Abyss Walker In The Magic World 作:城縫威
二人は対峙する。
一人は大剣で以て薙ぎ払い、一人は剣で以て連撃を浴びせ、互いに一歩も劣らぬ攻防。
傷ついた身体を撓らせて鋭い一閃をみまう。
空気を切り裂き胴体おも切り裂こうとする刃は彼の者に届くことなく、後に大きく跳ぶことで回避されてしまう。
彼の者の隙を突いた剣撃も剣筋上に大剣を置かれ、紙一重の所で躱されてしまう。
横薙ぎの一閃、瞬間後へと跳び、彼の者へと地を蹴り上空からの力の乗った大剣を振るう。
地を抉り轟音を立てるその攻撃は既の所で躱されなかなかどちらとも一撃を入れられない。
そんな戦いの中、アルトリウスは光を彼の者から見出した。
自分にはない光だ。
自分より強く気高い魂の光、異形だと、敵だと切り裂こうとする相手は今深淵の中を照らしている。
だが彼は思う、例え誰であっても倒さなければいけない、使命を全うしなければいけない。
ただその一心に剣を振るう。
今更止まる訳には行かないのだ。
一度歩みだしたのだからあとには引けない、進むしかないのだ。
彼の者は距離を取ろうとする。
そんな彼の者にアルトリウスは肉薄する。
逃しはしない。
矢の如く大剣を突き立てる。
大剣の先が彼の者を捉えることはない。
不意に足に力がいかなくなる。
彼の者は大剣の突き立てる一瞬、横に避けるのではなく地を這うかの様に地面と大剣との間に入りアルトリウスの両足を切り裂いたのだ。
彼の者は巨大なアルトリウスの股の間から抜け出し更に追い打ちをかける。
膝をついた彼に避ける術はない。
随分と久方ぶりに痛みが身体中を奔る。
痛みすら忘れていたこの身体がだ。
激痛となって奔る痛みとともに、熱く煮えたぎる物が口からこみ上げてくる。
立ち上がることも、大剣を振るうことも、出来なくなってしまった。
アルトリウスは倒れこむ。
自らの血の池に沈む。
アルトリウスは、大剣を持てば無双の限りを尽くしたと謳われた彼は、この日この時、敗者となった。