コードギアス 反逆のルルーシュL.E.~贖罪のネームレス   作:餌屋

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BIRTH19: 黒 と 白

最古の記憶。その時既に俺の世界は闇に覆われていた。

 

 

自分の名前も分からない。

 

何故こんなとこにいるのか分からない。

 

ここがどこかも分からない。

 

それでも俺は、生物の本能に従って生きるために残飯を探し、盗みを行い、食いつなぎ続けた。

 

 

そうして何年か経ちある程度成長した頃、次第に俺の中に一つの不満が出てきた。

 

何故、俺はこんなに苦労しなければならない?

 

明確な答えは誰も教えてはくれなかったが、道行く大人達の会話を聞いている内に何となく『ブリタニア』という奴が原因と気づいた。

 

 

その時からだろう。

『ブリタニア』という物に対して憎しみを抱くようになったのは。

 

 

 

 

「私達以外のブリタニア皇族・・・ですか?」

 

私は未だ記憶に残るあの庭園にとても良く似た場所で、目の前に立つテロリストCの質問に対し困惑を隠せないでいた。

 

「そうだ、ナナリー・ヴィ・ブリタニア。貴様と今本国にいるであろうシュナイゼル・エル・ブリタニア。その二人以外に生きている皇族はいるか」

「何故そんな質問をするのか理解に苦しみますが・・・私とシュナイゼルお兄様以外はルルーシュ皇帝の粛正活動と帝都消滅事件、そしてゼロ・レクイエムによって全員お亡くなりになられてたと聞いています」

「・・・嘘をついている訳ではなさそうだ」

 

とCは忌々しそうに舌打ちをする。

 

 

 

こうしてCと話すのもいつ以来だろうか。

確か最初は、捕まってから3日経った頃だった。

 

今とは打って変わってにこやかな笑みを顔に貼り付け、いくつか質問された事を覚えている。

 

『今のゼロの正体は一体誰だ?』

『何故敵対していたシュナイゼル派と黒の騎士団が手を組む事になった?』

 

私が答えないでいると、Cは一度舌打ちをした後興味を無くしたかのようにすぐ去って行った。

 

その後何度か機嫌を伺いにやってくる以外、食事が運ばれてくる時しか人と会うことはなかった。

 

 

 

外から轟音が聞こえてくる。

時折、この場所も揺れているように感じる。未だ戦闘は続いているようだ。

感覚的に恐らく空に浮かんでいる事から、この場所は航空艦の一室なのだろう。

そして私は、戦場のまっただ中にいる。

 

世間話程度に聞く所によると、この庭園とあの場所との類似性は全くの偶然のようだが・・・

 

どうしてもフジサン決戦を思い出す。

 

 

「仕方ないな・・・」

 

それまでイライラしつつ考え込んでいたCが突然顔を上げる。

 

「これから奴らに貴様がこの場所にいる事を知らせる。相手は甘ちゃん共だ。少しは動揺して攻撃を躊躇するようになるかもしれない。とにかく数的不利の今は敵の隙を作ることを考えなければ・・・」

 

・・・薄々感付いてはいたが私の居場所は皆に知られていなかったようだ。

だが、それならチャンスになるかも知れない。

 

 

 

 

ノーディ・ラビット発着口。

そこでは一体のナイトメアが発進準備を行っていた。

 

「各部正常に作動。エナジーウイング動作確認・・・完了。各部オールグリーン」

 

そのナイトメアは一見紅蓮に似た外見をしているが、全体的に丸みを帯びており何より。

 

『ユグドラシルドライブ正常動作確認。発信タイミングをデヴァイサーに譲渡』

 

澄み切った白銀の色をしていた。

 

『聞こえるか』

「どうしたんだい?後退したって聞いたけど」

『奴らを崩すための下準備中でな。後5分ほどで戦線復帰する』

「了解。それで、指示は?」

『今、扇から連絡があった。ナナリーが黄泉比良坂の最深部に捕らわれているらしい』

「っ!それで?」

『つまり勝利へのピースは残り2枚。現在カレンが相手をしている敵エースナイトメア、伊邪那岐の撃破。そして、黄泉比良坂最深部への突入だ』

「了解。なら先にカレンの所へ行く」

『頼んだ』

 

 

 

 

「きゃあっ!!」

 

私は死角外から襲いかかった伊邪那岐の強烈な蹴りを防ぐことが出来ず、体勢が崩されたまま飛ばされた。

 

「死ネエ!シねエ!皆シンでシマえエエエ!アハハハハハ!」

 

レムは薬物のような液体を首に注射してから、奇声を発しながらそれまでとは見違えるスピードと動きで猛攻を繰り出してきた。

何とか凌ごうとしても一瞬の隙を突かれて少しずつダメージを増やされる。

紅蓮のスペックの高さが無ければ、既に堕とされていたかも知れない。

 

恐らく彼が打ったのは、痛覚遮断と反射神経の向上、そして理性のストッパーを外す効果のある薬物だ。

それにより、今まで襲いかかるGを無意識化で軽減するために発揮しきれなかったスペックが完全に引き出せるようになっているのだろう。

 

しかし、その代償は大きいはず・・・

 

「こんな・・・こんな事までして・・・」

 

私は信じられなかった。

自らの命を削るような真似までして、戦い続けるこの男の子の事が。

 

だが、今は戦闘中。それも相手は理性を失った狂戦士。

 

 

心の動揺が生む隙を、見逃す相手ではない。

 

一瞬の動きの遅れを突かれ、左手に持っていた特斬刀がはじき飛ばされ懐を晒す体勢になる。

普段なら絶対にしないミス。

久しぶりの実戦と、理解しがたい現実が、私の動きを狂わせた。

 

「まずっ・・・」

 

しかしもう遅い。

目の前の伊邪那岐は制動刀を振り上げており、どこか勝利を確信したような雰囲気さえ感じられる。

 

(・・・お兄ちゃん、皆・・・ルルーシュっ!)

 

 

しかし死の刃は振り下ろされなかった。

 

突然伊邪那岐に襲いかかる銃弾。

 

「これ・・・ヴァリス?そうか、間に合ったのね!」

 

その瞬間、横から伊邪那岐に跳び蹴りを食らわせる白銀のナイトメア。

 

「大丈夫か、カレン!」

「何とかね・・・遅いご登場じゃない!」

 

私は、作戦準備があったためギリギリ完成に立ち会うことはできなかったロイドさん達特製、彼・・・スザクだけの為のナイトメア。

 

 

紅蓮と対をなす存在。

 

 

 

 

白銀の武士が鏡の黒騎士に相対する。

 

 




如何でしたでしょうか。
黒と白。それぞれの場所で激突していきます。

・・・やっと、やっとスザクとカレンを横に並ばせることが出来るぞおお!
これがしたかったんや!!

次回ではBIRTH13と14の間の一週間についてもお届けできればと思います。

それでは、次回「BIRTH20:影の ギセイ者」ご期待ください。
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