神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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今回は戦闘回となっておりますが、あまりうまくかけてはいないと思います。
戦闘難しいです。


第十一話

 

 

 

 

 

 

「ぐはッ!?」

 

 

俺は腹に強い衝撃を受けたことで大きく後方に吹き飛ばされる。しかも、肺の空気が根こそぎ持っていかれるというおまけつきで。

このままでは確実に次の攻撃を避けれなくなり、死に至る。そう考えた瞬間俺は気合で体を動かし後方二回転して衝撃を弱め、地面に着地する。そしてすぐさま右にステップを踏んだ。

その直後、先程俺が着地した場所には巨大な火の玉が飛来し、爆発する。

 

 

「……あっぶねぇ。もう少し反応が遅れてたら爆発四散するところだった……。ったく、なんでこんな奴がここに居るんだよ」

 

 

今しがた俺のことをブッ飛ばしてくれた白い狼の風貌をしたアラガミに向かって悪態を吐きながら自分の神機を構えなおす。

が、正直戦況はこれ以上ないくらい悪い。

このアラガミその辺の奴とは格が違う。ぶっちゃけ俺のような新人が相手する奴じゃない。こんなの相手できんのはジュリウス隊長とギルさんくらいじゃないだろうか?

はやくきてーはやくきてー。

 

 

「……ッ!」

 

 

目の前の白いアラガミが跳躍し、ガントレットを装備したような腕で俺を潰しにかかる。

多少反応が遅れたがこちらもすぐさまバックステップで回避する。しかし、衝撃までは回避できずごろごろと無様に地面を転がることになった。

 

 

ぜ、絶体絶命すぎる……。

このままいくと真面目に死ねるぞ。

ゆっくりと恐怖を与えるように近づいてくる白い狼の風貌をしたアラガミを見ながら俺はどうしてこうなったと思い返した。

 

 

…これ走馬灯になったりしないよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウコンバサラを倒し、珍しくジュリウス隊長からゆっくり休め何て言われ、戸惑いつつもベットに倒れ込んだ日の翌日。

一人前の神機使いと認められる基準となるコンゴウの討伐任務に駆り出されていた。

しかも、一人につき二体だ。

その任務を出す時のフランさんの顔を見たことがあるか?お偉いさん。

いくらブラットとはいえ正気か?って表情しててすげぇ怖かったぜ。

 

 

まぁ、フランさんは一応経験豊富なジュリウス隊長やギルさんがフォローするという事で色々納得したらしい。

それはいいんだが……俺に付き添いが誰もいないっていう事はどういう事なんですかねぇ。

しかも全員満場一致で即決だったらしい。解せぬ。

 

 

そんなこんなで、一人でアラガミの掃討ポイントへ俺は足を運んだ。

 

 

「おー、あれがコンゴウか」

 

 

黎明の亡都にある高台からフィールドの全体を見渡し目標のアラガミを確認する。

ほかには三匹のオウガテイルに二匹のドレットパイク、四匹のナイトホロウか……。

これは少しばかり多いな。

 

 

このまま戦いに行くのはさすがにきついので神機を銃形態へと変化させ、高台からスナイパーでナイトホロウとドレットパイクを撃ち抜く。

全弾命中、ビューティフォー。

粗方の小型アラガミを仕留めると同時にオラクルも尽きて弾が撃てなくなる。

よし、このくらいなら大丈夫だろ。

 

 

神機の形態を通常形態に戻し、高台から跳び下りる。

コンゴウは耳がいいと言っていた通り、俺が跳び下りた音を感知し、こちらを向いて一声咆えた。

 

 

「…初見だけど大丈夫かな」

 

 

今更ながらに心配になりつつもこちらにどたどたと向かってくるコンゴウに立ち向かう。

 

 

って、いきなり転がってきたっ!?

何だこれ肉弾〇車!?

 

 

コンゴウに向けて一直線に走っていた体を強引に左へと向けて肉弾〇車の直撃を回避する。

セーフ、と一息ついていると肉弾〇車を止めたコンゴウが背中にあるパイプのようなものから圧縮した空気を放つ。

あの見かけで遠距離も出来るんだ、あいつ。

 

 

右、左、後ろと次々発射される空気の弾を回避しながら俺はどうやって攻めようかと思考する。しかし、あまりにも情報が少ないのでとりあえず一撃を決めてから考えることにした。

 

 

空気砲が無駄だと悟ったのかコンゴウは右腕を振り上げ、そのままこちらへと近づき殴りかかろうとする。

それに対して、俺はコンゴウの攻撃範囲にギリギリ入らない距離に移動し、咬刃展開状態にしたヴァリアントサイズを振るった。

 

 

「グガァアアアア!!??」

 

 

コンゴウは不意に攻撃を喰らったこともあり、思わずその場で蹲る。

当然俺はチャンスだと感じ止めを刺そうとコンゴウに接近するが、

 

 

「ゴァアアアア!!」

 

