主人公をどのくらい介入させるかで悩み中です。
最後まで読んでもらえると嬉しいです。
※潜入と彼女とを纏めました。
始まりと潜入と
蘇ってから二年経った。その間私は精神修業や技の鍛練をし、ガングニールと立花 響の共鳴現象の監視をしていた。近所で私は資産家と認識されていたようで始めの一ヶ月間は様々な勧誘があった。そういったここだけの特別な話は信用ならないので丁寧に断ると皆が素直に引き下がってくれた。
時々、立花 響の様子を見に行っていた。もちろん姿を隠してだ。やはりガングニールが彼女に反応して震えるので正式に共鳴現象と命名した。
彼女とその周囲にはバッシング時からは想像できないくらいに笑顔に溢れている。あの時お節介を焼いて本当に良かった。あの悲劇を体験した者として彼女には幸せでいてほしいものだ。
ただ彼女は人助けが趣味のようで困っている人を見かけたら率先して助けている。その人助けで少々のドジをして怪我を頻繁にしてしまう。なので私はこっそり修業の成果であるガングニールの機能の一つ癒しの力を発動するのだ。対象との距離が近ければ効果も最大限発揮されるがかすり傷や捻挫程度ならガングニールが身体に在る状態で十分治せる。
もう一つ心配な事はいつも隣に居るリボンの彼女との距離感というか互いに意識が近過ぎることだ。彼女達は連理の枝でお互いに支え合い生きている。片方が折れてしまえばもう一方も折れてしまうような危うい関係だ。せっかく彼女に笑顔が戻ったのだ。二度と失わせないようにと私は思った。
気持ちのいいよく晴れた日に縁側で日向ぼっこしていた私はいつの間にか寝てしまったらしい。夜は少し冷える。
昨日作ったカレーを食べ終えた私はそろそろ修業をしようとモード鳥之石楠船神になり不可視で遥か上空まで上がる。この感知の力もこの二年間で少しだけ進化していた。ここ最近、ほんの僅かだが聖遺物の特性が視えたりする事がある。殆ど見える事は無い。さてと、今日も修業だ。
いつものように見ていると赤い複数の反応の中に今までで一番濃い青の反応が現れる。すると身体の中のガングニールが今までにない程にあの共鳴現象を起こし始める。ただ事じゃないと急いで反応の場所へと跳躍するとそこにはノイズに囲まれた幼い少女と蒼の剣を携えた彼女に似たオレンジと白と黒のスーツを着た彼女
———立花 響がいた。
その状況に私は驚き悔やむ。これで彼女の今ある平穏な日々は終わってしまうだろう。聖遺物を持ちながら日々を平和に過ごす事も出来ただろうに。
彼女も戸惑っているようだが直ぐに幼い少女の声により瞳に強い意志を宿し歌を歌う。
そこへノイズが襲い来る。彼女は咄嗟に拳を振るうとノイズに当りノイズだけが崩れる。
そこでやっと私は気を確かにし彼女達を離れた場所へと空間跳躍させる。そして先程から励起状態へと到達しそうなガングニールを発動する。ガングニールを投擲する為に構えてノイズ達に放つ。そこでここ最近出来るようになったガングニールのある能力を発動する。ノイズに向かう一条の槍が突如として無数に現れ殺到する。槍が降ったあとにはノイズだった黒いモノが残されただけだった。
ノイズを片付けた私は彼女達の見える場所に跳躍する。そこには突然飛ばされ慌てふためく彼女がいた。
まだどこからか溢れ出るノイズに槍を構えようとした時、バイクの音と共に聞き覚えのある歌が聞こえて来る。颯爽とバイクに跨がる蒼い人物。バイクから跳び上がる彼女は空中で蒼いスーツを纏う。バイクが爆発炎上し彼女は戸惑う立花へと一言。
「呆けない!死ぬわよ。」
と言い、続けてその子をそこで守っておきなさい、と剣を携えてノイズに飛び込む。
そういえばさっき彼女が覚醒させてわかったが彼女が纏うアレはこのガングニールと同じガングニールだろう。ガングニールに多く触れているから感覚でわかる。それに彼女が来たならもう心配無いだろう。ガングニールを戻してこの場を一時離脱する。
少し経ちノイズを殲滅し終えた彼女はガングニールを纏う少女を所属する組織である特異災害対策機動部二課へと連れ帰るのであった。
その後を追う不可視の存在に気付くものは無かった。
私立リディアン音楽院その高等科の地下にある特異災害対策機動部二課へ私は来ている。立花響が拘束され連れて行かれたからだ。どうやらあの蒼い少女の所属する組織に連行するようなので黒塗りの車に乗った彼女達を上空から尾行したのだ。
そこは彼女が在籍している音楽院で人気トップアーティストの
車を降りた彼女達は歩く。優しそうな男性としかめっ面の風鳴と忙しなく周囲を見回す立花。そのあとを少し浮きながらついて行く。どうやら学院の中央に位置する建物に向かっているようだ。建物に入ると立花は恐る恐るといった様子である。
「あの………ここって先生達がいる中央棟ですよね?」
「………。」
無言だった。そしてエレベーターに乗る。私もエレベーターが閉まる前に入り天井に張り付く。男性がエレベーター内の窪んだ場所に取り出した端末機をかざすと音が鳴りシャッターが閉まり壁面には黄色い手摺が出てくる。それを慣れた様子で握る二人に立花は戸惑っていると男性が立花の手を手摺に持っていき
「さあ、危ないからこれにしっかり掴まっていてください。」
「え………?」
そんな理解できていない声を出しながら言われた通りに握る。危ないとはもしや。ある考えが過ぎり三人から離れた位置の扉の前に静かに下りる。その瞬間に男性がこちらを見たが何もないと再び視線を戻す。
そしてエレベーターは物凄い速さで降りていく。ほぼ落ちている感覚に立花は悲鳴を上げる。しばらく降りていると少し落ち着いた立花は誤魔化すような愛想笑いを浮かべる。
「愛想は無用よ。」
だが風鳴に冷たくあしらわれると黙ってエレベーターが停まるのを待った。その時、不意に景色が変わり既視感ある不思議な模様の空間が窓に映る。不思議な光景に思わず立花の口から声が出てしまう。二人はやはり慣れており何の反応も無い。この光景に私はあの時の空間との関係性を考えていた。
これから向かう所に、微笑みなど必要無いから。風鳴 翼は心でそう続けた。
到着の音が鳴り私は再び天井に張り付いて開く扉の先を見る。
———パン!パン!パパパパン!
