コードギアス 反逆のルルーシュL.E.~贖罪のネームレス   作:餌屋

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BIRTH20: 影の ギセイ者

 

 

時は一週間前にさかのぼる。

 

 

ロイド達の研究室。

 

「んふふふ~またまた面白い事になりそうだよぉ~?」

 

電話を切った後、そう言って満面の笑みをセシル達に向けるロイド。

電話の相手はルルーシュからだった。

 

その後、しばらくして訪れたルルーシュからロイドチームと偶然その場にいた為同席する事になったC.C.、カレンに提案されたのは、新型ランスロットと協力者専用機の製作計画についてだった。

 

 

 

 

「ん~ジェレミア達用の専用機はほぼウォードのカスタマイズだし何とかなるけどねぇ」

 

ジェレミアとアーニャ用の専用機プランについて説明をした所でラクシャータが微妙そうな声を上げた。

 

「何か問題か?」

「ランスロットは流石に間に合わないんじゃないかぃ?それに・・・あれはねぇ?」

 

とラクシャータはセシルに顔を向ける。

 

「そうですね・・・戦力が必要というお気持ちはわかりますがランスロットを新規製作するのは時間的な都合とイメージ的な問題が・・・」

 

セシルもラクシャータと同じようにランスロット製作に否定的なようだ。

だが・・・どうやら勘違いをさせてしまったようだな。

 

「いや、何もランスロットそのものを作り直すわけじゃない」

 

その言葉にその場のほぼ全員が意味が分からないといった顔を見せる。

 

「基本は紅蓮聖天八極式のデータを使う」

「へ?紅蓮の?」

 

それまでついていけてなかったのか目を白黒させていたカレンが気の抜けた声を上げた。

 

 

俺のプランはこうだ。

 

イメージは騎士ではなく武士。

外見、基本スペック共に紅蓮聖天八極式を元とし、外見は紅蓮をもう少しスリムかつ各所の鋭利な意匠を丸みを帯びたものにする。

武装はMVSは日本刀型に、スーパーヴァリスは配色と細かい意匠の変更を行う。

 

簡単に言えば、白銀色で輻射波動を持たない紅蓮を作るという訳だ。

 

 

名づけるなら、紅蓮と対になる存在。白い紅蓮・・・白蓮(びゃくれん)といったところか。

 

 

「これならイメージ的な問題はほぼ解決するし、紅蓮のデータをそのまま使うことが出来る。元々八極式はスザク専用機にする予定だったはずだし問題はないだろう」

「確かに・・・それなら急ピッチで進めれば何とか間に合いそうですね!」

「仕方ないねぇ・・・あたしの子のデータ使わせてあげるわよ」

「・・・」

 

セシルとラクシャータが賛成の意を現す中、ロイドは一人押し黙ったままだった。

 

「どうしたロイド。何か不備があるか?」

 

どうしたものか、不安になってきた。

一定以上の知識があるとはいえ、実際のナイトメア製作経験は殆ど無い。

何か問題があったのではと内心冷や汗をかいていると・・・

 

「・・・んふふ、んふふふふふふ!」

 

突然ロイドが笑い出した。

 

「・・・あぁ、なるほどねぇ」

「・・・ロイドさん」

「んふふふふふ!楽しみになってきたよぉ~!久しぶりにランスロットを作れるなんてねぇ~!」

「いやだからそのままランスロットを作る訳じゃなくてだな・・・」

 

駄目だこのマッドサイエンティスト。

喜びのあまりトリップしかかっている。

 

「よぉ~し!そうと決まれば早速始めるよぉ~!」

「ちょ!ロイドさん!?」

 

とロイドは飛び跳ねるように作業へ向かい、慌てたセシルとあきれたラクシャータが後を追っていったのだった。

 

 

 

それまで全く発言のなかったC.C.が俺の隣に来て声をかけてくる。

 

「てっきり世捨て人になったと思っていたんだが?坊や。名前は捨てたというのは出鱈目だったのか?」

 

相変わらず痛いところをついてくる。

 

「本気さ。だが・・・」

「だが?」

「簡単にそう言って逃げるわけにはいかなくなった。奴・・・Cと話してみて一つ分かった事がある。あれは俺の罪だ」

 

自分でもわかる。今俺は酷い顔をしているだろう。

 

「坊やの?」

「ああ。俺は今でもゼロ・レクイエムは間違いだったと思っていない。考慮していた混乱などのデメリットを差し引いてもあれが最善だったと思っている。しかし、それでもCが俺の行動の結果の一つなら・・・奴は俺の被害者なのだだろう」

「・・・」

「そしてその罪は更に大きな混乱を引き起こした。勿論だからと言って奴に情けをかけるつもりはない。しかしルルーシュ・ヴィ・ブリタニアであった以上その責任から目を背けることは今の俺にはできない」

 

C.C.は悲しそうな表情で俺の方に視線を向けている。

 

「・・・ルルーシュ。お前が歩こうとするその道は果てしなく長いぞ・・・」

 

そうだろう。例え今分かっている歪みがCだけだとしてもこれから沢山溢れ出てくるだろう。

初めは俺は死んだのだから関わってはならないと思っていた。

だが・・・それは一番やってはいけない愚かな行為だ。

だからこそ。

 

「ふっ・・・ならば歩き続けるだけだ・・・」

 

それが俺の・・・なのだから・・・

 

「そうだ、C.C.。お前に頼みたいことがある」

「なんだ?」

「影の兵団に関係する事について出来る限り調査をしてもらえないか」

「調査?」

「ああ、俺がスザクに残した資料の中にシュナイゼルの元側近、カノンが管理していた裏社会の要人達に関する連絡先や情報があったはずだ。そこから辿れば何か見えてくるものがあるかもしれない」

