コードギアス 反逆のルルーシュL.E.~贖罪のネームレス 作:餌屋
俺、C.C.とスザクは長い廊下を歩いていた。
辺りは暗く、真夜中近くであることが見て取れた。
そして俺にはこの場所に見覚えがあった。
「ここは・・・旧ブリタニア政庁か」
暗い廊下を歩きながらスザクに問う。
「そうだよ、今はトウキョウ地区の管轄を担っているトウキョウ政庁さ」
「日本全体を動かす類いのものでは無いのか?」
「それは旧シンジュクゲットーに丁度1か月前建設されたよ」
「何でまたそんな所に・・・」
旧ゲットーはこれまでの戦闘で酷い状態のままな筈だ。
そこに国の中枢を置くとは新しい日本のトップはよほど酔狂な奴かもしくは・・・
「新日本初代総理大臣の扇さんが『戦争で散った多くの思いを忘れないようにしたい』って」
「やはり扇要か、奴なら考えそうな事だ」
「良く分かったな?」
驚いた様子でC.C.が会話に入る。
「別におかしな事ではない。日本が独立した時点で、その立役者たる黒の騎士団幹部の誰かが国の要職に就くのは至極当然だ。その中で適任なのは扇くらいのものだろう」
「坊やは扇の事をずいぶん評価していたようだな?」
「そうでなければ黒の騎士団の副司令など任せるものか」
「くくっ・・・確かに」
C.C.はこちらをからかうような笑みを浮かべる。
こんな顔を見るのも久しぶりだな。
なんだそこまで扇の力を買っているのが面白いのか。
「さて、ここだルルーシュ」
どうやら目的の部屋に着いたようだ。
俺は何が待っているのか内心緊張を覚えながら目の前の扉を開けた。
「あ~、ルルーシュさまぁ~。おはようございますぅ~」
「ちょっとロイドさん!折角お会いできたのにもう少し雰囲気を考えて話せないんですか!」
「あんた達・・・こういう時くらいじゃれ合いやめる事は出来ないのかい?」
そこにいたのは俺も良く知る3人だった。
「ロイド、セシル、それにラクシャータまで・・・」
「やあ、ルルーシュ。ゼロ・レクイエム以来じゃないか」
「元気そうで何よりですねぇ~」
「ああ、二人とも久しぶりだな・・・」
と相変わらずなラクシャータ、ロイドと挨拶をかわす。
「おかえりなさい、ルルーシュさん」
と、ロイドの副官でもあるセシルがいつにも増して真剣な顔で声をかけてきた。
「ルルーシュさん、いえ今だけ陛下と呼ばせてください」
『陛下』
その言葉は俺が神聖ブリタニア帝国の皇帝として計画を進めていた時の呼び名だ。
既に皇帝では無い俺にわざわざ『陛下』と呼ぶ事、そして彼女のただならぬ雰囲気に俺も身構える。
「・・・ああ、なんだセシル?」
と俺が返事をすると突然セシルは頭を深く下げだした。
「申し訳ありませんでした」
「「「「!!!」」」」
「私は陛下の計画を聞かされ、そしてそれに何か進言できたはずなのに、一緒に陛下の重荷を背負うことが出来たはずなのに・・・結局ただご命令の通り動くことしかしませんでした」
「セシル・・・?」
「私はあれからずっと、陛下が実は生きている事を聞かされてからも、心のどこかで悔み続けておりました。もっと何か方法はなかったのか。もっと何かできなかったのか。陛下を見殺しにせず済んだのではないか!」
「・・・セシル、それは違うんだ。」
「いいえ、違いません!たとえ陛下が気になさらなくても、私が陛下を見殺しにしたと思ったならそれはもう事実なのです!」
「・・・」
「ずっと、謝りたかった。申し訳ありません」
俺は周りの皆を見回す。その顔は一様に彼らも、ラクシャータでさえ、セシルと同じ気持ちだという事を示していた。
そう、彼らは悔やんでいるんだ。
独りで突っ走ってしまった俺を止められなかった事、助けることができなかった事、理解することができなかった事・・・
「お前の言いたいことは分かった。だとしても俺は別に謝って欲しくなんてない。分かってくれるな?」
「・・・はい」
俺は思う。自分はこんなにも多くの人間を悲しませていたのかと。
俺は思う。今だけは彼らの気持ちを受け止めるためルルーシュでいなければならないと。
そして俺は改めて気づく。
(ああ、俺はこんなにも思われていたのか)
それならば自分のした事は。
自分のしてきた事は。
俺には謝られる価値なんてない。
これは死ぬことだけでは到底購えないようだ。
だからこそまず言葉にしよう。
俺が以前は出来なかった事。
出来なかったがゆえに沢山のすれ違いを起こしてしまったからこそ今度は。
「こちらこそすまなかった。ありがとう、ただいま」
自分の気持ちをきちんと言葉に。
※加筆修正を行った為後書きを変更
如何でしたでしょうか?
生前気づくことの出来なかった想い・・・
これからルルーシュはどれだけの想いに向き合うことになるのでしょうか。
次回「BIRTH03: 旅立ちの ネームレス」ご期待ください。