コードギアス 反逆のルルーシュL.E.~贖罪のネームレス   作:餌屋

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※2015/08/29加筆修正


BIRTH04: ソレゾレの 後悔

光がカーテンの部屋に差し込む。

 

「ん・・・もう朝かぁ」

 

私は目を覚ますと素早く体を起こしキッチンへ向かう。

さて朝ご飯の用意だ。今日は得意のベーコンエッグ。

二人分を作り終える頃にはお母さんも起きてきて一緒に食事をする。

これが私、紅月カレンの平和な朝の日常だ。

 

窓の外から登校途中だろうか、小学生の笑い声が聞こえてくる。

日本人にとってこんな風景はずっと夢物語だった。

 

ここ新日本は長い間戦争状態だった。

日本と神聖ブリタニア帝国の戦争、敗北し日本を占領したブリタニアへ反旗を翻すレジスタンス活動、仮面の男『ゼロ』率いる武装組織『黒の騎士団』とブリタニアの戦争、そして世界を手に入れようとした皇帝ルルーシュとの戦争・・・

その終わりはちょうど3年前、世界征服を果たしたルルーシュがゼロにより殺される事によって訪れた。

 

そして今、世界は目に見えて変わり始めている。

 

戦争は無くなり世界は『優しい世界』になろうとしている。

 

そう、彼の望んだ通りに・・・

 

 

 

 

 

「どうかしたの?カレン」

 

お母さんに心配そうな声をかけられようやく私は現実に戻ってくる。

節目の時期だからだろうか。

最近当時の事を良く考えるようになった。

そしてその度胸が締め付けられる。

どうやらそれが顔にも出ていたようだ。

 

「ごめん、何でも無い」

 

そういってお母さんに笑顔を向ける。

 

「なら良いのだけど・・・そういえば今日は予定があったんじゃないの?」

 

「え・・・ああ、そうだった!やっばい!」

 

そうだ今日は待ち合わせだったんだ。

忙しい所を時間作ってくれたらしいし遅れたら申し訳ない。

 

「ごめんお母さん、行ってくる!帰りは遅くなるから!」

 

そういって家を飛び出す。

行き先は、旧シンジュクゲットー。

 

 

***

 

 

『本日はあの悪逆皇帝ルルーシュがゼロにより討たれ世界が平和を取り戻して丁度3年目の解放記念日!各地では午後より順次記念の催し物が開かれる予定です!そして新日本で行われる記念式典にはブリタニアより・・・』

 

街頭ビジョンでニュースキャスターが喋っている。

その顔を私はにらみつける。

笑顔を浮かべた顔、さも当然の如くルルーシュを貶める口、えらく嬉しそうな声色・・・

 

その全てが気にくわない。

 

「何も知らないで・・・」

 

そこまで言いかけて止める。

 

 

『私』は『絶対に』言ってはいけない。

 

『私』には彼らを非難する『資格なんて無い』。

 

 

そう彼の事情、彼の本当の思いを一番気づけたはずなのに気づいてあげられなかった私に彼らを非難する資格なんて・・・

 

「・・・っ!」

 

そうして私は目的地に向かって走り出した。

そこから逃げ出すようにして。

 

 

***

 

 

「ふぅ・・・ようやく書類が片付いたな・・・」

 

そう呟くと俺は一息入れようと立ち上がり部屋に備え付けのコーヒーメーカーに向かう。

この部屋は新日本首相である俺、扇要の執務室だ。

 

今から丁度3年前、俺達の盟友であり最大の敵だった男が死んだ。

その名はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、またの名をゼロ。

そう。世界を支配した悪逆皇帝ルルーシュはその前に仮面の男ゼロとして俺達と共に戦っていた。

彼は他人を意のままに操る異能の力『ギアス』を使っていたとして俺達から信用を失い、袂を分かった。

そして彼はブリタニア皇帝となり世界を支配するため俺達と戦い、勝利。

しかしその後、突如現れた『今の』ゼロによって殺されてしまう。

それが丁度3年前。

 

そしてその後、新日本として独立したこの国のトップとして黒の騎士団副司令だった俺が就任する事になった。

 

大変な3年間だった。

 

独立したての新日本を復興させる為にトップとして様々な重荷を背負った。

色んな国に飛び、外交を行った。

慣れない駆け引きも何度やった事か。

勿論サポートは付いていた。

だがそれでも俺は気の休まる事が殆どなかった。

 

彼はこんな苦労をし続けていたのか。そう気づいたのは随分経ってからだった。

 

彼、ルルーシュの思惑・・・彼が計画したゼロ・レクイエムの意味は彼が死んだ後黒の騎士団の主要メンバー全員に『今の』ゼロから教えられた。

俺達は驚き、そして悔やんだ。

 

 

彼を追い出した事を。

 

彼を理解してあげられなかった事を。

 

気づくのが遅すぎた事を。

 

 

少し考えれば分かった事だったのに俺達は目先の感情を優先してしまった。

特に俺は自分の事を棚に上げて彼を真っ先に見捨てた。

 

何度悔やんだ事か。

 

無意識に拳を握りしめる。

『彼が望んだ世界をずっと続かせる。』

それが俺の贖罪だと言い聞かせここまで生きてきた。

だが・・・

 

ピーッ

 

机の上の電話から電子音が鳴る。内線が入ったようだ。

俺は急いで取りに向かう。

 

「扇だ」

 

『首相、面会予定の紅月カレンさんがお越しになりました』

 

「分かった、そのまま通してくれ」

 

会う約束をしていたカレンがやってきた。

 

俺は急いでコーヒーメーカーの前へ戻り古い友人をもてなす準備を始めた。

 

その顔は・・・酷い有様だった。

 




如何でしたでしょうか?
いかんせん序盤は説明口調が多くなるのが目下の悩みです。

さて遂にカレンと扇の登場です。
予想通りな方もいらっしゃるかと思いますが本作での扇は今回のような感じになっております。
めっちゃ扇、悔やんでます。
さて今後彼らはどう動くのか。

次回、「BIRTH05: 出会う 二人」ご期待ください。
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