風の復讐譚[更新停止]   作:kuraisu

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ルイズとサイトの描写がいまいちだけどこれ以上上手くかけん。
(仮)と比べて内容が増えてます。


第37話

目を覚ましたデュライは昨日のことを思い出していた。

 

既に昨日の襲撃の一件についてはその日のうちにブレスレッドで上に報告してある。ルイズがワープのような魔法でサイトを呼び寄せたことについては黙っておいた。単に言葉で説明しても理解を得られるとは思えなかったからである。

 

他にも襲撃犯の正体について心当たりがないかとルイズやサイトに尋ねた上でそのことも報告するつもりだったのだが、ルイズがとにかく眠いわとか言い、サイトがそれに同調し、アニエスがそれを援護するという連携プレーで質問をするチャンスを封殺され、詳しいことは翌日話すということにされてしまった。なので今日中に事情を聞いた上で再度報告をする必要があるだろう。

 

なので太陽が昇ってすぐにティファニアの家を訪ねたのだが2人はまだ寝ていると答えられてデュライは愕然としたものである。10歳にもならない村の子どもたちは既に起きて村の仕事をやっているというのに、なんという怠けた連中だろうか。

 

幼き頃から訓練というものを強制的に受けさせられ、成人する前から戦場を往来していたデュライにとって戦争に参加している時以外は可能な限り規則正しい生活をして健康管理を行うことが当たり前の習慣と化しており、それだけに2人が惰眠を貪ってること自体がなまけていると感じた。

 

だからイライラしているデュライであるが、2人が起きてこないのにはそれなりに理由がある。

 

ルイズは夜中寝ている時にメイドのシエスタ――の姿に変化したスキルニル――に叩き起されたことに加え、多数のガーゴイル目掛けて”虚無”の魔法を大規模に使用したので精神的に疲労もしているので寝たりないのである。

 

サイトに至っては昼ごろにルイズがウエストウッドに来てからエマの家で夜通しで泣きまくっており、真夜中に目のあの時間まで一睡すらしていないのだ。多少寝すぎてしまうのもしかたのないことだといえるだろう。

 

さらに言えばルイズは上流貴族の中でも最上流のお嬢様であったし、サイトもサイトで地球では上から数えた方が早いほどの経済力を誇る現代日本の高校生である。デュライとは育ちも常識も違いすぎた。

 

そこまで2人のことに関する情報を明確に理解していた訳ではなかったが、デュライは自分の苛立ちのまま行動することが大人気ないことであるとデュライの理性は判断していたので起きてくるまで待つことにした。

 

しかし時間をつぶすとしてもなにをしたものか。ほどほどの大きさの街であるならば酒場に行けば時間などいくらでもつぶせれるのだが、あいにくとここは平均的な小さい寒村よりさらに小さい孤児院村である。酒場などあるはずがなかった。

 

色々悩んだ末、村の隅の方で剣を振っているアニエスの姿が目に入り稽古でもするかと考え、短剣(ダガー)を手に取った。デュライの本質は銃使い(ガンナー)であったが、弾切れが起きた場合や接近戦用に短剣(ダガー)の技術もそれなりに習得していた。

 

とは言っても短剣(ダガー)を扱うようになったのはハルケギニアに来てからであり、銃の腕前と比べるとかなり劣るのだが。

 

そうこうしている内にサイトとルイズも起床し、ティファニアの家でデュライ、サイト、ルイズ、シエスタ、アニエス、そして家主のティファニアが卓を囲んでようやく話し合いの場を持つことができた。

 

「それで貴方だれなのよ?」

 

「元傭兵のアルビオン正規兵だよ。鉄騎隊(アイアンサイド)所属って言えばわかるかな?」

 

デュライの返答にルイズは眉を顰めた。戦争に参加すると決め、敵国アルビオンの情報を学ぶ中で鉄騎隊(アイアンサイド)という組織も軍高官から教えられていたが全く好印象が持てていなかったからである。

 

しかしすぐあることに思い至り、顔を赤くした。

 

鉄騎隊(アイアンサイド)って貴族派の部隊じゃないの! なんで負けた相手がサイトを探してるのよ!?」

 

「今の俺たちはれっきとした王党派、それもエドムンド殿下直参なんだが」

 

