神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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やぁ、またなんだ。すまない。
もうね、はじめの二日三日投稿が懐かしく思えてくるよね。
今回はナナ偏の導入みたいなものです。


第三十九話

 

 

 

 

 

 どうも。

 つい最近、神機使い初の試みを含んだ連続任務を無事に成功して帰還したにもかかわらず早々いつもより赤い目をしたラケル博士に「バーカ」と自分のキャラを忘れた罵倒をぶつけられた仁慈です。どういうことなの……。

 そのときは、いつもより早く車輪を回転させながら去っていくラケル博士の対応に色々と考えようとしたとき、反射的に俺の最終奥義現実逃避(リアルエスケープ)が発動。今まさに考えようとしていた事柄を頭の中から消し去った!

 困ったときはこの手に限る。正直、何をどう考えてもあの人のことを理解できそうにないからな。

 

 

 

閑話休題(それはともかく)

 

 

 

 

 気を取り直して、今日のお仕事をしにエントランスに向かう。

 なんというか、ここまでの行動が自分の体に染み付きすぎてて怖い。俺は真の社畜となってしまったのか……。まだ15歳なのに。 

 

 そんな事を考えながら通路を歩くと、途中にあった曲がり角から俺と同じく沈んだ雰囲気を纏ったロミオ先輩と遭遇した。

 どうしたんだこの人。数日前まではそれこそ極東支部に居る人全員に自慢するかのように自分の血の力について元気に触れ回っていたのに。

 

 

 「それが原因で極東の技術者たちに……」

 

 

 あっ(察し)。

 極東の技術者の訪問とかその時点で心中察しますわ。あれって超怖いよな。何故かサカキ支部長まで出てくるし。

 いやね、別に嫌いじゃないよ?いい人達だってことは普段の対応からして分かる。けど、技術者モードの彼らの相手は駄目だ。極東の代名詞……いや名物といっても過言ではない人格の突き抜けがモロに発揮されるからな。

 

 

 「それは本当にお疲れ様でした。次も頑張ってください」

 

 

 「おい!そこは俺のために口添えをするとか、そういうことはしないのか!?」

 

 

 やりませんよ、そんな事。

 もしそんな事をしてしまったら再び彼らの興味がこちらに来る可能性があるからな。俺の安息のためにしばし犠牲となってくれロミオ先輩。

 

 

 「こいついっそ清々しさを感じるくらいに自分のことしか考えてねぇ。仁慈俺がこのままで良いって言うのか!」

 

 

 「はい」

 

 

 「知ってた」

 

 

 相変らず対応がセメント過ぎる……と呟いているロミオ先輩だが、自分で言いふらしたんだから自業自得である。

 ま、仮に言いふらさなかったとしてもどこかしらでこの状況になると思うし、ぶっちゃけ早いか遅いかだけの違いだと思う。アラガミ……正確にはオラクル細胞かな?の活動を阻害する効果を持つ能力なんて人類の誰しもが「ころしてでもうばいとる」を実行するくらいには貴重だろうし。

 

 

 「正直に言うと、俺が口添えしたくらいでは止まりませんよ。ロミオ先輩だって自分の能力がどれだけ反則かわかるでしょう?」

 

 

 俺と一緒にAIBOのごとく反応した仲だし。

 

 

 「まぁな。その辺は俺でも理解してるよ。……だからおとなしくしてんだろ」

 

 

 既に妥協済みだったか。

 つまり今までのはただ単にこぼしたかった愚痴のようなものだろう。一夜にして人類すべての希望になってしまったのだからそれも当然といえる。

 え?だったらもう少し手心を加えてやれって?……ハハッ(目逸らし)。

 

 

 これからまたまた極東の技術者とのお話があるらしいロミオ先輩と別れた俺はひそかにその背中に合掌しつつエントランスに向かう。

 

 

 「今回の任務はウコンバサラの討伐になります」

 

 

 楽勝だな。

 

 

 

 この後、むちゃくちゃ滅茶苦茶にした。ウコンバサラを。

 

 

 

 

 

           ―――――――――――――――――――

 

 

 

 今日の任務楽勝すぎワロタ。

 高々ウコンバサラ十三体とかいつもに比べたら軽い軽い(白目)。

 

 

 そんなこんなでいつもより早く極東へ帰ってこれた俺はシエルと最近のブラッドの働き具合について色々意見を交し合っていた。

 簡潔にまとめれば頭おかしいで済むのだが、もっと具体的に話し合っているのである。基本的に脳筋な俺たちにはなかなか貴重な時間である。

 

 

 「ここ最近のブラッドの稼働状況ですが……」

 

 

 

 ふむふむとシエルの言葉に耳を傾けていると、後ろのほうから一応この話し合いに参加しているロミオ先輩とナナの話し声が聞こえてきた。何を言っているのかは声が小さすぎてよく聞こえないけど。

 ちょっとは真面目に聞こうよ……。

 後方の人達に若干呆れつつ、シエルの話に集中しようと意識を変えたその時、

 

