蘇る彼と聖遺物   作:はるひよる

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最近は塗って切ってと忙しいはるひよるです。

タイトルでもう大半がバレそうですが、そうですね。鳥之石楠船神とは別の神様が出ます。

最後まで読んでいただけると嬉しいです。


正と這い寄る邪と

あの墜落の日からこの世界について調べてみた。結論としては、表の世界はおおよそ同じと考えてよさそうだ。国際情勢にもたいした違いは見当たらなかった。裏ではフィーネによるルナアタックも起こっていた。しかし、暴走した元F.I.S.メンバーが引き起こし、月とノイズの脅威を葬り去ったフロンティア事変が起きていたのだ。私達のフロンティア計画と共通する点は多い。だが、大きな相違点がある。この世界のウェル博士がフロンティアをネフィリムに取り込ませて世界を滅ぼす凶行に及んだのだ。だが、立花達の機転により、サクリストSを用いてバビロニアの宝物庫を開き、一兆度の爆弾と化したネフィリム・ノヴァを誘導して宝物庫内へと閉じ込め脱出。その際、ネフィリム・ノヴァへと過剰なエネルギーを臨界まで取り込ませ自爆させ、サクリストSとバビロニアの宝物庫諸共消失したらしい。

 

「それに、小日向を急拵えの装者に仕立て上げるなどの非人道的な行為は目に余るし腹立たしい。よく知る人物と、こうもイメージが合わないと気持ちが悪いな。それに———。」

 

背後から濃密な圧がのし掛かり、振り返る。私の背中越しにモニターを覗いている神楠が笑う。それは初めて怒りの感情を露わにした綺麗過ぎた笑みだった。

 

「爆弾に貶め玩弄されるなんて………浅い地獄では生温いのです。だから、魔王のなり損ないには本当の奈落を体感させないといけませんね。」

 

その微笑みから滲む獰猛さに、ソファーで雑誌を見て寛いでいた奏や、私とは別の端末で調べていたマリアとセレナは顔を青ざめさせていた。あまりにも強烈な怒りの重圧に、私のフロンティアを好き勝手にされたは怒りが消えてしまった。それにしても、神楠の逆鱗を引き剥がした者の末路が地獄の最下層とは恐ろしい。

 

「神楠が怒るのも理解している。だけれども少し鎮めてくれ。奏達まで威圧しているぞ。」

 

「………わかりました。皆さんごめんなさい。」

 

周囲への威圧感は和らいだが、不機嫌さが眉に表れている。赤の他人に、ましてや私利私欲の為に利用された挙句に粗末にされたのだ。一切の救いは無く、冒涜するにも程がある。私はフロンティアを、便利な道具で皆との大切な居場所程度にしか思えていない。神楠はそれに加えて己の半身と思っている。侍にとっての魂である刀と同じなのだ。

 

「神楠、食材の買い出しに付き合ってくれないか?」

 

少しの気休めにでもなればいいのだが。神楠は小さく頷き部屋を出た。室内に平穏な空気が戻り、奏達は深く息を吐く。

 

「あんなプレッシャーは初めてだ。怒らせたら本当におっかねぇな。」

 

「忘れがちだけれど、神楠は神様だものね。」

 

「あの怒りを向けられる方が気の毒に思えます。」

 

私がほとんど同質の存在だからか、奏達程にはプレッシャーを感じていなかった。精々、怒らせてはいけない人を怒らせたらと、あくまでも人間の範疇でだ。私も櫻井がネフシュタンを纏っていた頃に、怒りをぶつけたがどうだったのだろうか。それは機会があれば聞いてみるとして、怒りとは多くのエネルギーを消耗してしまい疲れるものだ。ならば、どこかで美味しい物でも食べるなりして補給せねばな。美味しいといえば、立花に連れて行ってもらったふらわーが良いかもしれない。持ち帰りもできたからそうしよう。

 

「少し遠くまで行く。だから少し時間がかかるが、待っていてくれ。絶品のお好み焼きを買って帰るからな。」

 

