オーバーロード・あんぐまーると一緒 ~超ギリ遅刻でナザリック入り~   作:コノエス

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この作品は、丸山くがね様著、オーバーロードの二次創作です
web版と書籍版の設定・展開をツギハギにしております


11.5

アインズ・ウール・ゴウンの旗とそのメンバー41人の掲げられし玉座の間。

玉座にはその主人であるナザリック地下大墳墓の支配者たるモモンガが座し、横にはその忠実なる騎士であるあんぐまーるが立っていた。

そして二人の前に集結し、整列して跪いている階層守護者・領域守護者・他各NPC・高位モンスターたちは彫像めいて微動だにせず、そのお言葉を待っている。

重要な伝達のために開かれた謁見に急遽集められた彼らは自らの仕える至高の御方の許しなく口を開くことは無いが、しかしそれぞれ内心に秘めた思いには興奮と期待の色があった。

既に守護者らにより伝えられ、把握していた者も少なくなかったが、自分達が忠誠と敬服する偉大なる主人モモンガの片腕たるあんぐまーるの帰還をこの目で確認したことに、礼を失さないため態度には勤めて表さない様にしながらも歓喜に打ち震えていたからだ。

その姿の美しきものも醜きものも、体躯の大きなものも小さきものも、生者も死者も種族も超えて至高の恩方に創造され、仕えるナザリックのNPCたち。

ヴィクティム、ガルガンチュアなど幾人かは持ち場を動かすことが出来ないためにその姿が見えないが……現在、謁見に少しでも多くのNPCを召集したいとのモモンガ、あんぐまーるの計らいによりほぼ全てのNPCが玉座の間に集結している。

その代わりとして、第1~第3階層の守備に普段よりもモンスターを増員して警備の穴を埋めている。

他に来ていないものと言えば、よほど格が低いためにふさわしくない者か、ナザリックの管理維持業務のために手が離せなかったり、代替要員が居ない者たちぐらいである。

そして彼らの期待に応えるように、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを携えるモモンガは厳かに口を開いた。

 

「……まずは、私とあんぐまーるさんが独断で勝手に行動した事を詫びよう」

 

詫びる、など本来筋違いな話である。 至高の御方の決定に異論をさしはさむ余地はなく、その臣である彼らはその決定や指示に粛々と従うのが使命であるのだから。

だが、自分達の主人にこのような配慮とお言葉をかけていただいたことは、彼らにとってこの上ない名誉であり、喜びでもあった。

主人が自らを慮り、顧みてくれる。 これほど嬉しいことは無い。

 

「何があったかはアルベドから聞くように。 そして、既に知っている者も少なくないかと思うが、私の信頼する大事な友人であり、剣を捧げてくれる騎士であるあんぐまーるさんが帰還したことを、正式に全ナザリックに伝達する」

 

おお……という声が歓喜のため息とともに漏れる。 だがその声をあえて咎めるものは居ない。

 

「そして……現在、このナザリックは現在未曾有の異常事態に陥っている。 周辺に起きた変化は未だに全容を把握するに至らないが、状態が落ち着くまでの間はナザリックの内部及び地上部の警戒を厳にするとともに、新たに非常体制を敷くことを通達する。

 その一環として……私はあんぐまーるさんを対等の友人であり仲間として遇して来たが、本質的にそれは変わらない。 しかし、この事態に対応するにあたってのナザリック内の指揮系統を明確にするためにも、アインズ・ウール・ゴウンの統率者とメンバーという地位の上下関係をこの際はっきりさせて置く事にする。

 あんぐまーるさん……いや、あんぐまーるはこれより私に仕える騎士として、私の次に序列を置くことを皆に宣言する」

 

これは暫定的ながら、しかし名実ともにあんぐまーるが現在のナザリックのナンバー2としての地位を明確にされたこととなる。

再びNPCたちの間からため息が上がる。

それはあんぐまーるの権力第2位としての就任を賞賛する感情が込められていた。

横に立っていたあんぐまーるが静かにモモンガの前に移動し、跪く。

そして自らの剣を抜いてモモンガに差し出した。

 

