GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は蘭丸戦を書いて行こうと思っています、後はタイガー&横島のコンビとかもやってみようと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その7

 

 

外伝リポート 外史からの来訪者 その7

 

空中で腕組している白い着物を着込んだ男がにやりと笑いながら、腰の刀を抜き放ちゾンビに指示を出すのを見ながら内心舌打ちする

 

(もう少し数を減らしたかったのに……)

 

100ほど居たゾンビの数は大分減っているが、それでもまだかなりの数が残っている。それに対してこっちの頭数は、私にエミ、それと唐巣先生とシズクと冥子……GSのランクとしては高位が揃っているが……

 

「ふええええ……れ、令子ちゃーん……私もGS協会の中に隠れちゃ駄目?」

 

ゾンビが苦手な冥子はハッキリ言ってゾンビとの戦いで戦力として数えるのは難しい。GS協会会長の琉璃を戦力として戦場に出すのは明らかに愚策。彼女が死ねば、いまやっと立て直しかかっているGS協会がまた瓦解する事になりかねない

 

「美神さん。本当に支援だけでいいんですかー?」

 

窓からライフルを構えて顔を出している蛍ちゃんにそれで良いわと返事を返す。時間がある間に銃を使えるか?と言うテストしてみた、横島君は正直ハンドガンレベルの銃でさえまともに使いこなす事が出来なかったが、高校生って事を考えればそれを責める事など出来る訳もない。予想に反して蛍ちゃんはライフルを扱う事が出来たので、タイガーと一緒に窓からの支援射撃をお願いしたのだ。横島君には弾薬の運搬などのサポートに回ってもらっている

 

「……やれやれ……私の氷や水はああいうのには効果は薄いんだがな」

 

地面に手を置いたシズクがそう呟くと同時氷柱が地面を走りゾンビを貫くが、痛覚が無いのでその程度で止まるわけも無く、身体を引き裂きながら進むその姿に流石の私も血の気が引く……かなりのグロ映像だ

 

「ひう!?ああああーーーショウトラちゃん、ショウトラちゃ~~んッ!?!?」

 

冥子が錯乱してショウトラを抱き抱えて嫌々と首を振っている。やっぱり冥子を前に出したのは可愛そうだったわね……

 

「横島君!冥子を迎えに来て!後除霊具も持ってきて!!」

 

横島君に指示を出しながら、物陰から飛び出してきたゾンビを、手にした精霊石の槍でゾンビの頭を貫く、やはり悪霊やゾンビに対しては強いのか一撃で浄化してくれたが……

 

(やっぱり使いすぎは良くないわね)

 

本当に微量だが、蓄えている霊力が減って行っている。あまり使いすぎるといざノスフェラトウと戦うときに霊力切れを起こしかねない

 

「先生!少しお願いします」

 

蘭丸を引き寄せる為にこの槍を持ち出してきたが、やはりこれを武器として使うのは余りに危険性が高すぎる。使い慣れた神通棍に持ち替えた方が良さそうだ

 

「判った!ここは私に任せたまえ!アーメンッ!」

 

聖句を放ちゾンビを浄化させてくれた間に一旦下がり。冥子の回収に来ていた横島君に槍を預ける

 

「横島君!破魔札と神通棍は!?」

 

「は、はい!どうぞ!」

 

差し出された破魔札の束と神通棍を受け取り、青い顔をしている冥子に

 

「出来そうなら式神で援護して、それも出来ればアジラの炎で支援して頂戴」

 

ぷるぷる震えながら頷く冥子を半分抱き抱えるようにして建物の奥に撤退していく横島君を見ながら。使い慣れた神通棍を構えると同時にそのまま斜め上に振り上げる

 

【ほう、なかなかの反応だ】

 

感心したような蘭丸の言葉に舌打ちする。遠くに居た蘭丸の身体が糸になって消えていく……

 

(蜘蛛の糸を使った擬態……)

 

あちこちに張ってある蜘蛛の巣で空中を走ってくるだけも相当厄介なのに、そこに分身が加わると更に厄介ね

 

「エミ!蜘蛛の巣なんとか出来ない!?」

 

蘭丸と打ち合いながらエミに何とかできないか?と怒鳴ると

 

「無茶言うワケ!こっちはこっちで!手一杯よ!」

 

元々エミはこういう乱戦は得意ではないが、ブーメランと破魔札で何とか戦線を維持してくれていたが

 

【お遊びはこれくらいだ】

 

