「という訳なんです」
僕はダンテさんに悪魔の大群に襲われたあの日のことを話した
弟と釣りから戻ると村が焼けていたこと
パニックになった弟を追いかけ、捕まえたところで悪魔に襲われたこと
そこで、仲の良かったお爺さんと従姉が盾になろうとしたこと
そこで、強く力を求めたところ閻魔刀の欠片と出会い左手がこうなったこと
最終的にお爺さんが一体と行方不明だった父が残りの殆どの悪魔を一掃したことを話した
ダンテさんは僕の話しを、イスに座りながら気だるげに、静かに聞いていた
閻魔刀が出てきた時は少し動揺したように見えたけど
まあ、死んだ兄貴の愛刀、しかも行方知れずが話しに出てきたら動揺もするだろうなぁ
「おい」
静かに話しを聞いていたダンテさんが、話しかけてきた
「幾つか質問するぞ」
「えーと、答えられる限りなら」
「その閻魔刀の欠片は自分のことをどの程度話した?」
「凄い悪魔が作った魔界最高位の魔剣でその悪魔とその息子に使われていたそうです
あと兄弟剣がいるそうです」
「そのそいつらの名前は?」
「悪魔と兄弟剣の名前はわかりませんが
悪魔の息子はバージルだそうです」
「.............そうか」
ダンテさんは天井を見ながら物思いにふけているようにもみえる
泣いているようにも怒っているようにも、喜んでいるようにもみえる
しばらくの沈黙のあとダンテさんは再び僕に視線を移し
「お前はそれを使ってどうするつもりだ?」
と聞いてきた
「どうするって?」
「悪魔の力は強大だ
ちょっと殴っただけで、人間をミンチに変えちまう
その年で、それを持ったお前はどう使うのか興味があってな」
悪用とかそういうことかな?
「あー、えーっとね?」
あー、客観的にみるとちょっとガキっぽいかなぁ?
「僕と、ネギ.............弟と、周りの大切な人達を守るために使いたい.............かな?」
「は?..........................クックックッ、はっはっはっはっはっはっ」
「そんな笑わなくてもいいじゃないですか!ガキ臭いってことでしょ!」
「い、いや、そうじゃねぇよ、クックッ」
「なら、なんで爆笑してるんですか!?」
「あー、まあ、いいだろ?別に..........クックッ」
「良くないです!」
「まあ、とりあえず、俺は嫌いじゃないぜ?そういうガキ臭い話しは」
「やっぱり、ガキ臭いって思ってるんじゃないですか!」
「いいじゃねえか、お前、ガキだし」
「ガキだけど良くないです!」
「まあまあ、二人とも、このままじゃ話が進まないし、一旦、落ち着こうか」
モリソンさんが仲介に入った
「.............わかりました」
「.............わかったよ」
僕もダンテさんも一旦落ち着く事にした
つーか、久しぶりにキレさせられた気がするな
「あと質問あります?」
「あん?.............あー、お前の親父と近所の爺さんって相当なマッチョマンかなんかか?」
「.............はぁ?」
「だってよ、そこらへんの人間、数人がかりでも悪魔一匹、倒せねえぜ
まあ、虫みたいな貧弱な悪魔なら別だが」
あぁ、普通は悪魔に人間は勝てないからねぇ.............あれ?
ダンテさん、もしかして
「モリソンさん」
僕はモリソンさんに近づき小さな声で話しかけた
「ダンテさんって魔法を知らないんですか?」
「あぁ、俺も知らなかったがそうみたいだ」
「悪魔知ってるのに?」
「ああ、悪魔知ってるくせに」
なんか知識がちぐはぐな気が
「おい、仲良しこよしはいいが質問に答えろ」
「えーと、それは答えないとダメですか?」
「あん?」
ダンテさんは天井を見た後、頭を掻き
「ダメだな」
と言ってきた
「言わなきゃ、この依頼は断る」
「どうしましょう?モリソンさん」
「.............まあ、君が決めなさい
言うにしても、言わないにしても一番影響があるのは君だろ?」
.............あー、おこじょは嫌だけど、ダンテさんのところで学べないのは痛いよな
「.............モリソンさん、わかってると思いますがバラした事は内緒でお願いします」
「はは、わかってるよ」
「.............それでダンテさん」
「あん?」
「今から話すことは絶対に秘密にして下さいね」
「わかったからさっさと話せ」
「は、はい.............」
よし!言うぞ!
