コードギアス 反逆のルルーシュL.E.~贖罪のネームレス 作:餌屋
明日にオオサカ地区への攻撃を控えた新日本・ブリタニア連合軍は、イコマ山麓に陣を構えた。
周りが慌ただしく深夜0時を前にしてもまだ明日へ向けての最終準備をしている中、私は新日本防衛軍旗艦「高天原(たかまがはら)」の一室を訪れていた。
「お久しぶりです、藤堂さん」
部屋に入り目の前に座っていた新日本防衛軍総司令官、藤堂将軍に挨拶する。
「久しぶりだな、紅月くん。君が参加してくれるとは心強い」
「一応軍所属なんで」
「ああ・・・そうだったな」
藤堂さんが苦い顔を浮かべる。
私の防衛軍入りを強固に反対していた一人だったから思う所があるのだろう。
「千葉さんもお久しぶりです」
気まずくなった私は話を変えようと藤堂さんの隣に座っていた元四聖剣、千葉さんに顔を向ける。
「ああ、家に遊びに来てくれて以来だったか」
「はい、士郎君元気ですか?」
「ああ、今は玉城の所に預けている・・・少し心配だが」
「あ、あはは・・・」
実は戦後、藤堂さんと千葉さんは結婚し子供を設けた。
可愛い男の子で何度か抱かせて貰った事もある。
そうか・・・玉城か・・・玉城、元気かな。自分でお店出したとは聞いたけど。
「さて、全員揃ったな」
と、私を呼び出した本人である扇さんが口を開いた。
「扇さん、突然呼び出してどうしたんですか?」
「何か問題でも起きたか?」
扇さんは私達の質問に真剣な、それでいてどこか迷いのある顔を見せた。
「実は・・・先ほどネームレスを名乗る男からまた通信があった」
その言葉に反応する私。
ルルーシュがこのタイミングで・・・という事はかなり重要な事なのだろうか。
「ネームレス・・・Cとの会談に突然割り込んできた男だったな」
「紅月はその時の話を聞いていたんだったか」
「え、ええ・・・それで、彼からはなんと?」
「・・・影の兵団とCに関する調査報告だ」
そうして扇さんはルルーシュから得た情報を教えてくれた。
影の兵団・・・前身は傭兵団「鴉」。
初代リーダーである日本人の烏丸 蓮太郎。
神聖ブリタニア帝国時代より、シャルル皇帝の強硬政策に反発し世界各地のレジスタンスグループに協力、対ナイトメア戦においてゲリラ手法を用いかなりの戦果を上げていた。
が、皇歴1992年烏丸蓮太郎がブリタニアに捕縛処刑、一部の幹部は逃げ切る事に成功したがその後目立った活動が見られなくなった。
しかし、ゼロ・レクイエム後すぐ旧ブリタニア系財団の生き残りが裏資金を持って接触、その後急速に規模を拡大した。
という裏の世界の情報だった。
「なるほど、それならばあれだけの軍事力を用意できたのも分かる」
「3年間、奴らはずっと準備をしていたんだ。そして『イレギュラーが起きる可能性は十分にあるので特に注意しろ』と言い残して行ったよ」
「他の情報は?」
「間に合わなかったそうだ。防衛軍兵士が目撃したという黒いランスロットについても調査していたそうだが、手がかりがつかめなかったらしい」
「黒いランスロット、か・・・」
その言葉に部屋の空気が重くなる。
私達にとってその名前は非常に重い物だ。いくら本物じゃなかったとしてもどうしても警戒してしまう。
「ただのコピー品という訳ではないのか?」
「映像解析した所、紅蓮や暁の意匠が見受けられたそうだ。恐らく性能的には紅蓮に匹敵しているだろう」
「そんな!」
「いや、あり得ない話では無い。現に兵団の技術チームは離反した元黒の騎士団の人間が多数いるのだろう?持ち出されたデータを元に作っていてもおかしくない」
「その辺りも含め『気をつけろ』と言ったんだろう・・・ところでカレン」
扇さんが突然私に鋭い目線を向けてきた。
「何?」
「ネームレスの正体・・・『彼』なのか?」