「我らアインズ・ウール・ゴウンの盟主、我が主君モモンガ様。 改めて、この身と、この剣、この忠誠を捧げ、モモンガ様の騎士としてこの魂が擦り切れ滅びるまでお仕え致します」

 

モモンガは頷いて剣を受け取ると、その剣の平であんぐまーるの肩をそっと打つ。

 

「改めて忠誠を受けよう、あんぐまーる。 私の騎士よ」

 

絵物語の中の偉大な王とその騎士のごとき姿に、NPCたちの何人かには感極まって涙を流す者たちが居た。

 

「モモンガ様万歳! あんぐまーる様、万歳! いと尊き方々へ、ナザリック地下大墳墓全てのものより絶対の忠誠を!」

 

アルベドの声ととともに、守護者達が次々と声を上げる。

 

「モモンガ様万歳! あんぐまーる様万歳! 至高の方々のまとめ役、そしてその補佐をなさるお方、お二人に私どもの全てを奉ります!」

 

「モモンガ様万歳! あんぐまーる様万歳! 恐るべき力の王とその剣たる騎士、すべての者が御身の偉大さを知るでしょう!」

 

NPCたちが、シモベたちが唱和し、万歳の連呼が玉座の前に広がった。

頃合を見て、モモンガが手をふって一同を静かにさせる。

剣を受け取ったあんぐまーるも作法にかなった礼をして立ち上がり、再び玉座の横に立った。

 

「さて……これよりお前達の指標となる方針を厳命する」

 

先ほどまでの熱狂は覚めやり、厳粛な気配が玉座の間を支配する。

モモンガは手にするスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを持ち上げ、そして床を叩いた。

スタッフに嵌められたそれぞれのクリスタルから輝きがもたらされる。

 

「アインズ・ウール・ゴウンを、私達41人を不変の伝説とせよ。 このナザリックにアインズ・ウール・ゴウンありと世界に知らしめよ。

 あんぐまーるが帰還を果たしたように、他の私の仲間達もいずれ帰還するやもしれぬ。

 その時のために、私達の名声をこの世界で知らぬものが無いように地の果てまで広めるのだ。

 あるいは、彼らは既にこの世界のいずこかに居るやもしれぬ。 ならば、私達が、このナザリックがここに在ることが仲間達の耳に届くようにすれば、彼らも帰ってくるやもしれぬ。

ゆえに! 既に英雄が居るならば全てを塗りつぶし、生きとし生ける全ての者に知らしめてやれ!

 今はまだその前の準備段階に過ぎないが、将来来るべき時のために働け。 このモモンガが、あんぐまーるが、私達アインズ・ウール・ゴウンの41人こそが最も偉大なものであることを知らしめるためにだ!」

 

このとき全てのNPCたちがモモンガの意図を完全に理解した。

我々の主人は仲間達の帰還を願っている。

今はその名が知られなくなったために至高の方々は戻ってくることが出来なくなっただけで、あんぐまーるのようにいつか必ず戻って来る。

そのためには、全ての者が至高の方々、アインズ・ウール・ゴウンの名を知り、その名声を地上の隅々まで広める必要があるのだと。

そして、NPCたちは崇高なものに祈るように頭を下げ、拝命した。

 

 

 

モモンガとあんぐまーるが玉座の間を去り、主人の居なくなった玉座が寂しげに佇む。

その一方で、残った守護者らNPCたちの熱気は冷め遣らず、彼らは一様に支配者からの命令を受けていざ行動を開始せんとする意欲に燃えていた。

 

「皆、面を上げなさい」

 

アルベドの静かな声で全員が頭を上げ、守護者統括に注目する。

 

「各員はモモンガ様の勅命には謹んで従うように。 そしてこれから重大な話をします。 まずはセバス、あんぐまーる様とお話をした際のお言葉を皆に」

 

「はい、畏まりました」

 

最初に命令されてセバスが口を開く。

 

「あんぐまーる様とナザリック周辺の情報収集に赴かれた際、殺戮された村を発見いたしました。

 そして、あんぐまーる様は『この殺戮を行った者たちを我はけして許さぬ』と申されました。 そして、『奴らにはもはや眠れる夜は無い。 いずこにいようとも探し出し、追い立て、追い詰め、なぶり殺しにしてくれよう』と。 この非道を行った者たちへのあんぐまーる様の強い義憤と怒りを感じました」

