神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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すいません。
実家に帰っていたので少し更新が遅れてしまいました。


第十三話

 

「これからこのブラッドの副隊長はお前だ。仁慈」

 

 

「シエル・アランソンです。これからよろしくお願いします仁慈副隊長」

 

 

「ちょっと待てwait」

 

 

マルドゥークとの戦いから一日たちすっかり体調も良くなった俺が軽い運動がてらに任務をこなした後、ジュリウス隊長とフリフリが多くあしらってある洋服に身を包んだ少女が開口一番そんなことを言った。どういうことなの……。

っていうかそのこ誰よ。

 

 

「ん?何かわからないことでもあるのか?」

 

 

「わからないことしかないんですけど!何一つとして知り得ている情報がないんですけどぉ!」

 

 

若干自分でもうざいと思うテンションで叫びをあげる。

しかし、これは仕方のないことである。なんせつい最近……というか昨日その情報もなかったマルドゥークと戦って死にかけたからな。

つまり、ソースは俺である。

 

 

「ふむ、確かにお前には何の説明もなかったな。わかった、説明しよう。例えお前が朝早くから任務に出ていたことが原因だとしても隊長である俺には情報を正確に伝える義務があるからな」

 

 

「暗に自分のせいじゃないって言いたいんですかあーた」

 

 

ジュリウス隊長が時々見せるこのふてぶてしい対応はいったい何なのだろうか……。

もしかしてあの車イスが一枚噛んでいたりしないだろうな。

 

 

 

さて、ジュリウス隊長から聞かされた話を纏めるとこういうことだ。

シエル・アランソンはマグノリア・コンパス出身の最後のブラット候補生で今日入隊した。

俺が血の力に目覚めたことと戦場の状況を鑑みて副隊長にふさわしいと判断し、任命した。

 

 

入隊の話は聞いていなかったがこの際それはいい。

問題なのは俺が副隊長と言う役職に勝手に収まっていたことである。

 

 

「ジュリウス隊長。さすがに力が目覚めたからと言う理由で副隊長任命はないと思うんです。副隊長なら経験豊富なギルさんの方が向いているのではないかともいます」

 

 

一応俺も新兵と言うくらいにはなっただろうけど、いきなり副隊長は荷が重すぎる。

経験だって圧倒的に足りないし、自分の戦いをしつつ周囲に気を配る何てぶっちゃけ無理だ。

それに俺の動きは常識では考えられない動作を含んでいるらしいから指示しても誰も実行できないんじゃないだろうか?

 

 

「しかし、仁慈以外のブラッドメンバーは満場一致でお前を指名しているぞ」

 

 

なんでさ。

 

 

「ギルを副隊長にするとロミオが必ず反発するだろう。それに本人も自分は上に立つ人間ではないと言っている。ロミオとナナには荷が重いだろう。と言うわけでお前だ」

 

 

「俺も一応新人なんですけど?」

 

 

「この程度の荷でつぶれるほど軟ではないだろう」

 

 

「解せぬ」

 

 

ジュリウス隊長から送られてくるありがた迷惑な信頼にがっくりと肩を落とす。

シエルさんからも何か言ってくださいよ。

 

 

「隊長命令ならばこの方も受けざるを得ないのでは?」

 

 

「……なるほど。なら仁慈、隊長命令だ。なれ」

 

 

「おうふ」

 

 

まさかのシエルさん敵陣営だったでござる。

とっても真面目そうな人だったから、俺なんかが副隊長になるのは反対してくれると思っていたのに……。当てが外れた。

 

 

「それで、これからブラッドは戦術面でも強化を図るつもりだ。だから仁慈、ここに居るシエルとブラットの戦術について色々意見を交換しておいてくれ」

 

 

「よろしくお願いします」

 

 

なんかもう色々と諦めた俺は、去っていくジュリウス隊長の背中を若干恨めしく見送りながら新メンバーであるシエルさんと意見の交換を行う。

 

 

と、言っても。

つい最近になってゴットイーターとなった俺に出せる戦術案などほとんどなく、だいたいはシエルさんの質問に答えそれに対して彼女が案を出すといった形式をとってミーティングは終わりとなった。