私も部屋を出て、用意をしてから玄関へと向かう。待っていた神楠は不機嫌なままだが、他愛のない会話をしてスーパーへと到着した頃、雰囲気は平生となんら変わりなかった。

 

買い物を終えた私達を真上から太陽が照らす。荷物は既に奏へと送り無手で歩く私と、スーパーに併設されていたアイスやクレープ等の洋菓子店で購入したソフトクリームを手にした神楠。それを口にする度に表情を綻ばせ嬉しそうな声を漏らす。そんな大人の女性である神楠が子供に戻る様を、私は隣で見て微笑ましく思うのだ。今頃、奏達も先程渡したソフトクリームを食べて喜んでくれているだろうか。何にもはばかることなく外を一緒に出歩ければいいのだが、本当にままならぬものである。

 

「難しい顔をして見られていると気になるのです。もしかして、今更大和もこれが食べたくなったのですか?」

 

首を傾げソフトクリームを差し出そうとする。神楠に余計な気遣いをさせてしまったな。誤魔化したところで、また要らぬ気を使わせてしまうのならば話した方がいいか。

 

「いや、本当に幸せそうに食べるから、つい見入ってしまった。それで、奏達も隠れずにある程度自由に外出できればと考えてしまってな。」

 

再びソフトクリームを食べながら神楠は片目を閉じる。少しずつ、着実にふらわーへの道のりを進む中で、遂に目を開く。一体、神楠の導き出した解決策はどのようなものだろう。

 

「大和に多少の負担は掛かりますが、神獣鏡の鏡に起因した特性であるステルス及び隠形や分身を用いるのはどうですか?」

 

神楠は周囲の目を眩ませてしまえばいいと言う。人は光の反射によって色や形を認識している。ならば、神獣鏡を用いて奏達へと隠形を施し周囲を欺くのだ。周囲の人々の脳に直接作用して幻覚を見せることも可能であろうが、それは避けたい。

 

「他人の姿をそれぞれに被せるという事だな。それに、ハデスの兜と違い、デメリットも無くお手軽なウィザードリィステルス。神獣鏡の格が低くて、エネルギー消費も少ないので楽だな。」

 

現代程度なら神獣鏡のステルスで十分だ。ただし、なんらかの異端技術相手なら、格上のハデスの兜の方が安心ではある。

 

奏達の自由への道のりが視えたところで、ふらわーに到着した。私がふらわーに訪れたのはこれで二回目である。ここの女店主が焼き上げるお好み焼きは絶品で、今も思い出すと生唾を飲んでしまう程だ。自然と引き寄せられるように店内へと足を踏み入れた。

 

「いらっしゃい。おや、今回は響ちゃんとではないのかい?」

 

その言葉の強烈な違和感に襲われ、その場で突っ立ってしまう。微笑む女店主と強張る私だけが存在している静寂が支配する空間。そこへ神楠が警戒しながら進入して、私の隣に立つ。

 

「貴女は一体何者で、どうして私達をこのような異界へと招き入れたのですか?」

 

すると、背後でひとりでに閉まる入り口の戸と、正面のカウンターの向こうで笑う女店主。

 

「立ち話もなんだし、さあどうぞ。カウンター席に座りなよ。今日は君たちがこの世界に来てくれた記念にご馳走するからさ?」

 

明らかにヒトが放っていいプレッシャーではない。それこそ今朝に神楠が抑えて放ったものと同等かそれ以上だ。神楠と顔を見合わせて同時に席に着く。女店主の正体が気になるが、どう切り出したものか。そう悩んでいると、女店主からのプレッシャーは収まった。

 

「まあ、今ので私がヒトでは無いと理解いただけたかな。呼び名はそうだね………這い寄る混沌でいいかな。」

 

這い寄る混沌とは何者だろうか。おそらくは、彼女を表す言葉なのだろうが混沌が這い寄るのか。どう考えても邪悪な存在にしか思えないが………。

 

「どうして貴女のような邪神がこの世界に棲んでいるのですか!?」

 

神楠は信じ難い事実を目の当たりにしたように、凄い剣幕でカウンターから身を乗り出す。女店主は片手で口を覆うようにして笑う。

 