 

 「ナナ?……おい、しっかりしろ!ナナ!!」

 

 

 先程のささやき声とはうって変わり、切羽詰まった声が俺の耳に届いた。シエルと共に即座に話を中断し、後方を振り返ってみればどう見ても気絶しているようにしか見えないナナをロミオ先輩が受け止めながら必死に呼びかけていた。

 おい、揺らすな。

 

 

 「シエル、俺は人を呼んでくるからそれまでナナの様子を見ていてくれ。一応救護の心得くらいはあるだろ」

 

 

 「はい。軍事訓練の一環として習いました」

 

 

 「じゃあ任せた。……とりあえずヤエさんを呼んでくるか」

 

 

 ヤエさんとはこの極東にいる看護師である。割と昔からいて、ここ極東の神機使いは一度必ずお世話になる相手らしい。

 ムツミちゃんに続いて極東で頭の上がらない人に名を連ねるお方である。

 

 

 「あ、そういえば今ここにラケル先生が来ているらしいぜ」

 

 

 「了解です。そっちも後で行きます」

 

 

 ナナのことはひとまず任せて俺はとりあえず助けを呼びに行った。

 というか、最近ラケル博士しょっちゅうここに来てるけど暇なのかね。

 

 

 

 

               ―――――――――――――――――――

 

 

 

 ヤエさんやラケル博士、他のその他もろもろの人達を呼びに言った後、ナナの代わりに任務に駆り出されました。

 俺って本当に都合のいい奴ね……。副隊長として当たり前の姿勢だけれどね。

 

 

 「それで、ナナの様子はどうだ?」

 

 

 現在、その任務をパッパと終わらせてナナの様子を見に来ました。

 え?早すぎだって?

 コンゴウ五匹同時なんて軽いk(ry。

 

 

 「ヤエさんの診断ではもうそろそろ目を覚ます頃らしいです。ラケル先生もこのようなことは初めてではないらしく、過去の経験から踏まえ、同じようなことを言っていました」

 

 

 ならひとまず安心だな。

 一安心だけど、何で俺の部屋でナナを寝かせているんだ。病室が開いてないのは分かる。黒蛛病患者を収容したばかりだからだ。

 でも、寝かせるのはナナの自室でよかったんじゃないんですかねぇ?

 

 

 「君の部屋のほうが近かったので」

 

 

 「そうだけどさ……」

 

 

 そんな感じの中身のない会話をしながらナナが起きるまでの時間をつぶしていると、今まで静かに寝ていたナナが急に上半身を起こして飛び起きた。

 若干体がビクリとはねてしまったのは内緒である。

 

 

 「あ、仁慈。……シエルちゃん……?」

 

 

 寝起きの所為なのか、どこか寝ぼけたような声で俺たちの名前を言ったナナ。

 呼ばれたほうの俺とシエルがコクリと頷くと、ナナは俺の部屋に居ることなんてまったく気にせずに自分の状況を冷静に把握し始めた。

 

 

 「そっか……また倒れちゃったのか、私」

 

 

 その口ぶりからすると過去に倒れたことがあるというのは本当のことだったようだ。 ナナは自分の現状を理解すると今度は普段の彼女からは想像もできないくらい悲痛な表情を浮かべて膝を抱えた。

 

 

 「……嫌な夢、見ちゃった……。お母さんが、血まみれで……!」

 

 

 「もう少し、横になっていたほうがいいですよ?」

 

 

 「うん、ありがと……シエルちゃん。そうするー」

 

 

 シエルに促され再びベットへ横になる。

 横になった彼女は、先程見た悪い夢に関係しているであろうお母さんのことについて話し始めた。人に話せば楽にもなるだろうから黙って聞くことにする。

 

 

 雪がよく降っていた山奥でお母さんと二人で暮らしてたこと。

 そのお母さんが神機使いだったこととその所為で一人で居る時間が長かったこと。

 けれど、お母さんとの約束でおでんパンをおなか一杯食べると寂しくなくなったり、お母さんがほめてくれたりしたこと。

 

 

 色々と話していると、ナナも落ち着いたのか今度は上半身だけでなく全身を起こして勢いよく立ち上がって俺たちにお礼を言ってきた。

 どうやら話を聞いていたことが功を奏したらしい。元気になったのはいいんだけど、そこ俺のベットだからあんまり激しく動かないでね?

