コードギアス 反逆のルルーシュL.E.~贖罪のネームレス   作:餌屋

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BIRTH08: 世界解放 記念 式典

私の乗る新ログレス級浮遊航空艦一番艦「カインドワールド」がゆっくりと高度を下げ、空港へ着陸する。

それまで手をつけていた書類類を一つに纏め、側にいる補佐官に預けて私は出口へと車椅子を走らせる。

 

一年ぶりに私は多くの時を過ごし、そして兄が亡くなったこの国へ戻ってきた。

 

神聖ブリタニア・・・いやブリタニア連邦代表、ナナリー・ヴィ・ブリタニアとして。

 

 

***

 

 

私が艦から姿を出すと多くのマスコミの方々、新日本の皆さんが歓迎の声を上げてくださる。

それに手を振りながら地上へ降りると、新日本首相の扇さんとゼロ・・・スザクさんが近づいてきた。

 

「お久しぶりです、ナナリー代表」

 

「ご無沙汰しております。一年ぶりですね、扇首相。といっても何度かテレビ会談は行っておりますが」

 

「ははっ、確かにそうでした。それではこちらへ」

 

そうして扇さんは私を先導し用意してくださった車へ案内してくれる。

それに従い進む私の側にスザクさんが寄り添う形になる。

今年で3回目となる一般市民の皆さんには見慣れた光景がそこにあった。

 

 

***

 

 

車に乗り込んだ私、スザクさん、扇さんは目的地に着くまでの少ない時間近況報告など雑談にふけっていた。

国の状況、日々の公務の愚痴、これからの事・・・

話題は尽きず直ぐに目的地、記念式典の特設会場に到着した。

 

会場内はフジサン決戦などで亡くなった分かっている範囲の方々の鎮魂を目的として多くの花と名前が飾られている。

 

私は指定された参列者席の一番前に陣取り、式が始まるまで思いにふける。

 

3年前起こった悲しい戦いの中で命を落とした多くの方々の覚悟や無念に完全に理解することなど出来ないと察しながらもそれが私の責務と考え、想いを巡らせていく。

 

そして最後に思い浮かぶのは、自分にとって最愛の兄の顔。

 

兄はいつでも私のことを第一に考えていた。

しかしいつからか想いがすれ違い、思惑が交差し、最後には永遠に別れることになってしまった。

 

あの日、あの場所、兄が自分の前で死んでしまった時。

 

私は兄がどれほど苦悩し、どれほど辛い思いをし、どれほど自分を愛してくれていたかを知った。

 

普通なら絶望し、心が壊れていただろう。

 

でも私は最後に兄の想いを全て理解できたからこそここにいる。

 

 

 

全ての罪を背負い。悪逆皇帝の妹として。自分の全てを賭けて。

 

私は・・・

 

『それではただいまより第3回世界解放記念式典をはじめさせて頂きます』

 

そこで私は現実に戻ってきた。

 

『まずはブリタニア連邦、ナナリー・ヴィ・ブリタニア代表よりスピーチを頂きたいと思います。ナナリー代表、どうぞ壇上へ』

 

「はい」

 

私は司会の方の言葉を合図に、壇上へあがり数百人にも及ぶ参列者の方々と中継を見ている全ての人へ向かい合う。

 

 

「ただいまご紹介にあずかりました、ブリタニア連邦代表ナナリー・ヴィ・ブリタニアです。この式典も今年で3回目となりました。様々な悪意が消え、世界が平和になった記念すべき日です」

 

多くの視線が私を貫く。

昔の私なら気圧されてしまっていたかもしれない。でも今の私は、全てを背負うと決意した私には・・・

 

(お兄様が付いてくださっている私には何てことない。)

 

「私達は平和な世界を創る為に命を賭していった多くの方々に感謝し、この平和を末永く続けていかなければならない事を今日、再度心に留めなければなりません。それは長く、困難な道のりでしょう。実際未だ我々の間には懸念事項がいくつか残っています。しかし」

 

「少なくとも今日この日に限っては、世界中の心は一つになっているはずです。ならば末永く世界が分かり合い、皆が皆を思いやる、優しい世界は夢ではないはずです」

 