「いい質問だね、鳥之石楠船神。端的に言うと、星は輝き、翼となったあの日に少し改心したのさ。まあ、壊す事に飽きたのだけれどね。」

 

よく分からないが、しばらく邪神活動はしないらしい事は理解した。いつの間にか女店主は、会話しながら器用にお好み焼きを焼き始めていた。

 

「この世界を傍観していた私に、ある日、ある少女から、とても健気な手紙が届いたのさ。神様助けて下さいってね。邪神である私が叶えると、ろくな結果にならないだろう? だから、真っ当な神様で近くの世界に存在した君たちに、私の干渉を最小限に抑えて届けたという訳さ。」

 

邪神の言葉を素直に信用出来ないのか、神楠はまだ女店主を睨みつけている。それに女店主は肩を竦めて困った顔をする。そしてお好み焼きをひっくり返す。

 

「………私はね、この世界を気に入っているんだ。壊してばかりだった私が、こうして一人の人間として社会に溶け込む。流離う私は縁あって、ここでお好み焼き屋を始めることになった。初めは苦労したものさ。不味いと、客と喧嘩にもなったのはいい思い出かな。でもね、その客を見返そうと無我夢中で試行錯誤して美味いと言わせたのさ。その時に、何か胸の中が今まで感じた事のない温もりで満たされた。その時は分からなかったけれど、何度も繰り返せば確かに視えたさ。」

 

いつの間にか焼き上がったお好み焼きがカウンターの上に置かれる。踊るかつお節が熱さを物語っている。

 

「さあ、どうぞ召し上がれ。熱いから気を付けるんだよ?」

 

優しく笑う女店主に、私と神楠はお好み焼きへと箸を入れる。肉厚なのはこれでもかと盛られたキャベツの所為だ。それを柔な抵抗を受けつつ箸が裂き湯気がのぼる。程よく塗られたソースが網目状にかけられたマヨネーズや青のりとかつお節を巻き添えにして皿へ垂れ落ちる。香ばしく焼かれて少し固さのある豚バラ肉を箸で切る。そして一口大にしたものを口へと、箸を運び噛み締めるが、熱くて熱気を逃がそうと換気を行ってしまう。そうして何とか嚥下し終えた後に、胃に到達した温かさが心地よい。

 

「美味しいです。」

 

そう素直に感想を口にした神楠は破顔しており幸せそうだ。やはりこんなに美味しい料理をこのお好み焼き以外では食べたことがないし、作れと言われてレシピ通りだとしても、劣化品しか作り出せないだろう。

 

「どうすればこんなに美味しい料理が作れるんだ?」

 

すると、持ち帰り用の容器に奏達の分を入れて渡してくれる。受け取った容器から出来立ての温かさが伝わってくる。

 

「それは愛、だね。」

 

心の底からの嬉しそうな笑顔でそんな事を言えるのだ。ならばそれは、愛に違いない。

 

「ごめんなさい。今まで貴女の悪評しか知りもせずに睨んでしまって。」

 

すると、女店主は豪快に笑い飛ばす。

 

「いや、寧ろ安心したよ。君はそれでいい。正しき神様の在り方から外れてない。疑う事は悪いことではないさ。ことさら、私のような邪神は、ね?」

 

そして、懐から解読不可の文字の刻まれた銀色の金属板を取り出し、こちらに差し出してくる。金属板に秘められた力は極大だが、不思議と恐怖は無く、何か強い祈りが込められたように優しく感じる。

 

「科学、錬金術、魔術の結晶。力の正義を、正義の力で打ち破ったとある神様の一端さ。きっと君たちなら正しく使えるだろう。また、私のお好み焼きを食べに来てくれると嬉しい。それでは任せたよ。」

 

金属板に触れた瞬間に何かに包まれて、気が付けば奏達の待つ家の前だった。私達は神隠しにでも遭っていたのだろうか。同じく隣で惚けていた神楠の口の端に付いたソース。では、あれは夢ではなかったのだろう。口腔内に残るお好み焼きのソースの名残り。手に提げたビニールの袋には温かなお好み焼きがしっかりと質量を伴って入っていた。私は狐につままれた心地で玄関を潜るのだった。

