「よくわかった。お前、馬鹿にもほどがあるだろ」
宿舎の一室でデュライがひきつった笑みを浮かべながらそう言った。
「ひでぇ!」
「馬鹿じゃなければ、よほどのマヌケだ。よくまあ殺されずにすんだもんだな」
抗議を一蹴し、デュライは蔑む目で涙目のサイトを見た。
朝起きるとアルニカからルイズと喧嘩別れしたらしいサイトを教導隊が借りている宿舎まで連れてきたと聞いたデュライは、とりあえず状況を把握しようと思い、早速サイトに貸してる部屋を訪れた。
そして怒り心頭のサイトからルイズと喧嘩した理由を聞きだしたのだが……、想像以上のサイトの馬鹿っぷりに呆れきっていた。
たしかに女性をその気にさせるためにあえて冷たく接してみるのは、女性に対するテクニックのひとつである。だが、サイトの話を聞く限りやりすぎである。挙動不審な態度で夜の散歩を宣言するとか、デュライにはどう考えてもすでにまいって誘っているとしか思えない。
いやまあ、ルイズはプライドの高い女だから、あえて気づかないふりして焦らし、恋愛ゲームの主導権をこっちに奪うのもひとつの手ではあるのかもしれないが、それをするにしても一日だけで十分だ。サイトみたいに一週間以上もやらかしたら、拗れすぎてめんどうになるだろう。
「でもデュライさんは信じてくれるじゃないですか」
「ハッキリ言って信じがたいことだが、いまいっぽうの当事者であるティファニアに異変がない以上、おまえの言うことがだいたい正しいんだろうと考えてのことだ」
ティファニアの性格を考慮すると、いきなり同年代の男から胸を触られたりしたら、しばらく怖くて学院を平然とうろつけなくなってるはず、というのがデュライの考えであった。
「じゃあ!」
「だがな。ルイズの小娘の側に立って考えてみろやテメェ」
「え?」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をするサイト。
「前に聞いた話じゃあ、あとひと押しってとこまでルイズを押してたんだろ。そんな状況でお前が大怪我して医務室に送りになったんだからルイズはさぞ心配してただろうよ。そこで見舞いに行ったらお前はのんきにもティファニアの胸を揉んでたわけだ。どんな女でも怒るに決まってんだろーが」
ルイズを押していたという前提面でも思うところがあったが、なんかその辺を突っ込んでると冗談抜きで日が暮れそうな気がしたので、デュライはその辺へのツッコミはすっ飛ばすことにした。
「でもテファの胸をさわったのは不可抗力で……」
「不可抗力だとしてもだ! 第一、お願いされたからって意中の女をほったらかして別の女の胸をさわりにいった時点で論外だ!!」
「なんで!?」
「なんでって、おまえマジでわかんねぇのか?!」
想像力の欠如ってレベルじゃねぇ!と思いながら、デュライは自分の銀髪を手で乱暴にかき回す。
「あー、じゃあ、あれだ。自分とルイズの立場を逆転して考えてみろ」
「逆転して?」
サイトは腕を組んで考えてみた。
ルイズからなんか徹底的に無視されており、自分はやきもきしている。
そんな時にルイズが事故かなにかで大怪我をして病院に入れられたと聞いた。当然、自分は心配になって様子を見に行くだろう。それにもしかしたら無視もどうにかできるかもしれないし。
ところが病院でルイズは気持ちよさそうにティファニアの胸を揉んでいた! ……普通にこの世の天国だな。このままながめてるのもいいか、って気分になって、しばらく目が釘付けになるだろう。
ムフフな妄想を始めてしまいそうになるのを首を振ることで霧散させた。違うだろ。この場合、テファの役をだれかに変えなきゃおかしいことになる。
じゃあだれを? ギーシュ……、は、ないな。というかルイズがギーシュのことをボロクソに言ってたのを何回も聞いたことあるので想像したくても想像できん。
他の奴らもだいたいおんなじだよなぁ。ルイズが好意的だった男って記憶にない。……いやいたな。ルイズの婚約者だったワルド子爵とアルビオンで竜に相乗りしていい雰囲気醸し出してたジュリオの二人だ。
