神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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五十話なのに内容がなんか中途半端に……これがおそらく今年最後の投稿となりますが、なるべく早く続きを投稿したしたいと思います。






第五十話

 

 

 

 

 

 

 「すまないね仁慈君。時間がないとはいえ連日で呼び出してしまって」

 

 

 「別にこれに関しては気にしていませんよ。現状がアレなだけに仕方がないことだと思います」

 

 

 まぁ、極東に来たばかりの稼働率と比べればこのくらい軽いものですしということは言わない。

 

 

 場所は昨日と同じく支部長室。

 ここって会議室とかじゃないはずなのにとんでもない回数ここで集まって会議してるよな。

 

 

 それはいいとして。

 今回集められたのは俺と極東を代表する神機使い(キチガイ)の皆様。主に第一部隊とかそこらへんの人とクレイドル、そして最後に俺は良く知らないけど長いことこの極東の防衛を勤めている防衛班の人達である。ブラッドおよびラケル博士は居ない。ぶっちゃけ俺だけ仲間はずれといわなくもない面子であった。

 

 

 「今日みんなに集まってもらったのは他でもない。君たち全員にブラッドアーツ、もしくはブラッドバレットを習得してもらうために集まってもらった」

 

 

 サカキ支部長の発した言葉にみんながそれぞれ違った反応を見せる。防衛班の人はブラッドアーツってなんだ?とよく分かっていない様子だし、第一部隊の人はエリナがそれこのタイミングでやる必要あるのだろうか?と疑問を抱いているようだった。エミールさん?あぁ、あの人なら「騎士たるもの、必殺技の一つや二つ使えなくてどうする!」とか言ってた。ちなみにクレイドル組のシックザールさんとアミエーラさん、その二人と元々同じ部隊だった藤木さんはうんうん頷いて納得していた。

 

 

 「なぁ博士。俺たちがブラッドアーツ?を使えるようになることに意味はあるのか?こう、タイミング的に」

 

 

 防衛班の大森さんだったかな?

 その人がサカキ支部長に対してそんな質問を投げかけた。多分付け焼刃は危険だと思っているんじゃないかな?先程も言ったように防衛班は長くこの極東を守ってきた部隊。戦闘のノウハウを色々知っているだろうし、十分に考えられる話だ。いつぞやの神機兵に対するギルさんの反応と同じようにね。

 

 

 「確かに付け焼刃というのは一定の危険を孕んでいる。むしろ、いい方向に働く可能性はないに等しいといっていいだろう。けれど、今回のケースではそうも言ってられなくてね」

 

 

 どうやらサカキ支部長もこれは分の悪い賭けだと感じているらしく、眉間にしわを寄せている。

 

 

 「君たちに昨日話したとおり、敵は世界規模の捕食を行い、尚且つ優れた頭脳をもつアラガミなんだ。そのアラガミが自らの性質を十分に活用しないわけがないんだ」

 

 

 「……まさか、アレはマルドゥークを捕食して、あの能力を身に着けていたりするんですか?」

 

 

 「確認は取れていないがその可能性は大いにある。仁慈君に計画を根幹から壊されて、ラケル博士の体から居なくなる間際には大分慎重な性格になっていたのを感じたと彼女は言っていたよ」

 

 

 部屋に居る皆様にジト目で見られた。解せぬ。

 

 

 「もしも仁慈君が行っていた通り、マルドゥークを初めとする感応種を捕食していたとしたら対抗できるのはブラッドかもしくは仁慈君の近くに居る神機使いだけになる。しかし今回の作戦、ブラッドが他のアラガミと戦闘する余裕はおそらくない。仁慈君のほうも『喚起』をフルに活用して挑む作戦であるため、君たちにまで効果が行き届かないことも考えられるんだ」

 

 

 「うへぇあ……それはまた極東らしい世紀末な状況っすね」

 

 

 変な声を口から漏らしながら大森さんはそれ以上ツッコミを入れることはなかった。アレで納得するとは……さすが長く極東で神機使いをやっているだけあるな。余裕の対応です。場数が違いますよ。

 

 

 「それにしても、ブラッドアーツってその名の通りブラッドが使う技ですけど……ブラッドに使われている偏食因子じゃない神機使いたちでも使えるものなんですか?」

 

 

 というか俺たち以外に使えないからこそブラッドアーツだと思うんだが。

 

 

 「ラケル博士に確認を取ってみたところ、ブラッドアーツだけなら仁慈君の血の力を利用して誰でも使えるようにできるらしいよ」

 

 

 「ホント便利だな俺の能力」

 

 

 なんか過去に使えないとか言った気がしなくもないが、こうして考えてみるとロミオ先輩に並ぶ万能能力なんじゃなかろうか。

 

 

 そんな事を考えているうちにサカキ支部長はやることがあるといって、支部長室を退室していった。去り際に「ブラッドアーツ習得の方法は君に任せるよ。信頼しているからね」とささやいていたが、実態は唯の丸投げである。