とクラッカーが鳴り
———ドンドン!
と太鼓が響き
———パフパフパフ!
とおもちゃのラッパが鳴る。拍手と共に中央にいる男性が笑顔で手を広げる。
「ようこそ!人類守護の砦。特異災害対策機動部二課へ!」
予想外の光景に固まる私と立花。そして、二人はそれぞれ苦笑いと頭を抱えていた。エレベーターが閉まる前に室内の上に移動して成り行きを見守る。
立花へと髪をアップに纏めた白衣の女性がカメラを手に近付き写真を一緒に撮ろうと引き寄せる。
「はぁ〜い!笑って笑って〜お近づきの印に———
すると立花は腕から抜け出す。
「こんな手錠のまま写真はイヤですよ!撮るならせめて普通の状態がいいです!こんな悲しい思い出はいらないです!」
抗議しながら自らの名前の描かれた幕を見つけて疑問をぶつけていく。
「どうしてはじめて会うのに私の名前を知ってるんですか?」
先程歓迎していた男性が何故かシルクハットと杖を手に持ち被りながら杖を花に変え説明する。
「我々二課は元々大戦時に設立された特務機関なのでね。調査などお手の物なのさ。」
その横には先程の女性が今度は鞄を見せつけるように笑顔で持っていた。
「あ〜!?私のカバン!どうして持って………ってカバンの中を勝手に調べたでしょう!」
「悪いな。これも仕事なんでね。」
「別に変な物とか無かったしよかったでしょ?私としてはあっても構わないのだけれど。」
「あってもなくても私が構うんですよ!?」
そんな騒々しいやりとりを見かねた風鳴は溜息を吐く。
「緒川さん………。お願いします。」
またも苦笑いしながら了承し手錠を外しに向かった。
会場には和やかな雰囲気で手錠を外してくれたお礼を述べている立花へ近付く先程の二人。
「改めて自己紹介だ。俺は
どうやらここのトップらしい。身体は鍛え抜かれておりここの誰よりも強そうだ。そして隣の白衣の女性も自己紹介をする。
「そして私は出来る女として評判の
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
深くお辞儀する立花に弦十郎はある頼みをする。
「君をここに連れて来たわけ何だが、実は君に協力を要請したい事があるのだ。」
一体私に何をと立花は考える。やっぱりさっきまでのあのチカラの事かと思い至る。
「さっきの私のチカラは一体何なんですか?」
そう尋ねると二人は顔を見合わせ了子が立花に近付き条件を提示する。
「あなたの疑問に答えるためには二つ条件があるの。一つは今日の事は誰にも話さない事。それでもう一つは………とりあえず脱いで貰いましょうか?」
耳元でそう言われた衝撃的な二つ目に困惑する。涙目になり叫ぶ。
「何で!?」
そんな立花に弦十郎は助け舟を出す。
「了子君………。それではキミにしか理解できない。彼女に協力してもらえないだろう?すまないね、彼女の言いたい事は君の身体を検査させて欲しいという事なのだ。協力して貰えるか?」
そういう事ならと了承した立花。了子を含む数名のスタッフが彼女を検査しに向かった。それを見ていた私はどのような検査か気になるが流石に女性の検査を盗み見るのは忍びないのでしばらく待つ事にした。
ここ二課の人物達は今見た限りだと少なくとも悪人に見える人物はいなかった。唯一、櫻井 了子に何かを感じたが決定的なものでは無かったので保留といったところか。また、調査をするとしよう。しばらく考えていると立花が疲れた様子で帰ってきてどうやら解放されるらしい。また、背後に浮いて地上までたどり着く。そうして私は自宅へ帰るのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回は戦場にて主人公が初めて姿を現わす予定です。
それではまた次回もよろしくお願いします。