神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
<< 前の話 次の話 >>

3 / 96
なかなか話が進まなくてすみません。


第三話

俺はフライア職員の露骨な対応にライフポイントを削られながらも、何とか必要な知識を詰め込んだ俺はそれらの知識を整理しようとフランさんから勧められた園庭に向かっていた。

 

 

俺に怯えて後ずさる職員を華麗にスルーし、エレベーターに乗り込む。園庭は確か二階だっけ?

2と書かれているボタンを押してエレベーターを動かすと、すぐにチンッと音が鳴りエレベーターの扉が開いた。

 

 

「おぉ、これは綺麗だな」

 

 

そこには園庭と呼ぶにふさわしい景色が広がっていた。

天井は透明なガラスのようなもので覆われていて青空がよく見え、地面は一面花で埋まっている。俺がもともと居た世界でもなかなか見ることのできない光景だ。

 

 

キョロキョロとはたから見たら何やってんだこいつと思われるくらいに周囲を見回しながら園庭を歩いていると、園庭で唯一生えている木の根にとんでもない金髪の美青年が座っていた。本当に居るんだ、あんな美青年。

 

 

「やあ、適合試験お疲れ様。まぁ楽にするといい」

 

 

「え、あ、はい」

 

呆然と美青年の方を見ていると、こちらに気が付いたのか何の気負いもなく話しかけてくる。

えぇい、フランさんと言いこの美青年と言い金髪のコミュ力は化物かッ!

少々戸惑い気味で俺は、美青年の隣に座りこむ。

いや、座ったのはいいけど何を話せばいいんだ?

すると俺の戸惑いを察知したのか再び美青年が話しかけてくれた。

 

 

「そういえば自己紹介がまだだったな。俺はジュリウス・ヴィスコンティ、君が配属されたフェンリル極致化技術開発局所属特殊部隊『ブラッド』の隊長をしている。以後、よろしく頼む」

 

 

まさかの上司だった。

こんなに若いのに隊長なんてすごいなぁ……って、言ってる場合か!

な、なにか返事をしなければ。

 

 

「わ、私は」

 

 

「あぁ。そんなに気を張らないでいい。」

 

 

気を使われてしまった。

何この人、外見も良くて気配りもできるとか完璧すぐる。

これが、真のイケメンの実力か…!

 

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

「フッ、気を張らなくていいといったんだがな」

 

 

と、言いながらもどこか寂しそうな顔で苦笑するジュリウスさん。

やめろ、そんな顔されたら俺の良心が高速でそぎ落とされてしまう。

 

 

「ジュリウスさんは、よくここに来るんですか?」

 

 

「そうだな」

 

 

反応早ッ!

しかも、心なしか超嬉しそうな表情をしていらっしゃる!?

もしかしてこの人、外見が良すぎて逆に人から避けられてしまうタイプなのだろうか?

だからこんなに嬉しそうな反応をしているとか……いや、よそう。俺の勝手な予想でジュリウスさんをボッチ認定するのは。次に会うとき絶対変な態度になりそうだから。

 

 

「ここはフライアの中でも特に気に入っている場所なんだ。暇があれば、一日中ここでぼーっとしている」

 

 

「あー、分かる気がします。なんかここ落ち着きますよねぇー」

 

 

ここで会話は途切れ、水の流れだけが耳に聞こえるようになる。しかし、この沈黙は決して不快なものではなくむしろ心地の良いものだった。そのため、いい年した男が二人木の下でひたすらにぼーっとする少々シュールな光景がジュリウスさんが出ていくまで続くのであった。

 

 

余談だが、園庭を出ていくときのジュリウスさんが妙に嬉しそうだったことについては考えないことにした。

 

 

 

 

さて、ジュリウスさんに引き続いて園庭を後にした俺は、あの場所を教えてくれたフランさんにお礼を言うために再び、ロビーに来ていた。

 

 

「フランさん、園庭のこと教えてくれて、ありがとうございます。おかげでいい気分転換ができました」

 

 

 

「それはよかったです。あ、そういえばもう偏食因子が定着している頃ですので任務を受注することができます」

 

 

「もう、定着したんですか。偏食因子」

 

 

「はい、しています」

 

 

なんか、インフルエンザの予防接種みたいだな。偏食因子の定着。

 

 

「任務って、戦闘訓練ですか?」

 

 

「そうですね、神機を使って戦場での動き方の基本やフェンリルが開発したダミーアラガミを使った戦闘訓練です。受注しますか?」

 

