神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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遅れて申し訳ありません。頭の中で考えていることを文章にすることに手こずりました。

今回はご都合主義、急展開、キャラ崩壊と注意事項の雨あられです。
よっぽどおかしいなと思うこと意外はなるべくスルーしてくれるとありがたいです。



第四十八話

 

 

「鼻☆塩☆塩。アレは今から36万……いや、1万4千年前だったかしら……まぁいいわ。彼にh――――」

 「俺に72通りの名前なんてありませんよ。そういうのはいいので、結論を簡潔に教えてください」

 

 

 何を言われると身構えていたらこれだよ。

 もう少し真面目な空気を持続できないんですかねぇ。どう考えてもネタをぶち込むタイミングじゃあなかったでしょう?

 

 

 「……なるほど。仁慈とは仮の名。本当は神機の変わりに爪楊枝を駆使する天界出身のイー〇ックだったわけか」

 

 

 「ちげぇよ」

 

 

 俺はジーパン鎧なんていう常人離れした服装はしないし、爪楊枝ではなくしっかり神機を駆使して戦ってる。いや、そもそもあの人は実際に爪楊枝を使って戦ったことはないし。そして何より、イ〇ノックはハルオミさんだろ。

 って違う違う。話が思いっきり脱線してやがる。

 

 

 「ほら見てください。少しネタを振っただけで話が脱線するんですから」

 

 

 「ジュリウスが着実に成長してくれてうれしいわ」

 

 

 「元凶お前か」

 

 

 おかげでジュリウス隊長がすごい残念な感じになっているじゃないか。外見がいいだけになおそれが目立つという仕様も搭載してるし……。

 あーまた話がずれた。

 

 

 「もういいです。ではラケル博士、結論をどうぞ」

 

 

 「えぇ。そろそろ真面目に話しましょう。残された時間も少ないことですしね。………仁慈、あなたは本来過去にも現在にも未来にも生まれるはずのない人間………いや、『人格』だったのよ」

 

 

 

 

 

 

              ――――――――――――――――

 

 

 

 

 私がP73偏食因子を移植してからしばらくして、荒ぶる神々の声が聞こえるようになったという電波バリバリな話は先ほどしたわね。

 

 

 「自分で言っちゃうんだ……」

 

 

 そこ、自分で話を逸らすようなことを言わない。

 

 

 ……あの時の私は今のようにロマンも自分のしたいこともなかったから荒ぶる神々の人形のような状態だったわ。そのことに薄々気付いていたのかお姉さまも私のことを時々不審な目で見ていたしね。

 

 

 そんなある日、荒ぶる神々の意思が私に語りかけてきたのよ。

 つまり「(荒ぶる)神(々)は言っている……〇〇に行きなさいと」状態ね。前述したように当時の私は人形同然。遠くから零號神機兵を護衛として付き添わせながら私は荒ぶる神々の意思の言われたとおりの場所に向かい、見つけたのが……。

 

 

 「……仁慈か」

 

 

 えぇ、そうよジュリウス。もっともそのときに見つけたのは今私たちの目の前に存在している『仁慈』ではないし、私が見つけたとき彼は肢体をアラガミに喰われ、瀕死の状態だったけれど。

 

 

 話を戻すわね。

 私が聞いた荒ぶる神々の声は、目の前で瀕死の状態になっている少年を助けろということだった。当時の私は、もうこの子どもは助からないと思いつつも、マグノリア=コンパスにつれて帰ったわ。零號神機兵に乗せて。

 

 

 「なんて嫌なタクシーなんだ……」

 

 

 「まさか零號神機兵はそのときに乗せた仁慈の感覚が忘れられなくて……」

 

 

 「あってたまるか。そんなこと」

 

 

 ロミオ余計なこと言わないの。

 

 