「っ!」
突然核心を突く質問に私は目に見えて動揺してしまった。
「扇、どういう事だ?『彼』とは一体・・・」
「カレン、どうなんだ?あれは俺達の知っている『彼』なのか?『今の』ゼロの中は一体誰だ?」
「おい、それって」
「まさか・・・!」
「どうなんだ」
私は一度深呼吸し頭の中を整理する。
大丈夫、きちんと約束している。
「答えられない」
私はそう、しっかりとした口調で扇さんをしっかりと見据え返答した。
「おい、紅月!」
「答えられない、か・・・」
「・・・」
三者三様の反応見せる皆。
「知ってるとも言わないし、知らないとも言えない。何も答える事はできない」
「そうか・・・」
扇さんは悲しげに目を伏せる。
その顔を見るとどうしても胸が痛んでしまう。
「ごめん・・・」
「・・・いや構わない。では質問を変えよう。『ネームレスは信用できると思うか?』」
「・・・うん。絶対に信用できる」
「分かった。ならこの話は終わりだ。二人もそれで良いですか?」
千葉さんは少し悩んだ顔を見せるが、藤堂さんは静かな笑み・・・いやこれは苦笑か、を浮かべて頷いた。
「それじゃ、三人とも明日はよろしく頼みます」
「「「承知」」」
***
カレン達が部屋を後にした後、俺は一人残り思案にふけっていた。
さっきのカレンの反応を見た所間違いないだろう。
ネームレスはルルーシュだ。
始めその可能性にたどり着いた時は信じられなかった・・・
何故あの時死んだ筈のルルーシュが生きているのか。
ギアスの力か。
何故カレンが知っているのか。
その辺りは考えても分からない。
だがカレンは絶対に信用できると言った。
なら、信用できるのだろう。
俺たちを騙していたわけではないのだろう。
それまでも彼は俺達の為になる有益な情報を提供してくれたりしている。
信じられない道理はない。
今度こそ、信じ抜いてみたい。
そう、思った。
***
オオサカ政庁、執務室。深夜0時前。
そこは今や影の兵団リーダーの部屋として使われていた。
そこで白衣に身を包んだ眼鏡の男達がリーダー、Cに報告をしていた。
「敵軍はイコマ山麓に陣を構え、明日からの攻勢に向けて準備を進めている模様です」
「敵ナイトメアは確認出来るだけで数百体、航空艦は新日本旗艦『高天原』とブリタニア連邦旗艦『カインドワールド』、更に新ログレス級、新カールレオン級が数機ずつ、更に新日本の小型可翔艦も数機確認されています」
「戦力差は明らか、まさに絶体絶命という訳か・・・ふっふっふ面白い。『アレ』の準備は?」
「全フロートシステムの製作が完了、各部武装も設置しました。ようやく完成です」
「そうか、間に合って良かった」
Cが椅子から立ち上がる。
「明日は俺も出撃して戦場から指揮をする。『アレ』は一番効果的なタイミングで浮上させるからそのつもりでいろ」
「了解しました!」
そうして白衣の男達は一礼し、部屋から出ていった。
一人になったCは窓辺に立ち遙か遠くの連合軍の光を眺め邪悪な笑みを浮かべる。
「さあ、ここが天下分け目の決戦だ。思い知らせてやる、俺の怒りを・・・力による支配の正しさを・・・」
決戦まで後、7時間 ―――
連日更新じゃー!!
遂にここまで来ました。
本作もいよいよ大詰めとなって参ります。
果たしてどうなるのでしょうか。
Cの言う『アレ』とは一体。
次回「BIRTH15:オオサカ 奪還 作戦」ご期待ください。
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「新幹線の中で今後について考(以下略)」というタイトルの中で行っております。
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