 サカキ支部長もサカキ支部長でやることがあるだろうし、具体的なブラッドアーツの習得方法が分からない以上しょうがないのかもしれないけどさ。

 さすがにこのメンバーで一人残していくようなことはして欲しくなかったなー。

 

 

 

 「あー、お前が噂に名高いブラッドの副隊長だよな?俺は防衛班の大森タツミっていうんだ。よろしくな」

 

 

 知り合いはいるものの部屋の半分は初対面、それも年上ということもありどうやって話を切り出そうかと頭を抱えていた。しかし、それに気がついた大森さんが俺よりも早く話を振ってくれた。気遣いができる男というのはこの極東だと割と貴重な気がする。

 

 

 「よろしくお願いします。大森さん」

 

 

 「タツミでいいぜ。……それで本題だが、ブラッドアーツって言うのは一日二日で習得できるものなのか?ノヴァ擬きが目覚めるのは三日後って聞いているんだけど」

 

 

 当然の疑問である。

 いかにも必殺技的な技能をノヴァが目覚めるまでの三日間で修得できるのか。普通の人なら誰しもがそう思う。漫画でも三日間で必殺技を編み出すなんて展開ないんじゃないかな。

 

 

 「えー……ぶっちゃけ、ブラッドアーツの習得方法は確立されていません。右も左も分からない真っ暗闇の状態からスタートになります」

 

 

 「……それは大丈夫なのか?サカキ博士はいかにもブラッドアーツが習得できるような言い回しをしていたが……」

 

 

 そう不安気な声を漏らしたのは銀髪で体格のいい男性。腕とかに包帯のようなものを巻きつけており、一瞬だけ中二病と思ったのは内緒である。

 

 

 「……できるだけのことはやります」

 

 

 自分でも若干苦しいと思いつつ、何とか言葉をひねり出してみればもれなく部屋に居る皆さんから冷たい視線を返された。

 俺はいったいどうすればよかったんですかねぇ……。

 

 

 

 

 

 

 

            ―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 さて、なんだかんだで渋る神機使いの皆さんをあの手この手で引っ張り出してきた俺は現在、零號神機兵が蛹になった影響でアラガミが大量発生していると思われる場所に来ております。具体的には嘆きの平原。何時もは中央を陣取っている竜巻が消えて、そこからアラガミがうようよ湧いていた。

 

 

 

 「では、その辺に湧いているアラガミ相手に練習してみましょう」

 

 

 「見る人が見たらこの世の終わりのような光景が広がっているのにこの対応……」

 

 

 「アナグラの下手な神機使いよりアナグラの神機使いしてるわね」

 

 

 バーデルさん(ブレンダンさんのことだよ)とディキンソンさんの銀髪防衛班コンビ――――ここに来る途中で自己紹介を済ませたため知っている――――からツッコミが入るけど無視無視。

 

 

 「現状、ブラッドアーツを習得するには強い感情の揺れが必要になります。ブラッドのメンバーは大体これで発現しました」

 

 

 「結構漠然としてんな。そんなんで本当にブラッドアーツなんて使えんのかよ」

 

 

 「知りません」

 

 

 「……俺は金にならないことはあまりしない主義なんだが」

 

 

 「これ習得できたら感応種でも問題なく戦えるようになりますので収入アップですよ」

 

 

 文句を口にするどこかでアラガミではなく巨人を駆逐しにいきそうな小川さんと第五十刃みたいな顔のシュナイダーさんを軽く流し、その後他にブラッドメンバーがブラッドアーツを習得して行く過程を話す。

 そして最後にそれぞれ俺が全力で喚起の力を発揮しつつやれるだけのことをやってみようとした。

 

 

 

 

 ――――――防衛班の場合。

 

 

 

 「強い感情の揺れっていってもなぁ……。今更大勢のアラガミに囲まれたくらいで揺れるような肝っ玉でもないしな」

 

 

 「確かにそうだな」

 

 

 タツミさんがぼそりとこぼした言葉に同意するバーデルさん。もちろんアラガミを倒しながらである。

 

 

 「んー……ここで習得できなければ全人類が滅ぶ……強いて言えば自分の好きな人が死んでしまったりするわけですが……」

 

 

 「それで覚醒できるのは物語の主人公だけだろう。そもそも、俺たちはその状況に三年前も遭遇したことがあるしな」

 

 バーデルさんのその言葉にハッとする。

 そういえばそうだった……この人達、既に世界の危機を経験済みなんだったわ……。

 

 

 「……ここでブラッドアーツを習得したら、世界の危機を防ぐ手伝いをしたとかで女の子からもてるようになるとか?」

 

 

 ……いや、ねぇな。自分で口にしておいてなんだけどこれで釣れるのは思春期真っ盛りの中学生くらいだわ。

 

 

 「ブラッドアーツを取得すれば、ヒバリちゃんが俺と付き合ってくれる……だと……?」

 

 