 それで、瀕死の状態にあったその少年をマグノリア=コンパスに連れて帰ったのだけど正直私は彼が生きているとは思わなかったわ。

 肢体を喰いちぎられ、出血量もかなりのものだった。その状態で応急処置もせずに運んだのだもの。

 けれどそんな私の考えを他所に荒ぶる神々の意思はこの少年に私と同じくP73偏食因子を投与しろという命令を下した。人形であった私は口答えすることなく瀕死の少年にP73偏食因子を投与して、当時開発されたばかりの対アラガミ装甲壁と同じ原理でできている部屋に隔離したの。さすがに何の準備もなしにアラガミ化されたら困ってしまいますからね。

 

 

 

            ―――――――――――――――――――――― 

 

 

 

 

 それから三日たったある日、ラケルが拾った少年が目を覚ましたと抱えていた施設の従業員兼研究者から連絡があった。

 ラケルは荒ぶる神々の言われるがままに少年を隔離した部屋の様子を見に行き、絶句した。

 

 

 つい三日前までは無残にも肢体を喰いちぎられて、痛々しい姿だった少年が何処の欠損もなく五体満足でその部屋にいたからである。彼は退屈なのか、足をぶらぶらと遊ばせていた。

 急いでラケルは施設に居た従業員兼研究者たちを集めて彼の身体を徹底的に調べることにした。すると、復活した彼の肢体の殆どはオラクル細胞で構成されていることが判明したのである。

 

 

 「……ラケル博士、これは一体……」

 

 

 「……推測ですが、アラガミに喰われた際に付着したオラクル細胞が彼に注入したP73偏食因子により生存本能を学習した結果ではないかと」

 

 

 ラケルが言った言葉に皆信じられないという反応を返す。このことを口にしたラケル本人も自分の内から聞こえてくる荒ぶる神々の声を聞いていなければ絶対に信じていなかっただろうと思っていた。

 

 

 ラケルおよび研究員たちは少年の処遇についてかなり迷っていた。危険な芽は早めに潰しておいたほうがよいという意見と研究者として少年をこのまま観察し続け、偏食因子適合率増大に利用すべきという意見が出た。最終的には少年を拾ってきたこととこの施設の実質的な最高責任者であるラケルが少年の処遇について決めることとなった。

 

 

 彼女は自分の中にある荒ぶる神々の意思に従い彼をこのまま育てつつ、経過を観察する決断を下した。もちろん、アラガミ装甲壁で囲まれた部屋で軟禁に近い状態で育てることとなるのだが。

 

 

 「………お名前を教えてくれるかしら?」

 

 

 ラケルは自分が拾ってきた少年の名を聞くために、隔離された部屋の中に入り足をぶらぶらと遊ばせ退屈そうにしていた少年に話しかける。

 少年は声をかけてきたラケルのほうを向いて、ポツリと一言呟いた。

 

 

 「なまえ?それ……なに?」

 

 

 ここでラケルは少年を拾ってきたときの状況を思い出した。肢体を無くし、素人目でも助からないだろうと思うほど血を流して地面に倒れ付していた。そのショックで記憶に何かしらの障害が生じてもまったく不思議ではない。

 彼女はこれを好機と考えた。彼女の中に居る荒ぶる神々の意思が彼を拾ったことには何かしらの意味がある。後々使うのであれば自分の都合のいいように動かせるほうがいいだろう。そう瞬時に考えた彼女はこの日、名前を失った少年に『ジン』という名前をつけて育て始めた。

 

 

 

 彼女の考えた少年駒化計画は順調だった。元々親の愛情などを必要とする時期に拾ったためか、少年――――ジンはラケルによくなついていた。

 しかし、唯一彼女の思い通りにならないことがあった。それは、

 

 

 「おぉ、ジン君。元気にしとったかの?」

 

 

 「あ!おじいちゃん!」

 

 

 ジンがなついた人がラケルだけではなかったことだろう。

 部屋に入ってきた見掛け八十はあるであろう老人の胸に向かって笑顔でジンが飛び込んでいく。

 ジンに抱きつかれた老人はニコニコと厳格な表情をだらしなく緩ませてジンを受け入れた。

 

