神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
<< 前の話 次の話 >>

37 / 96
すまない。投稿がこんなに遅くなってしまってすまない。
そしていつものごとく、そこまで話が進んでいないんだ。すまない。
いい加減イベントじゃないところは一話二話日常回はさむだけでいい気がしてきた。


第三十七話

 

 

 

 

 

 前回シリアスっぽく終わっておいてなんだけどさ。俺は考えるのをやめた。

 正直今すぐに支障が出るというわけでもないし、いきなり異世界にぶっこまれて、化け物とはいえバンバン生物殺してたら何らかの異常は出るよね。普通。

 

 

 考え事で微妙に溜まったフラストレーションを任務のターゲットになっている第二接触禁忌種、プリティヴィ・マータをボロボロにすることで解消する。おかげでサンドバック代わりになったマータ=サンは無残な姿をさらしていた。具体的には尻尾ちぎれてたり、マントズタズタだったり、顔面の半分が破損してたりである。

 ごめんね。でもこれ一応仕事なんだ。ここまで傷つけたのはストレス解消のためだけど。

 心の中でマータに謝りつつ、自分がつけた傷口にプレデターフォームの神機を捻じ込み、コアを捕食する。これが一番安定してるんだよねー。

 モグモグモグモグ

 こうして捕食シーンを見ていると神機が生態兵器だってことがよく分かるよなー。心なしかおいしそうに食ってる気がするし。

 

 

 『あ、仁慈さん。ちょうど目標の討伐が終わったんですね。すぐに迎えのヘリが到着すると思うのでもうしばらくお待ちください。それとサカキ博士とジュリウス隊長が仁慈さんのことを呼んでいましたので、極東支部に到着したら支部長室に向かうようにお願いします』

 

 

 「はーい」

 

 

 このタイミングでの呼び出しとなると……黒蛛病患者の収容について何かしらの決着がついたんだろう。もし違っていたら説得のための増援とかかな。

 後ろから不意打ちをかますドレットパイクを神機で適当にあしらってから、俺はヘリが来るのを待っていた。

 

 

 

 

 

           ―――――――――――――

 

 

 

 コンコン

 

 

 「フェンリル極地化技術開発局ブラッド隊副隊長、樫原仁慈参りました」

 

 

 『あぁ、来たね。入っていいよ』

 

 

 「失礼します」

 

 

 扉越しに少しぐぐもった声で返答があったので一言断りを入れてから入室する。ここに来た当初も思ったんだけど、支部長室に地球儀やカルネアデスの板の絵はいるのだろうか?

 

 

 「来たか」

 

 

 「えぇ、来ました。その様子だと許可もらえたみたいですね」

 

 

 いつもより二割り増しで輝いていますもの。

 

 

 「あぁ」

 

 

 「その黒蛛病患者収容については私も考えてはいたんだよ。ただ……予算もないうえに、本部に知られると厄介でね……。でも今回、『フライアからの』黒蛛病研究への支援策としてジュリウス君が計画を打ち立ててくれたおかげで、実現しそうだよ」

 

 

 なんというか、お疲れ様です。

 やっぱり大きな組織に属する以上色々しがらみがあるんだろうな(他人事)。

 

 

 「しかし、その計画を実行する前に俺たちにはサテライト拠点での任務がある。アラガミ装甲壁の全面改修のため、ブラッドがアラガミを引き離す作戦だ。改修工事の期間中、連戦し続けることになる。詳細はシエルに伝達してあるから、情報を共有しておいてくれ」

 

 

 ふーん。連戦ね。いつも似た様なことしてるけど……それとはきっと違うんだろ。ジュリウス隊長がわざわざ言うくらいだし。

 というわけで、教えてシエルちゃーん。

 

 

 

 「なんか今日はウザイくらいにテンション高いですね。君」

 

 

 「多分ストレス発散でマータ=サンをカイシャクした所為じゃないかな」

 

 

