神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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期間をあけた割にはたいした物がかけなくてすいません。
今回は視点および場面がコロコロ変わって見づらいかもしれません。


第三十四話

 

 

 

 

 最終奥義ATEMIによって、なかなか休もうとせずあまつさえ赤いカリギュラに単独で挑もうとするギルさんを無理矢r―――げふんげふん安らかな眠りに誘った後、本人のベットまで米俵スタイルで運ぶ。そのままベットに寝かせて軽く身体を解してあげる。これは明日のカリギュラ戦に万全の状態で望むための処置だ。大丈夫、整体の心得はある。通信教育で受けただけだけど。

 さて、ギルさんが眠ったところで俺も早めに寝ましょうねと自室へ直行。お風呂と着替えを手早く済ませたところで「ビビィー!」なんて音と共に自室に設置してあるターミナルがメールの受信を知らせてきた。一体誰よ。

 無視してもよかったんだが、読むだけ読んでおこうということで半分ベットに埋まった体を外に出してターミナルを操作する。メールの送り主はサカキ支部長。

 

 

 見なければよかった……。

 

 

 早くも自分の行動に後悔しこのままそっとターミナルの電源を落としたいのだが、こういう場合見ないほうがよっぽどひどい目に会うため勇気をもってメールを開く。

 

 

 『やぁ。赤いカリギュラとの件はすでにコウタ君とヒバリくんから聞いているよ。手負いとは言えアラガミと視線を交わすだけで追い返すとは実に興味深いよ。時間が合えば一度じっくり君の体を調べてみたいね』

 

 

 削除削除削除削除ぉ!!こんなものを夜中に送ってくるなんて何考えてんだあの糸目。寝れなくなったらどうしてくれるんだ……。

 未だ文の前半部分なのにすでに俺の精神ポイントは底をつきそうだ。本人に直接言われるよりはマシだと己に言い聞かせ画面をスクロールしていく。

 

 

 『おっと話がずれてしまったね。……君も予想していると思うが、私たちはこの赤いカリギュラに対抗するために討伐任務を発行した。このアラガミはただでさえ接触禁忌種であるカリギュラがさらに変異を起こした個体であり、かなりの力を有しているだろう。だから可及的速やかに倒す必要がある。こんなものがすぐ近くに居たらどれほどに犠牲が出るか分からないからね。そしてその討伐に向かう人も決めてある。君にハルオミ君、ギルバート君だ。彼らはあの赤いカリギュラとは少々因縁があるらしく、おそらく単独で倒そうとするはずだ。だったらはじめから討伐の任務に組み込もうというわけだね』

 

 

 まぁ、予想通りだな。俺がギルさんにああいった手前、討伐任務に就けなかったら意地でも挑みにいくだろうしその判断は非常に助かる。

 けれど、俺まで組み込まれているのは一体どういうことだ?ジュリウス隊長とか藤木さんとか居るだろうに。

 

 

 『ジュリウス君とコウタ君には別の任務が入っているんだ。どちらも外せないもので、どうやっても赤いカリギュラの任務には入れない。だから君が入ることになったんだ』

 

 

 メールで俺の心を読むなよ。

 

 

 『まぁ、実際今の理由は後付で初めから君は組み込むつもりだったけどね』

 

 

 なら、今の文章要りましたかねぇ?

 

 

 『一応報告しておこうと思っただけさ。それに、君を組み込む理由はしっかり正当性があるものだ。赤いカリギュラというとびっきりのイレギュラーに対抗するためにはこちらも樫原仁慈というとびっきりのイレギュラーで対応するしかないと思ってね』

 

 

 まぁ、分かってた(諦め)。

 

 

 『君に伝えておきたいのはこのくらいかな。では仁慈君。健闘を祈るよ』

 

 

 最後までスクロールし終え手紙の内容を全て読みきった俺はふぅーと息をゆっくり吐いた。

 よし。手紙も見終わったことだしさっさと寝よう。

 

 

 

――――――この日の睡眠はいつもより眠りが深かったです。

 

 

 

 

 

 

             ―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 「仁慈……話したいことがある」

 

 

 主に昨日の当身と今までにないくらいに調子がいい俺の体に関しての話をなぁ……!