 

 

今はシエルさんに渡されたブラッドの訓練メニューを確認している最中である。

シエルさん?彼女なら先にどっか行ったよ。

 

 

「二十四時間のうち睡眠八時間、食事その他の雑務に二時間、任務に四時間、残りの十時間を戦闘訓練と座学に4:6で配分、か……」

 

 

時間配分としては理想だけど……実践的ではないかなぁ。

俺たち神機使いは人間だからこんな正確に行動することはできない。

しかも休息は何も睡眠だけでいいわけじゃないし。

これだとおそらく、士気にも影響を及ぼしてくるだろうなぁ。

心にある程度の余裕を持ってないとそれが致命的な隙となり、アラガミにやられる……なんて事にもなりかねない。

 

 

軍隊とかでは普通だったりするかもしれないけど、こっちはいろいろと状況が違うからなぁ。

素人考えではあるけどさ。

しっかし、これを提案した本人は実行する気満々だった。……これはギルさんやエミールさんに続く波乱の予感がするぜぇ。

 

 

渡された電子機器の電源を落とし、ついでに肩も落とした俺はとりあえず難しい思考を取っ払い習得したブラッドアーツを調べるために訓練場へ向かった。

 

 

で、実際に使って。

……本当に使いづらいなぁ、このブラッドアーツ。

攻撃が強くなって攻撃範囲も広くなるのはいいんだけど、削られる体力がマジでヤバい。一回発動するとそれだけで膝が笑い出すし、一回咬刃展開状態を解いたらその代償を払って発動させたブラッドアーツも解ける。

……なんという鬼畜使用。

 

 

副隊長に任命されるし、新しい人はなんかかみ合わないし、マルドゥークに殺されかけるし、ブラッドアーツは使いづらいしで最近いいことがないよなぁ。

 

 

ダミーアラガミが地面に溶けるのを見送りつつ俺は小さくない溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、時間は飛んで翌日。

俺はエミールさんが自分の信念を見せつけた場所である鉄塔の森にギル、シエルさんと一緒に来ていた。目的は当然アラガミの討伐である。

 

 

何でも、手にロック〇スターつけたアラガミであるヤクシャが別々の場所に現れたため部隊を二つに分けてそれぞれ同時に討伐するらしい。

今回この部隊の指揮は不本意ながら副隊長になった俺が務めることとなっていた。

不安だぜ。

 

 

「今回は討伐対象であるヤクシャ以外にもオウガテイル堕天種が複数体出現しています。まずはオウガテイル堕天種を討伐し、戦いに集中できる環境を整えたのちヤクシャの討伐を行おうと考えています。どうでしょうか、副隊長」

 

 

「妥当だね。いいと思うよ」

 

 

シエルさんの出した案に同意する。

確かにヤクシャの周囲にオウガテイル堕天種が複数いるな。

 

 

ヤクシャは腕についているロック〇スターの通り遠距離の攻撃を放つ敵である。ほかのアラガミと一緒にいるときのうっとおしさは半端じゃない。

比較的に倒しやすいオウガテイル堕天種をさっさと倒し、ヤクシャに集中するシエルさんの作戦がベターだろう。

 

 

「オウガテイル堕天種を倒している途中、ヤクシャがこっちに気付いたらどうする?纏めて相手取るか?」

 

 

「いえ、そこは一度撤退し、また分離したところを狙います」

 

 

「……そうかい」

 

 

何か空気悪いなぁ。

まぁ、知識を中心に考えるシエルさんと実際の戦場で培われた戦術で考えるギルさんは正反対だからなぁ……衝突が多いのかも。

 

 

「ほら、お話はおしまいですよ。フランさんから通信が入りました。始めてくださいって」

 

 

「了解、さっさと片付けて帰ろうぜ。仁慈も病み上がりだしな」

 

 

「大丈夫ですよ……そういえばシエルさん。貴女の戦闘スタイルって至近距離中心だったりします?」

 

 

「いいえ、銃形態を使った遠距離攻撃を主な戦闘方法としています」

 

 

「わかった。それじゃあシエルさんは後方で援護、ギルさんは前衛でガンガン行ってください。俺は遊撃を担当します。いいですね?」

 