 

奏達が絶品お好み焼きに舌鼓を打った後、私同伴ではあるが外出できる旨を伝えると喜んでくれた。そして、テーブルを囲った私達は今後についての話し合いを開始する。

 

「私とセレナが調べた結果、切歌と調は日本政府、もとい二課が身元を引き受けるつもりのようだ。そして、この世界の私は国連監視の下で歌姫且つ英雄として歌手活動に勤しむ予定らしい。」

 

マリアは端末のモニターを下唇を噛み締めて睨む。この世界では、F.I.S.自体が有耶無耶にされて無かったものとしたのだ。存在しない物や者を罪には問えず、死刑は免れた。だが、国連監視という名目で、マリアを米国の失墜した威光を取り戻す為の道具と利用する程躍起になっているのだろう。

 

「この状況ならば、マリアはどうしたいと思っている?」

 

「………歯噛みしながらもこのまま歌い続ける。望むらくは調と切歌のそばに居たいでしょうね。」

 

この世界では、セレナは亡くなり、迷走しながらも星と月を動かした。だが、その代償として教授も亡くなった。セレナが繋ぎ、教授に託された世界の日常を守る為に闘うのだ。独り奏でる旋律はどこかできっと繋がり音楽になると信じて。

 

「S.O.N.G.という、安保理の規定範囲で国外活動出来る組織に二課が再編されるらしいです。そこへ姉さんが転属出来れば二人と一緒に居られるのですが………。」

 

マリアが転属するに足る理由とは何だろうか。S.O.N.G.とは、聖遺物に関連した超常脅威へ広範囲に即応する為の機関だ。旧二課メンバーと、調と切歌が所属予定だとするならば、そこに何か解決の糸口があるのかもしれない。

 

「………時限式にしたって、元ガングニール装者でアガートラームを纏えたんだろ。ならさ、ペンダントさえ直ればマリアだって二課に転属できるんじゃないか?」

 

奏の当を得た答えに、私は考え俯いた顔を上げる。失墜した米国はこれ以上波風を立てたくはないだろう。二課をS.O.N.G.として国連の監視下に置くのならば、多少しぶるかもしれないがマリアは調達と過ごす事が可能になる筈だ。

 

「問題は、その壊れたアガートラームを回収して改修しなければならないところだ。マリアならどこに持っていると思う?」

 

「肌身離さずに首から提げるか、懐に忍ばせているかのどちらか。だって、大切な想いの欠片だから。」

 

改めてそのように本人の口から聞くと、盗み出すのは気が咎める。真正面から切り込み、失敗した場合の最後の手段だろう。その前に、櫻井へと改修の相談をしなければな。この直後に、私はフロンティアへと向かった。

 

 

一人で帰った私は、櫻井のラボへと到着した。扉を開くと櫻井とウェル博士が何かの作業をしており、こちらに気付き手を止める。

 

「お帰りなさい、大和さん。向こうの世界はどうでしたか?」

 

向こうでの出来事や世界の状況を話す。ウェル博士は複雑な表情で聞いていた。櫻井はほとんど驚く事もなく淡白であったが、邪神の部分には頭を抱えていた。

 

「まあ、あちらが余計な手出しをしないのならいいのよ。それで、私はギアを改修すればいいのね? その程度、私には役不足もいいところなんだから。………少し悪戯しちゃおうかしらね。」

 

お手柔らかにしてくれと頼んだ。

 

「それなら、僕は彼女達用のLiNKERと体内洗浄用の機器でも用意しましょう。向こうの僕の罪を少しでも償えればいいのですが。」

 

あくまでも別世界の人物なのだ。しかし、人格を構成する根の部分は類似しているのだろう。だからこそ、愚かしい凶行にも共感するところがあったのかもしれない。ウェル博士がLiNKER関連を作るのに一週間程必要らしい。それまでにペンダントを手に入れないと。

 