その二人に体をマッサージされながらルイズがベットで
具体的にはワルドの義手を斬り飛ばした上で無事な方の腕も切り飛ばし、ジュリオの顔面を二度と見れないレベルになるまで殴り続けるほどキレるだろう。
そこでサイトはようやくルイズの気持ちがわかって自己嫌悪した。もしそんな状況でルイズが「どうしてもって二人が頼み込んできたから」とか言われても怒りは収まらないに違いない。
うわ。おれ、なんでルイズはわからないんだと思ってたけど、わかってねぇのおれの方じゃねぇか。ルイズから馬鹿犬って言われるのも当然だよ。いや犬以下だな。
部屋の隅に引っ込んで壁に指でのの字を書き始めたサイトを見て、ようやくわかったのかとデュライはため息を吐いた。
「しかし……」
サイトから聞かされたルイズの暴虐というのは、なかなか凄まじい内容だった。サイトの鈍感さやらなんやらで怒りのパラメーターが限界突破していたことを考慮しても、なかなかである。
サイトがルイズの部屋に閉じ込められていた三日間。サイトをパンツ一丁で首から罪状とやらを書いた木の板をぶら下げさせるという格好をさせ、容赦なく乗馬鞭を振るい、罵倒を浴びせ、自己批判を強要したというのである。
人間の尊厳を踏みつぶす常套手段と言ってよい。彼女はアルビオン戦で従軍した時にそういう部隊にでも所属していたんだろうか? それとも
もしそんな経験がないのにそんな手法が行えるのだとしたら、激怒していたことを差っ引いても収容所の拷問官としての天性の素質を持っているとしか思えない所業である。かつて自分が所属した”死神のフィアンセ”の指導者なら、なんとしても自分の配下に置こうとしたのではあるまいか。
「おれはロクデナシだよ。ギーシュのツメの垢でも飲むべきだな。うん」
サイトがブツブツ呟き始めたを見て、デュライはため息をついた。なんていじけ方だ。付き合ってたらこっちまで気が滅入りそうである。
「おい。今日の訓練は夕方からだ。わかってるのか」
「俺なんかいなくてもね。訓練になるの。むしろ俺がいない方が――」
「……
付き合いきれないとばかりに肩を竦めてデュライは思わず母国語でそう言った。そしてすぐ自分のうかつさに舌打ちすると部屋から出て行った。
しかし落ち込んでいるサイトはデュライの変な言葉にまったく気づかず、お調子者である反面おちる時はどこまでもおちるサイトの性格もあいまって、デュライが自分に舌打ちしていったと勘違いしてさらに落ち込んでいった。
訓練終了後、
「みんないいなあー」
マルスは片腕で頬杖をつきながら、ブスっとした調子でそうぼやいた。彼は水精霊騎士隊の隊員ではないが、年齢がほとんど変わらないこともあってすっかり彼らと意気投合し、一緒に騒ぐのが毎度のこととなっていた。
「なにがだい?」
そう問い返すのは水精霊騎士隊の頭脳面を担当している自負しているレイナールである。生真面目な性格で、水精霊騎士隊の結成初期からすべてに楽観的な隊長や遠方出身だから常識に欠ける副隊長に変わっって、そういった面を担当しなくてはならないと決心していたほどである。
だから自然と混ざり込んで来た異分子であるマルスに警戒を抱いたのだが、マルスが接近してきたことに特に裏がなかったため空回りだった。だが性格的に噛み合ったのか、水精霊騎士隊の中で一番マルスと仲良くなってしまっている。
「みんなモテて幸せそうだなって」
「いや、きみだってモテててるだろう? 昼間、あんなに楽しんでたじゃやないか」
「たしかにそれはそうなんだけど。なんというか、その……」
マルスは口ごもった。どうやって説明しよう。ギーシュとモンモランシーに例えれば大丈夫だろうか。いや言葉にするとなんか誤解を招くような気がしてしかたがない。
「なんか説明しにくいから、気にしないでくれ」
「そう言われると気になるんだけど……、わかったよ」
釈然としないものを感じながらもレイナールは頷いた。それから娯楽小説の話題をしていると突然、
「女子風呂を覗こうというのか!」
突然そんな不穏な叫び声が響いた。周囲のざわめきがぴたりとやみ、叫び声の中心地へと全員が視線を向ける。