3人に分身した蘭丸のうち2人がエミを集中攻撃しているので、支援をしている暇が無い

 

「くっ!これは流石に少し不味い」

 

唐巣先生は空中から奇襲し、また上空に逃げるという事を繰り返され徐々に追い込まれているし……シズクはシズクで

 

「……ちいっ!鬱陶しい!」

 

氷の中にゾンビを閉じ込めていたが、それをさせない為に弓による狙撃と接近に持ち込まれてこっちを援護しているだけの余裕が無い

 

(これは不味いわね)

 

時間的な余裕も無い上に戦力不足がここで大きく響いてきた、圧倒的不利な状況に追い込まれつつある状況に私は思わず舌打ちをするのだった……

 

 

 

【さてと……どうなるか見物じゃな】

 

GS協会の屋上で胡坐を書いて美神達の戦いを見ながらワシはそう呟いた。屍兵の数は減っているが、蘭丸が表立って動き出したことで徐々に押し込まれ始めている

 

(この状況を打破するには劇的な一手が必要じゃな)

 

その一手でこの戦況をひっくり返し、更に蘭丸でさえも無力化するほどの劇的な一手が……

 

【むう……流石に無茶が過ぎたか……】

 

ふと視線を下に向けると右手が透けて見え、溜息を吐きながらそう呟いた。蘭丸の攻撃から逃れる為に銃撃を続けていたが、そのせいで折角回復しかけていた霊力をまた消耗してしまった。だがこれでいいのかもしれない、現代の霊能者の実力を見る良い機会だ。これでもし蘭丸に勝てないのならば、ノスフェラトウと戦っても勝てる訳が無い。もし勝てないのならばここで死なせてやるのが慈悲と言うものじゃ

 

【ま、そうはならんじゃろうがな】

 

視界の隅でタイガーとか言う大男と何か横島が何かをやろうとしているのを見て、ワシは笑いながらあの2人が何をしてくれるのかと期待を込めて見つめるのだった……

 

 

 

 

美神さん達が不利すぎる……冥子ちゃんが引き上げてきて、代わりに蛍が神通棍を手にして出たが。それでも不利的状況は何一つ変わっていない。ハンカチを水に濡らして絞って冥子ちゃんの額に置く、ゾンビが苦手なのにここまで頑張って来た冥子ちゃんは完全にダウンしているし……

 

「横島さぁん!弾薬!弾薬!」

 

タイガーに呼ばれて我に返り変えの弾丸をタイガーの元に運ぶ

 

「どうだ?状況は?」

 

「かなり不利ですケン……あの空中なのが厄介ですじゃー」

 

タイガーの視線の先には白い着物を着た男の姿がある、しかし1人ではない。4人であちこちから攻撃を仕掛けてきているので美神さん達が完全に追い込まれている。距離的には……届くな。無地の札に手を伸ばそうとした時心眼が俺に声を掛けてくる

 

【あの中に本体が居るとも限らない、下手に攻撃してこちらに視線を向けるのは得策ではない】

 

むう……今は銃だから取るに足らないと判断して攻撃を仕掛けてこないのだからなと言う心眼。だがこのままではノスフェラトウと戦う所の話ではないぞ……と俺が1人で焦っていると

 

【ぷはあ!?結界だらけで疲れました!】

 

「ふぉおおお!?」

 

おキヌちゃんが足の下から飛び出てきて、思わず絶叫しながら尻餅をついてしまう。おキヌちゃんはそんな俺を不思議そうに見ながら

 

【あ、チビちゃんたちのほうは全然大丈夫でしたよ、家でTV見たりしてました】

 

心配していた事が1つ消えたに安堵の溜息を吐く、だが気までは緩めない。美神さん達がよっぽど危ないのだから

 

「おキヌちゃん、冥子ちゃんを頼むわ」

 

【別に構いませんけど、どうするつもりなんですか?】

 

おキヌちゃんの問いかけに俺はいい考えがあるんだと返事をし、先ほど拾ってきた蜘蛛の巣駆除スプレーを詰め込んだ鞄を背負いながら

 

「タイガー。1つ聞くけど……こいつ狙い打てるか?」

 

蜘蛛の巣駆除スプレーを見せながらタイガーに聞くと、タイガーは少し悩んでから

 

「行けると思います……ただ絶対とは言えんのジャー」

 

自信無さそうに言うタイガーの肩に手を置いて

 

「ここまでタイガーの射撃は見てきたぜ。お前なら出来る。絶対出来る!」

 