 

 ――――――彼の名前は樫原信慈。

 

 

 ラケルやその中の荒ぶる神々の意思も認めるほどの科学者である。その頭脳は彼女たちですら舌を巻くこともあるほどのもので、彼のことを認めると同時に目の上のたんこぶのようにも思っていた。

 

 

 そんな風に思われている樫原信慈がジンに構う背景には当然の如く理由がある。それはジンの身体のことについてだった。

 外見的には通常の人間と変わらないが、肢体はアラガミと同じオラクル細胞でできている。しかもジンの身体にはつい最近開発が進み安全性が向上している偏食因子ではなく、適応が難しく多くの犠牲を生み出したP73偏食因子を取り込んでいるのだ。そのため彼の様子を近くで観察し、兆候があったときにすぐさま対応できるようにしている。

 

 

 また、最大の理由は彼がたどり着いてしまったもしもの可能性だ。

 オラクル細胞、もしくは偏食因子は人間を含めた地球上の全ての生き物が行ってきた進化を比較にならない速度で行っている。

 

 

 なら、人間の中に入りその構造、思考回路をオラクル細胞が学習した場合はどうなるだろうか。

 その内意思を持ち、ジンの身体を乗っ取り知能を兼ね備えたアラガミが誕生するのではないか……それこそが樫原信慈の最大の懸念であった。

 実際、時々ジンは獣のように暴れ回ることがあった。もっとも相手はいまだ子どもで、対応を早期に行っているからこそ大事にはなっていないが長くは持たないだろうと考えている。

 

 

 「いい子にしてたかの?」

 

 

 「うん!」

 

 

 「そうかそうか。なら今日はいい子にしていたご褒美に絵本をたくさん持ってきたから、早速読もうじゃないか」

 

 

 「ほんと!?」

 

 

 キラキラと目を光らせて信慈を見るジン。

 その視線に確かな罪悪感を感じつつ、彼はそれを人生で培ってきた精神力で押さえ込んで柔和な笑みを浮かべると胡坐をかいてジンを上に乗せて絵本の読み聞かせを行った。

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――ジンは知らない。

 

 

 彼が持ってくる絵本には、自分の記憶・人格を他人の脳内に移すことができる仕掛けが施してあることを。そしてそれが、もしアラガミが彼の精神を侵食した際に対抗できるようにする防衛装置だということを。

 

 

 

 それからジンは特に何の問題も起こすことなく、年を重ねていった。

 既に高齢だった樫原信慈は寿命で息を引き取ったがその時も大泣きこそすれ、感情の爆発による暴走などもなかった。

 このことにより、ある程度の自由がジンに認められ以前よりもまだ楽しく過ごしていた。

 

 

 しかし、ジンの年が二桁に差し掛かった時に事件が起きた。

 

 

 「………」

 

 

 『………』ガシャンガシャン

 

 

 十歳になりたてのジンの前に零號神機兵が現れたのだ。

 

 

 

 『――――――』ガシャンガシャン

 

 

 「うわぁぁぁぁぁぁあああああ!!!」

 

 

 ジン、絶叫。

 トイレへと出かけた帰りに、ぱっと見化け物としか見えない……というか正真正銘の化け物を見てしまったジンはわき目も振らずにマグノリア=コンパスの外へと飛び出してしまった。

 本来ならば、子ども一人を捕まえることくらいは造作もない。だが彼の肢体はオラクル細胞でできている。ぶっちゃけ、下手な神機使いよりも身体能力が上だった。

 

 

 ラケルが気付いたときには既に遅かった。

 既に施設の計器で観測できる範囲にジンの反応はなく完全に見失ってしまった。

 しかし、彼女の中にある荒ぶる神々の意思は対して重大なこととは思っていなかった。なぜなら彼がアラガミ化すれば特異点になりうるかもしれないからである。手段は多いほうがよいと、ラケルにジンの捜索を打ち切るように言い渡した。

 

 

