【ナギside】
あ"ぁー落ちつかねぇー!
仲間で助産師?っていうのができるのがアルだけだからって任せっきりになっちまってる
アルも「任せてください」とかいうし
アリカも「主治医がやる気満々じゃから、夫はどーん!と外でかまえておれ」
とかいうしよぉ
アリカとオレのガキなのにオレはなんにも出来ないのかよ!
アリカから聞いたこと無い絶叫が聞こえるから何回飛び込みそうになったことか
その度隣の詠春に止められんだが
まあその詠春の方がオレよりオロオロしてるから逆に落ち着いてくる
そのうちに赤ん坊の泣き声が聞こえてきた
産まれた!!?
そう思い部屋に入ろうとすると詠春に止められた
「なんだよ!産まれたんだから入っても大丈夫だろ!!」
「バカ!産まれたばかりのときは処置やらなんやらがあるし、母体も体力が落ちてるから少し待て!
あとよく聞いてみろ」
そういわれて部屋の音をよく聞いてみると赤ん坊の泣き声の中にアリカの唸り声やら絶叫が聞こえる
「多分、アルが言っていた低い可能性が当たったんだろう」
双子か!
でもアルは双子だと危険性が少し増すとかいってたけど大丈夫か?
「安心しろ。世の中双子の兄弟姉妹なんて腐る程いるんだぞ。中には三つ子や四つ子なんている。
それゆアリカ様の強さはお前が一番よく知っているだろ。だから信じてまて」
そう言う詠春の手はプルプルと震え、少し顔が青かった
あぁ、こいつも不安なんだな
なのにオレのために気を張ってんだな
ならオレもアリカの旦那で生まれてくるガキ共の親父になるんだ
アリカも言っていたようにどーんと構えていよう!
しばらくして微かに聞こえて来たアリカの叫び声が消えかわりに赤ん坊の泣き声が二重になった
もう一人も産まれた!!
微かにアルの声が聞こえた
「おめでとうございます、アリカ様。
二人とも元気な男の子ですよ」
もう行っても大丈夫だろ
今までオレを止めていた詠春もコクンと頷く
親父らしく堂々としねぇとな!
と思ったらドアの前で止まってしまった
なんだこの感覚は?
前に経験したことないぞ
いや一度だけあるな。
もしかしてオレは
「緊張してんのか?」
不意に詠春から声がかかった
「き、緊張なんてしてねぇよ!」
「んじゃなんでさっきから準備体操してんだ?」
どうやらオレは無意識に準備体操をしていたらしい
「こっ、これは、あれだガキ共に親父の強さを見せつけてやろうと思ってな!」
バカなオレでもわかる。無茶苦茶な事言ってんな、オレ
だが詠春は静かにこういった
「そうか、じゃあいいこと教えてやる」
「な、なんだよ!」
「娘が産まれたときな、やっぱり俺、緊張しちまって、思わず斬鉄閃でドア壊して入ったんだよ」
「ほぉー」
「でな、産婆さんも穂乃香もきょとーんとしてたんだが、状況がわかるとな.......」
「わ、わかったらどうなったんだよ!?」
「穂乃香のやつ、満面の笑みで
「詠春さん、後でお説教」って」
「それだけかよ」
「ははっ、それだけなら良かったんだが、そのとき穂乃香の後ろに般若が見えた」
は?
