ライメイジャパンの挑戦!〜青き炎・アナザーストーリー〜 作:支倉貢
その後、光輝たちはくじ引きをし、8対8のチームを組むことになった。
まず、Aチームのメンバーは光輝、神童、三月、篠原、滝原、灰藤、神谷、陽山。キャプテンは、光輝だ。
次に、Bチームのメンバーは青木、吹野、好瀬、涼野、野々宮、春野、沖野、月星。キャプテンは、青木が務めることとなった。
Aチーム、光輝はメンバーを見渡して言った。
「よーし、みんな!いっちょやってやろうぜ!」
「「「「おおっ!!」」」」
全員が拳を握りしめ、神谷はジャンプする。みんなの気合いを見て取った光輝は、満面の笑顔を浮かべた。
一方、Bチーム。青木はキャプテンマークを腕に付けながら、苦い心境だった。これからどうなるのか。果たしてこのメンバーで勝てるのか。青木は不安だった。
いや、そんなことばかり気にしていてはいけない。先のことをずっと考えていては、今のことに集中できない。
やってやる。覚悟を決めた青木は、メンバーに喝を入れた。
「行きますよ。ミニゲームとはいえ、この試合、本気を出すつもりで!」
「「「「おお!」」」」
「面白い。久々だ、こんなにゾクゾクするのは」
沖野がニヤリと口元に笑みを浮かべる。青木も、気を引き締め直し、キャプテンマークを握った。
グラウンドで両チーム並ぶと、青木と光輝は握手を交わした。
「いい試合にしような!」
「どうぞ、お手柔らかに」
お互い、挑発的な視線を送る。勝負は何事も本気で。それが、彼女らの自分自身のルールだ。
「それでは、始めるわよ!」
瞳子監督の声の後に、ホイッスルが鳴る。ボールは、Aチームからだ。陽山が神谷にボールを流すと、神谷はボールをキープしたまま走り出し、それを見た両チームの選手が、ほぼ同時に動き出した。
神谷は小柄な体格を活かし、月星を抜くとすぐに沖野や春野を抜かしていく。小さな隙間なら、どんなところにも入りに行く。
(やりづらいわね……。さすがにちょこまか動かれると、難しいわ。なら……)
青木はすぐに、行動に出ていた。神谷に向かって走り出すと、彼女の隣を横切った。
「What!?」
神谷の驚きの声が上がる。なんと、青木は神谷とすれ違った瞬間に、ボールを奪っていったのだ。まるでスリのような素早さだ。青木はボールを足元で一旦落ち着かせると、ボールを奪いに挑んでくる神谷をターンでかわし、パスを出す。その先には、野々宮だ。
「カナ、テル!走って!」
沖野と春野はその声に頷き、駆け出す。
「行かせない!」
ドリブルで上がる野々宮を、神童と三月がスライディングして止めに入る。野々宮は空中で1回転して、ボールを3つに増やした!
「イリュージョンボール!!」
ボールの幻影に惑わされ、神童と三月は抜かれてしまった。野々宮はすかさず、前線を走る沖野と春野にパスを出した。
「行くぞ、テル!」
「おっけー!」
2人はボールを宙に上げ、まるで第三の目を開眼させるかのように、オーラを解放した。そのオーラは銀河にも似た無限のもので、ゴール前で構える光輝も、ボールをキッと見据える。2人は同時にジャンプし、体を回転させる勢いで、2人同時にボールを蹴った。
「「ギャラクシーブレイク!!」」
どこまでも広がる銀河のようなエネルギーを
「すっげえ……なんてパワーだ!でも、俺だって負けねーぞ!!」
光輝は片足を後ろに下げ、その足に力を込めた。右手は拳を作り、強く握りしめる。そして、その拳を思いっきりボールに叩きつけた!
