ストライク・ザ・ブラッド~王の吸血鬼~   作:ルートE

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聖者の右腕Ⅰ

絃神島。魔族特区と呼ばれる都市があった。太平洋に浮かぶ小さな島。カーボンファイバーと樹脂と金属と、魔術によって作られた人工島。

 

一部通常の街と異なることがあるがそんな街でも彼らの口からは、たわいもない噂を語る。

 

“第四真祖”──不死にして不滅。一切の血族同胞を持たず、支配を望まず、災厄の化身たる十二体の眷獣を従える世界の理から外れた冷酷非常な吸血鬼。

 

それと同時に囁かれるもう一つの噂。こちらは第四真祖ほどまでに広まった噂ではないが知る人は知ると言った噂である。

 

その存在は実在したのかどうかすらもわからず、実態を誰も知らない。だが、その実力は真祖と互角以上であり、神々の眷獣をも従える伝説上最強の吸血鬼──“王の吸血鬼(デウスブラット)がいるといった噂である。

 

 

▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

八月最後の月曜日。天気は快晴。

 

「あ~、カッタリイ」

 

「メンドクサイ~」

 

午後のファミレス。窓際のテーブル席でぐったりと突っ伏している二人。暁 古城(あかつき こじょう)神城 カルマ(しんじょう かるま)が呟いた。

二人が羽織るパーカーから除く灰色と金色の髪の毛と整った容姿さえ除けば何処にでもいるような高校生だ。

二人の容姿は整っているが二人の気怠そうな、それでいて眠たそうに細められた目のせいで、不貞腐れたような印象だ。

 

「なあ、カルマ。何で俺らだけこんなに大量の追試を受けなけりゃならないんだろうな」

 

「なんでだろうな~」

 

「いやいや、あんなに授業サボっといてテストも受けてないんだから何ではないでしょうよ。古城にカルマ」

 

古城の正面の席の友人が古城達の呟きに苦笑しながらつっこむ。

シャーペンを回しながら答えたのは首にヘッドフォンをかけ、短髪をツンツンに立たせた高校生の矢瀬基樹。

 

「あれは不可抗力なんだよ」

 

「仕方ねーだろう」

 

(朝一でのテストは辛いのに、あの教師は。鬼畜だな)

 

ドリンクを注ぎに行っていたもう一人の友人が不思議そうに聞いてくる

 

「朝起きれないって、体質の問題?吸血鬼じゃあるまいし」

 

「だよな」

 

「だよね」

 

「でも、そんなあんたたちを憐れんで手伝って上げてるんだから感謝しなさいよ」

 

「俺たちの金でそんなに飲み食いして恩着せがましいこと言うか」

 

「俺たちって言ってもほとんど俺の金だけどな、返せよ~」

 

「分かってるよ。畜生」

 

「あっ、時間だ。私そろそろバイトがあるから引き上げるよ」

 

「じゃあ、俺も引き上げるか」

 

『え』

 

「俺は宿題写し終わったし、浅葱が居なかったらこんな所で宿題する意味ねーだろ」

 

「じゃあね。御馳走様でした」

 

「がんばれよ、お二人さん」

 

「薄情もの~」

 

「ろくでなし―」

 

 

さっさと帰る友人たちに罵倒を浴びせ再び机に突っ伏す古城とカルマ。

 

 

 

 

 

 

 

『はあ~』

 

 

ファミレスから出て歩く暁 古城(あかつき こじょう)神城 カルマ(しんじょう かるま)が呟いた。

 

「熱い...焼ける。焦げる。灰になる....」

 

「熱い...死ぬ。消える。消滅する....」

 

太陽の光を鬱陶しそうにしながらも、高い気温にたいし愚痴をこぼしながら歩く、暁古城と神城カルマ。

 

そんな二人だがしばらく歩いていると、つけられていることに気付く。

 

 

「なんかつけられてる?」

 

「そうみたいだな。これお前を狙ってんじゃねーのか」

 

「マジか」

 

「じゃあ、俺こっちだから。じゃあな」

 

「ああ。じゃあな」

 

そして早足でその場を後にする。

しばらく行くと後方を振り返り確認する。彼女は少し動揺したような動きを見せるが俺を追わず、その場にとどまり古城の尾行している。

 

離れた位置から古城と彼女が見えるように建物の間に入り込むカルマ。

 

(あいつは獅子王機関の〝剣巫〟だな)

 

〝獅子王機関〟――――政府の国家公安委員会に設置された特務機関。魔導災害や魔導テロを阻止するための情報収集、工作を行う機関だったはずだ。

 

(俺も気を付けるかな)

 




二作目です。...一応
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