車で暫く走っていたが途中から列車に乗って目的地に向かうことになった
ダンテさん曰く
「腹を空かせて拗ねちまいそうだ」
そうだ
つまり車のガソリンの量がギリギリだそうで
それを聞いたパティは
「なんで入れてないのよ!?」
と、また膨れっ面で怒ってた
だけど僕がちょっと見たら結構残ってた
多分、少しでも悪魔を撒こうとするためなんじゃないかと思う
普段のダンテさんなら悪魔を殲滅しに行きそうだけど、パティも居るしね
そんなわけで列車に揺られながら目的地に向かっているんだけど
四人席でダンテさんは席二人分使って寝転んでる
僕は仕方なくダンテさんとは向かい側になるパティの隣に座りチョコ齧りながら、窓から外を眺めている…………………ふりをしながら窓に映ったパティがロケットを見ているようすを眺めている
先ほどまで怒っていたパティも今はそれなりに機嫌が良さそうにしているようだ
「ほう、かわいい顔もできるんだな。男の写真か?」
その様子をみたダンテさんが茶化し始めた
「お、お母さんよ!あんたの彼女よりずっと美人なんだから!」
どうやら機嫌が良かったのはお母さんの写真を見ていたからみたいだ
パティは続けて話し始めた
「でも、何も覚えてないの
お母さん、私が赤ちゃんだったときに病気で死んじゃったんだって
院長先生が言ってた
だから覚えてないの、なにも............お母さんのこと
あるのはこの写真だけ............」
パティは悲しげに写真を見つめている
「............パティ」
僕はおもむろにパティに話しかけた
「............なに?」
「僕もさ、親がいないんだよ」
「え?」
「持ってるのは、父さんが使ってたこの手帳だけで」
僕はポケットから取り出した
「写真もないんだよね、特徴は聞いてるけど」
「............そうなの」
「まあだから、月並みだけど元気出して」
「............ありがと」
「お?」
突然、通路側から声が聞こえた
「あなたがたはとてもチャーミングだ、ご姉妹ですか?」
見ると20代半ばぐらいの男がいた
「違いますけど、なんですか?」
「あぁ、これは失礼。とても綺麗なお姉さんとその妹らしき子がいたのでつい
ここ、空いてますか?」
「.............ガラガラじゃねえか」
「向かい側空いてますけど?
だいたいここの座席は全部埋まってますよ」
ダンテさんと僕とそれぞれ拒否の態度を示した
するとパティは立ち上がり、まずダンテさんのスネに拳を振り下げた
「イテッ!」
ダンテさんが思わず寝てる状態から脚を床につけ、椅子に座ると
「ほら、空いたわよ
あんたここに移れば?」
そういって僕に向かってダンテさんの隣を指名した
僕は渋々それに従いダンテさんの隣に座ると
パティは男を僕がいた自分の隣に座らせた
「ご迷惑でしたか?」
「比較的............」
「.............ガキのイタズラにいちいちカッカしねぇよ
だが............そこに座ることに命の保証は出来ないぜ」
「は?」
「それってどういうことよ!?」
そこでトンネルに入ったのか列車内が暗闇に包まれる
トンネルを抜け列車内に再び光が差し込むと
目の前に血塗れの男が倒れるのが見えた
パティは男の倒れるのを間近で見たためか驚き、慄いているようにみえた
僕も、流石に間近で死ぬ瞬間を目の当たりにして身体が強張る
「やれやれ、言ったのによ」
ダンテさんはその中でただ一人冷静にその様子を見ていた
騒ぎが大きくなる前に
半分パニックになっているパティをなだめつつ死体が見えない座席へ移動させた
「お母さん............お母さん」
パティは自らを落ち着かせるように母親の写真を見つめている
とりあえず僕は背中をさすって落ち着かせてみた
ふと死体の方を見ると乗客の一人が車掌さんを呼んだようで帽子を被った男が急いで現れた
話し声が列車の音で上手く聞こえないがダンテさんが疑われているようだった
まあ、普通なら第一容疑者だろうね
多分、悪魔の仕業だろうけど
そういえば
この後、悪魔くるよな
どっから来るんだっけ?