穂乃香ってあれだよな黒髪ロングで大人しそうなやつだったよなぁ
アルは「まさに大和撫子ですねぇ」とか言ってたけど
「その後、娘にしばらくあわせてもらえないわ、巫女さんたちに陰でクスクス笑われるわ、散々なことになったんだよ」
なんだか詠春の頭上から雨が降り注いでるようにみえた
「えーと?つまり?」
「派手な演出をすると出産後の母親は子供を守ろうと、夫だとしても敵とみなすことがあるってことだ
だから普通に入った方がいい」
なんだか詠春から凄い迫力のオーラが出ているが話を聞いていたら緊張が吹っ飛んじまった
よし!まあ詠春にあんだけ言われたし、普通にはいるか
おっと、親父らしく堂々な
「アリカ、アル、産まれたのか!?」
部屋に入るとアルはなんだかよくわらんものを弄っていた
多分詠春が言っていた出産後に必要な処置をする道具だろう
アリカの方をみると人間の形をしたものを抱いていた
「アリカ、大丈夫か?」
「もちろんじゃ」
疲れているものの、いつものアリカだった
「こいつらがオレの子か?」
「ああ、お主の子じゃ。」
あ"ー!くっそー!親父の威厳を見せてやろうと思ったのに目から水が出てしょうがねぇ
その後、オレは後から産まれた方をだかせてもらった
小せぇ、すげぇ小せぇ、目からまた水が出て来そうだ
すげぇ大事な感じがする
こういうの日本じゃなんだっけ?
目にいれても痛くないとか言うっけ?
実際はまず入らねぇけど
「そういえば、この子達の名前はどうするんじゃ?」
「あーそういえば一人だけだと思ったから一つだけしかきめてないな」
よし!ここはオレ様の華麗なる名付けを
「よし!オレが名付けを「却下じゃ」なんでだよ!?」
「お主は既に一人名付けておる。
だからもう一人は妾につけさせてもらう」
まぁ確かにその方が平等か
「んじゃあよ、どっちをネギって名前にすりゃあいいんだ?」
「お主はどっちにつけたいんじゃ?」
どっちって双子なんだからどっちって言われても困るな
ん?
あれ?微妙顔違わなくないか?
「なぁ、双子なのに顔違わなくないか?」
「そう言われてみればそうじゃな」
「二卵性双生児なのでは?」
突然アルが会話に入ってきた
「二卵性双生児?」
「えぇ、双子には一卵性と二卵性があります
簡単に言えば、一卵性は一つの卵を二つに分けたためまるでコピーしたかのようにそっくりなことが多いですが
二卵性は元から二つの卵なため普通の兄弟が同時に産まれるのと同じようなものなので微妙に顔立ちが違っていたりします」
「へぇー」
「ここからは私個人の提案なんですが
微妙な差異ですがナギに似ている方をナギがアリカ様に似ている方をアリカ様が名付けてみては?」
「まっ、それでいいか」
「妾もそれで異存は無い」
どっちがオレににてるかなぁ?っていうか改めてみたら弟がオレ似で兄貴がアリカ似だな
「じゃあ、弟がネギだな」
「そうじゃな。弟の方がお主に似ておる。
では、妾は兄のほうの名前を考えるとするかの」
なかなか決まらねぇな
名前って大事だからな!仕方ないだろう
でも、なんだか煮詰まってるみたいだな
よし!ここはオレの小話でリラックスさせてやろう
「なぁ」
「.....なんじゃ」
やべぇ、考えてる途中で話しかけたからすげぇ不機嫌だ
「に、煮詰まってるみたいだからオレが何か面白いはなしをしてやろうか?」
「.....まあ、煮詰まってるのは本当じゃから聞いてやろう」
さっき詠春が言っていた穂乃香はキレさすと怖いという話しをしたが
なんでこのタイミングで!?
みたいな顔をされて余計にイラつかせてしまったみたいだ
あわてて別の話題を降ってみた
「そ、そういえば、詠春といえば、京都旅行はよかったな!」
おっ!少し機嫌をなおしたみてぇだ
「そうじゃな。特に日本の紅葉?は壮大で美しかった」
「あぁ、オレには綺麗とかよくわからなかったけど凄いのは十分にわかった」
「また行きたいのぉ」
「んじゃ、こんどは家族4人で行くか!」
「...そうじゃな!」
「そういえば、詠春に聞いたんだが、秋もいいが春もなかなかいいらしいぜ」
「あぁ、詠春の家で写真だがみたが、なかなか素晴らしいものだっ.......」
そう言うとアリカは考え込んでしまった
どうしたんだ?