「えーっと、まず、この世界には魔法があります」
「.............そいつは、魔術とは違うのか?」
ん、魔術?
「魔術って、悪魔の力を借りる?」
「そうだ」
「あー、違いますね、魔法はあくまで精霊の力を借りますから」
「へぇ」
「一応、魔法は秘密にして下さいね
一般人にバレたり、バラしたりすると罰則がありますんで」
「罰則?」
「ええ、魔法バレすると罰としてオコジョにされます」
「.............はあ?」
「いやだからオコジョにされるんですよ」
「.............オコジョって、白い?」
「ええ」
「.............ップ、ひゃひゃひゃひゃひゃ」
ダンテさんはテーブルをドスドス叩きながら爆笑し始めた
「笑わないでくださいよ!」
「い、いや、わりぃ.............お、思ったより、ふ、ファンタジーだな、クククッ」
「あー、もう!じゃあもう質問はいいですね!?」
「あ、あぁ.............あっちょっと待て!」
「なんですか?」
「魔法を見せろ」
「.............なんでですか?」
「魔術との違いが見たいし、第一罰則がそんなファンタジーなもん興味あるじゃねえか
それにお前の親父さんとその爺さんがどんなファンタジーな方法で悪魔を倒したか気になるしな」
そんな何度もファンタジー言わなくてもいいじゃんかよ
ファンタジーだけど
「分かりましたよ」
僕は大きく息を吸い、右手にはめた指輪をかざした
「プラクテ ビギ・ナル
はめた指輪からライター程度の火が出てきた
「ほう」
「どうですか?」
「しょぼいな」
「し、しょぼい!?」
よーし、わかった、じゃあ派手なのみせてやらあ!
「わかりました、じゃあ、今度は攻撃魔法を使います」
「へぇ、..........攻撃ねぇ」
ダンテさんがニヤッと笑った気がする
「デビ・マギ・デギルス・マギステル
|風の精霊 5人 縛鎖となりて 敵を捕まえろ 魔法の射手 戒めの風矢
《クイーンクエ・スピリトゥス・アエリアーレス・ウィンクルム・ファクティ・イニミクム・カプテント・サギタ・マギカ・アエール・カプトゥーラエ》!」
すると僕のまわりから白い光線の様な物が出てくる
それらは一斉にダンテさんに向かっていきまとわりついていく
「おいおい、これはなんの真似だ?」
「いや、ムカついたんでちょっと嫌がらせをと思いまして」
「はんっ、そうかよ」
風の矢にまとわりつかれても全く動じることなくダンテさんはマイペースに話をしてくる
「それは、魔法の射手の、戒めの風矢と言いまして、対象を捕縛することに特化した魔法です
一応攻撃魔法ですけど、痛くないでしょ?」
「ああ、だが、うぜえ.............なっ!」
話が途切れた瞬間、ダンテさんは一瞬で戒めの風矢を引きちぎってしまった
解けないこともないだろうな、とは思っていたけど、
こうもあっさりしかも一瞬で解かれるとそれはそれでショックだなぁ
「こいつが魔法ってやつか
お前の親父やその爺さんは魔法で悪魔の大群を蹴散らしたってわけなんだな?」
「はい、そうですね
僕は現場を見てないですが」
「そうか、わかった
まあ、この依頼受けてもいいぜ
魔法ってのも結構面白かったし」
「本当ですか!?」
おっしゃあーっ!
「よかったな、ハル.......................