 今にして思えばアレも異世界で神機使いになった弊害かもしれないけど。少なくとも少し前まではアラガミをストレス発散で狩るようなことはなかったとおm……いや、あったな。

 

 

 「……今は気にしないでおきますね。では、気を取り直して今回の任務について説明します」

 

 

 彼女いわく。今回の任務で言う連戦とは、向かった先でキャンプのような慣用的な拠点を作り、その場所から改修中のアラガミ装甲壁に向かってくるアラガミと戦うらしい。要は一回一回極東支部に戻ってこないということだ。

 本来であれば俺たち神機使いは常に偏食因子を投与し続けなければならないためにこんなことは不可能なんだが、何でも偏食因子を投与できる携帯機器ができたらしい。便利な世の中になったものだ。それにしても、

 

 

 「なかなかハードな任務だな、今回のやつ」

 

 

 内容からして気が休まるところ皆無じゃねーか。キャンプ擬きを拠点にしたって安全対策ばっちりなんてことはないだろう。これは交代で見回り必須ですわ……。

 

 

 「はい。誰がどう見ても負担の大きい任務です。それは肉体的にも精神的にもです。だからこそブラッドに鉢が回ってきたともいえますが……」

 

 

 それまたどうしてだ?

 いや、ブラッドの面々が色々オカシイのは百も承知だ。今更言うまでもない事実である。あるが……だからといってその実力がどんな場面でも発揮されるとは限らない。

 ましてやエリート部隊とかキチ〇イ部隊とか色々言われたい放題のブラッドだが、その構成メンバーの半分は神機使いになってそこまで日がたっていないのだ。これは少々過信のし過ぎではないか?

 

 

 「そこはジュリウス隊長と君がいればどうとでもなるだろうと思ったからだそうです」

 

 

 随分と便利に扱われてるなぁ、俺とジュリウス隊長。俺に回ってくる任務の量といい、今回の件といい、某猫型ロボットよろしく酷使されている気がする。……さすがにそれは言いすぎか。

 

 

 「まぁ、できる限りのことはしてみるよ」

 

 

 そうは言うものの、俺も日がたっていない組に属しているんだが、それについてはもはや何も言うまい。そういう扱いをされないのはすでに分かりきっていることだし。

 一応ジュリウス隊長やギルさんに相談しておこうか。

 

 

 「お願いしますね。私も自分のもてる全ての知識を総動員してこの任務に貢献して見せます」

 

 

 といって、年齢の割にはかなり育っているモノの前で両手をぐっと握り締めるシエル。是非とも頑張っていただきたいものだが、それより先にその無防備さをどうにかしようね。立派な胸部装甲が踊ってるから。

 フイっと彼女から視線を逸らしつつ、俺も俺でこれから行われる初の試みを含んだ任務に対して、色々思考を廻らせるのであった。

 ……後でロミオ先輩に謝っておかないとな。

 

 

 

 

           ―――――――――――――――

 

 

 

 「うわ……右も左も上もアラガミだらけだ。アラガミ装甲壁の改修をしようってタイミングでこんなに沸いてくるとは……マジで狙ってるんじゃないか?」

 

 

 心の底からうんざりしたような声音でアラガミの群れに向けて言葉を放つ君こと仁慈。私も激しく同意します。さすがにあの量は引きます。

 他のブラッドメンバーの様子を盗み見てみれば誰も彼もが仁慈と同じ若干影のある表情を浮かべていました。ジュリウス以外ですが。表情を暗くするどころか、どこかキラキラと輝いていますよ。

 

 

 「それでは皆の衆、あの不躾な獣どもに我々人類の強さを存分に思い知らせてやろうではないか」

 

 

 「テンション振り切れてんな。ジュリウスの奴」

 

 

 「いつものことだろ」

 

 

 「今日のテンションはいつも以上だと思うけどねー。何かあったのかな?」

 

 

 「一緒にお泊りが嬉しいんじゃねーの?」

 