そこでは顔を真っ赤にしたギーシュが憤懣遣る方無いといった感じで佇んでおり、相対するギムリが静かにしろと唇に人差し指を立てていた。
恋路を派手に踏み違えたせいで廃人のような精神状態になっている副隊長を、どうにか立ちなおせられないかとギーシュが頭を悩ませていたところ、ギムリが「女子風呂を劇場として機能させ、観賞しようぜ」と言い出ししたのであった。
「き、きき、貴族として恥ずかしいとは思わんのかね!」
「だがな、隊員の士気が下がっているのを、一員として見過ごすわけにはいかん」
ギーシュの怒り心頭な非難を、堂々とした態度でギムリは最初こそもっともらしいことを言ってこたえていたが、もうすぐある舞踏会でエスコートする女生徒を決めねばならず、そのためにはどの女子がダンスが得意か調べる必要があるとし、見極めるには女子の裸を確認するのが最適であり、女子風呂を覗くは貴族の義務という結論にいきつくあたり、むちゃくちゃであった。
むちゃくちゃであったが、この場にいるのは全員異性に興味津々な年頃の少年たちであり、彼らはギムリの論理的にむちゃくちゃだろうが結論に深い共感を感じていた。そしてそれは隊長であるギーシュも例外ではありえなかった。
「いかん! いかんよきみ! 女子風呂は、厳重に魔法で守られている!」
だが、ギーシュはそう叫んで女子風呂を覗くことに賛同しようとしなかった。心情としては完全にギムリの主張に傾いていたのだが、彼が知る厳しすぎる現実がそれに追従することを許さなかったのである。
ギーシュは語る。自分はこの学院に入学した際に真っ先に女子風呂の構造を調べたのだと。調べ上げた結果、女子風呂は半地下型の構造になっており、覗くためには陸路で接近するほかない。しかし女子風呂の周囲には自動探査型ゴーレムが五体もウロついていて、まずこの防備を突破しなくてはならない。仮に突破しえたとしても女子風呂の窓はいわゆるマジックミラーで外から中を覗くことは不可能であり、おまけに強力な”固定化”の魔法がかかってるので”錬金”でただの窓に変えることもできない。
これだけでも十分な障害であるというのに、女子風呂の壁には魔法探知装置が張り巡らされているので、壁に魔法を使うことはおろか、壁に”フライ”で接近するだけで魔法探知装置が反応。周囲に警報音が鳴り響くので、女子の裸どころか風呂の湯気すら拝めず、”変態”という不名誉な二つ名を背負って学生生活を送らなくてはならなくなるという、割りに合わないことこの上ないリスクを背負う覚悟が必要だ。
玉砕するとわかりきっているのに難攻不落な要塞に無謀な突撃させることを認めるに等しい真似、どんなに心情的に賛同したくとも武門の子たるギーシュが認められるはずがなかったのであった。
「お手上げだよ。メイジには、どうにもならないんだよ!」
そう言って泣き崩れるギーシュ。女子風呂を覗くことが技術的に不可能であるという認めがたい真実を、直視してしまった男の悲痛な叫びであった。周りも同感なのか「くそ!」「なんてことだ!」「余計なところに大金かけやがって!」という恨み言が口々にあがる。
「なんて理不尽な防備体制だ。レイナールもそう思うだろ?」
「……ぼくとしてはちゃんと体制を敷いていてくれて感謝したいよ」
同じように怒りを感じているらしいマルスに対し、レイナールは逆にホッとした様子だった。
「さて、そんな風呂がある本塔がある図面を、拝見できる栄誉に恵まれた貴族がいたとしたら?」
そのギムリの声は大きくなかったが、全員の耳にしっかりと届いた。あまりに衝撃的な内容であり、ギーシュは震える声で確認する。
「ま、まさかきみは……」
「その幸運な貴族だよ」
一同から鬨の声があがった。絶望的な状況の中に希望を見つけた歓喜の歓声であった。
ギムリが一枚の紙を懐から取り出した瞬間、その歓声は止まり、全員緊張感を露わにしてその紙を見つめる。ギムリは、にやっと不敵な笑みを浮かべるとそれをさしだした。ギーシュが震える手でそれを受け取り中身を確認すると、彼の全身が感動で震えだした。