怒り狂うルイズにデュライは肩を竦めて答える。

 

「ル、ルイズ? そもそも鉄騎隊(アイアンサイド)ってなに?」

 

ほとんど流される形で戦争に参加していたサイトは敵の部隊のことなんか殆ど知らなかったのだ。

 

「俺たちけっこう有名な存在だったんだと思うんだが、お前なんで知らねぇんだ?」

 

自分の所属する部隊がかなり暴れまくって良い意味でも悪い意味でも名を(とどろ)かせていた自覚のあるデュライは、自分たちが参加する戦争に参戦していながら鉄騎隊(アイアンサイド)のことを知らないというサイトに呆れていた。

 

鉄騎隊(アイアンサイド)というのは元々はどこにでもあるような傭兵団だった」

 

アニエスは元傭兵であり現在はトリステインの要職につく身であったので、彼らの評判をよく知っていた。

 

先王アルフォンス五世崩御を端に発する政変で混乱したガリアを侵攻の好機と見たゲルマニアとの国境紛争で鉄騎隊(アイアンサイド)はガリア側の領主に雇われる形で参戦し、僅か二百前後の手勢で三千のゲルマニア軍を手に取るように翻弄して潰走に追い込んでみせた。

 

そしてガリア側の領主は彼らの総帥が凄腕メイジだったので自然と鉄騎隊(アイアンサイド)そのものを自分達が永続雇用しようと考えたが、隊の幹部全員に貴族籍をくれてやるという破格の条件でそのことを提案したが彼らに断固拒否されてしまったという2つの逸話から彼らは一気に有名なった。

 

その後はジョゼフ即位にに不満を持つ貴族がたびたび起こす反乱騒ぎに参戦して武勇を重ねつつも、明確にどこかの貴族に仕えるという道を彼らが選ぶことはなかったので、傭兵という生き方にこだわりがあるのではという見方を周りからされていた。

 

だがしかし、アルビオンでクロムウェルが内乱を起こすや否やすぐさま馳せ参じ、”レコン・キスタ”に参加したので傭兵業界の情報に詳しい者達はそろって仰天したという。

 

”レコン・キスタ”に参加した鉄騎隊(アイアンサイド)は幾度となく戦場で武功をあげ、規模を飛躍的に拡大させていき”レコン・キスタ”の中核を成す大部隊へと成長を遂げた。

 

”レコン・キスタ”がアルビオン王家を打倒すると鉄騎隊(アイアンサイド)総帥エクトル卿はクロムウェルから護国卿の地位を賜り、それに伴って鉄騎隊(アイアンサイド)もアルビオンの精鋭中の精鋭として扱われるようになった。

 

だが、戦争末期にエクトル卿が暗殺され、副総帥ディッガーが指揮をとるようになると突然王党派の支持を表明し、エドムンドを担ぎ上げて虜囚(りょしゅう)の身にあったジェームズを救い出して首都ロンディニウムを”レコン・キスタ”から奪回し、鉄騎隊(アイアンサイド)は”レコン・キスタ”に参加していた時と同じようにアルビオン王国軍の中核となっている。

 

そのような説明を聞いていたサイトは最初ら辺こそ「テンプレな成り上がり物語みたいだな」と思っていたのだが、総帥が暗殺された直後に王党派に鞍替えして王党派に重用されていると知ってものすごく嫌な感じがした。

 

というのもサイトはアルビオン王国滅亡前日にジェームズを直に見ている。ウェールズと違って2人で話すような機会はなかったが、ウェールズと同じよう誇り高い人でニューカッスルの戦いで貴族派相手に玉砕したのだと思っていた。貴族派に囚われて今まで生き残り、鉄騎隊(アイアンサイド)を重用したりするんだろうかと疑問に思えた。

 

ルイズも同じなのかサイトと同じように困惑した顔をしていた。ルイズは戦争終結からサイトが自分を守るために死んでしまったと思いつめていたため、戦争終結後のアルビオンがどうなったかなど知りもしなかった。道中で国民がエドムンドの評判を言っているのを聞いた機会はあったが、ルイズはそれを新しいアルビオン政府の貴族の誰か程度にしか思っていなかった。