そう思いながら正面を見ると大きくて真っ赤な目を4つと巨大な牙を沢山持った顔が窓に見えた
瞬間、反射的に僕は火の矢を目玉の一つに叩き込むと
怪物の顔が窓の上に消えた
すると後ろから爆竹よりも大きくまた多くの爆音が車内を支配し、止んだかと思うと、また一回だけ響いた
悪魔が窓から再び現れることはなかった
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
あの後、唖然とする乗客たちを尻目に、ダンテさんは見つからないよう、警察が乗り込むのとは、逆方向から降りていき、僕達もそれについていく
そして夜になり安ホテル泊まることになった
「ほんと狭えな」
ダンテさんが狭さを嘆きながらソファに寝転んでいる
「お前らも早く寝ろ、明日は早いぞ」
まあ、日が出てる方が悪魔が動き辛い、と思うし、いくらダンテさんが強くてもウザいのかな?
「私のお母さん、本当は病気で亡くなったんじゃないの............
行方不明なの」
パティが語り始めた
「院長先生が話してるの偶然聞いちゃったの。
お母さん、悪魔に狙われてて
赤ちゃんだった私が危ない目にあうといけないから、孤児院に預けたんだって」
パティは恐怖で怯えるようにも焦燥感に囚われたようにも見える目でダンテさんを見た
「悪魔に狙われた人間は必ず死ぬの!?
お母さん死んだの!?
じゃあ、私も悪魔に殺されるの!?」
「....さあな」
「………わたしね、遺産とか相続とかどうでもいいの
ただ少しでもお金が貰えるなら
孤児院のみんなにお菓子とか服とかいっぱい買ってあげたいだけ
.............でもみんなが欲しいのは服やお菓子じゃない
私と同じ、お母さんやお父さんに会いたいの……一番………
……どうせわらうでしょ、こういうの」
パティは目元を袖で拭った
「いいや、誰だって親には会いたいもんさ」
「ダンテ…………」
「さっ、オレはこれから美女達と夢の中でR指定だ、おまえも寝ろ」
「……うん」
パティは被っていた帽子をベッドのに掛け、布団に潜り込んだ
僕もパティの隣に潜り込んだ
「……あんた、なに人のベッドにもぐりこんでるのよ?」
「他に寝る場所ないからしょうがないじゃん」
「………………わかったわよ」
そう言いパティはベッドの左側に
僕は窓側に、パティに背を向けながら目を閉じた
「パティ」
「ん、なによ?」
「僕が昔すんでた村はね、悪魔に襲われたことあるんだよ」
「えっ?」
「確かに悪魔に襲われたら死ぬかもしれないけど、絶対じゃないよ、僕の他に生き残った人がいるし。
まあ、だからそのー………ね?」
「………そこは、ビシッと決めなさいよ
でも、ありがとう
………おやすみなさい」
「おやすみ」
僕はそういって僕は目を閉じた
この後、パティどうなるっけ?
攫われたような?
まあ、となりに居ればわかるか
僕はそう思いながら
夢の中へ落ちてしまった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
布団がはだけた寒さと隣の虚無感で目を覚ました
見ると隣にパティがいない
帽子も無かった
「だー!なにやってんだ!」
そう頭をくしゃくしゃと掻きながら言い、急いで一階に行くと、直ぐに出口に手を掛けた
すると
バンッ!
と言う音と共にドアノブに凹みが出来た
後ろを振り返ると受付のおっさんが僕に銃を向けていた
「!?」
「いけませんねぇ~坊っちゃん、一人で出歩いちゃあ」
.
「………あなたも悪魔ですか?」
「おんやあ?意外ですねえ?大概のガキはこうすると泣きわめくんですがね?」
クソ、流石に魔法障壁でも、銃弾はキツイぞ
「あいにく、修羅場は経験済みなものでしてね」
さて、どうする?