「分かった」

「ただし、影の兵団中枢に直接関わるのはやめておけ。流石に危険すぎるからな」

「・・・嫌な予感がするな」

「俺もだ・・・」

 

それから、俺は泊まり込みで開発を手伝うことになった。

期限は長くても一週間。

急がなくては。

 

 

そして奇しくも一週間後、その嫌な予感は的中することになる。

 

 

 

 

場は戻って、オオサカ地区上空。

 

今、伊邪那岐と紅蓮、そして白銀の武士・・・白蓮が相対していた。

 

 

 

「白イ紅蓮・・・だとォ!?」

「報告通り・・・姿形は本当ランスロットに似ているな・・・」

 

プライベートチャンネルでゼロの仮面を被ったスザクが私に話しかけてくる。

 

「スザク、こいつ薬を投与したみたい・・・気を付けて」

「分かった。初めから全力で行こう」

 

そう言って、スザクは一瞬のうちにレムへ肉薄し右手の刀で袈裟切りを繰り出した。

 

「っ!チィッ!」

 

反応が遅れたレムだったが体を捻り間一髪で避けると回し蹴りで牽制し距離を取ろうとする。

でもそれを見逃す私じゃない。

距離を取った先を読んで伸ばしておいた右腕から輻射波動砲を打ち込む。

レムは何とか収束砲を躱すが体勢を崩してしまう。

 

それが狙い。

その隙を狙って更に距離を詰めたスザクが逆袈裟切りからの連撃を浴びせる。

止めに回し蹴りを伊邪那岐の横腹に叩き込み、吹き飛ばす。

 

「グガああああアア!!??」

 

レムが苦悶の声をあげる。

元々薬物による副作用で体が悲鳴をあげている所、更に幾度もの過度なGがかかり非常に重い負担となっているのだ。

 

「マダ・・・倒れル訳には・・・あの方を・・・!」

 

レムは最後の力を振り絞るように急停止し両手の剣を構え猛スピードで白蓮に突っ込む。

肉薄したレムはそのまま剣を振り上げ必殺の一撃を叩き込もうとする。

突然の突進は普通なら完全に対処できない攻撃。

 

しかし生憎ながら白蓮を駆るスザクは普通ではなかった。

 

決まったと思われたレムの一撃は二振りの刀によって受け止められる。

 

スザクは通信をオープンチャンネルにし口を開く。

 

「許しは請わん・・・もう良いんだ。ゆっくり眠れ・・・」

「ア・・・」

 

 

スザクは受け止めていた剣を弾き、がら空きとなった胴体に刀を突きさした。

動力部分に損害を受けた伊邪那岐は各部から火花を上げ出す。

スザクがゆっくりと刀を抜くと、レムは動きを止めた伊邪那岐と共に地上へ落下していき爆散した。

 

 

「スザク・・・」

 

私は繋ぎなおしたプライベートチャンネルでスザクに声をかける。

 

「Cが僕らの生み出した被害者なら、彼もまた被害者、いや犠牲者と言っても良いね・・・」

「でもそれは・・・」

「勿論、だからといって彼らの行為は許される事じゃない。ただ、彼らと決着をつけるのは僕らにとってやらなければならないだけだ」

「うん・・・」

「さあ急ごう。このまま黄泉比良坂突入部隊に加わる。長い間待たせちゃった・・・ナナリーを迎えに行かないと」

「・・・了解!」

 

 

 

 

地上へ落ちていく感覚の中、辛うじて残っている青年の正常な意識は駆け巡る走馬灯に思いを馳せていた。

 

 

拾われたのはスラム街の一角。

 

その時の青年は幼少の頃戦争で家と家族を亡くしてから、ずっとスラム街で生き抜いてきたものの限界を迎えていた。

食べ物も体力もとうに尽き、間もなく死んでいくのだろうなと思っていた。

 

そこに手を差し伸べた男がいたのだ。

 

男は彼を連れて帰り、食べるものと住むところを与えた。

 

男は言った。

 

ここが嫌になったら出て行ってもらって構わない。ある程度の金はやる。それまで自由に居てくれて構わない、と。

 

 

男は傭兵団のリーダーだった。

かなり名もあったのだろう。良く他組織の重鎮らしき人物とも話をしていた。

 

青年は男に大きな恩を感じていた。

自分はこの人に命を救われた。居場所をくれた。なら恩返しをしたい。

それから青年は傭兵団に入った。

元々素養があったのかどうかは分からないが、メキメキと実力をあげ、男の側近まで上り詰めた。

 

 

ある時から男の様子が変わりだした。

 

それから男は自分に刃向う部下全てを粛清し、多くの他組織を言いくるめ仲間にし、決起の準備を進めていった。

それまでの男は傭兵稼業ながらも優しい心を持つ良きリーダーだった。

 

だが、ある時期から男は何かに力を求めだし遂には暴走を始めた。

 

 

それでも青年は止められなかった。

 

男が、今にも泣きだしそうな子供に見えたのだ。

 

だが青年は、たとえこの身が外道に落ちようと、彼だけは救うことに決めたのだった。

 

 

 

こんな馬鹿げた争いを早く終わらせ、彼の憑き物を落とすために。

 

何処かに必ず、優しい心が残っていることを信じながら。

 

 

 

 

 

 

 

「頼む・・・クロウを・・・」

 

 

そうして彼は爆炎に消えていった。

 




お待たせしました。
書き直しに書き直しを重ねようやくの更新です。
今後ともよろしくお願いします。
色んな話は活動報告の方にて。ご興味のある方は是非どうぞ。

次回「BIRTH21:コワレタ 仮面」(仮題)をご期待ください。
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