それじゃあ、ダンテ、これが資料になる」
そういってモリソンさんは数枚の紙をデスクに置いた
ダンテさんはチラッとそれを見ると動きを止めてしまった
「.............おい、モリソン。この魔法学校の卒業後の修行の為ってどういうことだ?」
「ああ、ハルがここに来た理由なんだがな
魔法使いにも魔法を学ぶ学校があってな
卒業後はどこかで修行してやっと一人前と認められるそうなんだ」
「ますます魔術とはちがうな
じゃあ、そいつに便乗して魔法とは関係ない俺が選ばれたってわけか」
「いや、俺も魔法が詳しくないんだが、行き先も魔法で決めるそうで、魔法が発動するまで行き先が何処かわからないんだとさ
ハルの場合、見習いデビルハンターをするように書かれていた
ちょうどその時修業後のハルをお前のところに預ける話があったってわけだ
ちなみにその学校の校長が彼の祖父だから嘘は言ってないぞ」
「あとは面倒くせえことはないか?」
「面倒くさいってなぁ.............あー、試験があるな」
「.............試験?」
「あぁ、修行先の責任者が修行している魔法使いの卵に、試験をやって、合格すれば晴れて独り立ちってわけだな」
「................試験内容は?」
「それは責任者が考えるんだよ
今回は、ダンテ、おまえだな」
ダンテさんは面倒くさそうにため息を吐いた
「そう落ち込むなって
報酬はたんまり出るんだから」
「.............断ったら?」
「違約金&来週からお前好みの仕事が減る」
「クソっ、そうかよ、わかった。
じゃあ、ちゃんと支払えよ」
「わかってるって
おっと、俺もそろそろ帰るとするか
じゃあな、二人とも」
そう言ってモリソンさんは帰ってしまった
「さてと、依頼だとここに住み込みだったよな?
じゃ空いてる部屋を貸してやるか…………
付いて来い、案内してやる」
そう言うとダンテさんは階段に向かって歩き始めた
僕も後を追った
「ここだ」
そう言ってダンテさんはドアを指した
ここが今日から僕の部屋か
僕は期待に胸を膨らませ
ドアを開け、
「失礼しm.............」
「しました」
ドアを静かに閉じた
「なにやってんだ?」
「いや、ドアの向こうが魔窟で.............」
「はあ?こんなところにそんな簡単に魔界の穴が開くかよ」
「いや、そういうことじゃないんですけど」
「?、わかんねえけど開けるぞ」
そう言ってダンテさんはドアを開け放ってしまった
部屋の中は
魔窟と言うに相応しいほど散らかっていた
大量のビール缶やらピザの箱やらが無造作に散らばっており
ベッドはシーツがこぼしたビールやらワインやらで変色しており
またピザの食べカスでギトギトになっている
そのほか何個かグラスらしき物体が見えるが中がグレーと赤茶色になっている
そして部屋全体の空気が淀んでおり
微妙に臭い
ツンとするような気がしないでもない
「あー、そういやあ、ここはこうだったな」
ダンテさんは頭を掻きながらそんなこと言い放った
「何をどうすればこうなるんですか?」
僕はキレ気味に質問した
「いや、前までは掃除してくれる奴が居たんだが、旅に出ちまって
そいつがいた時と同じようにそのまま生活してたらこうなった」
僕は頭を抱えたくなった
スパーダさんが見たら泣くぞこれ
「で、歩きづれえから寝る部屋を移した」
頭が痛くなった
つーか、僕はどっちかっていうとボケだぞ!
なんだ!?この怒涛のボケは!
ツッコめってことか!?
「じゃあ、俺は下で寝てるから、片付けしてろよ」
「ちょい待てい!」
僕はこの銀髪の腕を掴んだ
「あん?なんだよ?
............ああ、掃除道具は一階の奥の部屋にあるらしいからな
俺は使ったことねえけど」
「違うわ!あんたは掃除をしないの!?あんた家主でしょうが!?」
「めんどくせぇ..........................ああそうだ
家主命令だ、ここを掃除しとけよ」
そう言って僕の腕を振りほどいて行ってしまった
ゴミの魔窟と化した部屋にバタンというドアが閉じる音が響いていた
「なんじゃそりゃあぁぁぁーーっ!!?」
ハル(掃除係)VSダンテ(散らかし屋)