「ぼくが将軍だったら……、きみに勲章を授与しているところだ」
やがて縛りだすようにその言葉を吐き出した。ギムリの持ってきた図面が本物であると認めたのである。その事実を共有した隊員たちは感動に打ち震えた。彼らは聖者の偉業を目撃した敬虔な信徒のごとき気持ちになっていたのである。
しかし、そんな男たちの感動の場面に納得できない者が一人いた。
「諸君! 紳士諸君! ぼくは情けないぞ!」
レイナールである。生真面目な彼はこんな破廉恥極まる所業を行おうとしている同僚たちが許せないようであった。
思わぬ反対者の出現に、水精霊騎士隊の面々は困ったように顔を見合わせる。男にとって神聖な使命感のようなものを共有していたが、それでも仲間を犠牲にしたくないと彼らの瞳が語っていた。
だがレイナールの様子からあることに気づいたマリコルヌが、同僚の暴挙を止めようと顔を真っ赤にして反対する彼の前に真顔で立った。
「ぼくたちは貴族だ。ましてや近衛隊だ。いつ何時、祖国と女王陛下のために命を捨てるとも限らない。死は我々の隣に、いつもある。死は友であり、ぼくたちの半分だ」
「そのとおりだ! そんな貴族のぼくたちが……、その、風呂を……」
ハッキリと女風呂を覗くと口に出すのが恥ずかしいのか、レイナールの言葉はだんだん小さくなって聞き取れなくなっていった。
「さてきみは、あのティファニア嬢のものがホンモノかどうかわからぬまま、死にきれるのか」
レイナールは蒼白になった。どんな性格でろうとも対象が男であるかぎり、ティファニアの裸は想像してしまうだけでその理性に対し、戦略級核兵器並の破壊力を発揮するのであった。
「ぼくには無理だ」
マリコルヌのその宣言が決め手になったのか、レイナールの理性は必死の抗戦を行ったものの、勢いが強すぎる男の本能によって容易く突破され、がくっと膝をついて敗北宣言した。
「た、確かめたいです……」
「見損なったぞレイナール!!」
消え入りそうなレイナールの魂の叫びに、異を唱えたのは驚いたことにマルスであった。
「いつもの生真面目なきみはどこに消え失せた! 騎士隊の良識家があさましい欲望に膝を屈していいのか!」
「でもきみ、さっきまでぼくらと一緒に感動していなかったか?」
「見間違いだろう」
ギムリのツッコミをそう受け流したが、たしかにマルスはさっきまで彼らと同じ男の神聖な使命感を共有していた同志であった。
なのになぜ裏切ったかというと……、マリコルヌがティファニアの名前を出してしまったのが原因であった。さっきまでとくに意識していなかったのだが、女子風呂にはティファニアが入っている可能性があることに気づいてしまったのであった。
普通ならその事実は、男の神聖な使命感をより強くする材料になったのであろうが、この少年の場合はそうはいかなかった。ティファニアがアルビオン王の腹違いの妹君であることを知っていたからである。
アルビオン王家を絶対視している彼にとって、国王や本人の許諾を得ることなく王家の血が流れているティファニアの裸を覗き見るなど不敬極まりない行為であり、断じて許せないことであった。たとえティファニアの裸に対して他の少年たちに匹敵するほどの興味があったとしてもである。
意外な伏兵の出現に水精霊騎士隊はどうしたものかと本気で悩んだ。ギーシュ以外にティファニアの素性を知る者はいなかったので、造反の理由を察することができなかったし、知っているギーシュにしてもまさか女子風呂を覗こうと計画しているのに、ティファニアが女子風呂に入ってる可能性に気づいていなかったとは思わなかったのである。
原因はわからなかったが、どうにかしてみようとマリコルヌの頭脳が、ふたたび悪魔的閃きをした。
「ミスタ・バーノン。どうしてきみが態度を変えたのかはわからない。でも想像してごらん。我らが向かわんとするヴァルハラにはティファニア嬢だけでなく、アルニカ嬢も一糸まとわぬ姿でそこにいるんだよ」
「な、なな、なぜここ、ここでアルニカののなな、名前が出てくるル?」