「へっへっへっ、そりゃ、随分、なことで
………………まあ、邪魔されるちまうのはこまるんでねぇ
とりあえず………しねぇい!」
しょうがない、未完成だけど
そう思い、魔力を足下に込めて蹴った
………………が、思いの外、距離が出ずカウンターの前に倒れる形で転んでしまった
「へっへっへっ、面白いことするねぇ、
しかも、目の前に来てくれるとは
、きまえぐおぇあ!!」
僕は思わず、左腕をデビルブリンガーに戻し、普通の三倍ぐらいの大きさの腕で左フックを決めてしまった
ゴキッっという嫌な音を響かせて、おっさんは壁に打ち付けられた
その際、後ろにあった用紙やらがバラバラに飛び散った
「ハァハァ、危なかっ「このガキがぁ!」くそっ!」
おっさんは気絶しておらず、カウンターを杖代わりに立ち上がろうとした
「
持っていた銃を手放した
「これで終わりかな?」
そう独り言を言い手放された銃を拾うと後ろからズガガガガガッというマシンガンのような音がした
驚いて後ろを振り向くとダンテさんが壁に飾られた広告…………に偽装していた巨大な蛾の悪魔を撃ち抜いていた
「あ、ダンテさん」
「………ここにいたのか」
ダンテさんは若干機嫌が悪そうにしている
「で、パティは?」
「それが、僕が起きた時にはもういなくて………
でも、このおっさんはしってるみたいです」
僕はカウンターの向こう側で項垂れているおっさんを指差した
ダンテさんはカウンターに近づきそこから覗き込んだ
「こいつ………悪魔か?」
「みたいです、といっても物凄く弱いみたいで、武器使ってきました」
僕はおっさんが持っていた銃を指差した
「そうか………………とりあえずだ」
「…………?」
その瞬間、頭に衝撃がきた
「ったぁ!」
「むやみやたらに動き回るな、お前も攫われたと思ったじゃねえか」
「………………すいませんでした」
確かに魔法が使えるから油断してたかもしれないなぁ
気をつけないと
「おい!」
頭をさすりながら横を見るとダンテさんはカウンターを乗り越えておっさんのところに近寄っいるとことだった
おっさんは顔を上げダンテさんをみると
「…!?」
慌てた様子で手やら床を見渡し始めた
「探してるのはコレ?」
僕はカウンターの外から銃を見せると
「か、かえせぇ!」
と言ってきた……………
がダンテが前に立ち塞がった
「そんなもんじゃオレは殺せねえよ」
ダンテさんはいつもグータラしている人とは思えないような殺気を放ち、おっさんを見下ろしながらいう
「パティはどこだ?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕は思い違いをしていたらしい
パティは攫われるわけではなく、自分の意志で外に出たようだ
悪魔達にそう仕向けられたんだけど
ダンテさんはおっさん………………シドと言うらしい……………………に居場所を吐かせ、さらに無理やり車で道案内させた
場所は近くの劇場で、車だったからかすぐに着き、
ダンテさんは急いで降りたので、僕もそれに続いた
ダンテさんの走るスピードは速く、魔力で強化しても見失わないのがやっとだった
シドが余計な真似をしないよう
デビルブリンガーで頭を鷲掴みにして引きずってきたのだが
途中、「離してくだせぇ~」とか「い''でぇ~」とかいう
中央ホールへの扉の前に着いた
扉がゆっくりとダンテさんの手によって開かれる
中は赤いイスが無数にならんでおり
日本ならば、公演にも使えそうな様子だった
そして中央の舞台の上に二人…………いや、一人と一体の姿が見えた
片方はパティ、もう片方は一見髪の長い女性に見えるが、顔をみると明らかに異形の形をしている
「パティ!危ない!!」
僕は、
「ぐへぇ!」というどちらの声ともわからない声がした後、二体は重なるように倒れた
パティは驚き、周りを見渡す
すると今度は、数体の悪魔が空間から這い出るようにあらわれた
かとおもったら
ダンテさんの弾丸によって瞬殺された
「おいおい、このやけに品のないオペラはお前の趣味か?」
「ダンテ!ハル!」
パティは、こちらに笑顔をむけると
すぐに焦ったような顔になる
「あ、あの、わたし、お母さんに…………」
「感動のフィナーレにはまだみたいだ」
「え?」
ダンテさんはそういうと劇場の舞台の上へ飛び込み、
再び現れた悪魔に飛び蹴りをお見舞いし、
「ここから先はR指定だ」
天井にある、幕の留め金を銃で撃ちぬき
幕を下ろした
「………………」
「………………」
マシンガンのような銃声
幕から見える影から察するに激しく、一方的な戦いが繰り広げられているようだ
と、そのとき
「痛っ!」
パティが突然叫んだ
そちらを向こうとすると
「うごくなぁー!」
後ろからシドの声と、首筋に硬い尖ったものを感じた
「ヒッヒッ、油断したなぁ。こっちは最初からこのお嬢さん一人が狙いでねぇ」
「イヤ!離して!」
「お嬢さん、悪いがここで死んでもらいますよ
何しろあんたを殺せばそれなりの報酬が約束されてるもんでねぇ」
くそっ!油断した
「まあ、小僧、お前には邪魔されてきたから、まずはお前からだ」
畜生!万事休すか?