 

「お願いします」

 

 

「……受注が完了いたしました。すでにジュリウス隊長が訓練場に向かっていますので、今から向かっても大丈夫ですよ」

 

 

そうか、ジュリウスさんは隊長だから新人の訓練とかも見たりするのか。

大変そうだなあの人。

 

 

フランさんに見送られ、自分の神機が置いてある保管室に向かう。

……戦闘訓練かぁ。運動神経はいい方じゃないし、少し不安だなぁ。体育の成績もいっつも3だし。

自分の運動性を思い返し、重くなる足取りを感じ取りながら改めて保管室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやぁ、戦闘訓練は強敵でしたね……。

四方八方、鋼鉄に覆われた訓練場を出て自分の神機を保管室に預けてきた俺は再びフライアのロビーに帰ってきていた。

ん?訓練の様子?

一通り体を動かしたら、二時間耐久ダミーアラガミとのデスマッチをしましたが何か?

二十体同時相手なんて普通に死ねる。ジュリウスさん俺が訓練兵ってこと忘れてんじゃないの?

内心で愚痴をこぼしつつ、今日はもう休もうと自分に割り振られた自室に向かおうとするが、エレベーターに向かう途中唐突に誰かが声をかけてきた。

 

 

「あー、お疲れ様ー」

 

 

声の聞こえた方向に顔を移動してみれば、そこには大きな袋を隣に置き、頭から猫耳を生やした痴女がいた。

 

 

……いや、ね?初対面で痴女とはさすがにひどいと我ながら思うよ?

でも彼女の格好はそう表現するしかないよ。

服というより布だよ?あれ。

 

 

「お、お疲れ様……?」

 

 

彼女の格好に不意を突かれ、一瞬反応が遅れたが何とか返事をひねり出す。

少々不自然な返しになってしまったことに恐々とするが、彼女は気にならなかったようで、そのまま言葉を続ける。

 

 

「君もブラッドの新入生……じゃなくて新人さん?」

 

 

「一応、そういうことになっています」

 

 

起きたらいつの間にか試験を受けさせられてただけですけどねっ!

 

 

「やっぱりそうだ!私はナナ。同じくブラッドの新入りです!仲良くしてね!」

 

 

「樫原仁慈です。こちらこそ、よろしくお願いしますね。ナナさん」

 

 

「硬いなぁ~。歳も同じくらいだし、もっとフレンドリーに行こうよ」

 

 

「あはは…考えておきます」

 

 

 

 

その後、俺とナナさんは訓練のことや自分の趣味に関することなど、様々なことについて話をした。

そのなかで、様々なことを割とノーガードで話し合ったためか、ナナさんとは話をしていた三十分間で結構仲良くなった。

 

 

「あ、そうだ。お近づきの印に……じゃーん!お母さん直伝おでんパンをプレゼントしよう。ありがたく受け取るがいいっ!」

 

 

「ははぁー、ありがとうございます。ナナ様ー」

 

 

「うむうむ、よきにはからえー」

 

 

具体的には、人が良く通るフライアのロビーでこんなくだらないやり取りをするくらいには仲良くなりました。

ノリが良くておじさんびっくりだよ。

 

 

「あ、そろそろ訓練の時間だ。それじゃ、またね!」

 

 

言って、ナナさんはおでんパンが大量に入った袋をサンタのように担いでカウンターのフランさんのところまで、走って行った。

おでんパンは置いてこうよ、ナナさん……。

 

 

ま、いいや。今日はもうゆっくり休もう。

ナナさんと話していたことですっかり忘れていた当初の目的を思い出し、エレベーターに乗り込もうとすると、俺のことをひたすら避けるフライア職員の一人が体を震わせながらも俺に近づいてきた。

 

 

「どうかしましたか?」

 

 

一体どういう風の吹き回しだと思い尋ねると、フライアの職員は早口でこういった。

 

 

「ふ、フランさんが樫原さん用の新しい任務が発行されたため、部屋に帰ってはいけませんとのことです」

 

 

oh……まだやるんですか、アレを。

思わずため息を吐きながらも伝言を伝え終わり、見惚れるほどきれいなスタートダッシュを決める職員の背中にお礼を投げかけ、俺はフランさんに任務のことの真偽を確かめるためにエレベーターから回れ右をし彼女がいるカウンターへと足を進めた。

 

 

 

 

 








※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。