 

「それでエドムンド殿下がサイトを探していてな。ある事件の参考人らしいが詳しいことは俺はしらんって言ったら、そこの女が文句を言ってきてな。そのことを上に報告したら殿下直筆の手紙がきてな。交渉人を送りつけるから文句があるならそいつと交渉してくれとの御達しだ」

 

デュライの説明にルイズはサイトを睨みつけた。

 

「サイト! あんたなにかしたの?!」

 

「なんもしてねぇよ!!」

 

「なにもしてないならアルビオンの王族に目をつけられるわけがないでしょ!! しかもトリステインの近衛が絡んでると知っても引かないなんてかなり深刻よ!!」

 

「ほんとに知らないんだってルイズ! 始祖に誓ってもいい!」

 

「ほんとにほんと?!」

 

「ほんとうだよ!!」

 

滑稽なコントを見せられている気分になった当事者以外は呆れた顔をした。そして隣にいた見兼ねたシエスタが軽くルイズにチョップをかまして収拾をつけた。

 

平民のメイドが公爵令嬢にするには無礼極まる行為であるにもかかわらず、ルイズがまったく怒らないのでデュライは驚いた。今までの会話でかなり気性が激しいと認識していたからである。軽く咳払いして感情を落ち着けると口を開いた。

 

「つまり今の俺の任務はサイトの監視兼護衛なわけだが……、それだけに昨夜の襲撃犯について心当たりがあれば教えて欲しい。今日もあのガーゴイル使いが襲ってこないとは言い切れんし、そうなればこの村が戦場になるかもしれん。そうなったらティファニアたちに迷惑だろう。となれば多少命令に背くことになるが場所を移動した方がよいかもしれん」

 

デュライの言葉にティファニアとサイトはハッとなる。その可能性をまったく考えていなかったからだった。

 

「でも昨日の戦いでかなりガーゴイルを壊したわ。そうすぐにまたやってくるとは思えないけど?」

 

「別にガーゴイルを使わねばならん理由があるわけでもない。この国はついこの前まで戦争状態だったんだ。1日かけてそこらに溢れている傭兵を見境なく雇えば五十程度の数は簡単に集められるだろう。そんな大人数に襲われれば俺たちだけならばともかく戦う術がないこの村の子どもたちを守りながらとなると簡単に潰されかねんぞ。それともお前らにはそうなってもどうにかする方法があるのか?」

 

「サイトが皆守ってくれるわよ!」

 

「……そうなのか小僧?」

 

「え。たぶん大丈夫だと思いますけど」

 

「つけ上がるな。なるほどお前は十代の少年にしてはそれなりに場数を踏んでいるのかもしれんが、剣士一人で何倍何十倍もの人間を守ることなどできはせん。お前がイーヴァルディの勇者でもない限りはな」

 

デュライの言葉は厳しいが長く傭兵をしてきたアニエスはそれは正しいと思った。

 

一方、サイトはまったく別のことに気にした。

 

「あの、イーヴァルディの勇者ってなんですか?」

 

あまりな質問にデュライは椅子から滑り落ちかけた。

 

「……始祖の恩寵で強靭な肉体を手に入れた剣士が、剣一本で悪徳領主やら竜やら魔王やらを討伐するおとぎ話だろうが。ここなら誰だって子どもの頃に一度くらいは聞くと聞いたが?」

 

「いや。前にも言ったけどおれハルケギニアじゃなくて東方生まれなんですよ」

 

いつものカバーストーリーを語るサイトだが、それに対するデュライの態度は今までの人たちとはやや反応が異なった。

 

「それでもお前、傭兵してたんだろ? だったら凄腕のメイジ殺しのことを讃える時に出てくる名前だろうが。ハルケギニア出身じゃない俺でさえ、イーヴァルディの勇者の物語のだいたいのお約束は知ってるってのに」

 

「え。ハルケギニア出身じゃないって、もしかしてデュライさんも東方生まれなんですか?」

 

「東方っていってもメイジの数が少ない事を除けば、このハルケギニアと大して変わらん文化圏の出だがな」

 

「ってことはあんたエルフの住む砂漠を越えてきたの?!」

 

「ああ。証拠もあるぞ。こいつがそうだ」

 