んなわけない
「あぎゃ!」
シドの声の位置から場所がわかったので
無詠唱で火の矢を速攻で発動させ
顔面に叩き込んでやった
「あちー!燃えるぅぅうう!」
シドは顔を抑えながら喚いている
「くぉこのクソガ…ヒィ!?」
再び襲いかかろうとしたシドに幕の中からダンテさんの銃弾が飛んできた
「失せろ」
「ひ、ひぇ~!」
するとシドは悲鳴をあげて逃げていった
「っはぁ……はぁ、はぁ」
「ふぅー、パティ大丈夫?」
僕は額から出てくる冷や汗を袖で拭いながらパティの様子を伺ってみる
「はぁはぁ、だい、じょう、ぶ…………な訳ないでしょ!
あんたなんなのよ!イキナリビーム出したり、だいたいその杖はなんなの!?魔法使いだーなんて言うんじゃないんでしょうね!?」
うわっ、いきなり核心ついてきたよこの子
「あ、いや、そのね?…………ダンテさぁん!?」
「やめろ、俺に振るな」
「そんなー」
いや、ほとんど魔法ばれてるけどさぁ
「さあ、吐きなさい!いますぐ、吐きなさい!」
パティの凄まじい剣幕と尋問により僕は仕方なく魔法について説明した
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日が昇り始め、悪魔の襲撃は一旦止んだため、急いで移動を開始した
パティにはとりあえず移動しながら魔法のことを伝えておいた
「それにしても…………魔法使いねえ………」
「なに?」
「お婆さんばかりと思ってたわ、シンデレラとか白雪姫みたいな」
「いや、まあ、大昔にはあんな感じの魔法使いとかいたみたいだけど、今は魔法が使える人だと思えば大体あってるよ」
「へえ、今度誰かに自慢しよっと」
「ああ、それはやめた方がいいねー、
魔法をばらすとおこじょにされちゃうから」
「えっ!そうなの?
っていうかなんで、おこじょ?
それに、あんたばらしてるじゃない」
「パティが黙ってくれてれば大丈夫
っていうか、黙ってくれてないと、ちょっと面倒なことになるよ?」
「面倒って?」
「忘却魔法を使わないといけなくなる
ちなみに、この忘却魔法を使うというのが魔法使いの標準的な対処なんだけど
コントロールが難しいんだよね」
「…………失敗するとどうなるのよ?」
「狙った記憶以外も消えるっていうか普通に記憶喪失の様になることが多いね
因みに僕は忘却魔法が不得意だから出来れば黙ってくれると嬉しいんだけどな」
「…………あんた、おどしてる?」
「まあ、忠告かな?
僕はバラされると思ったら躊躇なく使うよ?」
「……わかったわよ、あんたが魔法使いだってことは誰にも言いません」
「うん、ありがとう、パティ」
「さて、楽しいおしゃべりの時間はここまでだ」
ダンテさんの声がし、目の前を見ると大きな屋敷があった
その手前に屋敷の入り口であろう大きな門がたっている
ダンテさんはヒョイっと飛び越えて向こう側へと行ってしまった
「ちょっと!なにやってるのよ!?」
「あん?エスコートしてくれる奴ならそこにいるだろ?」
パティはダンテさんが指差す僕の顔を見たあと、再びダンテさんの方をみる
「そ、そうじゃなくて、勝手に入ったら犯罪よ!?」
「パティ」
パティは僕の方を向いた
「な、なによ?」
「悪魔たちを差し向けたのは多分、亡くなった当主の子供や兄弟みたいな遺言がなければ財産を貰える人達だと思うよ?
で、ここにはその人達が集まっている可能性が高い」
パティは顔を強張らせる
「全員か、一部かは知らないけど、パティが遺言を預かってる弁護士さんに認識されなければ
たとえ、
相手からしたら最悪、弁護士がいる部屋の手前で誰かわからない死体に変えれば問題ないわけで
「………わかったわ」
それを聞いた僕は杖に
「んじゃ、乗って」
「…………へ?」
「杖に乗って、飛ぶから」
「え?あ、うん……………普通、箒じゃないかしら」
そう言いながら、僕の後ろに跨ったのを確認し
僕はゆっくり飛び立った
「わ、わわわっ!」
パティは慌てて、僕の服を掴んだ
あー、慌ててんなぁ
僕はそう思いながら門を乗り越え、ゆっくりと着地した
「パティ…………」
「……え?」
「着いたから離して」
するとパティは慌てて手を離した
「あっ!ご、ごめんなさい」//
パティが杖から降りると僕達は屋敷の中へ入った
なんかダンテさんがなんか笑ってた気がするけど気のせいだろう
屋敷の中に入るとダンテさんはまっすぐ二階への階段へと足を進める
「一階は探さなくていいんですか?」
「…………臭いがするんだよ………やつらのドブ川みてえなあの鼻につく嫌な臭いだ」
その言葉を聞いて大人しくついていくことにする
しばらく二階の廊下を行くと、ある部屋から人の声が聞こえた
「あらゆる事態を考慮して、
運良く同姓同名の子がすぐに見つかりました
あの子に目が向くように手は打たせてもらいましたが…………
お陰で楽しい旅でしたわ
…………さあ早く手続きを済ませましょう」
…………ああ、思い出した
そういえば
……………………反吐がでるな
隣のパティをみてみる
顔は帽子に隠れて上手く見えないけれど
手は強く握られ震えてる
「パティ、大丈夫?」
「…………大丈夫じゃないわよ」
まあ、子供がこんな目にあったら泣け…………
「あったまきた!」
…………え?