 

何時の間にやら出現していたもう一体のコンゴウが後ろから肉弾〇車を繰り出してくるのせいですぐさま攻撃を中断し、蹲っているコンゴウを踏み台にして跳びあがりもう一匹のコンゴウの攻撃を回避する。

 

 

「ゴァ!?」

 

 

「グアッ!?」

 

 

そうすると、コンゴウの肉弾〇車は必然的にもう一方のコンゴウにぶつかることとなり二体そろってぶっ飛んでいくという珍妙な光景が出来上がった。

バカだあいつら。

 

 

しかもさらにバカなことにコンゴウ同士で喧嘩を始めるという事態にまで発展し、最終的にはお互いにボロボロとなったコンゴウ達を咬刃形態の広範囲攻撃でまとめて殺すことで任務を終了とした。

いやーアラガミに考える頭がなくて助かった。

 

 

「フランさん。目標の討伐、完了しました」

 

 

『わかりました。丁度皆さんも終わったようなので、周囲の警戒をしつつ迎えを待っていてください』

 

 

「わかりました」

 

 

さてと、今日は初めてソロで中型を狩ったから疲れたわ。

 

 

「今日は早く寝ようかな」

 

 

周囲の警戒をしつつそんなことを呟く。

すると、後方からかなり大きな足音と聞き覚えのある声が聞こえてきた。

一体何事かと振り返ってみると、そこには白い狼のようなアラガミを引き連れて全力で逃げているエミールさんがいた。

 

 

「ぬぁあああああ!!何故だ、何故神機が動かないんだぁあああ!!」

 

 

神機が動かないなんてことあるのかと思いつつ、エミールさんを助けるためにポーチに入れておいたスタングレネードを取り出す。

しかし、それより早くエミールさんがアラガミに吹き飛ばされてしまった。

 

 

「ぐぉああああ!!……へぶっ!?」

 

 

「エミールさん!」

 

 

ズザザザザザーと顔面から地面を滑るエミールさん。

ウコンバサラの時に驚異の耐久力を見せつけた彼でもこれはまずいのではないかと思い駆け寄ってみるが、どうやら気絶しているだけのようで、しっかしと呼吸はしているようだった。

この人マジ頑丈だな。

 

 

ホッと安心できたのもつかの間、エミールさんが連れてきたアラガミがガントレットをつけたような腕で地面を叩き、そこから火の弾をこちらに放ってくる。

俺はすぐにエミールさんを左腕に抱え、その場から跳びあがって火の玉を回避。更に、先程出しておいたスタングレネードを使ってアラガミの目をくらませ一目散に逃げた。

 

 

「すいませんフランさん!緊急事態です!想定外の大型アラガミと遭遇、エミールさんが戦闘不能に陥りました!」

 

 

『それはまずいですね。すぐにほかの班の人達を増援に向かわせます。彼らが到着するまで何とか持ちこたえてください』

 

 

「それしかないよな……了解しました。やってみます」

 

 

通信を切り、俺はこれからどうするのかを考える。

スタングレネードを使って逃げたから場所は知られてないはず、腕輪の機能でジュリウス隊長たちに居場所を知らせるか。

気絶したエミールさんを横たえて、腕輪に触れようとしたその瞬間、

 

 

「クォオオオオオオン!!」

 

 

「なっ!?」

 

 

いつの間にか背後に居たアラガミに腕を振るわれ、壁際まで吹き飛ばされる。

 

 

「舐めるな!」

 

 

が、何とか空中で体勢を立て直した俺は壁を蹴り、アラガミに向けて跳躍しそのまま神機を振り下ろす。

その攻撃はむなしく空を切った。

 

 

まずい。ここには戦闘不能のエミールさんがいる。このまま戦えば確実に巻き込むこととなるし、スタングレネードはポーチから出す必要があり、それが致命的な隙となる。

……何とかして、おびき出すか。

 

次の行動を決め俺は神機を銃形態にして、ちまちまと撃ってアラガミの気を引きエミールさんからなるべく離れるように行動した。

それが功を奏し、アラガミを連れ出すことには成功した。

 

 

「ぐはッ!?」

 

 

しかし、その直後腹に衝撃が走り俺は後方へと吹き飛ばされた。ここで冒頭に戻る。

 

 

 

 

―――――やばい、詰んでる。

腕輪は結局使えなかったからジュリウス隊長たちには知らせは行ってない。一応フランさんから報告は行っているだろうけど到着にはもう少し時間が必要だろう。

既に死にそうな身としてはその”もう少し”が限りなく長い。

そんなことを考えていたせいで無防備な体にアラガミの攻撃をまともに受けてしまう。

 

 

ま、マズイ。何とかして立ち上がらないと……。

そう考えていても体の方はいう事を聞かず、だんだんと瞼が降りてくる。

もうだめかと諦めかけた―――――その時。

 

 

 

 

―――――力が欲しいか?

