コードギアス 反逆のルルーシュL.E.~贖罪のネームレス 作:餌屋
最初の声明が公開されてから1週間が経った。
俺は今自分の執務室に独りでテロ組織からの連絡を待っている。
念のため外には会話が聞こえるようにしており、また逆探知の用意もしてある。
だが成果があるかどうかは怪しい。
声明動画をアップロードした際も奴らは自分達の足跡をなるべく残さないよう巧妙に偽装していた。
ロイドやラクシャータ達に協力をお願いしたが難航しているらしい。
「こんな時に彼がいれば・・・」
彼はその天才的頭脳で多くの奇跡を成し遂げた。
奴らのしっぽを掴むのも造作も無いことだろうし、会談においても非常に助けになるだろう。
そこまで考えて頭を振る。
駄目だ。都合の良いことを考えてはいけない。
俺、扇要には責任がある。
その責任を全うしなければ・・・
「こんなんじゃまたカレンに叱られるな・・・」
胸の重さにため息をつく。
すると突然、映像通信がかかってきた。
奴らだ。
気を引き締め電話を取る。
「扇だ。」
『初めまして、新日本初代首相にして元黒の騎士団副司令、現新日本防衛軍総指揮官、扇要殿』
「君が、組織のトップか?」
『その通り、私が軍事組織『影の兵団』リーダーの<<C>>だ』
「『影の兵団』、<<C>>・・・」
自らを<<C>>と名乗ったその男は黒いフードを目深に被り、口元をこれも黒いマスクで隠していた。
話し口調といい、黒色といい、どうしても彼を思い出す。
『今回は貴重な場を用意して頂けて感謝する』
「ナナリー代表は無事なのか?」
『勿論、目立った抵抗も無いので丁重に軟禁させて頂いている。あなたの今後の行動次第では無傷で彼女を解放することをお約束しよう』
「・・・それで?要求はなんだ」
『いくつかあるのだが、まあ折角の機会だ。世間話でもしながらどうかな?』
「貴様・・・」
この日を小馬鹿にしたような口調・・・
そうだ、彼も良く敵に対してこんな喋り方をしていた。
『そんな怖い顔をするな。さて何から話したものか・・・そうだな。我々がナナリー代表を貰い受けた日は彼の命日だったな』
「!?」
彼の、命日?
その言葉に俺の思考は最悪の方向に進んでいく。
『そう、貴様らが悪逆皇帝と不名誉なレッテルを貼ったルルーシュ・ヴィ・ブリタニア陛下の事さ』
何なんだ・・・?
『彼は非常に優秀で、この世界を率いていくのに相応しいお方だった。しかし、あの忌々しい仮面の男ゼロによって殺されてしまった』
こいつは一体・・・
『ルルーシュ様に任せておけばこの世界は力が支配する素晴らしい神聖ブリタニア帝国という一つの国家になっていただろう!それを!貴様らが!』
Cの口調が激しくなってくる。
俺は得体の知れない不安感に襲われる。
こいつはまさか・・・
そんな筈はない、そう思いながら俺は最悪の展開に身を震わせる。
もしこいつが彼なら。
もし彼が生きていたら。
もし彼が変化の遅い世界に怒りを感じていたら。
もし彼が俺達を憎んでいたら。
そんなifばかりが頭をよぎる。
『だから我々は立ち上がったのだ!ルルーシュ様が望んだ世界を!正しい世界を創る!』
・・・何?
『だがその前に一つ聞かないといけない。私の質問に嘘偽り無く答えることが最初の要求だ』
「・・・何だ?」
『ルルーシュ様が乗っていらした機体、蜃気楼。あれは確かゼロも乗っていたものだったはずだ』
「・・・それで?」
その質問で俺はCの聞きたいことを理解した。
そしてそれは一番聞かれたくない事だった。
『何故ゼロの機体にルルーシュ様が乗っていた?そして以前のゼロの正体は?今のゼロは一体何者だ?』
やはりその事か。
しかしこれでハッキリした。
Cは彼では無い。そしてあの戦いで生き残った仲間達では無い。
じゃなければこんな質問をわざわざしない。
するメリットが無い。
なら一体誰なんだ・・・?
『さあ!どうした!答えられないのか!!』
くそ・・・黙ったままでは駄目だ。しかし本当の事は話せない、かといって誤魔化すのも・・・
プープー
「え?」
その時、通信の音が鳴った。
『割り込み通信だと!?どこからだ!発信元・・・不明?』
「君たちの仕込みじゃ無いのか?」
『当たり前だ!一体誰が・・・ええい!』
とCが通信を取る。
画面に現れたのは白地に意匠を施された黒いNの文字。
『お話中失礼する。扇首相、そしてC。私の名前は、<<ネームレス>>。』
今回はちょっと短めでした。
次回「BIRTH11:反撃の 狼煙」ご期待ください。