「散々怖い思いして、
1発ガツンといってやる!」
…………はは、なんていうか、ほんとダンテさんに関わる女性は年齢問わず、強いね
精神的に
怒り顔のパティを見て僕は苦笑した
「身分証明書は運転免許証でよろしいかしら?」
「いいえ、もう必要ありません」
再び中へ耳を澄ますと女の他に男の声が聞こえた
「……どういう事?」
「パティ・ローエルの生存は確認され…ナイカラデスヨ』
中から聞こえた男女の声の内
男の声が途中から禍々しい響くような風に変わっていった
『貴様ラモダ!遺産ハスベテワタシノモノダ!
誰ニモワタサン!』
その声を合図に木の折れる音やグシャリと嫌な音が部屋から響く
ダンテさんが駆け込むと部屋には数メートルはあろうかという体躯とやや緑がかった黒い肌の大きな悪魔が、手前の金髪の女に襲いかかろうとした
そいつに銃弾を一発お見舞いすると動きが止まり静かになった
しかし、ダンテさんはそれを気にせず
パティを囮にしたパティ(年増)を睨みつける
「あんたか、オレにパティのボディガードを依頼したのは…………
せめてもの罪滅ぼしのつもりか?
綺麗な
あんたが悪魔だったらなんのためらいもなく殺せるのによう…………」
ダンテさんは視線を悪魔へと移す
悪魔は体をゆっくりと起こそうとしていた
「よし、このままじゃ気がすまねえ
気晴らしだ!
パアッと、ド派手なライブといくか!!」
そう言うとダンテさんはリベリオンをギターケースから出した
悪魔はそのまま襲いかかろうとするも数発の銃弾に阻まれた
次にその強靭な左腕を振り下ろすが
飛び上がって躱し、さらにリベリオンを振り下ろして腕を切り落とした
さらに下に潜り込んで、下から上へ斬りながら打ち上げたかと思うと、無数の銃弾からそのまま止めにリベリオンが悪魔の胸に突き刺さった
ダンテさんは悪魔から剣を引き抜くと
崩れ、塵に、消えていく悪魔を背に出口へと歩いていく
僕達もそれについていった
「わたし見ちゃった…………R指定」
「僕は二回目だなぁ」
パティの呟きにそう返すと後ろから声が聞こえた
「待って、待ってください!
その子を私に引き取らせてください!!
せめてもの償いがしたいんです」
そうパティ(婆)が言っていた
「………いやよ、だれが好き好んでお金のために自分を囮にした奴に引き取られなきゃならないのよ?」
「じゃ、じゃあ私はどうすれば!?」
そんなもん自分で考えろよ
「それなら慰謝料を請求するわ」
「慰謝料!?」
「そうよ、醜い大人の世界見せられて、少女の心は深く傷付いたってことよ」
「…………わかったわ、せめてもの償いに………」
その言葉を聞いていたが
なんか納得がいかないな
と思った
「ねえ」
「は、はい?」
「あれなに?」
僕がちょうどパティ(骨)の真上を指差すと奴は上を向いた
「
そう静かに唱えると黒い玉が腹に命中した
「かはっ!」
パティ(土)は腹を押さえて、顔を
「一体なにを……」
「なにが?」
「だって今私のお腹を」
「この距離で子供の僕になにができるの?」
距離を見ると3メートル以上離れている
「……っ!」
「まさか、言いがかりでさっきの慰謝料を払うって言う発言を撤回する気?
