カルマが教室に入ると、いつも以上に騒がしかった。
何故騒がしいのか詳しく聞いてみると、中等部にモノ凄く可愛い転校生が転入してきたという話だった。
その話を聞き、カルマはそれが誰なのかを何となく察して、その原因となったであろう人物を探す。そしてその人物は浅葱としゃべっていたので、会話が途切れたタイミンで話しかけた。
「古城」
「ああ、カルマか。どうした?」
「いや、何でもないさ。ただ何かお前の近くに居たらおもしろそうだからな」
「なんだそりゃ」
古城とカルマが話していると数人の男子が話しかけて来た。
「なあ、古城。お前の妹、中等部の3年Ⅽ組だよな。この娘、紹介してもらえねーか」
カルマの予想通り、雪菜だった。
「...あー」
「古城!あんた、「暁古城。いるか」」
浅葱が何かを言おうとした時、浅葱の声を遮り、古城を呼ぶ声が聞こえてきた。
「なんすか」
「昼休みに生徒指導室に来い。...中等部の転校生と一緒にな。」
「どうして姫柊を...」
「お前たちが深夜のゲーセンから逃げ出した後、朝まで二人で何をしていたのか、きっちり説明して貰うからな」
クラスの担任の那月ちゃんが爆弾発言を投下していった後、古城がクラスメイトから詰め寄られ慌ただしくなった。そしてカルマは大体状況が推測できるので爆笑していた。
「暁君。あなた、浅葱が居るのにどういうつもりかしら?」
「どういうって...俺と浅葱はただの連れでって!!月島!?」
「浅葱ならアッチだよ」
「ああー!世界史のレポート」
「フンっ!」
浅葱はちょうどレポートを破いている途中だった。
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昼休み終了直前。教室に戻ってきた古城が浅葱の席へと駆け寄る。
カルマも古城に合わせて浅葱の席に近づく。
「──ロタリンギア国籍の企業? どうしてそんなことが知りたいわけ?」
古城の説明を聞き終えて、浅葱は怪訝そうに訊き返す。
「いや、どうして...と言われても、そんなたいした用じゃないんだが」
昨日の事件の犯人を探していて、事件に関わっていそうな企業を探すということになったとカルマは、推測し口ごもる古城のフォローに回る。
「まさか、あんた...あの姫柊って子に頼まれたんじゃないでしょうね?」
「え? いや、まさかそんなバカな。いやいや」
「...」
「悪るいな、浅葱。ある奴に頼まれてんだけど浅葱に頼んだ方が確実かなって思ったからな...それで古城からの頼みなら受けてくれるだろうと思ったんだ」
古城は、不思議そうな顔をするが口を出さずに会話を見守る。
「別に古城を経由しなくてもカルマの頼みならやってあげるわよ」
そう言いながら浅葱は、スマートフォンを取り出す。
「ありがとな、浅葱」
「このくらいいいわよ。ロタリンギアの企業ね...ないわよ、そんなの。島内には」
キーボードを叩きつつ、浅葱はあっさりと機密情報を引き出す。
「ない? 一社もか?」
「ロタリンギアの企業と取引したり、代理店契約を結んでいる会社はいくつかあるけど、働いてるのはみんな日本人。だいたいヨーロッパ系の企業が絃神島に支社を置く理由はないでしょ。魔族特区は欧州にもあるし、最近の円高でほとんど撤退しちゃったんじゃない?」
「「...撤退?」」
カルマはこの古城が追っている事件がなんなのか何と無くだがわかり始めていた。
「そうか...浅葱、撤退済みの会社は調べられないか? できれば閉鎖した事務所がそのまま残ってるようなやつがいい」
「うーん、たしか過去五年以内だったら、記録が残ってたような気がしたけど...」
浅葱がキーボードを操作する。
「あったわ。一件だけど。スヘルデ製薬の研究所。本社はロタリンギア。主な研究内容は人工生命体ホムンクルスを利用した新薬実験。二年前に研究所を閉鎖して、今は債権者の差し押さえ物件になってるみたい」
「...それだ、浅葱! どこにある?」
古城が身を乗り出しスマートフォンを覗き込む。
「えーと、アイランド・ノースの第二層B区画。企業の研究所街ね」
「わかった。サンキュ」
古城はそう言うと、浅葱とカルマに急に背を向けて教室を出ようとする。
「ちょ、ちょっと、古城? どこ行く気?」
「急用ができた。出かけてくる!」
「はあ!? あんた、なに言ってんの。午後の授業はどうするのさ!?」
「上手いこと誤魔化しといてくれ。頼む!」
古城は、そう言い残すと教室を出て行く。そんな古城を廊下で待っていた雪菜に気付いて、浅葱は椅子を蹴散らしながら立ち上がる。
「こ、こら...! なにそれ!? あんた、ホント殺すわよ! 馬鹿──っ!」
廊下に向かって怒鳴り散らす浅葱にカルマも呟いた。
「...あの馬鹿どもは」
そういうや否や、カルマも教室から飛び出す。
「悪りぃ、浅葱。貧血の症状が出たから早退するって那月ちゃんに言っといてくれ!」
そう言い残し、古城と雪菜を追う。
「あんたもか! 今度ただじゃおかないからね!」
後方から聞こえる浅葱の怒鳴り声など気にもせずにカルマは学校の廊下を駆け抜ける。
疲れました。