 

 

 「どうかしましたか?ギルさん」

 

 

 

 なんて白々しい返答だ。意識を失う寸前に背後に回りこんだお前を見たんだぞ俺は。

 

 

 

 「けど、あのまま話し合いを続けてたら絶対一人で行こうとしましたよね?むしろ行く寸前でしたよね。俺のこと強引に押しのけて」

 

 

 「ぐっ……!」

 

 

 

 「昨日も言いましたけど、絶対返り討ちにあいますよ?この三年間で強くなったのは何もギルさんだけではありません。向こうも手負いの状態で三年間生き残ってきているのですから相応のコンディションで挑まないと」

 

 

 次々と仁慈の口から繰り出される正論に思わず押し黙ってしまう。実際、仁慈のいっていることは正しい。確かに俺はこの三年間であの時とは比べ物にならないくらいに強くなった。そうなるように努力した。しかし、それは向こうも同じことだ。大型アラガミであるヴァジュラもオウガテイルに食われているという事実から考えてみればあの赤いカリギュラも多くのアラガミから狙われたに違いない。それを手負いの状態で退けていたということは、向こうも三年間の間に強くn―――ってまてまて。何でコイツがそのことを知っている?

 

 

 「おい仁慈。何でお前がそのことを知ってる?」

 

 

 「………あっ」

 

 

 分かりやすい反応だなおい。だからといって容赦はまったくしないがな。

 

 

 「誰から聞いた?」

 

 

 「あー……えーっと……」

 

 

 右へ左へせわしなく視線を動かす仁慈。ま、コイツの三年前のことを教えた人は大体見当がついている。このことの根幹に関わる部分を知っているのは俺とあの人しか居ないしな。

 

 

 「おーいギルー。そんな怖い顔で聞いてやんな。コイツにあのこと教えたの俺だからさ、あんま責めないでやってくれよ」

 

 

 「ハルさん……こいつは関係ないんですから巻き込まないでくださいよ……」

 

 

 「ばっかお前分かってねぇな。イレギュラーにはイレギュラーで対抗するって昔っから決まってんだよ」

 

 

 「真壁さんまでそれを言うのか。何?流行ってんの?最先端なの?」

 

 

 「確かに仁慈なら何しても死ななさそうですけど」

 

 

 だからってほぼ関係ない奴を危険な目に合わせるのはいまいち納得がいかない。何割か位はおれ自身の手で奴を倒したいという考えだが、まだ若いコイツに無理をしてほしくないという思いもある。

 

 

 「だろ?それにこれは正式な任務だ。メンバーはここに居る三人。サカキ博士がどうやら手を回してくれたらしい。まったくあの人はどこで情報を拾って来るんだかねー」

 

 

 プライバシーも何もあったものじゃないよなとハルさんは呟き、一通り笑うと今までの雰囲気をがらりと変えて真剣なトーンで話し始める。

 

 

 「なんにせよ、サカキ博士は俺たちにこの機会を与えてくれたんだ。無駄にすることはできない。分かってるな?」

 

 

 コクリと仁慈と共に首を縦に振る。

 そうして、各々がそれぞれの準備を済ませ、出撃ゲートをくぐっていった。

 

 

 

 

 

 

                ――――――――――――――

 

 

 

 

 

 『観測機器およびその他のものも正常に作動しています。これより、変異したカリギュラの名称をルフス・カリギュラとし、その討伐を開始します。あのルフス・カリギュラについてはほぼ何も分かっていないため、慎重に戦ってください』

 

 

 まぁ、そうなるよな。

 何も分かっていない敵が相手となると、戦いながらそいつの戦闘パターンを把握して対応するしかないし。

 

 

 通信機を通して聞こえる竹田さんの声にそう思考しながらも、運送用のヘリコプターから跳び下りて愚者の空母の上に着地する。ちょっと足痛めたわ……。

 

 

 「おい、そこの馬鹿。これからルフス・カリギュラと戦うってんのに何やってんだ」

 