タイガーは俺なんかよりもよっぽど凄いのに何でこんなに自信が無いんだろうか?だがこの状況を打破するにはタイガーの狙撃の腕が必要だ。だから自信を持ってくれと言うと

 

「やるだけやってみるんじゃー」

 

ライフルと替えの弾丸の入ったケースを手に立ち上がるタイガーと共に階段を降りて、正面出口ではなく、脇の関係者ようの出入り口から外に出る。バリケードが良い感じに立っているので、しゃがみ込めば俺もタイガーも発見されることは無いだろう

 

「心眼。俺には見えないけど、蜘蛛の巣ってどんな感じになっている?」

 

心眼にそう尋ねると心眼は少し待てと言うので、その間に準備を整えることにする。美神さんから預かった明智光秀の槍は悪いと思ったけど、GS協会の備蓄しつにおいてあった竹刀袋を拝借し、今は背中に背負っている。琉璃さんの部屋に預けようかとも思ったが、相手は吸血鬼。ピートと同じように霧にして進入してくる可能性も考慮して持ち運ぶ事にしたのだ

 

「それと……タイガー悪いけど。見つかったら出たとこ勝負の賭けになると思うから覚悟はしておいて欲しい」

 

一応俺もタイガーも美神さんやエミさんから預かっている精霊石があるので、結界を作ることは出来る。それでもそれが間に合わない場合は出たとこ勝負になることを先に謝っておく。最近水を陰陽術で使えるようになったので、それを応用してみようと思っているのだ

 

「判ってるんジャー、不測の事態っていうのは起きるものですケン」

 

にかっと笑うタイガーに悪いなと謝っていると心眼が

 

【この位置から前方に約3メートル。そこが巣の中心だ】

 

ここから3メートルか……風は……うん、俺もタイガーもついてるな。追い風だ、これなら上手く投げれば風に乗って遠くへ飛んでくれるだろう。俺は鞄から1本のスプレーを取り出して、軽くストレッチをして大きく深呼吸を繰り返す

 

「うっし!やるぞタイガー!距離はこっから3メートルだ。頼むぜ名スナイパー」

 

わっしはそんなんじゃないんジャーと笑うタイガーにお前なら出来るぜっと声を掛け、スプレーを投げ込むタイミングを計るのだった……

 

 

 

不味いわね……ダウンした冥子さんの変わりに出てきたけど、状況は本当に不味い

 

【【【ふはははは!!この程度か!】】】

 

ゾンビはもう殆ど殲滅した。だが残った蘭丸。これが曲者だった、空中に巣を張り、分身を生み出し私達を幻惑している。

攻撃しようにもリーチの外に逃げられ、捕らえたと思ったら糸を使った分身……トリッキーなんて言葉で片付けたくはないが、その通りしか言いようがない

 

「シズク。なんとかならない?」

 

この中で1番強いのはやはり水神で竜神のシズクだ。この状況を何とか打破できないか?と尋ねて見るが

 

「……気配を探れない。闇雲に攻撃しては水が尽きるだけだ」

 

倒したゾンビの邪気が結界の中に充満していて、思うように気配を探れないと言うシズク。今はなんとか水を防御に回しているから全員無事だが、水が無くなれば1人ずつ倒されるのが目に見えている。

 

(横島が居なくて良かった)

 

意外と頭に血の上りやすい横島がこの場に居なくて良かったと安堵する。とは言え、このままでは私達が全滅してしまうので本当にこの状況を何とかしないとしなければ……

 

【【【【これで終わり……】】】

 

4人に分身した蘭丸が私達に向かって来ようとした瞬間。蘭丸のほうに何かが投げ込まれる。誰が!?と思って振り返ると何かを投げた体勢横島とライフルを構えているタイガーさんが居て、思わず叫ぼうとした瞬間銃声が周囲に響き、何かを打ち抜くその瞬間信じられない光景が目の前に広がった

 

【ば、馬鹿な!?貴様ら何をした!?】

 

こっちに向かってこようとしていた蘭丸の姿が溶ける様に消え、1人だけになったのだ。いや、それだけじゃない、空中を縦横無尽に走っていた蘭丸が体勢を崩し、地面に向かって降下しているのだ。今まで無かった決定的な隙……その隙を逃す美神さん達ではなく

 

「これでもくらいなさいッ!!!」

 

美神さんの投げつけた1千万の破魔札が蘭丸の身体を吹き飛ばし、その先では拳を硬く握り締めた唐巣神父が居て……

 