櫻井のラボを後にして、私は調と切歌の様子でもとフロンティアを歩く。二人が居るであろう部屋へと入る。仲良く並び勉強をする二人と、それを見守る教授が居た。私に気付いた切歌は疲弊した表情から一変させて立ち上がり目を細める。

 

「お帰りなさいデス。さぁて、大和が帰ってきたから休憩にするのデスよ! いいデスよね、マム?」

 

「私がお茶を淹れるから、待っていて。」

 

休む気満々の二人に教授は時計を見る。

 

「そうですね。そろそろ休憩にしましょうか。調の淹れるお茶は美味しいですから、楽しみにしています。」

 

調は二房の結んだ髪を跳ねさせながらキッチンへと消える。切歌はテーブルの上を片付け、キッチンへと向かう。そして、私は席に着く。

 

「切歌と調はリディアンまでどの程度に?」

 

「数日でしたが、そうですね。十分に間に合うとは思います。………ですが、遊びたい盛りの二人には酷かもしれませんね。」

 

教授自身、知的探究心旺盛であるので二人には勉学を嫌っては欲しくないのだろう。何かきっかけさえあれば好きになれるとは思うが、中々にそんな機会は巡って来ない。私は特に勉強を好きだとか嫌いだとか感じたことはなかった。必要に迫られただけ励む日々だった。二人には平穏な日常で、何か熱中できることを見つけて欲しい。

 

「教授の想いはちゃんと伝わっている。嫌々言いながらも投げ出さないのだから。これからも切歌と調をよろしくお願いします。」

 

「それはお互い様です。こちらこそ、家族の一員としてこれからも、あの子達をよろしくお願いします。」

 

お互いに真剣な眼差しで頭を下げられれば、首を横には振れない。私にとっても初めて大切だと想えた人達なのだ。その後、お茶を用意して来た調と切歌。人数分の湯のみが並ぶ。私の顔色を窺うように挙動を目で追う調に、美味しいと告げる。

 

「そう。茶汲みの練習は伊達じゃない。」

 

茶で喉を潤し、凛々しい顔をして威張る。それに対して隣に座る切歌は鬱々とした雰囲気を出している。

 

「それに毎日付き合わされる身にもなって欲しいのデスよ。調のお茶は嫌いじゃないけど、たまにはジュースも飲みたいなって思うのデス。」

 

「あの笑顔で美味しいと言ってくれた切ちゃんはどこに消えたの!?」

 

わざとらしく泣いたふりをし始める。それに切歌は目に見えて焦っていた。

 

「い、いや〜何故だか温かいお茶が飲みたいな〜。調の淹れてくれたお茶が欲しいデスかも〜?」

 

俯きながら切歌へと向き直ると、顔を上げて笑顔を見せる。

 

「それじゃあ切ちゃん、これからも張り切って毎日淹れるから。そんなちょろ甘な切ちゃんが、私は大好きだよ。」

 

切歌は首筋に手を当てて照れている。調はその二の腕を執拗に摘み堪能する。若干貶されていた事を気にしていないらしいので私は触れずにいた。

 

落ち着いた二人は向こうでの状況が気になるらしく、興味津々に目を輝かせて待つ。しかし、話を聞き終えると表情を曇らせる。あの後に調べて判明した教授の死はショックが大きかったようだ。

 

「状況に流されるだけじゃ駄目なんだ。」

 

「これからの事を相談して、しっかりと考えて選ばなきゃ駄目なんデス。」

 

結局一通目の願いは守られずに零れ落ちた。ならばせめて、向こうの立花達がどんな危難に遭おうともそれを跳ね除けられるまでは手助けをしよう。

 

 

フロンティアを去った私は、神楠達の待つ家へと戻る。そして、今後の方針を決定するのであった。




最後まで読んでいただきありがとうございます。

ふらわーのおばちゃんがどうしても重なり、蘇る彼と聖遺物を書き始めた当初からしたかった事の一つを書けました。これ以上、あちらの要素を混入させる気はありませんが、気紛れで少々追加されるかもしれません。
次回は未定です。

次回もよろしくお願いします。
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