 

 「調子乗ってヘリから跳び下りて足くじきますた;;」

 

 

 「アホ」

 

 

 一言で切られたでござる。全面的に俺が悪いから何も言い返せないけど。

 

 

 「おいおい、大丈夫か?少しでも違和感があったら言えよ?今すぐ送り返してもらうからな」

 

 

 「大丈夫です」

 

 

 このまま極東支部に帰りましたーとかさすがにあほ過ぎるわ。幸い、特にこれといった支障はないためその旨を真壁さんに伝える。こちらが嘘を言っていないことが分かったのか彼は俺から視線を外し、愚者の空母で何かを捕食しているルフス・カリギュラに視線を向けた。

 

 

 「さて、これからアレをどう倒すかだが……ギル。この中で唯一交戦経験のあるお前からなんか良い案ないか?」

 

 

 「そう……ですね。俺が戦ったときは通常のカリギュラと殆ど変わらない動きをしていました。ただ、攻撃を正確に防御したりタイミングを見計らった回避行動をとっていました。それもずっとこちらに視線を向けたままで」

 

 

 ギルさんの言葉を聞いたとたんに真壁さんが顔を顰めた。多分俺も同じような表情をしていると思う。

 

 

 「本能に従っての防御、回避ならいいんだけどなぁ……」

 

 

 「タイミングを計る。ずっとこちらに注目している……カウンター叩き込む気満々ですよね」

 

 

 これはかなり厄介だぞ。うかつに攻撃すると返り討ちに遭いかねない。最もリスクが少ない…というか有効だと思われるのはルフス・カリギュラが反応できないくらいの速度で攻撃を仕掛けるか、超変態的な機動で撹乱するといったところだろう。でもアラガミが反応できない速度って自分で言ってて現実的じゃないよなぁ。

 一応、対抗策ということで真壁さんにこの考えを伝えてみる。俺の言葉を聞いた真壁さんは少しだけ考えた後、スッと人差し指をこちらに向けた。

 

 

 「お前なら変態的機動、できるんじゃないか?」

 

 

 「あー……」

 

 

 できる……だろうか?身体能力から考えれば、神機使いになって飛躍的にあがっているからある程度の動きならアニメとかの模倣ができると思う。

 

 

 「なに、迷うことはないぞ仁慈。俺は実際に見たことはないが、他の人の話を聞いている限りいつも通りの動きをしてくれれば良い。それが変態的機動だ」

 

 

 「どういう意味だ」

 

 

 「確かに」

 

 

 「ギルさん!?」

 

 

 俺に味方はいなかった!

 いや、もう俺の動きが普通じゃないのは自覚しているけどさ。変態的はないと思うんだ……。

 

 

 「よし、それじゃ決めることも決めたし行くか!」

 

 

 「はい」

 

 

 「よかろう。そこまで言うならやってやる……!」

 

 

 なんとなくグダグダな感じだがこんな感じでルフス・カリギュラ戦が始まった。緊張感に欠けるけど、恨み辛みを抱え込み気張って戦うよりは良いと思う。

 

 

 

 

             ――――――――――――――――

 

 

 

 

 ―――――あんなこと言わなければよかったと若干後悔している。

 

 

 銃形態にしている神機からオラクル細胞を圧縮した弾をルフス・カリギュラに叩き込みながら俺はそう思った。

 今、俺の目の前にはチャージスピアを引き、ルフス・カリギュラを攻撃しようとするギルとその意識を自分に向けるために変態機動を行っている仁慈が映っている。

 

 

 「ドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエ………」

 

 

 「はぁぁあああああ!!」

 

 

 

 あの絵づらやばいわ。超シュール。

 真面目な顔でチャージスピアを構えているギルが近くにいるからさらにそう思える。これがケイトの弔い合戦だって言うんだからなぁ……。

  

 

 とにかく、仁慈に気をとられていたルフス・カリギュラはギルの攻撃に反応でできずに右肩にギルの神機が突き刺さった。苦しげな声を上げたルフス・カリギュラは右腕を振り回し、肩に乗っているギルを刺さっていた神機ごと振り払った。

