コードギアス 反逆のルルーシュL.E.~贖罪のネームレス 作:餌屋
『ナナリー代表拉致事件の続報が入ってきました。先ほどインターネットの動画サイト上に犯行勢力と思われるテロ集団が声明動画を公開、扇首相との1対1の電話会談を要求しました。詳しい取引の内容に関してはその場で伝えるという彼らの初めての要求。政府がどのような対応を取るか注目が集まります。繰り返します・・・』
***
俺は路地裏の小さな喫茶店でコーヒーを飲みながら待ち合わせをしていた。
その間タブレット端末で調べ物をしながら時間をつぶす。
あの後。
ナナリーが拉致された瞬間を街頭ビジョンで目撃した後、完全に動揺していた俺は会場に向かうというカレンに「しばらく経ったら連絡をして」と連絡先を渡されて別れたは良いもののどうしたものかと途方にくれていた。
数時間経って未だ呆然としながらもそういえばとカレンに連絡を取ると、場所を指定されそこで話がしたいと持ちかけられた。
こうして断る理由もなかった俺は今指定の喫茶店でカレンを待っている。
端末で様々なニュースに片っ端から目を通しているが、多くが式典会場襲撃に関係する物だった。
影日向の能力も駆使して何とか理解した事件の概要はこうだ。
ナナリーがスピーチをしている間に突然襲撃。
あらかじめ要人の位置や防衛戦力を把握していたかの如く、速やかな作戦でナナリーを拉致した。
敵戦力は確認されているだけで全身黒ずくめの戦闘員数十名、暁可翔式3機、更に会場外の防衛戦力相手にサザーランド13機と未確認のナイトメアが1機が当たっていた。
未確認と会場内に入った暁3機、他戦闘員10数名は取り逃したが残りは破壊、捕縛、戦闘不能となった。
しかし捕縛した戦闘員が全員歯に仕込んでいた毒を飲み全員死亡しているという状況。
その後行方が分からなくなっていたが、先日動画サイトに犯行声明がアップされ日本国首相扇要に要求が出された・・・
「はぁ・・・頭が痛くなるな」
思わずため息がこぼれる。
推測ではあるがこのテロ集団は用意周到で綿密な計画の元、今回の暴挙に及んでいる。
また未確認の高性能ナイトメアや量産型を所有している所からみてバックにはある程度の規模を持つ技術チームがいるだろう。
普通に見れば初期の黒の騎士団並の勢力であるといえる。
優しい世界を願ってゼロ・レクイエムを実行したが、やはりそれだけでは上手くいかないという事だろうか。
世界には未だ歪みがあるということか。
だとすれば俺は・・・
カランカラン
ドア鈴が鳴り、入り口の方へ目を向ける。
辺りを見回し、俺を見つけるとこちらへやってくる。
カレンだ。
「ごめん、待った?」
「いや待ち合わせの時間にはまだ早い。俺が早く来すぎただけだ」
「そ、ありがと」
カレンは適当に飲み物を注文しそれが運ばれてくるまでずっと黙ったままだった。
しかし注文したカフェオレが届いて店員が去ったのを確認すると真剣な目つきで話し出した。
「それで、どうせあんたの方でも調べてみたんでしょ?」
「いきなりだな。まあある程度の事は調べてみたがかなり厳しく情報規制が引かれているみたいでな。あまり深い所まで潜るのも気が引けたしある程度国の仕事に就いていれば分かる程度までだ」
「そ、なら丁度良いわ。とっておきの内部情報、聞きたい?」
「何?」
思わず驚きの声を上げるとカレンは久しぶりに見た満面の笑みであるIDカードを見せてきた。
「紅月カレン・・・一級特尉?」
「そ、これでも防衛軍の重要ポスト」
「特尉とは始めて聞いたな」
「基本的に軍事任務には就かないんだけど上層部から要請があった時に手助けをするのよ。まあ出る機会は今までなかったんだけどね。本当は私も防衛軍に参加すると言いたかったんだけど学校があるだろって皆から言われてこんな感じに」
「なるほどな・・・それで?そんな重要情報を重要ポストの人間が俺なんかに話しても良いのか?」
そう言って俺はこれまた久しぶりのあくどいニヤケ顔を見せる。
しかしカレンはため息を一つつくだけだった。
「やめなよ、別に素直になったって良いんだから。今はあんたの事信用できる」
・・・まったく適わないな。
「・・・悪かった。すまん今の俺にそんな資格はないのかも知れない。だが・・・」
見ているだけなんて出来ない。
そう言うとカレンはとても優しい笑顔で俺の知らない事を教え始めてくれた。
***
「なるほどな。大体わかった」
カレンから内部情報を教えて貰った俺は頭の中で整理しながら推理を組み立てていく。
その中で俺は胸にどこか熱い物を感じだしていた。
何故テロ組織が機体を持っていたかの謎は解決した。
黒の騎士団時代に協力関係を気づいていたインド軍区の開発チームがバックにつき、テロ組織に対して戦力の援助をしていた。
ラクシャータとは殆ど関係のないチームだった事もあり、戦後連絡がつかなくなっても放っておいてしまっていた為察知が遅れたようだ。
どうやらそのチーム、元々ブリタニア帝国の壊滅を夢見て黒の騎士団に参加したようで恐らく今の友好関係に嫌気が刺したのだろう、という事だった。
「それで?その未確認のナイトメアというのは?」
「目撃した兵士の証言を照らし合わせるとどうやらランスロットのコピーを作ったみたい。ただ・・・問題は性能、腕前共にラウンズ級だったそうよ」
「そんな奴が・・・しかしラウンズはほぼ死亡している筈だし、あの時の生存しているエース達は全員アリバイがあったんだよな?」
「ええ、そんな腕前の人間中々いないって事で確認を取ったけど全員アリバイがあったわ」
「埋もれた才覚か・・・厄介だな」
「ええ・・・潜伏先もまだ分かってないし動画に出てた主犯も分からないままだし・・・」
主犯・・・潜伏先・・・
「・・・なあ、カレン。結局扇は奴らとの電話会談は?」
「やるしかないって事でもうすぐ会談の要求を受けるって声明を報道各局に発表するわ。直ぐにでも日程が組まれるでしょうね」
「なるほど・・・決まりだな」
「あー、その顔は何か企んでる顔ね」
「ふっ、その企みを行う材料をくれたのは誰だったかな?」
「さあ?誰かしら?」
カレンが如何にも面白そうな顔を浮かべる。
それに同じ顔で返す俺。
「あんた、今にも怒りでおかしくなりそうって顔ね」
・・・
「私もそう。絶対・・・後悔させてやる」
怒りでおかしくなりそう?
そんなの当たり前だろう。
ナナリーを危険な目に遭わせた奴らを。
ナナリーや皆が望んだ世界を壊した奴らを。
何より何も出来なかった俺を。
俺は、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアとして生きていた過去がある限り許せるわけが無い。
捨てようと思った、全て捨て去って新しく生きようと最初は考えた。
だがまだ駄目だ。
俺は責任を取らなければならない。
俺は自分とカレンの分の会計をおいて立ち去ろうとする。
カレンは笑みを浮かべたまま止めない。
「何か必要があったら連絡して」
「覚えておこう」
そして俺は今の自分の家でもある影日向へ帰ろうと・・・いやその前に。
「そうだカレン、一つ教えてくれ」
俺の問いにカレンは振り返り首をかしげる。
「事件直後に行方不明になった政府要職の人間はいるか?」
今回もお待たせしました。
さあルルーシュの本領発揮間近です。
感想、評価など是非お願いいたします。
次回ルルーシュの活躍、ご期待ください。