「そして私は自分の兄ルルーシュの犯した罪を全て背負い、優しい世界を実現する為この身を捧げる事を改めて誓いましょう」

 

そう。善悪はどうであれ兄の道は決して正解ではない。

 

もしかしたら正解などないのかも知れない。

 

でも、残念だが兄は過ちを犯したと言わざるを得ない。

 

ならば私はその罪を全て背負ってでも、私が望み兄が目指した優しい世界を実現しよう。

 

「全世界の皆さん、どうか少しでも、今以上に相手の事を、大切な周囲の人達の事を想ってあげてください。それだけで世界は私達の望む物へ・・・」

 

そう締めくくろうとした時、本当に微かではあるが、聞こえるはずのない声が聞こえた気がした。

 

『優しい世界・・・?そんな物ただの理想、ただの夢物語・・・やはり貴方は陛下の妹君として相応しくないようだ』

 

その声を認識した頃には。

 

 

 

会場を異変が襲った。

 

 

突如起こる轟音と揺れ。

現れる武装した黒装束の男達。

一部崩れ落ちた天井からはナイトメア、暁可翔式が数機舞い降りてくる。

煙が舞う会場内には銃声と悲鳴が木霊する。

 

「ナナリー!」

 

聞き慣れた声が私を呼ぶ。

それは仮面を被ったスザクさんの焦った声。

そんなスザクさんも大量の男達に囲まれてしまう。

 

そこでようやく意識が戻り、事の異常性を理解した。

 

「そんな・・・何なのですか!?」

 

誰も答えを返してはくれないと理解していながらも叫ばずにはいられない。

まさか式典が襲撃されるなんて異常事態ある訳がなかった。

あって良いはずがなかった。

 

そして遂に。驚愕に支配される私に声がかけられる。

 

「ブリタニア連邦ナナリー・ヴィ・ブリタニア代表とお見受けする」

 

突然かけられた声に振り向いた私の前には、黒いマントとフードを被り、口元をマスクで覆った男がいた。

男の横に控える他の襲撃者とは明らかに雰囲気が違う。

故に私は理解できた。

 

(この男が、この襲撃を企てた元凶でリーダー・・・)

 

「ナナリー代表、我々に付いてきて貰おう。安心すると良い、貴方が大人しくしてくれればこの殺戮はすぐ終わる」

 

その言葉に私の頭は今までで経験したことがないくらい沸騰しかける。

今の一言でこの男は私を相手にこの会場全ての方々を人質に取ったのだ。

その卑劣さも腹立たしいし何よりも。

この男は私達が目指し作り始めた世界を壊し、お兄様の想いを踏みにじったのだ。

 

 

(悔しい・・・)

 

悔しいし腹立たしいが、他に選択肢はない。

 

「・・・分かりました。あなた方に従います」

 

その言葉に私の目の前の男はマスクで覆い隠した口をニヤリと歪めた。

 

そんな気がした。

 

 

 

***

 

 

『続報です。とんでもない事件が起こりました。本日12時頃、世界解放記念式典特設会場がナイトメアを擁する武装集団に襲撃され、現時点で死者35名、負傷者247名にも及ぶ大惨事が発生しました。そして更に信じられない事に式典に出席されていたブリタニア連邦、ナナリー・ヴィ・ブリタニア代表が武装集団に拉致されるという事態にまで発展しました。

現在新日本防衛軍、ブリタニア連邦軍が共同で捜索活動に当たっていますが現時点でナナリー代表の行方はまだ分かっていないとの事です。

扇首相は先ほど記者団に対し、「我々新日本にとって今のブリタニア連邦、そしてナナリー代表は何物にも代えがたい友好の相手であり、全力を持ってナナリー代表の行方を捜し必ず救出する」と力強く語ったという事です。しかし未だ全容が分からず武装集団からのアクションも無い状態であり、何らかの進展が期待されます。繰り返します・・・』

 




如何でしたでしょうか?
実は投稿時点今までで一番文字数の多い文字数だったりします。
次回はこの続きから。
緩くお待ち頂ければと思います。
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