「はっ!!」

 

【うぐう!?】

 

ここまで響いてくる凄まじい踏み込みの音と蘭丸のくぐもった悲鳴……だがダメージはそれほどでもないのか、再び空に逃げようとした瞬間

 

「タイガーッ!行くぞッ!」

 

「いつでも良いジャー!」

 

横島が再び何かを投擲し、タイガーさんがそれを打ち抜くと、蘭丸の手から伸びていた糸が解けるように消失する

 

【ば、馬鹿な馬鹿な!一体何が起きていると……「……くたばれ」ごほっ!?】

 

困惑する蘭丸にシズクの作り出した氷柱が襲い掛かる。一体横島は何を投げているのだろうか?そんな事を考えていると

タイガーさんが撃ち漏らしたのか横島が投げた何かが足元に転がってくる

 

「横島は何を投げて……え?」

 

「嘘でしょ?」

 

エミさんと美神さんが信じられないと言う顔をしている。多分私も同じ顔をしているだろう、なぜなら横島が投げている物は

 

【どんな蜘蛛の巣もイチコロ!スーパー蜘蛛の巣除去スプレーEX ※特許出願中】

 

……私達の苦戦と苦労って一体なんだったの……思わずその場に崩れ落ちそうになった時

 

【貴様らかぁ!!!】

 

横島とタイガーさんに気がついた蘭丸が2人の方に突進して行く、私達は呆けていたので完全に反応が遅れた。振り返ったときには既に蘭丸は横島とタイガーさんに向かって刀を振り下ろしていて

 

「よこ……っえ?」

 

危ないと叫ぼうとした瞬間。横島とタイガーさんの姿が溶けるように消えて

 

「よっしゃあ!タイガー!いっけえ!!」

 

「了解ですジャーッ!!」

 

全く別の方角から横島の声が聞こえて慌てて振り返ると、ライフルに陰陽術の札を貼りまくった横島の姿があって……強烈に嫌な予感がした……

 

「必殺思いつき!パート2!!火炎弾発射ぁッ!!!ってわああああ!?」

 

大砲を撃ったような轟音が響き、横島とタイガーさんが吹っ飛び

 

【おごああ!?おがあごああああああ!?】

 

銃弾に貫かれた蘭丸は凄まじい炎に飲み込まれ、そのままくぐもった悲鳴を上げながら炎に呑まれて消えていくのだった

 

「……水の幻術か……面白い事を考えたな」

 

楽しそうに笑うシズクと呆然としている私達の視線の先には

 

「た、タイガーーどけえ……死ぬう……」

 

「ううう……動けんですジャー」

 

横島を押しつぶす形で呻いているタイガーさんと、どろどろに溶解し、銃身のへし折れたライフルが2人の近くに転がっているのだった……

 

 

 

魔力の波長が途絶えた事に気付き、閉じていた目を開く。まだ忌々しい事に太陽は沈んではいないが……それも後数十分と言った所か……

 

【ふん、未熟者めが】

 

現代の霊能者に倒された蘭丸にそう吐き捨てたが、それは違うかと直ぐに別の可能性にたどり着いた

 

【元々我に従うつもりはないと言う事か?】

 

元々我が記憶改変を行った際に殺した人間に側にいたのが蘭丸だった。我が配下の蜘蛛の寄生先として殺したが……まだ自分の意識を保っていて業と殺されることで本来の主人に対する忠義を貫いたか?

 

【まぁどっちにせよ、大した問題ではないわ】

 

我が魔界の門を開こうとしている事には人間達も気づいているだろう。ならば向こうから出向いてくることは間違いない

 

【クックック……あと少し、あと少しだ】

 

あと少しで夜になる、さすれば我が領域は更に大きく拡大する。そうなればかつて我を屠った槍など恐れる事もない、夜になった時点で我が魔界の門を開く事を妨害することは不可能なのだから……

 

暗い魔城の中でノスフェラトウの不気味な笑い声が響き渡り、そしてノスフェラトウが待ち続けた夜が今訪れようとしているのだった……

 

 

外伝リポート 外史からの来訪者 その8へ続く

 

 




横島&タイガー。タイガーがスナイパーにコンバートし、横島の必殺思いつきパート2【ライフルを陰陽術で強化】で蘭丸を撃破となりました。そして強すぎる蜘蛛の巣駆除スプレーでした、まさかの特攻兵器となりましたね。次回はノスフェラトウ戦を書いて行こうと思っています、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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