そう言ってデュライは風銃を取り出して机の上に置いた。それを見てルイズは首を傾げる。

 

「なにこのヘンテコな銃?」

 

「エルフの国境警備隊とやりあった時の戦利品さ。エルフの技術はこのハルケギニアと比べてかなり進んでいるみたいだな。火薬ではなく風石で弾を撃ちだすことによって攻撃力を高めて有効飛距離を伸ばすことに成功しているし、火薬じゃないから水中でも発砲可能だ。おまけに撃つたびに円形の弾倉が回転して連射できるようになってる。四連発まで可能だ」

 

「……それは凄まじいな」

 

デュライの説明を聞いてアニエスは冷や汗を垂らした。普段銃を使っているからこそ風銃のとんでもなさがよくわかった。

 

「ちょっと待って!? じゃああんたはエルフを倒してこのハルケギニアに来たっていうの!!?」

 

ルイズは叫んだ。ハルケギニアの民にとって先住魔法を扱うエルフは絶対的恐怖の対象だ。歴史上幾度エルフと戦い、その度に敗れ、彼らの強さを教えられてきたことか。そんなエルフをメイジですらない銃士が倒してきたとはルイズは思えなかった。

 

「いや、確認してないが何人か負傷させて相手が混乱してる時に逃げ出してきたから倒したってわけじゃねぇな」

 

デュライは頭を掻きながらそう言った。

 

「あの、どうしてエルフの警備隊と戦うことになったんですか?」

 

ティファニアは怖いものでも見るかのようにデュライを見ながらそう質問してきた。

 

その視線をやや怪訝に思ったが、もしかして自分から凶暴なエルフに戦いを挑むようなバトルジャンキーみたいに思われているのかと不安になったデュライは若干あわてながらも優しげに説明した。

 

「むこうがシャイターンだかシュターンだか訳分からんことを叫びながら問答無用で襲ってきたから自衛の為に戦っただけだ。じゃなきゃ自分からエルフと戦ったりせん」

 

そう言われるとティファニアはしゅんと落ち込んだように顔を伏せた。なにがいけなかったとデュライは頭脳をフル回転させるが全く原因がわからない。

 

「そ、そんなことより! 今は昨日の襲撃犯の話だろ! なぁルイズ!!」

 

気まずい雰囲気に耐えられなくなったのかサイトが叫んで場を和ませた。

 

「……それもそうだな。話がそれすぎた。で、襲撃者の事について詳しく教えてくれんか」

 

そう言ってルイズは襲撃者のことを話した。ただし相手が”ミョズニトニルン”であることは除いて、である。

 

「シェフィールド?」

 

「そんな名前を名乗ってたわ。偽名だって言ってたけど心当たりあるの?」

 

「どっかで聞いた名前だとは思うんだが、思い出せんな。渡された膨大な犯罪者リストにでも載ってたか? まあいい、上に報告しておこう。大量のガーゴイルを操るシェフィールドと名乗る女。そんな奴が何人もいるとは思えんしな。それにそいつがどっかの国に仕えてる存在でミス・ヴァリエールを狙った襲撃だったというなら一度失敗してなお、傭兵どもを集めて再度襲撃するような軽率な真似はせんだろう」

 

しばらくガシガシと頭を掻いたが、急に気配を変えてデュライは傲然とした。

 

「それでミス・ヴァリエール。お前何者だ?」

 

その質問にルイズは困惑し、ついで激怒した。

 

「何者って昨日名乗ってじゃない! ヴァリエール公爵家の三女で女王陛下直属の女官だって!!」

 

「そういうことを聞いてるんじゃない。お前、何系統のメイジだ?」

 

「え」

 

ルイズは目が点になった。

 

「昨日の夜、変な光を出してこの村にいたはずのサイトを呼び寄せたりしていたな? それに最後にガーゴイルどもを一掃した魔法もなんだ? 俺はこのハルケギニアに来て随分とたつが見覚えが全くない魔法だ。いや、見覚えがない魔法でも何系統の魔法かくらいは推測できるが、お前が使う魔法はまったくわからん。まさかとは思うが異端の魔法じゃねぇだろうな?」

 