 そこまで言ってませんよ。

 というか、タツミさん。アンタそれでいいんですか。

 内心でツッコミを入れていると、タツミさんは何を考えたのか徐に雄叫びを上げると向かってきたアラガミに対して自身の神機を渾身の力を込めて振るった。

 すると、なんということでしょう。キィン……!という独特の甲高い音と共に赤いオーラを纏いながら斬撃を飛ばしてアラガミを切裂き、見事に倒して見せた。

 

 

 「お、でた」

 

 

 「マジか……」

 

 

 それで出せるのか……。

 一度出してコツを掴んだのかバンバンアラガミの群れに向かって斬撃を飛ばしているタツミさんを他所に俺はどこか納得できない気持ちを抱いた。

 

 

 だが、タツミさんが身をもってブラッドアーツの習得は可能だということを証明してくれたため他の皆さんもやる気になったようで積極的にアラガミの群れに埋もれていく姿が確認できるようになった。

 

 

 「俺はタツミのように意中の相手がいるわけでもないんだが……」

 

 

 「別にそれに限ったことではありませんよ。生存本能がフル活用されるような状況に放り込んで覚醒した人も居ますし」

 

 

 「………鬼だな」

 

 

 失礼な。

 死亡フラグを回避するためにちょっとばかり死に掛けてもらっただけだから。本人も納得してたから(震え声)。

 

 

 にしても、バーデルさんが悩んでいるところ悪いんだけど……俺もバーデルさんのことよく知らないからなぁ。どのようにして焚きつけたらいいのやら。

 

 

 「それ、俺がやってやろうか?」

 

 

 バーデルさんと一緒に頭を捻っていると、一通りエキサイトし終えて落ち着いた様子のタツミさんが会話に混ざってくる。

 何とかできるならお願いします。あまり残された時間もないので。

 

 

 「オーケーオーケー。ブレンダン、ちょっと耳を貸してみ」

 

 

 ちょいちょいと手招きするタツミさんにバーデルさんが近付き、耳を貸す。その後、大体一分くらいだろうか?タツミさんがバーデルさんの耳から顔を離すと、バーデルさんは徐に自身の髪の毛を後ろに追いやる。

 

 

 そして今までの優しそうな表情から一転、まるで日本刀を思わせる鋭い顔つきになったかと思うと神機をアラガミたちに向けてこう言い放った。

 

 

 「You're going down!」

 

 

 「ファッ!?」

 

 

 「よし」

 

 

 よしじゃねーよ。これバーデルじゃなくてバージルじゃねーか。確かに銀髪かそれに近い髪の色してたけどさぁ……。タツミさん。何吹き込んだのさ。

 

 

 「ちょっとばかりあいつのトラウマというか、心残りを突っついたのさ。本当ならこういうことはあんまりしたくないんだが……状況が切迫しているから致し方なし。あ、実力のほうなら問題ないぜ。あの状態のブレンダン、滅茶苦茶強いから」

 

 

 「でしょうね」

 

 

 神も悪魔も泣かせそうだし。弱いわけがない。

 

 

 「Be gone!」

 

 

 バージル……間違えたバーデルさんは、自身の神機の刀身がバスターにもかかわらずまるで日本刀を振るうかのごとき手さばきで迫り来るアラガミを両断する。近くに居るアラガミを両断し終えたバーデルさんは、周囲に紅く光る剣を作り出しアラガミの群れに飛ばした。

 キィン……!という効果音も確認できたし、多分ブラッドアーツだろう。

 

 

 「おー、ブレンダンもちゃんと出せたな」

 

 

 「そうですねー」

 

 

 アラガミを紙くずのように切裂き、最後の一匹を倒し終えたバーデルさんを見ながらタツミさんの言葉に適当な反応を返す。

 

 

 「This is the power of Sparda. 」

 

 

 「アンタはスパーダじゃないでしょ……」

 

 

 まだ、防衛班の人達だけでも三人残っているのに正直限界ですわ……。

 ガラリとアラガミが居なくなった空間で、ボソリと呟いているバーデルさんに力なくツッコミを入れつつ、俺は他の防衛班の人達のもとへ向かった。

 

 

 

 「アラガミを……一匹残らず駆逐してやる……ッ!」

 

 

 会って間もない俺でもキャラじゃないとわかるような台詞を吐きながらアラガミの周りをまるで瞬間移動するかのごとく動き回りながら切りつける小川さんに驚かされ、

 

 

 「この弾はいいわね……。アラガミが今までにないくらいに紅く、激しく咲き誇っているわ」

 

 

 恍惚とした笑みで内側から爆発四散するアラガミを眺めてうっとりとしているディキンソンさんにドン引きし、

 

 

 「…………」

 

 

 唯でさえ、表情が怖いシュナイダーさんが口の端を釣り上げた笑みを浮かべているのを見て心が完全に折れた。

 ……これでしっかりとブラッドアーツを習得したというからなおさら質が悪い。

 

 

 まだクレイドル組に第一部隊、第四部隊の人が残っているのに割と切実に帰りたいと思い始めた俺は悪くないと思うんだ。

 

 

 溜息一つ吐いて今度はクレイドル組が居る場所へと足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








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