 

俺の問いかけに二人とも頷く。

 

 

「では、お仕事開始です」

 

 

言うと同時に俺たちはいっせいにアラガミ達に向けて駆け出し、ギルさんがチャージスピアの特性であるチャージグライドを使い目の前にいた堕天種を貫いた。

周囲にいた同種のアラガミ達は急な襲撃で一瞬だけ戸惑うようなしぐさをするも、すぐに持ち直し攻撃したままの態勢で固まっているギルさんに殺到する。

しかし、ギルさんを攻撃しようとしたアラガミはシエルさんの神機から発射された弾によって貫かれ、その動きを止める。

俺はその隙を逃さず止まったアラガミの首をヴァリアントサイズで切り落とし、即座に捕食する。

 

 

俺の攻撃方法か手際の良さに引いているのかはわからないが、とりあえず俺に向けてないわーと言う視線を投げかけてくる二人に泣きそうになりつつ、捕食のため逃げ出そうとしていた堕天種に向けて跳躍し、背後から首を狩る。

二人の視線がより一層引いていた。

 

 

ど、どんな手段を使ってもアラガミを叩き潰せってジュリウス隊長が言ってたから…俺は

悪くない(震え声)

 

 

このあたりの堕天種は狩りつくしたので次の場所に移動を開始する。

ある程度移動すると再びオウガテイル堕天種を発見した。

 

 

先程と変わらずギルさんが先に堕天種に攻撃を仕掛けようと槍を構え、チャージグライドした――――――瞬間。

 

 

向こうからヤクシャが現れた……しかも二匹。

 

 

「マジかよ……ッ!」

 

 

既に堕天種に向けて移動し始めているギルさんの声に若干焦りの色が出てくる。シエルさんは想定外の出来事で少しの間固まっていた。

ヤクシャはこちらに気付いたのかロックバ〇ターをこちらに向けて固定し、エネルギーを貯めていた。

……何でこう予定と違う事ばっかり起こるのかね……ッ!

 

 

「ギルさん!堕天種に攻撃したらすぐに目と耳ふさいでください!シエルさんもですよ!」

 

 

俺の意図を即座に理解したギルさんは堕天種を倒すと同時に目と耳をふさぐ。シエルさんも俺の声で我に返ったのかギルさんと同じようにする。

それらを確認し俺はスタングレネードを投げた。突然の光と音に攻撃を中断するダブルヤクシャ。よし、この隙に、

 

 

「シエルさん、銃形態で援護!ギルさん右の方お願いしますね!」

 

 

しっかりと指示が行くように通信越しに指示をだし、一直線に左側のヤクシャに向かって駆ける。

すると、スタングレネードの効果が切れたのかヤクシャがこちらを補足し、腕から光の弾を三発発射してきた。

俺はそれを身を屈めたり、ステップを踏むことで避け一気にヤクシャへと肉薄する。

 

 

ヤクシャはそれに危機感を抱いたのか自分の真下に光の弾を放ち脱出と同時に攻撃しようとするがシエルさんの銃弾が不意に頭に命中したため行動を中断する。

そしてその間にヤクシャの目の前に来ていた俺は跳びあがり、

 

 

「死ね」

 

 

ヤクシャの首に向けて思い切りサイズを振り切った。

 

 

ドスンと大きな音を立てて倒れるヤクシャを確認しすぐさまギルさんに任せたもう一体のヤクシャの方を向く。

が、そこには体中穴だらけになったヤクシャが地面に横たわっているだけだった。

……さすがベテラン。

 

 

俺はヤクシャの捕食を終えると、帽子の位置を直していたギルさんに近づく。

 

 

「お疲れ様です、ギルさん」

 

 

「あぁ、お疲れ様」

 

 

お互いに軽く労わりあい、少し離れたところで銃形態の神機を構えていたシエルさんのもとに向かい、ギルさんと同じく労わる。

 

 

「お疲れ様です、シエルさん」

 

 

「…………はい、お疲れ様です」

 

 

「?」

 

 

若干反応が遅かったことが気になったがそこはあまり突っ込まず、フランさんに迎えを頼むのだった。

 

 

 








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