コードギアス 反逆のルルーシュL.E.~贖罪のネームレス 作:餌屋
扇さんが会談を終えてから、5時間後。
私、紅月カレンは混乱冷めやらぬ会議場の端で成り行きを見守っていた。
「今すぐオオサカ地区を奪還しに全軍を動かすべきだ!」
「折角世界的な軍縮の動きが軌道に乗っているというのに我々がそれに反するような事をしていいものなのでしょうか」
「そんな悠長な事を言っていて良いのか!これはもはやテロを超えた蛮行なんだぞ!」
議場では各地から選抜された新日本政府関係者が言い争いをしていた。
その内容は丁度一時間前オオサカ地区の防衛戦力を制圧し、一帯を完全占拠した影の兵団への対処について。
即刻軍を動かすべきだという武闘派とあくまで話し合いで解決するべきとする穏健派。
その二派で大論争が起こっていた。
「あなた方はただ戦争をしたいだけではないのか!」
「戦争をしたくないからこそ今の内に潰さなくてはいけないのだろう!」
「あくまで平和的解決を模索するべきだ!」
「既に軍事行動を起こしている相手に今更何が出来るというのだ!平和的解決!?国の一部を奴らにくれてやれとでも言うつもりか!」
「既に市民にも犠牲が出ているのだろう?悠長にして良いのかな?」
「ナナリー代表の安否はどうなっているのか!事によってはブリタニアとの国際問題に発展するぞ!それこそまた戦争になるではないか!」
「ブリタニアは現在連絡を取っている最中でして・・・」
いらいらしてきた。
もう何時間も続いている会議。
この会議を行っている間にオオサカが堕ちていることの重大性が分かっているのだろうか・・・
「平和ボケ・・・なのかな」
戦後3年が経ち、平和な世界に向けて上手くいっていた最中のイレギュラー。
動揺して正確な判断ができないでいるのだと思いたいが・・・
私は議長席に座って議論を黙って聞いている扇さんに目を向けた。
うつむき加減に黙ったままもう1時間以上じっとしている。
私は扇さんとCの会談を横の部屋で他の関係者と一緒に聞いていた。
ネームレス・・・あれは確実にルルーシュだろう・・・の乱入のおかげで最悪の展開、相手の要求を呑まされる展開は避ける事が出来たが・・・
この調子ではそのアシストも無駄に終わりかねない。
いい加減我慢の限界に来た私は未だ言い争いを続ける彼らに向かって怒鳴りつけてやろうと立ち上がった。
その時、議場の扉が突然開かれた。
入ってきたのは金髪に黒スーツの青年。
「あなたは・・・!」
「ジノ!」
元ナイトオブラウンズ、現ブリタニア連邦軍司令本部長、ジノ・ヴァインベルグだった。
「よっ、カレン。久しぶりだな」
「ジノ、どうしてここに・・・本国にいたんじゃ」
「オオサカが例の奴らにやられたって聞いてな」
ジノはそう言うと議場の中心に立ち、話をはじめた。
「新日本政府の皆さん。私はブリタニア連邦軍司令本部長、ジノ・ヴァインベルグと申します。今回私はブリタニア連邦の全権を担う臨時代表としてこちらに伺いました」
その言葉に辺りがざわつく。
「臨時代表だと・・・」
「元ラウンズがどうして・・・」
ジノはそんな雑音に耳もくれず扇さんへ顔を向ける。
「扇首相、ブリタニア連邦より正式にお願い申し上げます。我々連邦政府は先ほど、新日本防衛軍と協力してナナリー代表の救出、および影の兵団の壊滅を目標に動くと正式決定しました。オオサカ奪還に向け、是非我々と共同戦線を張って頂きたいと思います」
扇さんはジノを見据え口を開く。
その目には覚悟が宿っていた。
「連邦政府の協力に感謝します」
「首相!」
「また悲劇を繰り返すのですか!」
「所詮元テロ組織の副代表か・・・」
辺りから賛成反対両方の声が飛ぶ。
しかし一部看過できないヤジが飛んだ事に私が怒りをこみ上げると
「いい加減にしていただきたい!!」
突如扇さんから怒号が発せられ、議場が静まりかえった。
「民主主義の原則に従い然るべき流れに則って決断を下すべき、そう考えて皆さんを招集しましたが待てども待てども結論は出ず、挙げ句の果てに軍事行動反対派の皆さんはまともな対案も出さず理想論を盾に議論の邪魔をしているといっても良い始末!今は有事と言う事を理解しているのですか!トウキョウまで攻め込まれてもこの議論を言い続けるおつもりですか!
もはや一刻の猶予もありません。私の全責任において決定を下します。
独断と言われても構いません!全て終わってからその咎は受けましょう!
我々新日本はブリタニア連邦と協力体制を敷き、両軍の全戦力を持ってオオサカ奪還作戦を行います!
・・・勿論平和的解決が一番理想でしょう。できればそうしたかった。
だが彼らは初めから軍事行動を起こす事を決めていたとしか思えない!
理想には必ず限界がある。だが今理想に殉ずる必要性はない。
・・・もはや選択の余地はありません。以上で会議を終了します!」
こうして紛糾した場は収束に向かった。
扇さんの怒りにずっと反対していた穏健派もバツの悪そうな顔で諦めた様子を見せたからだ。
解散の流れが出来る中、私は必要になる私の愛機の様子を見に行こうとその場を後にした。
如何でしたでしょうか。
ちょっとは扇を良く見せることが出来ていれば幸いです。
さて、BIRTH12投稿直前に本作の設定を纏めた物を第1話の前に投稿しております。
ご興味のある方は是非そちらもご覧ください。
それでは次回、「BIRTH13:黒の 布石」ご期待ください。
感想、評価お待ちしています。