 

 

            

 

 

 

 「私が知っているのはここまでです。ここからは私の推論になりますが、聞きますか?」

 

 

 「……はい」

 

 

 「ジンはマグノリア=コンパスを逃げ出したあと、ストリートチルドレンと同じように生活していたと考えられます。知識は樫原信慈博士と私で十分なほどつけましたし、身体能力は折り紙つきですから。そして、ある日彼の身体能力を持ってしても逃げ切れない……そうですね、アラガミに囲まれたかそれに似たような状況に陥ってしまったのでしょう。貴方を発見したとき、既に神機を持っていたことから未だ回収されていない神機を握って道を切り開いてその状況から脱したからだと考えています」

 

 

 「……ラケル先生。そんな事が本当に可能なのでしょうか?」

 

 

 「えぇ。私たちの援助があったとはいえ、何年もアラガミ化せずに生活していたのですもの。今更、調整された神機程度に喰われる可能性は低いです」

 

 

 「……でも、俺はジンではなく樫原仁慈ですよ。まぁ、樫原信慈という人が出てきた辺りから大体予想はできますが」

 

 

 

 「えぇ、そう。ジンは神機を問題なく扱えた。しかし、神機を握ったことにより彼の中に眠っていたオラクル細胞が一気に活性化し、人格の侵食が始まったのでしょう。そして樫原信慈が仕込んでいた防御装置が発動。人格同士の喰いあいの結果、混ざり合ってしまった」

 

 

 「つまり?」

 

 

 「速攻魔法『超融合(精神の喰らいあい)』を発動!『(ジン)』と『お前(樫原信慈)』を超融合!と言ったところでしょう」

 

 

 「…………」

 

 

 仁慈の顔が地面に向けられる。

 ……まぁ、ショックでしょう。今まで自分の記憶だと思っていたものが他の誰かのもので尚且つ混ざりものであったのですから。

 記憶というのは、人格の根幹を成すもの。

 それが全て自分のものではなかったという事実は自身のアイデンティティーの喪失に他ならない。

 ジュリウスを初めとするブラッドメンバーやそのほかに居る人達も、仁慈に対して何の言葉もかけることはできなかった。当然、私も。

 

 

 

 

 

 

             ―――――――――――――――――

 

 

 

 

 ラケル先生から話を聞いたが、正直だからなんだという感想しか抱かなかった。

 いや、この反応がおかしいことは分かるよ?でもさ、神機使いになってから俺が思い起こしたことって中学時代のつらい思い出とおばあちゃんの知恵袋くらいしかないぞ?

 

 

 ……どう反応すればいいってんだ。

 他に思うことと言えば、一番最初にマルドゥークと戦ったときに聞いた声はアラガミの意思だったとか、あの時の力はアラガミパゥワーなのかなぁということしかないぞ。

 

 

 「あー……仁慈」

 

 

 どう反応しようかと頭を悩ませている様を落ち込んでいるのかと勘違いしたのか、ブラッドに初めてきたときと同じようなまともな口調のギルさんが一歩前に出て俺に言葉を投げかけた。

 

 

 「お前の中にある記憶が誰のものであれ、このブラッドで過ごしてきたのは他でもないお前自身だ。あまり深刻に考えるなっていうのは無理な話だとは思うが、そのことだけは覚えておいてくれ」

 

 

 ギルさん……。

 

 

 

 「肢体がアラガミだってことについてもそうだ。元々お前は化け物みたいなものだったじゃねぇか。それが正真正銘の化け物になったってだけの話だ。対して変わらない」

 

 

 「確かにそうだな!」

 

 

 「うん!」

 

 

 「おい」

 

 

 対応が相変らずすぎやしませんかねぇ。

 でも、その対応がどれだけ難しいものか俺でもわかっている。だから、俺は彼らに向けて言った。

 

 

 「ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アナグラ勢「(……完全に空気だな)」

すまない……複数のキャラを同時に描くことが致命的に下手な私ですまない。







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