 

 

そんな声が心の中に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと、目を開けてみればそこは何もない真っ白な空間だった。何が何だか全く分からないのだがそんな混乱気味な俺をよそに謎の声は言葉を続ける。

 

 

―――――お前はこのままだと確実に死ぬ。しかし、それでいいのか?知らないうちに知らない世界に飛ばされ、こんなところで朽ち果てることになってもいいのか?いや、よくないはずだ。ならどうするか?力だ。力を望めばお前は生き残ることができる。

 

 

―――――さぁ、力を……他のモノの追随をも許さない、圧倒的な力を望めッ!

 

 

その言葉は俺の心にすんなりと浸透し、まるで毒のように俺の思考を麻痺させる力を持っていた。

この声に従えばこの場を切り抜ける力を得られると確信も何故か抱けた、抱けさせるようなモノがあった……でもだからこそ、

 

 

「だが断る」

 

 

――――――えっ?

 

 

「えっ?じゃないよ。嫌だって言ってんの」

 

 

―――――――はっ、あ、えっ?な、なんで?

 

 

 

「いや、なんでって。これってあれでしょ?力望んだら闇堕ちとかそういうオチでしょう?」

 

 

―――――――そうだけど……。

 

 

「それが分かっててなんで力なんて望まきゃいけないのさ」

 

 

ふぅ、やれやれ。と肩を竦める俺。

その様子が気に入らなかったのか謎の声が言葉を強める。

 

 

―――――――このままだと死ぬんだぞ!?さっき自分で言ってただろうが!

 

 

「まぁ、言ったけどさ。よくよく考えてみたらジュリウス隊長が何とかしてくれる気がするんだよね。あの人ほら、あれだから」

 

 

―――――――言わんとすることは何となくわかるが……。

 

 

「それにさ、お前って俺の中に居るというか同化しているっていうようなテンプレートなタイプだろ?」

 

 

―――――――何で決めつけてるんだ……そうだけどさ。

 

 

「つまり、俺が死んだらお前も死ぬわけだ」

 

 

こういうタイプは大体そうだ。

ナ〇トにもそう書いてある。

 

 

―――――――………。

 

 

「……俺は望まないけどお前は力、貸してくれるよな?だって、死にたくないだろう?」

 

 

今の俺の顔を第三者が見たら思わずひくだろう。

多分新世界の神を目指そうとした奴のような顔をしているだろうからな。

 

―――――――…………汚いな、さすが仁慈きたない。俺はこれで仁慈が嫌いになったなあもりにもひきょう過ぎるでしょう?

 

 

いいから、力寄越すなら早くしろ。

本気で死ぬぞ、俺ら。

 

 

―――――――あァァァんまりだァァアァ!

 

 

謎の叫び声を最後に聞こえなくなる謎の声。

とっても嘆いていたようだが一応あいつも死にたくないらしく、ボロボロの体とは思えないくらいに絶好調な感じがする。

これならいけるかな。

 

 

「■ ■ ■ ■ ■ ■―――――ッ!」

 

 

気合を入れてゆっくりと俺に近づくアラガミに切りかかろうとした瞬間、なんか人間が出すようなものじゃない声が口から出てきた。

 

 

どう考えても、あの謎の声のせいです。本当にありがとうございます。

 

 

しかし、何やら効果はあったようであのアラガミはびくりと跳ねて、何やら怯えるようにしている。

よし、チャンス!

ここまでぼろ雑巾にされた恨み、晴らさないでおくべきかッ!

 

 

「はぁああああああ!」

 

 

咬刃展開状態にした神機を思いっきり引き絞り、渾身の力で振り切る。

 

 

「クゥアアアアアア!!??」

 

 

すると今まで傷つかなかったアラガミの目玉を切り裂いて大きく後退させた。

だが、それと同時にこちらの力も一気に抜け落ちる。

あれ?向こうが後退しただけなのに対して俺は力が入らない状態……。

つまり……もうだめだ、おしまいだぁ。

 

 

「クゥオオオオオオ!!」

 

 

目玉を切り裂かれ激おこなアラガミが襲いかかろうとしているのを見て今度こそだめだと目を閉じようとして、

 

 

無数の弾丸がアラガミの顔面に飛来した。

 

 

「ウグァア!?」

 

 

俺が相手をしていたコンゴウと同じく意識の外から急に来た攻撃にたまらず大きく飛びあがり、逃げていくアラガミ。

そうしてアラガミを追っ払ってくれたのは、ブラッドの皆だった。

助かったぁ。

 

 

「たいした奴だ、よくやった」

 

 

ジュリウス隊長の珍しい言葉に驚く間もなく、緊張の糸が切れた俺は完全に意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、残念です。完全に呑み込めると思ったのですが……フフッ、予想以上にたくましくなっているようですね。素晴らしいです。もっと……もっと貴方という存在を私に見せてください。そうすれば私も何かを掴める気がするのです。私と同じ貴方の事を知れば、きっと…」

 

 








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