ライメイジャパンの挑戦!〜青き炎・アナザーストーリー〜 作:支倉貢
あれから、結局ゴーストロックの手がかりを掴めぬまま、ライメイジャパンはさらに失点を重ねてしまった。
前半終了時、スコアは2対0。
これでは、ライメイジャパンの敗北は目に見えていた。
「あーっくっそ!!一体何がどーなってんだよ!」
「や、やっぱり呪いは存在したんですよぉおお!!」
光輝が苛立ちを隠せず、ヤケになったのか、仰向けに寝転がる横で、好瀬はブルブルッと震え上がった。
そんな状況の中、青木は溜息をつく。
このままではいけない。
何か、策を練らなくては。
あのゴーストロック……発動時と解除時とで、何か変化したところは……。
必死に頭を捻るも、何も思い当たらない。
同じことを、野々宮も考えていた。ユーレイなんて、信じたくない。いや、
どんなマジックにもタネや仕掛けがあるように、呪いにも何かトリックがあるはず……!
「……!」
まさか……そんなことが!?
野々宮の脳内で、一つの
だが、この仮定が正しければ、このゴーストロックのカラクリにも全て説明がつく。野々宮はニヤリと笑った。
だが……これがもし違ったとするならば、また新たな
まず、仮定が正しいことを証明しなければ。そのためには……。
「……ねえ、穂乃緒」
「?」
「お願いがあるんだけど……」
後半開始。キックオフは尾刈斗中からだ。
「ゴーストロック……!!」
開始早々、尾刈斗中イレブンはゴーストロックを仕掛けてきた。
瞬時に、ライメイジャパン選手の動きが、見えない何かで拘束される。
「くそっ……!これじゃ、前半と同じじゃねえか……!」
悔しげに光輝が尾刈斗を睨みつけるが、体が動かない今、彼女らに与えられた選択は、ゴールを決められるまで黙って見ているだけ。
もう終わりか……誰もがそう思ったその時。
「……ふふふ」
この状況の中、野々宮が一人笑っていた。
「ゴーストロック……ねえ……。単なる
「え!?」
「何!?」
光輝と幽谷の驚きの声が、重なる。
しかし、幽谷はすぐにニタリ、と余裕の笑みを浮かべた。
「ほう……気付きましたか。ですが、この状況を一体どうやって
「……ゴーストロックを仕掛けている
野々宮は青木に目配せをして合図を送り、頷いた。
受けた青木は深く体全体を使って、息を吸い込み始めた。
「……!?何をするつもりです……!」
青木は一瞬タメを作ってから、雄々しい雄叫びを上げた。
まるでそれは狼の遠吠え。
あまりのうるささに、ライメイジャパンと尾刈斗メンバーは耳を塞いだ。その瞬間に、隙が生まれた。
青木は風のように、キープしていた幽谷からボールを奪い去り、ゴールを決めた。
ピピィーッ!!!
「なっ……!?」
「あ、あれ!?俺たち、動けるぞ!!」
あまりに一瞬の出来事であったため、鉈も反応できず、ボールはラインの外を転がり、ネットに突き刺さっていた。誰もが驚愕の表情を浮かべる中、青木は涼しい顔で何事もなかったかのようにポジションへ戻り、野々宮は得意げに黒縁メガネを人差し指で押し上げていた。
「あんたたちのタネ……意外と簡単だったわ。もっとちゃんと練らないと、私に見破られちゃうよ?私の目に、見抜けない真実なんてないんだから……」
「……何カッコつけてんですか。点を取ったのは私ですけど」
「あら、でもゴーストロックの仕掛けを見抜いたのは私よ?」
ここぞとばかりに得意げになる野々宮に、青木は呆れ果てて溜息しか出なかった。
「で、でも、なんで青木さんが大声を上げた途端、私たちが動けるようになったんですか!?」
好瀬が驚きのあまり、あわあわと野々宮に詰め寄る。
野々宮はメガネをくいっと上げて説明し……ようとしたところを青木が変わって説明した。
「ゴーストロックは、あの尾刈斗の監督の『マーレー、マーレー、マレトマレ』とかいうワケの分からない呪文と彼らの動きによって、催眠術にかかっていたのですよ。私たちが暗示にかかればかかるほど、催眠術はかけやすくなる。私たちの不安を煽っていただけのことです。それを私の雄叫びが掻き消したことで、皆さんの暗示が解け、体が動くようになっただけのこと……」
「ちょっ……!それ私の説明!!」
「遅いのが悪いでしょう?」
ムキーッと怒る野々宮をあしらい、青木はポジションについた。
このまま怒られていても面倒なので、青木は彼女に軽く笑いかけた。
「ま、貴女のその洞察力は認めております。流石、名高いゲームメイカーですね」
そう。彼女こそ、その頭脳と
「おおっ!すげーぞ、ルチア!穂乃緒!よぉし、みんな!この調子で逆転だぁ!!!」
それからは呆気なかったもので、尾刈斗イレブンはあっさりと逆転されてしまった。
スコアは2対3。初戦からライメイジャパンの快勝となった。