 それにより宙に投げ出され、無防備となったギルにルフス・カリギュラは口に溜めた蒼いエネルギーをぶつけようとする。

 

 

 だがそれは、仁慈があご下を蹴り上げて無理やり口を閉じさせたことにより不発に終わった。自分が溜めたエネルギーが口内で爆発したことによりよろける、ルフス・カリギュラに俺も神機を元の形に戻して切りかかる。向こうもほぼ無意識で俺の攻撃を翻すが、反応がわずかに遅く顔を結合崩壊させた。

 

 

 「■ ■ ■ ■ ■ ■ ■――――――!!!」

 

 

 顔面の結合崩壊で怒り状態になったのか咆哮をひとつあげると、そのまま両腕を広げて俺のほうへ突進してきた。

 足に力を入れて跳躍して回避しようとするが、横から銃形態の神機を構えた仁慈がルフス・カリギュラの顔面に弾を2、3発撃ち込み動きを鈍らせた。

 なので急遽変更。跳躍しようとした力を前方に向けて一気に肉薄しすでに部位破壊されていた右腕にバスターを振り切った。

 これにはルフス・カリギュラもたまらず腕を抱えて地面にうずくまる。

 これをチャンスと捉えたのか、ギルはひたすらに顔面にチャージスピアを突き立て、仁慈はドゥエドゥエ言いながらヴァリアントサイズを振るっていた。どこからどう見ても袋叩きだが生憎と化け物に容赦してやるような精神は持ち合わせちゃいない。俺やギルはもちろん仁慈もこれでもかというくらいに、ルフス・カリギュラを攻撃した。その甲斐あってか、しばらくうめき声を出していたルフス・カリギュラは完全に沈黙し、わずかにしていた痙攣もしなくなった。

 

 

 「ふぅ、これで終わったかな?」

 

 

 今の今までドゥエっていた仁慈が神機を担ぎ上げて言う。ギルもしばらくルフス・カリギュラを睨んでいたようだが動かないと思うとフッと体から力を抜いた。どこかあっけなかったが、実際はこんなものなのかね。………ケイトお前の敵は―――――

 

 

 「■ ■ ■ ■ ■ ■―――――!!!!」

 

 

 突如、周囲を揺るがす咆哮が響き渡った。気を緩めていた俺やギル、仁慈はいっせいにその方向を向く。

 原因はさっき倒したと思ったルフス・カリギュラだ。

 

 

 「おいおいマジかよ……こいつはしつこい奴だぜ」

 

 

 バックステップを踏みながら思わず呟く。

 

 

 「しまった。フラグだったか……」

 

 

 仁慈も何かを呟きながら後ろに下がった。しかし、ギルがいない。

 そのことに気付いた俺はすぐにルフス・カリギュラのほうに視線を向けると

そこにはルフス・カリギュラの右腕に吹っ飛ばされるギルの姿があった。

 

 

 

               

              ――――――――――――――――――

 

 

 

 

 「ぐっ……!油断した……!」

 

 

 ルフス・カリギュラに紙くずのようにぶっ飛ばされ、壁に激突した俺は思わず自分が情けなくなった。

 仁慈の変態機動のおかげで、精神面はいつもとそう変わりないものになっていると思ったがそうではなかったらしい。ルフス・カリギュラが動かなくなったあの瞬間俺は思わず敵を取れたんだと感傷に浸ってしまった。その所為でこのざまだ。幸い、骨が折れたということはなく、体のいたるところは軋むが動けないというほどではなかった。

 すぐに起き上がり、ハルさんたちに加勢しようとしたとき、俺の目の前で仁慈の神機が吹き飛ばされルフス・カリギュラが両腕を大きく広げ仁慈に向けて突進をしようとしていた。このままでは仁慈は死ぬだろう。

 

 

 

 まただ。また俺はこうして大切な人を失うのか?

 

 

 

―――――――――――否!断じて否である!