 

 いや、さすがにそれはないと思いますよ、仁慈。ジュリウスだってもう子どもじゃないんですから。何気にもうお酒飲める歳ですし。

 ですよね、と確認の意も込めて視線を送ってみれば冷や汗をたらしているジュリウスの姿が。

 ……子どもですか。

 

 

 「……仮設される拠点のほうは俺とギル、ナナで守っておく。仁慈とシエル、ロミオは好きに暴れていいぞ」

 

 

 あ、誤魔化しましたよこの人。

 ほら見てくださいよ。さっきまでアラガミの群れを見て暗い顔をしていたブラッドメンバーがみんな揃ってジュリウスにしとーっとした視線を送っています。

 

 

 「……ジュリウスをいじるのはこのくらいにして、そろそろ仕事をしますか」

 

 

 パンパンと意識を切り替えるように手を叩いた仁慈は、先ほどまでの緩んだ表情を引き締めて、真っ直ぐ射抜くような眼光でアラガミの群れを見る。

 そんな彼の雰囲気に感化されたのか、私を含めたブラッドメンバー全員が戦闘態勢に入った。

 

 

 拠点付近のアラガミはジュリウスたちに任せ、私たちは向かってくるアラガミの群れに一直線に突っ込んでいく。

 私はいつものように神機を銃形態に変えると、こちらに走って向かってくるアラガミの足にオラクルが凝縮された弾を撃ち込む。

 撃ち込まれたアラガミは急に感じた衝撃に耐えることができず、無様に地面へと転がった。周囲のアラガミも巻き込んで。

 そして、その態勢を崩したアラガミに近づく影がいた。それはここ最近前線に出て戦うようになったロミオだ。ロミオは態勢を崩したアラガミとその付近のアラガミをまとめて自身の刀身であるバスターブレードを振り切り、全員まとめて肉片に変えてしまった。

 バスターブレードの特性上仕方のないことだとは分かっていますが、なんというか見ていてアレな光景ですね。

 しかし、こうしてロミオが積極的に前に出て戦うなんてことは私がブラッドに入隊した当初からは考えられないことですね。……こうしてロミオが変わったことといい、先程のメンバーの雰囲気を一新させたことといい、やはり―――

 

 

 ここまで思考して、私たちに多大な影響を及ぼしている彼に目を向ける。

 彼は相変わらず尋常ならざる動きでアラガミを翻弄していた。

 時に同士討ちをさせ、時に自ら倒し、時にボルグ・カムランから切り取った尻尾などで別のアラガミに攻撃したりともうやりたい放題やってますといった感じだった。

 

 

 ―――ブラッドのメンバーが変わったのは彼の所為というかおかげと言えるのでしょう。それが良い方に向かっている変化なのかは、この際置いておくとして、ですけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

             ―――――――――――――――――

 

 

 

 

 夜である。

 結局あの後なんやかんやでアラガミの進行を止めた俺たちは、フェンリルの謎技術で作られた拠点(テント)にてレーションを初めとした携帯食料とナナがいつも持ち歩いているおでんパンで腹を膨らませた俺とロミオ先輩以外のブラッドメンバーはそこらで雑魚寝をしていた。

 起きている俺とロミオ先輩は今夜の見張り番である。ただ今、拠点が建っているところの近くにある一番大きく地形が盛り上がっているところにて絶賛警戒中である。今のところは影も形もないけどね。アラガミって寝るのかしら?

 

 

 「なぁ、仁慈。ちょっといいかな」

 

 

 どうでもいいことに思考を割いて時間をつぶしていると、俺と反対側を警戒しているロミオ先輩が急に話しかけてきた。

 

 

 「どうしました?まさかハルオミさんみたいに女性の好きな部位について語り合おうとか言い出しませんよね?」

 

 

 「ばっか、真面目な話だよ」

 

 

 声のトーンからして真面目な話だったようだ。戦闘時のように意識を切り替え、ロミオ先輩の話を聞き逃さないようにする。

 ロミオ先輩は何やら言いにくいことなのか何回か口を震わせては空気のみを吐き出す行動を繰り返していたのだが、意を決したのか俺に向けてはっきりと言葉を放った。

 

 

 「仁慈。俺のことを鍛えてくれないか?」

 

 

 「………はい?」

 

 

 どういうことなの……?

