神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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第十四話

 

 

 

 

ブラッド最後のメンバーであるシエルさんが入隊してから少し経ったが、俺が彼女の入隊当初不安に思っていたブラッド内の空気、もしくは雰囲気の悪化はさほどひどいものではなかった。

 

 

実戦経験が豊富故に感覚を元として戦闘を行うギルさんや考えることが得意そうとは思えないロミオ先輩&ナナと知識中心のシエルさんでは何かしらの亀裂が生まれると思っていたのだが、意外や意外、みんなそれぞれ自分を納得させているからかそこまでひどい亀裂は生まれていなかった。いや、ないわけじゃあないんだけどね。

 

 

さて、そんな状況にあるフライアにある日救援要請が入った。

何でもサテライトの建設予定地に感応種が現れたらしい。

エミールさんのことで普通の神機使いは感応種と戦う事ができないという事が分かっており、感応種が居ても問題なく神機を扱えるブラッドにお鉢が回ってきたという。

 

 

今回討伐に向かうメンバーはジュリウス隊長に俺、シエルさんとナナの四人である。

……ジュリウス隊長以外は経験に難があり、感応種とも苦戦が予想される気がしなくもないが、これも経験ということなのかね。

 

 

「そういえば、今回の感応種ってどんなのなんですか?俺が遭遇したマルドゥークですか?」

 

 

フランさんにそこのところが気になったので聞いてみる。

情報アドは重要である。それによっては完封負けもあり得るのだ。

俺のライトロードがそれで何体除外され、完封負けしたことか……。

 

 

「今回の敵はイェン・ツィーと呼ばれる感応種です。この敵は目撃例が少なく詳細については未だ謎の部分が多いため、感応種という事しかわかっていません」

 

 

「また未知なる敵か……ここ最近多いですね」

 

 

今まで目撃例の少なかった感応種がここ数日で立て続けに出現していることに違和感を感じざるを得ないな。

俺がそう呟くと、ジュリウス隊長を始めとするブラッドの皆とフランさんが一斉にこちらを向く。

何だよ。

 

 

「そうだな……俺もフライアで生活し始めてここまで色々なアラガミと戦うのは仁慈が来てからだな」

 

 

「えぇ。仁慈さんが来てから自然と想定外のアラガミの乱入が増えていますね」

 

 

皆が俺に向ける目がジト目となり、視線がさらに鋭くなる。

 

 

「なるほど。つまり犯人は仁慈だったってことか。すごいな、仁慈!アラガミを操るなんて……感応種みたいだなっ!」

 

 

「ンなわけないでしょうがニット帽先輩。今度一緒に任務行った時に後ろから狙いますよ」

 

 

「前々から気になってたんだけど、お前俺にだけ当たり強いよね」

 

 

一体なぜなんだ…と両手をがっくり床について落ち込むロミオ先輩。

すいません、特に理由はないんです。でも、なんか反射的にこう返してしまうんです。嫌いなわけではないんです、多分。口には出さないけど。

 

 

「ほーら、そんなこと言ってないで今はイェン・ツィーの討伐でしょう」

 

 

パンパンと両手を叩いて仕切りなおす。

周りの皆もしょうがないなと言う雰囲気でイェン・ツィー討伐の準備に取り掛かった。

そのみんなの中にシエルさんが混ざっていて少しばかりビビった。誰だ、この子を汚染した奴。

 

 

「現地の神機使いがイェン・ツィーを孤立させることに成功したようなので、早めに向かった方がよろしいかと」

 

 

そういうことはもう少し早く言ってほしかったなぁ。

 

 

フランさんの言葉を聞いてイェン・ツィーの討伐に向かうブラッドメンバーは急いで任務の準備を行うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあ、やってまいりました。

ブラットによる初の感応種討伐!場所はここ、かつては繁栄し多くの人がにぎわっていたであろう贖罪の街です!

 

 

「急にどうしたのさ、仁慈」

 

 

「若干感応種がトラウマになっててね……無理矢理テンションあげて気分を一転しようかと」

 

 

思えば初めて感じた命の危機だったからなぁ。

あの時はアドレナリンと謎の情けない声のおかげで考えずに気にならなかったのかもしれないけどさ。

冷静に考えたらトラウマものじゃないかな。

 

 

「へぇー。仁慈にも恐怖やトラウマを持つことがあるんだねぇー」

 

 

「どういう意味だコラ」

 

 

俺たち同期だよね?

死にかけてトラウマ何てなにもおかしくないよね?

 

 

「仁慈にも普通の感性が残っていたんだなぁ……って」

 

 

「ケンカ売ってんのか?売ってんだな?よし、買ってやる」

 

 

確かに内なる声とか聞こえたし、自分でも少しおかしいと過去にも思ったことはあるが、感性はマトモであると思っていたのにっ!

まさかこんなにも俺とナナの認識が違うとは思ってもみなかった。こんなんじゃ俺アラガミと戦う気が無くなっちまうよ……。

 

 

俺とナナがこそこそとふざけ合っている(?)一方で、シエルさんとジュリウス隊長の金銀コンビは今回の討伐対象である感応種、イェン・ツィーの姿をシエルさんのスナイパーで確認している最中である。

温度差酷いなー。俺たちのせいなんだけどね。

 

 

「どうだ、シエル。見えたか?」

 

 

「はい、目標捕捉しました。あらかじめ与えられていた情報通り、孤立しているようです」

 

 

シエルさんがイェン・ツィーを捕捉したらしい。

丁度俺も彼女と同じスナイパーを取り付けているため、自分でも確認してみる。

 

 

アラガミとは自分が捕食したものの特性をコピーするような特性のようなものがあるのだが、今回の目標であるイェン・ツィーはシユウと呼ばれるアラガミに近いが通常のモノとは違い女性的なシルエットに鳥のような羽、アゲハチョウにも似たカラーリングをしたものであった。

なんだあれ、何喰ったらああなるんだ?サリエルでも喰らったか?

 

 

「さて、これからどうしようか……このまま四人で囲み集中砲火でもいいんだが」

 

 

「私と副隊長はスナイパーで連射が難しいですし、ナナさんのショットガンは弾が分散してこちらにも被害が来る可能性があります。あまり得策とは言えないかと」

 

 

「そうだろうな」

 

 

「……シユウに形状が似ていますし、とりあえず頭部にスナイパー撃っておきます?」

 

 

何となくこのまま考えて動かなくなりそうなので適当に提案してみる。

 

 

「それで行こう」

 

 

「マジか」

 

 

採用されてしまった。

 

 

「初めからダメージを与えられればそれに越したことはない。できるか、仁慈?」

 

 

「大丈夫です。問題ありません」

 

 

そのためのスナイパーです。

……なんかフラグを立てた気がしないでもない。

 

 

「私も撃ちます。よろしいですか?隊長」

 

 

きた!スナイパーきた!メインスナイパーきた!これで勝つる!

これなら俺が万が一外しても安心だな。

 

 

「ちゃんとあてなよー。外したら罰ゲームね」

 

 

「なんでさ」

 

 

「そこ、話さない」

 

 

「「ごめんなさい」」

 

 

当たり前だけどシエルさんに怒られました。

しかし、いい感じに気持ちもほぐれたので、自分のスイッチを切り替える。

 

 

「準備はいいですか副隊長」

 

 

「ステンバーイ……ステンバーイ」

 

 

「……よさそうですね。それではいきます!」

 

 

「GO!」

 

 

俺とシエルさんは同時に引き金を引いた。

戦闘開始だ。

 

 

 

 

 








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