「正拳一閃!!」
拳はシュートを貫くように弾かれ、ボールはBチーム陣まで戻っていた。
「なっ……!何て力なの!?」
「はははっ!!やるじゃあないか、光輝!」
シュートを跳ね返され、驚愕する春野に対し、沖野は悔しがることなく笑顔だ。
ボールは神谷の足元に吸い付き、それを見て取った陽山も走り出す。神谷のマークに、吹野がついた。
「ボルケイノカット!!」
「きゃあ!」
跳ね飛ばされ、ボールは一瞬フリーになる。吹野が奪い取ろうとしたその瞬間、駆け込んだ陽山がすかさずボールをキープした。そして、ゴールで構える涼野に目を向ける。
「アトミックフレア!!」
「っ!あれは……」
南雲晴矢の必殺技。青木は瞬時に悟った。彼と戦った時、特にカオス戦は苦戦したと思い返す。
涼野も黙ってゴールを奪われるつもりはなく、人差し指で簡単な氷の結晶を描き、右手の手のひらを勢いよく突き出した。
「ブリザードガード!!」
氷の結晶から次々と大吹雪が吹き荒れ、炎のシュートは勢いを失い、最終的には涼野の手のひらに収まった。
「やりますね」
「負けるわけにはいきませんからね。お願いします、好瀬さん!」
「は、はいっ!」
ボールを託された好瀬は、吹野にパスを出す。吹野から野々宮、青木へと渡った。攻めようと、青木が前を向くと、そこにはとんでもない光景が広がっていた。
「おおおお!!」
「!?」
なんと、光輝がキーパーゾーンから上がってきて、スライディングで青木からボールを奪おうとしたのだ。間一髪青木はかわしたが、光輝は立ち上がってボールを奪おうと仕掛けてくる。
「くっ……貴女、一体何を考えているのですか!?」
「何って……ボールを奪うことしか、考えてねーよ!」
「そういう意味ではありません!」
ダメだ。会話にならない。ここまでする人物を、青木は円堂以外に初めて見た気がした。内心呆れていると、光輝がダン!とフィールドを蹴りつけた。すると、彼女の足に稲妻が宿った。
「!!」
「行くぞっ!うおおおおお!!」
まさか、ここからシュートを放つつもりか。悟った青木も、必殺技の体勢に入った。
「エレクトリカルバーストッ!!」
「ブレストフェンリルッ!!」
2人同時に、必殺技をボールに叩き込んだ。お互いのオーラに負けじと、2人はひたすらボールに力を込めた。
しかし。
パァアアン!!
「えっ!?」
「なっ!」
2人の間にあったボールが、あまりの強力なシュートに耐えかね、破裂してしまった。バランスを崩した光輝を、すぐに体勢を整えた青木が受け止める。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ。サンキュな!」
光輝をちゃんと立たせると、瞳子監督から制止の声が上がった。
「そこまでよ!」
「え!?もう終わりかよ!」
「結局、同点ですか……」
溜息をつく青木に、光輝は残念そうな表情をする。が、すぐに太陽のような眩しい笑顔を浮かべた。
「しっかしすっげえな、みんな!!俺、このチームならこれから先、勝っていけるって、確信した!みんな、やってやろうぜ!俺たちをなめたらどうなるか、思い知らせてやろうぜ!」
「完全に復讐目的ですか……」
「こんなキャプテンで、これから先が危ういわ……」
「なっ!?」
呆れる好瀬と青木に、光輝が食いつく。しかし吹野と野々宮も、彼女らと同じ意見だった。
「男子とどこまで張り合えるかは、まだわかんないでしょ?まったく、気が早いんだから」
「早とちりもいいかげんにしなさいよ?怜」
「何だよ2人まで〜!」
この状況を見た春野が、ふふ、と笑う。
「なんだか、楽しそうなチームね」
「はははっ!面白いチームになりそうだ!」
沖野も、彼女の言葉を受け、豪快に笑った。
青空の下、ライメイジャパンの心が一つになった瞬間だった。