嫌だなぁ、そんな大人
ねぇ?パティ」
「へ?…………そうね」
隣のパティは突然振られて驚くも
すぐに僕が魔法で何かしたことに気がついたようだ
「払うんだよね?慰謝料」
「払うわよね?私を囮にしたのは明白なはずよね?」
そう、僕達はにっこりと笑いながら言った
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「っていうことがあったんですよ」
後日、Devil May Cryの事務所へと訪れたモリソンさんに、ことのあらましを説明した
「なるほど、パティの服はその慰謝料から?」
モリソンさんは苦笑いをしながらそう言った
「そう、孤児院の仲間の服やお菓子
しめてダンプ三台分」
事務所内をファンシーにしているパティはにっこりと笑いながらそう答える
ちなみに、ダンテさんはシャワー中に訪れたパティが勝手にやっていることであることと
一応、僕は一度止めたことを言っておく
「ははは、そりゃあよかった…………そういえばハルにはよかったのか?
話を聞くと色々助けられたみたいなんだろ?」
「もちろん買ったわよ、なのにハルったら絶対に着たくないって騒ぐのよ?
全くもう!」
パティはプンスカ怒っている
「いや、なんでもってくる服がファンシーなドレスみたいな女物かとっちゃん坊やみたいな服しかないんだよ?
もっと着やすいのにしてくれないかな!?」
「だって可愛いじゃない!」
「…………おまえさんも女には苦労してんだな」
誰と比較してるのかな?
とりあえず視線を明後日へと向けた
…………一応、パティの勝手を許しているのは女装が怖いからではない事も言っておく
…………きっと
モリソンさんの同情をスルーしていると奥から声が聞こえた
「なんだモリソン、来てたのか?」
「……あぁ」
ダンテさんが上半身裸で現れた
こうやってみてもとても超肥満体型まっしぐらな食生活をしている人の肉体には見えない
「あれ?シャワー上がりにストロベリーサンデーが届く筈なんだが?」
ダンテさんが少し前までテーブルの上に
そして、今は
「あぁ、あれか?」
答えを知っているモリソンさんが二階を指差した
二階にいるパティは不敵な笑みを浮かべている
「あ!俺のストロベリーサンデー!」
そっちかよ!
「フフッ」
「パティ!?なんでお前がここに!?
…………なんだこの部屋は」
今頃になってパティと部屋の内装に気が付いた
ダンテさんはあまり見られない動揺した様子で辺りを見渡す
「あんまり汚くてダサい部屋だから
綺麗に掃除して可愛く飾ってあげたの」
飾りはいらなくない?
「いや、それよりストロベリーサンデー」
そしてこの人のストロベリーサンデーへの執着もすごいな………知ってたけど
「ああ、掃除してあげたバイト料よ
ごちそうさま」
それは高いのか安いのか
そう、心の中でツッコミを入れながらダンテさんとパティのやり取りを見ていると
「お前も、パティが食べるのを止めろよ!」
なんか、僕に振られるし
「いや、今のパティからストロベリーサンデーを死守するのは無理です
下手に関わるとこの部屋みたいな服装にされそうなんで」
「…………へえ、それはいいことを聞いた」
「へ?」
そういうとダンテさんは僕の
「わっ!」
「きゃっ!」
パティとぶつかった
「いたた、ダンテ、ひどいじゃない!
まったくも…………う!?」///
「いたた…………ダンテさん、ひどいじゃな…………い…です…か?」
そう言って立ち上がろうとして気が付いた
「おー、おー、最近のガキは随分進んでるな」
ちょうど僕がパティに覆いかぶさるように倒れたようだ
「ちょっと!早くどきなさいよ!」//
「ぶへっ!」
パディのビンタが飛んできた
理不尽だ
「……ったー…………」
「おいおい、痴話喧嘩なら他所でしてくれ」
いつの間にか二階に上がったダンテさんがふざけたことを言った
「痴話喧嘩じゃないわよ!」//
「そうですよ、大体ダンテさんのせいじゃないですか!」
「はん、まあいい。パティ、オレのストロベリーサンデー返せ」
「うっ…………ハル!なんとかしなさい!」
「はあ!?」
「ほらほら、魔法でちゃちゃっと」
「ほお、おまえが相手か」
「ちょっ!まっ!
待てやアァァ!!」
ウェールズのネギ、スタ爺、ネカネ姉ちゃん、アーニャ、……………………
ああ、あとじいちゃん
Devil May Cryは今日も平和です
「あ!あと、後で可愛い服着てね」
「ふざけんな!」
たぶん
ありがとうございます
これで書き溜めは終了したので投稿はゆっくりになるとおもいます