渡して私を見る。
「聖遺物との融合により他の装者との出力は桁違いでしょう。ですが強過ぎる力には必ず代償を———大きな代償を支払う事になるでしょう。私が言いたい事はそれだけですよ。それではまた当日に会いましょう。」
部屋を出て行くウェル博士。一体今のはどういう事なんだろう?
その意味を理解したのはもう少し先だった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
二課とウェル博士の初の絡みです。ビッキーがどうなってしまうのかはその場の思いつきで決めると思います。
次回はやっと30話程かけてたどり着いた二期です。防人の歌を聞けると思います。
次回もよろしくお願いします。