Abyss Walker In The Magic World 作:城縫威
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開戦
ずっと歩いてきたアルトリウスの視界に一つの異形が入る。
歪に動くそれは彼がこの深淵を歩く前から狩ってきたもの、彼が倒すべきダークレイスなのだろうか。
彼は空高く跳び自らの大剣で異形を突き刺す。
――私の獲物だ絶対に殺さなければならない。
異形は呻き散らす。
刺した場所が急所から少し外れたのだろう、異形は腕を振り回し抵抗しようとする。
それを許すアルトリウスではない。
深く、より深く異形に刺した大剣を突き刺していく。
異形は痛みで更に呻くがその声も段々と小さくなっていく
ふとこれとは違う気配がしてアルトリウスは横に視線を移す。
そこにはこれとは違う異形がそこに立っていた。
剣と盾と鎧を身に纏いこちらを見据えている。
今の彼にそれが敵か味方などという事を見分ける事は出来ない。
彼はこの深淵を歩き始めてからずっと、悠久と言える程の長い間ずっと歩き続けてきた。
例え彼が強靭な精神を持つものであっても、この終わりない深淵の中、少しずつ確実に精神は侵食され削り取られていった。
今彼を支えるものは使命、救わなきゃいけない、戦わなきゃいけない、遂行しなければいけない使命を達する為に彼は歩き続けてきた。
そんな今の彼にとって彼の視界に入った者全てが倒すべき敵なのだ。
彼は異形が突き刺さったままの大剣を肩に担ぐ。
彼は高らかに言う
──私は王グウィンが騎士、四騎士が一人アルトリウスだ。
さあかかってこい我が大剣でもってその醜い魂たたっ斬ってやる。
彼の者にはただの雄叫びにしか聞こえない。
しかし彼の者は武器と盾を構えることで答える。
アルトリウスは大剣に刺さっている異形を彼の者へと放った。
今二人の間で戦いの火蓋が切って落とされたのだ。