 

「宜しい。 では次に、デミウルゴス。 あんぐまーる様とセバスが情報収集から戻られた後に、あんぐまーる様がモモンガ様と話されたことを皆に」

 

「畏まりました。 あんぐまーる様はモモンガ様にこう進言なさいました。 『かの村での惨状、あれは人の行いとは思えず、人面獣心の類なり。 明らかにわざとか弱きものらをなぶり殺しにした形跡が見て取れ、その所業はまさに鬼畜』と。

 そしてこう続けられました。 『我はそやつらに、我自身が盟主にお助けいただいた忘れもせぬ日の、あの正義騙る愚か者どもと同じ臭いを嗅ぎ取りました』……我々の何人かはかつてあんぐまーる様に親しくお声をかけていただいた覚えのあるものが居るかと思いますが、その者たちはあんぐまーる様がモモンガ様直々によって至高の41人の一人に迎えられた経緯を聞かされた事があるでしょう」

 

何人かが静かに頷く。 あんぐまーるの語るモモンガとの過去の逸話はモモンガの偉大さと慈悲深さ、義侠心と仁徳に満ち溢れた人柄を賞賛し、そしてそれはNPCらのモモンガへの尊敬と忠誠を一層補強する材料になっていた。

そして二人がどれだけの強い絆で結ばれた主従であるかという事も。

 

「最後にあんぐまーる様はこう申されました……『奴らがこのアインズ・ウール・ゴウンと友誼を結ぶには値せぬものどもであることだけは明白です』、と。

 これはつまり、あんぐまーる様の仇敵であり、そしてモモンガ様があんぐまーる様を助けるためにその者たちと敵対する事を選択された、このナザリックの怨敵がこの世界にも同様に存在する事を示します。

 正義を騙る者……その者たちこそが私達の敵。 モモンガ様とあんぐまーる様が共に憎まれる、絶対に滅ぼさねばならない敵です。

 それゆえに、お二人は敵を発見したとき何を差し置いても即座に行動に移った。

 つまり、モモンガ様のお言葉の真意もそこにあります」

 

デミウルゴスはその顔に冷たい笑みを浮かべた。

それは主人の敵を滅ぼす喜びと、敵に対する憎悪と悪意とを混ぜ合わせて煮込んだような心底背筋の寒くなるような笑みだ。

同様に全ての者たちの瞳にも鋭い光が宿る。 知らされた明確な目的を遂行する決意の光が。 

そして、最後にアルベドが自分の見聞きしたことを語った。

 

「モモンガ様も私の前でこうおっしゃいました。 『「悪」でも、時には正義に力を貸してもいいでしょう』と。 モモンガ様の真意を受け止め、準備を行うことこそ忠義の証であり、優秀な臣下の印。 各員、ナザリック地下大墳墓の最終的な目的は偽なる正義を討ち滅ぼし、真の悪を持って至高の方々こそが正義だと示すと知れ」

 

 

 

 

 

これより先は、モモンガとあんぐまーるの謁見に数日前後して。

 

 

 

 

リ・エスティーゼ王国の王都。

そのヴァランシア宮殿の一室では宮廷会議が行われていた。

カルネ村より帰還したガゼフは会議において自らの体験した詳細を報告し、特に偶然通りすがったにも関わらず村を救うために自ら危険へと飛び込んでいった男達…モモンガとあんぐまーるの事を賞賛を交えつつ滔々と語った。