デュライの追及に事情を知らないティファニアを除いて全員が顔を青くした。

 

「い、異端なんかじゃないわよ。平民が憶測でとんでもないこと言わないでッ!」

 

虚勢を張ってルイズは反論するが、デュライは冷笑するだけだった。

 

「確かに俺は魔法知識に関しては無教養な平民だからな。ならちゃんと判断できる異端審問官殿にお伺いをかけるとしよう。この一件が終わればご同行願えるかな? でなきゃ上にルイズ嬢が得体の知れない魔法を行使しているからそのことに関してトリステインの聖職者達にお教えするべきと進言するとしよう」

 

ルイズの顔が青ざめた。異端審問なんかされたらどっちにしてもおしまいだ。異端認定されればそのまま火刑に処されるだろうし、”虚無”と認定されてもロマリアに始祖の再来と祀り上げられて姫様に仕えることができなくなってしまう。

 

かといってデュライに付き合わずにトリステインに戻ったとしても、デュライが上司に連絡してその上司がトリステインの聖職者達にそのことを教られれば彼らは自分を異端審問にかけるだろう。そうなれば結果は同じだ。

 

そこまで思考が及んでしまったルイズは、自分の親友との約束を破って自分が”虚無”であることを目の前の人物に洗いざらい白状するしか道は残っていなかった。

 

「……”虚無”か。この目で見たとはいえ、とても信じがたいがあの魔法の神聖さが偽りとも思えんしな」

 

デュライは腕を組んで頷く。もとよりルイズが”虚無”であることはエリザベートら吸血鬼の諜報活動によりアルビオンの知るところであるがその情報源を明かすことができない以上、表立ってその情報を活用できかった。

 

しかし別の情報の入手経路を確保すれば表だってルイズが”虚無”であるというカードを操れるようになる。それはこれからのトリステインとの外交に置いて無視できぬ要素となるだろう。

 

先日そう判断したエドムンドからそう命令されていたのでデュライは追及に迷うことがなかった。

 

「デュライ殿。できればこの件は内密にして頂きたいのだが、よろしいだろうか?」

 

アニエスが駄目元で言う。

 

「……直接エドムンド殿下にお会いして報告する。その際、銃士隊隊長殿のお願いも一緒にお教えしておく。小難しい政治的判断はエドムンド殿下の仕事だ。しかしそれほど悲観する必要はないと思うがな」

 

「なぜだ?」

 

「”虚無”の再来などされてはロマリアが騒ぎ出す。今度こそ聖地を奪回しようなどと言いだしかねん。そうなると長きにわたる内乱の戦後復興に取り組まねばならねぇこの国から軍隊を出すよう要求されて悲惨極まることになる。俺ですらわかることをエドムンド殿下が分からんはずがない。大体的にミス・ヴァリエールが”虚無”と言いふらす可能性はほぼないだろうよ」

 

デュライの推測にアニエスは頷いた。全く持ってその通りだ。

 

「ところでさっきから気になってたんだがサイトの左手の甲のやつはいったいなんなんだ? 昨日の夜はそんなもんなかったはずだが」

 

デュライの疑惑の視線にサイトは背筋に嫌な不快感を感じた。

 

「え、えっとこれは、その……、そう! ルイズの使い魔の印です!」

 

「使い魔の印? ……ひょっとしてそれルーンなのか? 確かにそう言われればそう見えんこともないが……、人間の使い魔なんざ聞いたことがないぞ」

 

「ほんとだよ。な! ルイズ!?」

 

「え、ええ! そうよ!! サイトは確かにわたしの使い魔よ!」

 

なんか必死さを感じる肯定にデュライの疑惑は膨れ上がった。

 

「お前ら、なんか隠してねぇか?」

 

「ないない、そんなことないよー」

「ないにきまってるわ。 うん」

 

2人の棒読み口調に絶対になんか隠し事してると判断したものの、追及材料がないのでデュライは引き下がり、得た情報をブレスレッドで報告すべく挨拶もそこそこにティファニアの家から出た。

 

それでルイズとサイトはとりあえず、サイトが”ガンダールヴ”であることは隠せたと声を出して喜んだ。




報告を聞いたらエドムンドは確実に頭を抱えるでしょう。
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