 

 

 「んーよく寝た。その所為でおなかすいちゃった」

 

 

 「お前のそれは気絶に近いものであって睡眠じゃないから」

 

 

 「どっちも同じだよー。細かいことばっかり言ってると、おでんパンを口にくわえさせて黙らすよ」

 

 

 「そんな事したらお母さん泣くぞきっと」

 

 

 「ふっふっふ……何を言います仁慈さん。私はお母さんから直々におでんパンを継承したのです。つまり!私が当代のおでんパン将軍なのです!!」

 

 

 「何それ初耳」

 

 

 今まで影も形も存在してなかったぞおでんパン将軍。一体どんなものなんだおでんパン将軍。

 

 

 

 「馬鹿なこと言ってないでさっさとご飯食べてこい」

 

 

 そうすれば少しは本来の調子に戻るだろ。仕事の方は全て俺が片付けておいたし、ナナも充分にゆっくりできるだろう。

 

 

 「うん。それじゃ二人ともありがとね!」

 

 

 ぴょんとベットから跳び下りたナナはそのままこちらに手を振りながら退室していった。おい、俺のベットだって言ってんだろうが。

 

 

 「……そういえば、ナナの体調の件についてラケル先生が君の事を呼んでましたよ」

 

 

 「マジでか」

 

 

 ナナの状態を聞いたとしても、俺にできることなんて高が知れてると思うんだけどね。あ、でもカウンセリング的な話かもしれない。

 なんにせよ、行きますか。

 

 

 「ラケル先生は支部長室に居るらしいですよ」

 

 

 「ん、了解」

 

 

 そういえば、一日で二度もラケル博士に会うのは初めてな気がするぜ。

 

 

 

 

              ――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 「サカキ支部長。こちらに居るラケル・クラウディウス博士に呼び出されてまいりました。仁慈です」

 

 

 「あぁ、仁慈君か。話は聞いているどうぞ入ってきたまえ。……後、前々から思っていたが、君は少々固すぎないかね?」

 

 

 「これが普通ですよ」

 

 

 むしろこれでも駄目駄目な部類に入る。元々居たところはフェンリルと同等のブラック企業あふれるところだったからなぁ。

 相変らず室長室にどこか合わないと感じさせるサカキ支部長にそう返した後、彼の近くに車椅子を止めているラケル博士の方向を向いた。

 こちらも変わらず背筋が凍るような薄ら笑いを浮かべているのだが、なんと言うかいつもより迫力がないのは気のせいなのだろうか。

 

 

 「久しぶりですね。仁慈」

 

 

 「いや、数時間前に会ったばかりでしょう?」

 

 

 ナナの様子を見てもらうように頼みに行ったのは俺なんですが。それを除いたとしても、数日前に俺を罵倒しに来ましたよね?もしかして、呆けましたか?

 

 

 「…………」

 

 

 「…………」

 

 

 俺とラケル博士の間にどこか気まずい雰囲気が流れる。

 どうやら彼女の反応を見るに、ラケル博士は先程の発言を本気で言っていたらしい。大丈夫かしらこの人。

 

 

 「……あ、貴方を呼んだのは他でもありません。た、倒れたナナについてです」

 

 

 「声震えてますけど」

 

 

 「問題ありません」

 

 

 斜め上に視線を逸らされながら言われても説得力皆無なんですがそれは……。

 ツッコミを入れるべき場所は多々あったものの、このままでは話が進まないので自分の中で渦巻く疑問を飲み込み彼女の話に耳を傾けることにした。

 

 

 「ゴホン……まず、仁慈。貴方はゴッドイーターチルドレンという言葉を聞いたことがありますか?」

 

 

 「神を喰らう子どもとか超強そうですね」

 「真面目に答えなさい」

 「hai!!」

 

 

 いつもの怖さではなく普通に女性的な恐ろしい雰囲気を放ってきたラケル博士に降伏し、俺は真面目に答える。

 

 

 「聞き覚えはありませんね。意味としては読んで字のごとく、神機使いの子どもですか?」

 

 

 「えぇ、そうです。最初からそう答えてください。……ゴッドイーターチルドレンの意味は大まかに言えば正解です。訂正するならば、神機使いを親に持つ……生まれながらにして体内に偏食因子を宿している子どもです」

 

 

 「それがナナですか」

 

 

 「その通りです。彼女の場合は生まれ持った力が大きすぎる子だったので、偏食因子を安定させるのに数年かかりました。過去に起きた気絶もそれが原因でした」 

 

 

 「つまり今回もその大きな力が原因だと?」

 

 

 「いいえ。今回の件は……おそらく彼女の中の血の力が目覚めようとしたのではないか、と」

 

 

 「根拠は?」

 

 

 なにやら自信があるようなのでその根拠となるものを聞いてみる。

 え?なんで自信があると分かるかって?この人微妙に胸を張っているからな。

 

 

 「勘です」

 

 

 「おい、博士だろ」

 

 

 最近から崩壊しすぎぃ!

 

 

 「そこで、仁慈にはナナのサポートして欲しいのです。貴方の喚起の力で、健やかな血の力の覚醒を」

 

 

 「え?何事もなかったかのように続けるの?」

 

 

 「貴方達は血を分けた家族です。その力でどうか彼女を導いてあげてください」

 

 

 「無視!?」

 

 

 言いたいことだけ言って彼女は支部長室を出て行った。

 えぇ……。

 

 

 あふれ出る打ち切り感に呆然として動けない俺を、最初から最後まで会話を聞いていたサカキ支部長が苦笑いで眺めていた。

 

 

 








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