しかし、それに対する反応は……ガゼフが忠誠を誓う国王は別として、貴族達はむしろその二人に疑惑の目を向けるものだった。

アインズ・ウール・ゴウンという名前も聞いたことの無い集団あるいは組織を名乗る。

素顔を見せず、身分も明らかではなく胡散臭い。

耳慣れない変わった……というよりおかしな名前の魔法詠唱者と剣士。

大貴族派閥に所属する彼らは、王が感嘆の言葉を放ったのに対抗するかのようにモモンガとあんぐまーるの二人を怪しむ意見を連ねた。

果ては、この二人こそが自分達を売り込むために襲撃をお膳立てしたのでは?という嘲笑交じりの邪推まで飛び出る始末だ。

恩人への謂われない侮辱を、ガゼフは賢明に堪える。

これに反論する力を今の立場でのガゼフは持っていない。

もちろん、スレイン王国の部隊が現れたことに関する、大貴族派閥が裏で手を引いたのではと思しき疑惑も腹に飲み込んだまま。

ただ、王国を裏切っているとすれば彼ではないか?と思う一人に視線を向ける。

モモンガとあんぐまーるへの侮辱にこそ加わっていないものの、国王派と大貴族派の両方を上手く立ち回る蝙蝠と目されている、レエブン候。

だがレエブン候はガゼフと視線が合うと挑発的に唇を笑みの形に歪ませた。

 

「戦士長からの報告はひとまずこれくらいにしよう」

 

王の言葉でこの話は一旦収まり、議題は帝国との例年の戦争へと移った。

レエブン候が席から立ち上がり、報告と説明を行う。 それに対する貴族達の意見もまた楽観と己の力の過信に満ちていた。

帝国との戦争が半ば例年行事となり、実際には刃を交えることなくにらみ合いで終わることも少なくない。

貴族たちはそうした「撃退」の戦果をもって、帝国が本気の戦争は避けていることと、その理由がこちらを恐れているからだと勝手な希望的観測で解釈するようになっている。

だが、少し知恵あるものならば帝国の狙いは多大な戦力を召集せねばならない王国の疲弊を狙っているのだと気づく。

ただでさえ徴兵と兵糧の徴発で資源を浪費するのに加え、帝国が戦争を仕掛けるのは王国の農民の繁忙期や収穫期。

領地経営を真面目にやっている貴族ならば、税収と冬を乗り越えた後の人口が減っているのに気付く筈である。

だがそれにも気付くことのない貴族の多さに、ガゼフは唇をかみ締めるしかない。

おそらく国力が落ちきった時に、帝国は本気で攻めて来る。

その時に貴族は今の地位のままで居られると思っているのだろうか? あるいは……既に帝国と内通している? そんな疑惑さえガゼフの胸中に浮かんだ。

そんなガゼフの思いは露知らず、貴族たちは再びモモンガたちに言及した。

彼らが帝国のスパイであるという邪推だ。 帝国には魔法詠唱者の学院がある、騎士もいる。 そこから送り込まれた可能性は充分にある、と。

ガゼフは帝国の回し者はお前達の方ではないか?と怒鳴りつけたくなるのを必死に堪えた。

だがそれにもお構いなく、ついにはそんな怪しい存在が国内に居るのは不安、二人を捕まえて調べるべきではとの意見が出され、二人を連行するのには自分の騎士が、いやいや自分の騎士こそ、と言い争うに至ってガゼフはついに口を挟んだ。

 

「お待ちを、かの二人は王国に対し好意的に思われました。 実際に村は彼らによって救われ、そのような人物らをただ一方的に怪しいと決め付けて捕縛するなどいかがなものかと……」

 

しかし、ガゼフの意見は火に油を注ぐ結果に終わる。

このままの勢いではガゼフ当人にも非難のの矛先が向きかねない空気になったところで、王からの制止の言葉が穏やかに、疲れの入り混じった声で響き渡る。

そうして一応は熱は収まった。

だが、ガゼフの心中にはモモンガとあんぐまーるへの申し訳なさと貴族達への深い失望が刻み込まれた。

特に、あんぐまーるには騎士としてモモンガに仕えるという高潔な態度が己の王への尊敬と忠誠に通じるところがあり、共感めいた思いがあっただけに、貴族達の二人への認識は恩を仇で返す結果をもたらしかねないと考え、ガゼフの胸は酷く痛んだ。

そして、二人を敵に回した場合の不安が色濃く頭に残った。

 

 

 

 

 

バハルス帝国の帝都、皇帝ジルクニフの居室。

部屋そのものを絢爛豪華という言葉で満たし飾りつける豪奢な調度品の数々と、そしてその調度品に負けず劣らじに美しい青年が長椅子に腰掛けて師であり最も信頼を置く家臣である主席宮廷魔術師、賢者フールーダの報告を受けていた。