態度こそ平静そのものであったが、言葉を嚙みすぎて狼狽を隠せていなかった。
その狼狽っぷりは周りにも伝わり、「え?」「まさかそうなの?」「怖くない?」「でも姐御っぽさは良いよね」などという声があがる。マルスは羞恥のあまり震えだした。
「もしかしてマルスはアルニカに惚れているのかい?」
「違う!!」
強い口調で否定したが、顔が真っ赤にしていては説得力は皆無である。みんなの中でマルスがアルニカに惚れているというは確定事項と化した。
実際のところ、マルスがアルニカへの感情は自分ですら整理できておらず、持て余しているのが実情である。これが頼れる副官への感情なのか、それとも異性に対する感情なのか判断できずにいるのであった。
しかしアルニカの裸を思い浮かべた瞬間、マルスはなんともいえなくて堪えきれない感情に襲われた。なんというか、ぶっちゃけると見たくなっちゃったのである。
「恥ずかしがらなくてもいい。さっきギムリも言っていたことだが、ダンスに優れているかどうかを調べるには中身を確認するのが一番だ。もしアルニカ嬢がダンスに優れているようなら、今度のフリッグの舞踏会でお誘いしてみるといい。きっとうまくいくさ」
天使のような笑みを浮かべながら、とりあえず覗きに行こうぜという趣旨の発言を行う。マルスはアルビオン王家への崇敬と気になる女子への興味との板挟みに苦しみ、徐々に王家への崇敬が押され始めた。
このままではまずい。マルスは援軍の必要性を感じた。このまま孤軍奮闘を続けても勢いに流されてついていってしまいそうである。周囲を見回し、味方になってくれそうな可能性がありそうな者を必死で探す。
「ギィィィィイシュゥウ!!!」
「な、なんだい?!」
いきなり名前を叫ばれて、ギーシュは思わずあとずさった。
「きみはこれでいいのか! 女子風呂を覗きに行くということは、そこにきみの彼女、ミス・モンモランシもいるのだぞ! つまりだ! きみは他の男に彼女の素肌を見させても、かまわないというのか!!」
ギーシュは目に見えて狼狽した。女子風呂を覗くという行為は少年男子の永遠の夢であるが、同じ学院の彼女を持つものからすれば、自分の彼女の裸を他人に見せる行為であり、耐えがたいことではあった。
激しく葛藤するギーシュにマリコルヌが近づき、「
そうだ。たしかにモンモランシーの裸を他人に見せたくなどない。しかしこの学院の女子風呂を覗きたいという想いは、入学直後から持ち続けていた想いではないか。しかも今ならあのティファニアの胸の真贋を確かめることもできる。ここで引いたら男ではない。男には馬鹿になってでもやらねばならない時があるのだ!
「かまわなくはない。しかし
「ギーシュ……」
縋るような視線を向けてくるマルスに罪悪感を覚えたが、鉄の意思でそれを押し殺す。
「いいかい。男には
悲壮な表情でそう言い切るギーシュ。なにをどう考えてもおかしいのだが、それにツッコミを入れる人間はこの場にはいない。
「だからマルス。きみも協力してくれ。ぼくたちは戦友じゃないか。そうだろ?」
優しくギーシュに肩をつかまれて、マルスは泣き崩れて陥落した。ああ、陛下。お許しください。後日どのような処罰が与えられようとも、謹んで引き受けますゆえ……
やろうとしてることに比べ、ずいぶんと大げさな覚悟でだったが、マルスは本気である。
「じゃあ、行こうぜ。ぼくたちの戦場へ」
マリコルヌがそう言って拳を掲げると、他の隊員も無言で拳を掲げた。言葉を交わさずとも、みんなの心はひとつであった。
うーん。マルスが参加してるだけで原作とほぼほぼ一緒だなぁ。
でもマルスの性格描写する絶好の機会だし、欠かすわけにも、難しいなぁ。
あ、あとマルスが「女子風呂を覗く=ティファニアの裸を見る」に気づかなかったのは王家への崇敬のせいです。
絶対視する王家の血族がみんなと一緒に女子風呂入ってるって想像しにくかったんです。マルスは本当のこと知ってますけど、表向きテファはアルビオン田舎貴族出身ってことになってますから、その辺のギャップのせい。
個人的にはこのアホらしいノリこそがゼロ魔の魅力だと思う。