 

 

 

 俺はこの三年間で強くなった!俺はあの時とは違う!あの時と同じことを繰り返さないためにこうしてここまで生きてきたんだ!

 

 

 軋む体を無理矢理動かしチャージスピアにエネルギーを溜める。もうすでにルフス・カリギュラは仁慈のすぐ近くまで来ていた。さすがの仁慈も神機がないと対抗できないのであろう、ずっと固まっている。

 

 

 このままだと確実に間に合わない。

 

 

 今の俺に足りないものは何だ?

 

 

 力か?

 

 

 ――――――否、力があってもあたらなければ意味がない。

 

 

 技術か?

 

 

 ――――――否、今この場にあっても仁慈を助けることはできない。

 

 

 ならば、何が足りない?

 

 

 ―――――決まっている。………速さだ。

 

 

 

 そう思い浮かんだときに自分の中の何かがはじけたような気がし、神機の先端から赤いエフェクトが発生し、俺の周りを包み込んでいき周囲の風景が先程よりも早く流れているように感じられた。

 

 

 これならいける!

 

 

 理論などといった小難しいことではなく、本能でそのことを理解する。そして俺はその本能のままにチャージが完了したチャージスピアを構え、地面を強く蹴り上げると同時にそのエネルギーを開放した。

 

 

 

 「届けぇぇぇえええ!!!」

 

 

 

 そう思いを込めた突撃は音を置き去りにし、俺はいつの間にか倒れ付していたルフス・カリギュラの背後に立っていた。

 一体何があったんだ?

 

 

 

 

 

                ――――――――――――――――― 

 

 

 

 

 ギルさんがいきなり赤いエフェクトを纏い始め、チャージグライドをしたとたんに消え、気がついたらルフス・カリギュラの背後に立っていた。

 何アレ?ギルさんの台詞を「アァクセルシンクロォォォォォ!!」に変えてもまったく違和感がなかったんだが。

 とりあえず、吹き飛ばされた神機を拾い上げて力を使い果たしたのかしりもちをついているギルさんに近付く。ついでにルフス・カリギュラのコアも捕食しておく。さっきみたいにゲリョスされたら困るからな。徐々に形が崩れ始めたルフス・カリギュラを見ながら、その首に刺さっている淡いピンクの神機に目を向ける。三年間、コイツに刺さってダメージを与え続けてきたんだよな。

 ねぎらいの意味も込めて刺さっていた神機を掴んで引き抜き近くの地面に刺し(・・・・・・・・・・・・・・・)てからギルさんに話しかけた。神機の方は後で回収専門の部隊が回収してくれるって言うから大丈夫でしょう。

 

 

 「大丈夫ですか?なんか光の速さを越えてそうなチャージグライドでしたけど」

 

 

 「ん?あぁ……問題ない。というかそんな感じだったのか……俺……」

 

 

 「はい。ようこそ異常側(こちら側)へ。歓迎しよう、盛大にな」

 

 

 「一緒にするな」

 

 

 「何言ってるんですか。少なくとも音速は超えましたよ?充分異常者です」

 

 

 「そうだな。……俺が知っているギルは……もう、いないんだなぁ」

 

 

 念のために持っていたスタングレネードをポーチの中にしまい、しばらく遠い目でこちらを見ていた真壁さんがしみじみと呟きながらこちらに近付いてきた。

 

 

 「ハルさん……」

 

 

 「お疲れ様です。真壁さん」

 

 

 「おう、仁慈。お疲れさん。……ギルも本当に長い間、よく頑張ったな……」

 

 

 「いえ……俺は……」

 

 

 「こういうときの言葉は素直に受け取っておくもんだぞ」

 

 

 まるで自分の子どもに言い聞かせるような、優しい声音と表情で言われたギルさんは帽子のツバを掴んで下ろし顔を隠した。

 その様子を見て真壁さんがクスリと笑った後、俺たちの肩を抱きかかえ、

 

 

 「よーし、帰って一緒に飯でも食うか!」

 

 

 そう言って俺たちに笑いかけた。そのときの真壁さんの表情はどこかつき物が落ちたようなすっきりした表情だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








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