自身も、王国からの内通者よりもたらされた情報の書かれた報告書に目を通していたばかりである。

フールーダの報告は、モモンガとあんぐまーるなる人物の探知に失敗したこと、そしてそれはおそらく自分と同等かそれ以上の力を持つ魔法詠唱者である可能性を示しているというものだった。

そして、それをフールーダは喜ばしく思っている事も。

魔法のさらなる高みを目指すフールーダの思いはジルクニフは承知している。

ゆえに、ジルクニフもこの二人とは友好的な関係を結びたいと考えていた。

フールーダと同格の魔法詠唱者ならば、敵対するより帝国に迎え入れたほうが得策であり……もしそれが成功すれば帝国はさらに強化される。

もちろん、御することが可能な人間であればの話だが。

 

「さて……そのモモンガという魔法詠唱者の実力はわかった。 もう一人のあんぐまーるの方はどうなのだ? 報告書を読む限りでは剣士のようだが」

 

「計りかねますな。 この二人にさらに従者と思しき者を一人加えて、三名で法国の特殊部隊、おそらくは陽光聖典の数十人を倒したというからには、剣士の方も相当な強さを持っている可能性は高いかと。

 剣に関しては私の出る幕ではございませぬな。 もしかすれば魔法も同じくらい使える可能性もありますが」

 

フールーダはそう評するが、それはほぼ確実であると思われた。

ならば、二人とも帝国に引き込む事ができれば魔法に加えて剣技でも相当な実力者を手に入れることになるだろう。

もしかすれば、帝国四騎士でもかなわぬ王国戦士長ガゼフ・ストロノーフを倒すことも夢ではないかもしれない。

ジルクニフはそう考え、薄く笑った。 まだ取らぬ皮算用だ、と。

 

「そうだ、エ・ランテルに現れたというアダマンタイト級冒険者に関しても情報を集めたい。 協力してくれるか?」

 

「もちろんですとも、陛下」

 

確か、その冒険者というのも魔法使いと剣士の二人組だったな……報告書にはまだ名が記載されて居なかったが、確か「漆黒」「純白」の異名があったとジルクニフは思い起こしていた。

 

 

 

 

 

スレイン法国の何処かの場所、何処かの室内。

神官衣を身に纏う複数の人間が卓に広げられた大きな羊皮紙と、そこに描かれた絵を囲み、話し合っていた。

死の神、スルシャーナ。

誰にも逃れられぬ死を司るがゆえに六大神の中でも最も力の強いとされるその神の似姿を描かれた羊皮紙。 それに全員が注目していた。

 

「そして、まさにこの御姿そのものだったというわけか」

「しかしながら、それが見えたのは一瞬だったのであろう。 本当に確かであるのか」

「一瞬であるにしろ無いにしろ、この御方であるという事が問題なのだ」

 

神官衣を着たものたちは頭を悩ましながら互いに意見を交わす。

議論は白熱しかけたが、特に意見が割れることも無くまるで決まった事項の再確認であるかのようにすんなりと話は進み、一応の結論に達した。

 

「……慌てる必要は無いだろう。 我らを混乱させるためにあえて神の似姿を用いたという可能性もある」

「そうだとすれば、極めて不快な輩どもだ。 許しておくことはできんな」

「従属神の似姿まで用意して入念なことだ」

「ひとまずは情報収集を継続しよう」

 

全員が同意して頷き、さらに詳細な打ち合わせに進む。

その間にも時折視線が向けられる羊皮紙には、死を象徴する骸骨に闇で繕ったかのような巨大な漆黒のローブを纏う姿、そして光り輝く杖という構図で描かれたスルシャーナ。

そして、その周りにひれ伏す数体の従属神……その中に、ローブを纏い、ガントレットを嵌める手には長剣を持つ姿が一つあった。

 

 

 

 

 

 

 




私室にて

「……ぶっつけ本番でも案外なんとかなるものですね、盟主。 アドリブも冴えておられました」
「予定表に無いことするのやめましょうね? あんぐまーるさん。 メッチャドキドキしましたよ!」
「お嫌でしたでしょうか」
「いえ……悪い気はしませんけど……その……守護者たちの前でないときは対等な立場ですからね?」
「承知(でも盟主がロールプレイに付き合ってくれるのは楽しいなあ…また機会があればやろうっと)」
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