「そうじゃ!春じゃ春なんじゃ」
「秋がどうしたんだ」
「日本では春は「ハル」といって人の名前ときいておる」
「ん?じゃあ兄貴のほうの名前は「ハル」か?」
「そうじゃ!語呂もよかろう!」
確かに悪い意味もないし語呂もいい
「いいんじゃねぇか?オレもいい名前だと思うぜ」
「じゃあ決定じゃ!」
その後、えいえんとアリカと一緒にはるとネギを呼び続けた
親バカかもしれないが二人が大事すぎるんだ
親父になった特権だ
これぐらいいいだろ?
少ししたらアリカ小さな声で言った
「そういえば、アルに礼は言ってないのう」
「礼?」
「そうじゃ、アルとは仲間じゃが、だからこそ、けじめはしっかりしないと、それに家族4人になれたのはアルの尽力があったからこそじゃ」
確かに、オレは待つことしか出来なかったがアルは違う
「そうだな」
オレはアルの方を向いて
「アル!!」
アルを呼んだ
「どうしたんです?突然大きな声を出して」
アルはいつも通り、胡散臭そうな笑みを軽くみせて現れた
「えーとな?あれだあれ」
クッソ!いざ礼を言おうとするとなんか恥ずいな!
「?」
あー!くそ
えーい、ままよ!
「か、家族4人にしてくれてありがとう!アル」
「妾も礼を言う、アル」
オレの後に続いてアリカも礼を言う
アルはきょとーんとした顔をしたあと
いつも通りの胡散臭そうな笑みに戻して
「どういたしまして。
でもあなた方二人に同時にに礼を言われると少し照れ臭いですね」
そういうアルは照れ臭い感じを見せず続けてこう言った
「ところで御子息達はおねむのようですよ?」
息子達をみるとわかりずらいが寝ているらしい
「御子息はだいぶ安定しているようですがまだまだ油断はできません。
そこでこんなものを作ってみました」
アルはなんか透明な箱とベッドを足したような物を持ってきた
「これは保育器の一種です
まあ魔法で再現してあるのですが、
双子というのは大抵未成熟で産まれてくるせいか、呼吸や体温調節がうまく出来ないのでこれで補助をしてやるんです」
「やべぇじゃねぇか!早くいれてやらねぇと!!」
「慌てなくても大丈夫ですよ。御子息達は双子のわりには大きく産まれて来たようで保育器を使うギリギリぐらいです。体温調節ぐらいですむ程度でしょうし、というかもともとある程度この部屋にも近い作用の魔法をかけてありますから」
「そうか.....どのくらい入っていればいいんだ?」
「そうですね......予定日だった日が妥当でしょうか?まあ成長具合で多少変更しますが」
「そっか、何から何まですまねぇな」
「いえいえ..................「すまねぇ」ですか。さっきは「ありがとう」でしたが「すまねぇ」のほうがあなたらしいですね」
「うっせ!」///
そのあと、息子達を保育器にいれたあと、エイシュンが入ってきた。
早く入っとけばいいのに、家族の時間を邪魔するほど野暮じゃないとさ。
相変わらずいろいろ気を回すやつだ。
俺たちはアリカと少し話しをしてから部屋を出た。
もう少し話したかったが、アルが「出産は大変体力を使うのでアリカを少し休ませたいのですが」と言ってきたかから仕方なくだ。
まぁ、当のアリカはもっと話したがっていたがアルの「お母さんが元気でないと産まれてきた子供が元気に育ちませんよ」と言われて慌てて休もうとしていた
母親の自覚がもう芽生えてるのか?
部屋を出てから詠春を見たとき、ふと思い出した
詠春は、4年前に自分の娘が産まれてから、顔をあわすたびに娘の写真やらを見せて、可愛いだろとか自慢?してくる。毎回してくるもんだからうぜぇうぜぇと思っていたが今ならわかる。
オレも息子自慢がしてぇ。
読んでいただきありがとうございます