 真剣な表情で打ち明けてくれたロミオ先輩には悪いのだが、正直意味が分からない。 神機使いが強くなるにはジュリウス隊長が言っていたのだが慣れが必要だという。

 

 

 自分の数倍でかい化け物を相手取るには、誰しも感じるであろう恐怖心を抑え込んで行動しないといけない。ただでさえ自殺じみたことをしているんだし、黙って突っ立ってるだけならわざわざ殺してくださいと言っているようなものだ。

 そこで必要になってくるのが慣れ。いい感じに言えば適応。悪く言えば麻痺のことである。

 どんな状況でも動けるように慣れておくことが強くなる一番の近道とはジュリウス隊長の言葉である。

 だからこそ、俺の初期の訓練はあのような形になったんだと。

 

 

 そのことを知っているため、俺はロミオ先輩にそのことをはっきりと告げる。すると彼は首を横に振った。

 あれ?違った?

 

 

 「言い方が悪かったな。俺が言っているのは、俺の血の力を目覚めさせるのを手伝ってほしいんだ」

 

 

 「なるほど」

 

 

 今ではブラッドで血の力に目覚めていないのはナナとロミオ先輩だ。おそらく彼は自分よりも後に入ってきたはずの俺やシエル、ギルさんが血の力に目覚めたことにより焦りを感じているのだろう。

 

 

 「大体合ってるけど、お前が血の力に目覚めたことには納得だわ」

 

 

 左様で。

 

 

 「実はな、このまま血の力に目覚めないと死にそうな予感がしたんだ……」

 

 

 おいやめろ。

 ロミオ先輩が言うと冗談に全く聞こえないんですけど!?

 

 

 「その表情はお前も感じているようだな……。冗談には全く聞こえないと」

 

 

 妙に気取った語りをしているが、シャレにならない。

 

 

 「だからこそ、血の力に目覚める必要があるんだ!頼む!」

 

 

 「確かに死亡フラグが立っているんじゃないかと思えるくらいには確信できてしまうので当然手伝います」

 

 

 そういうとありがとうと言って喜ぶロミオ先輩。しかし、喜んでいるところ悪いのだが、血の力の目覚めるには感情を爆発、もしくはそれに近しい状態に持っていかなくてはならない。

 

 

 「か、感情の爆発?うーん……それって難しくないか?」

 

 

 「いえ、そうでもありません。ロミオ先輩俺がどうやって血の力に目覚めたのか思い返してみてください」

 

 

 「え?あー……確か、マルドゥークに襲われて、死にかけて……死にたくないって思って……あっ(察し)」

 

 

 そう。俺が血の力に目覚めたのは今現在影も形もない謎の声の可能性もあるが、おそらくは死にたくないという本能にも近しい感情の爆発によっておきたものであると考えている。つまり―――――

 

 

 「大丈夫です。幸い、相手には事欠きません」

 

 

 俺が指差す先には、さっきまで影も形もなかったアラガミたちの姿が!

 ほんと、タイミングいいな。

 

 

 「………今日はちょっと遠慮しておこうかなーなんて……」

 

 

 「慈悲はない」

 

 

 「アッーーー!」

 

 

 いやだいやだと駄々をこね始めるロミオ先輩を引きずって俺は今朝と同じようにアラガミの群れに突っ込むのであった。

 ロミオ先輩の血の力が覚醒すると信じてッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここでロミオが血の力に目覚めたらラケル博士(の中の荒ぶる神?)が涙目不可避。







※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。