アルデアル公ディミトリエ・ヴァトラーのクルーズ船は、
パーティーの開始時刻は午後十時。大勢の招待客たちが、船内へと乗り込んで行く。
「...
船体に刻まれた文字に、古城は呆れたように呟いた。
「戦王領域がそれだけの権力があることを誇示するのが、目的なんだと思います」
雪菜が冷静な口調で解説。
古城は雪菜を見ながら解説を聞こうとするが、雪菜が古城に銀の槍の穂先を向ける。
「すみません。身の危険を感じて、思わず」
「そ、そうか」
白地に紺色のパーティードレス。胸元の露出は控えめだが、そのぶん肩から背中にかけて大胆にカットされている。薄い布地に覆われた雪菜の身体の輪郭がくっきり浮き上がっている。華やかなフリルのスカートからは白く引き締まった太腿がのぞく。
さすがオーダーメイドとあって雪菜に恐ろしく似合っている。
古城もスリーピースのタキシードを身につけている。獅子王機関から届いた荷物の中に、雪菜のドレスに一緒に入っていたものだ。
「意外と似合ってんなお前ら」
いきなり声をかけられ振り返ると白地のタキシードを着こなしていつも通りの笑みを浮かべるカルマがそこにいた。
「カルマ!?お前なんでこんな所にいるんだ?」
「いやー、俺もヴァトラーに呼ばれちゃってね」
「お前も呼ばれてたのか。えっと、お前の後ろにいるのは誰なんだ?」
「ああ、そうだった。こいつを紹介しとかないとな。鳴宮咲夜。俺の従者みたいなもんかな」
「鳴宮咲夜です。どうぞよろしくお願いします」
銀色に輝く髪にとても整った顔立ち、その存在を主張する豊かな胸元にキュッと締まったウエストに滑らかな曲線を描く腰回りは白地のドレスで覆われその輪郭を浮き上がらせ、スリットが入っている部分は、艶かしい太腿を覗かせている。芸術的ともいえる美女に古城と雪菜は見惚れていた。
「おい、どうした」
「「っは!?」」
カルマに声をかけられびくりとする姿に微笑む姿だけでももはや芸術的だ。
「古城はヴァトラーのとこに行かなくていいのか?」
「そうでした!行かないと」
「なんでだ?」
「招待されたんですから当然です」
「俺達は先に済ませたから行って来いよ」
「ああ、じゃああとでな」
古城と雪菜がヴァトラーがいるアパーデッキに向かうのを見送りながら、この後の展開を考え笑みを漏らすカルマ。
「主、何か面白いことでもありましたか?」
「いや、古城にヴァトラーが何をするかが何となく分かるからな」
「なるほど、この後はどうしますか?」
「食事をしながら古城達を待つかな」
やはり古城は面白いなと思うカルマであった。
鳴宮咲夜を出してみました。